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書籍と雑誌の要約と解説

アトピー性皮膚炎患者1000人の証言

日本初の本格的実態調査

装丁
アトピー性皮膚炎患者1000人の証言 アトピー性皮膚炎患者1000人の証言
安藤直子(東洋大学工学部応用化学科准教授)
子どもの未来社
ISBN4-901330-84-8
2008/11/30
¥1600
安保徹先生(新潟大学医学部教授)

かつてはステロイド外用剤に苦しんだアトピー患者でもあった安藤直子先生が、
生命科学者の立場で書いたものです。
皮膚科医も患者も正しく現状を把握できるでしょう。

藤澤重樹先生(藤澤皮膚科理事長・院長)

1000人の患者の証言で裏打ちされた
生命科学研究者の理論には説得力があります。
乳児湿疹やアトピーでお悩みの方に目を通していただきたい正鵠の書です。

解説
医学界では、「アトピー患者のステロイド忌避は、
マスコミやアトピービジネスにあおられた患者の過剰反応に過ぎない」とか、
「患者がステロイドを嫌うのは、単に副作用を大げさにとらえているだけで、
なんの根拠もない」と片づけられてしまっているようです。
でも、そんなことはない、
ステロイドの副作用で想像を絶する苦しみを味わう患者さんは、
ほんとうに実在するのです。
ここに、医療現場と患者の感覚が、大きく乖離かいりしていることを感じます。

現状に納得できなかった私は、自分でアトピー患者の実態を調べてみることにしました。
そして、思いもかけないほど多くの患者さん、
お医者さんたちのご協力を得ることができました。
それほど、患者さんたちは苦しんでおり、一部のお医者さんたちのご協力を得ることができました。
それほど、患者さんたちは苦しんでおり、一部のお医者さんたちには危機意識が強かったのでしょう。
そして今私は、なんとしてもこの内容を世に問わなければならない、と感じています。
それがこの本を書きはじめた最大の動機なのです。

この本は、アトピーに苦しむ多くの人たち
――特に医療の常識から外れてしまった患者さんたちを中心に――
その体験とアトピーへの取り組みをまとめたものです。
言ってみれば、この本は私を含めた多くの患者たちからのメッセージでもあります。

目次
  1. アトピーの歴史を振り返って
    ――ステロイドをめぐる混乱はほんとうに終息したのか――
    1. アトピーってどういう病気?
      1. 「成人すれば自然に治る病気」だった
      2. 変貌するアトピーの病態
    2. ステロイドバッシングの時代
      1. ステロイドは<悪魔の薬>
      2. 医療現場の動揺と混乱
    3. 「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」の登場
      1. 第一選択薬のお墨つき
      2. 標準治療の場から去っていった患者たち
    4. そもそもステロイドって何?
      1. 治療に用いられるグルココルチコイド
      2. ステロイドは細胞の司令塔
      3. 自己判断で塗らなければいけない
    5. 置き去りにされた問題
      1. よい薬の条件
      2. 解明されていない副作用の深刻さ
      3. 長期使用の安全性を示す証拠
      4. 数十年後の体に向き合うのは患者自身
  2. 一人の成人アトピー患者として生きて
    ――選択としての <ステロイド離脱>――
    1. 思春期での発症―いつの間にか処方されていたステロイド
      1. ニキビに悩まされ皮膚科に通いはじめる
      2. ロコイドを顔面に塗りつづけていた2年間
    2. 七転八倒の大学時代―ステロイドをやめたい!でもやめられない!
      1. 家族にこそ耳を傾けてほしい患者の声
      2. はじめてのプチ「ステロイド離脱」
      3. ぐるぐる巻きのミイラ人間<密封療法>
      4. 失敗に終わったソフトランディングの試み
      5. 「薬をやめた方がいいと思います」
      6. ただ1回のステロイド使用後に劇悪化
    3. 海外での生活―アトピー寛解の後の再悪化に悩む
      1. アトピーが消え去ったオレゴンの夏
      2. 日本に帰るのが怖い
      3. 働くために選んだ10年ぶりのステロイド
      4. 紫外線療法で全身黒焦げ
    4. 帰国後のこと―薬遍歴を重ねた末に
      1. 新薬プロトピックの治験に参加
      2. 病と真摯に向き合う姿勢
      3. 伴侶があたえてくれた大きな安心感
      4. 自然治癒することなしに迎えた40代
    5. 不惑を前に―自分自身の回復力を信じて
      1. ステロイドからの離脱を決意
      2. 来る日も来る日も続いた<生き地獄>
      3. 患者をかかえる家族にも大きな負担
      4. 二人の皮膚科医との出会い
      5. 猛暑をのがれて北海道・豊富温泉へ
    6. 現在の自分―回復とともに、アトピー調査へ
      1. ステロイドをやめて5年
      2. 一人の体験者として社会にアピール
  3. 患者たちの本音に迫る―アトピーを問い直そう
    1. 調査の方法と調査に協力してくれた患者の横顔
      1. 患者の性別と年齢
      2. 配偶者の有無について
      3. アトピーの病歴と現在の症状は?
    2. 患者たちのステロイド体験
      1. みんなが使うステロイド!
      2. 現在の薬剤の使用は?
      3. リバウンドの実態
      4. なぜ薬をやめたの?もう使わないの?
      5. 薬を使わなくたって、アトピーがよくなる人はたくさんいるよ!
    3. 「心のケア」と「入院治療」
      1. 「心のケア」について
      2. 「入院治療」について – 緊急避難の場所がほしい患者たち
    4. 患者たちは医療現場で何をつらく感じているのか?
      1. 医療現場で傷つく患者たち
      2. 治療費はさらなる負担
      3. 結局、患者は医療に何を求めているのか?
    5. 自分たちはアトピーをこうみる!
      1. アトピーの悪化の理由は?
      2. 自分のアトピーをコントロールする
    6. 患者たちの社会生活・家庭生活で直面する問題
      1. 学業や職業などの社会生活について
      2. 患者は社会に対し何を要望しているのか?
      3. 患者も家族も苦悩するアトピー
      4. 家族に対し希望すること
      5. 奮闘するアトピーママたち
      6. つらさを共有すること
  4. 患者そして生命科学者の立場からアトピー対処法を考える
    1. ステロイドを使う?使わない?
      1. はじめて<アトピー性皮膚炎>と診断されたら?
      2. ステロイド―使うとしたら注意点は?
      3. 特殊な治療法―免疫抑制剤
      4. お医者さん選びのポイント
    2. ステロイド離脱を少しでも容易にするために、再悪化を防ぐために
      1. どこまできたら、「ステロイド離脱」をしなければならないのか?
      2. 長引くリバウンドと患者の苦悩
      3. ステロイド内服・注射vs自然寛解
      4. まず心構えの問題
      5. 信頼する医師との連携を
      6. 皮膚をなるべく傷つけないために
      7. 保湿剤 – 使う?使わない?
      8. お風呂はどうやて入る?
      9. 体って自分が食べたものからできている
      10. しょせん私たちは<動いてなんぼの動物>
      11. 意外に大切な<姿勢>
      12. 数々の代替治療―情報にふりまわされずに賢く利用しよう
      13. 生活全般を見直す―考えすぎてしまわないことも大切
      14. 名医が治すわけじゃないアトピー
文献
  • 雨宮処凜『アトピーの女王』
  • 江崎ひろこ『顔つぶれても輝いて』
  • 江崎ひろこ『そっと涙をぬぐってあげる』
  • 田淵耕造『脱ステロイド』
  • ねもと健『ステロイド地獄脱却物語』
  • 藤村由美『アトピーな日々』
  • 磯部善成『アトピーは合成洗剤が原因だった!』
  • 衛藤光『アトピー性皮膚炎』
  • 川島眞『アトピー性皮膚炎がよくわかる本』
  • 佐藤健二『患者に学んだ成人型アトピー治療』
  • 高橋夫紀子『新編大人のアトピー性皮膚炎はここまで治る』
  • 竹原和彦『アトピービジネス』
  • 竹原和彦『続アトピービジネス私論』
  • 竹原和彦『そこが知りたいQ&Aアトピー性皮膚炎の最新知識』
  • 竹原和彦『こうして治すアトピー』
  • 玉置邦彦・中川秀己・古江増隆『アトピー性皮膚炎とステロイド外用療法』
  • 玉置昭治『二人三脚で治すアトピー』
  • 戸田浄『大人のアトピーは自分で治す』
  • 中川秀己『アトピー性皮膚炎治療の実際』
  • 永田良隆『油を断てばアトピーはここまで治る』
  • 中村敬『アトピー徒然草』
  • 野口順一『アトピー性皮膚炎の温泉・水治療法』
  • 深谷元継『アトピー性皮膚炎とステロイド離脱』
  • 深谷元継『ステロイド依存』
  • 福井和彦『アトピー・ステロイドからの離脱』
  • 藤澤重樹『アトピー治療革命』
  • 古江増隆『アトピー性皮膚炎』
  • 松田三千雄『図解 脱ステロイドのアトピー治療』
  • 道端正孝・田中貴子『アトピーの薬を減らす本』
  • 日本アレルギー学会『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』
  • 日本皮膚科学会『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン』
  • アトピッ子地球の子ネットワーク『やさしくわかるアトピーの直し方』
  • アトピー・ステロイド情報センター『ステロイドを使わないアトピー治療をめざして』
  • アトピー・ステロイド情報センター『ステロイドを止めた理由』
  • アトピー環境研究会『アトピー・シックハウス列島の謎』
  • 安保徹『免疫革命』
  • 隈本邦彦『ナースが学ぶ『患者の権利』講座』
  • 傳田光洋『皮膚は考える』
  • 幕内秀夫『粗食のすすめ』
  • 長谷川眞理子『ヒトはなぜ病気になるのか』
  • 浜六郎『薬害はなぜなくならないか』
  • ノーマン・カズンズ『笑いと治癒力』
  • ゲルト・ギーゲレンツァー『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』
  • アーサー・クラインマン『病いの語り』
  • ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』
  • アンドルー・ワイル『癒す心、治る力』

内容

ステロイド長期使用の安全性を示す証拠はない[P.33-34]

*18EBMデータ集という臨床試験をまとめたものをみますと、
長期投与の臨床試験(長期使用の副作用を見ているもの)
は海外の臨床試験をふくめても、例が少なく、試験の期間も短いのです。
このデータ集には、3~4週間が1件、18週が1件、20週が3件、
25週が1件、6ヵ月が1件、44週が1件載っているだけです。

実際、この臨床試験の短さに驚かれる方も多いことでしょう。
なにしろ、患者は年単位で薬を使うのですから。
しかも、この臨床試験では、副作用が見られる例もふくまれています。
つまり、患者たちには知らされていませんが、
ステロイドの長期使用の安全性を示す証拠(かっこよく「エビデンス」ともいいますね)など、
実は存在しないのです。

渡米したらアトピーが完治[P.56]

1988年6月、私はアメリカ西海岸に位置するオレゴン州のコーバリスに移り住みました。

<中略>

そして、奇跡はそれだけにとどまりませんでした。
私のアトピーは、わずか数週間の間に、私の顔から影も形もなく、消え去ってしまったのです。
私のケースは、場所や環境を変えることが、アトピーの寛解につながる好例といえると思います。

ストレスでアトピーが再発[P.59]

2年目になっても思うように研究が進まなかった私は、大きなストレスを感じるようになり、
アメリカに来てからはけっして悪化することのなかった夏に、アトピーが悪化をはじめました。
正直言って、私はストレスをコントロールすることがひじょうに下手でした。
今思えば、ステロイドをのぞけば、それがアトピーの最大の悪化原因になっていたと思います。

紫外線療法で全身黒焦げ[P.60-61]

期待して臨んだ紫外線療法でしたが、結果は芳しくありませんでした。
私は全身が黒焦げ(赤焦げ?)のようになってしまったのです。

私は、この街ではあまりみかけない、珍しい黄色人種でしたので、
紫外線療法の加減がまちがっていたのかもしれません。
主治医がわざわざ私の自宅まで電話をしてきて、救急車の出動が必要ないかたずねてきたので、
それなりに深刻だったのではないかと思います。
私は2日間、ベッドから起きあがることも苦痛で、発熱とのどの渇きに苦しむ羽目になりました。
同僚たちが入れ替わり立ち替わりやってきては、私の皮膚の症状を子細気に観察し、
「訴えれば金がとれる」とそそのかす人までいました。

この人工の日焼け跡は、そのあと2年以上、ダサいビキニ姿のように残り閉口したものです
(ちなみにこの紫外線療法、効く人には効き目抜群だそうです)。

脱ステロイド地獄[P.71-72_76]

ステロイド離脱は、私を文字どおり<生き地獄>にたたき落とすことになりました。
顔は腫れあがり、ほんの少しさわっただけで皮膚が裂け、
妙なにおいのする体液が止まることなく流れてくる。
ティッシュで抑えてもすぐずぶ濡れになってしまい、
その上からマスクをしても、体液がマスクにしみだしてしまう。
まぶたが腫れるので、その顔貌はひどい変わりようだ。
口の周りの炎症は、口が開かなくなるほど悪化し、首は回らなくなる。
ここまでは、私が若いころのステロイド離脱の際経験したものと、
程度のちがいこそあれ、大差はありませんでした。
しかし、今回はこんなことではすまなかったのです。

顔の症状はいつまでたっても止まらず、経験したこともないほど激しさを増していきました。
同時に、症状は爆発的な広がりをみせ、あっという間に首をこえて、
ステロイドをあまり塗っていなかったはずの背中や胸にまで広がったのです。
健康に見える皮膚に小さなぽつぽつができ、そこをくと瞬く間に広がり、
そういった炎症個所がつながりはじめ、太ももから上は、
ほとんど炎症のない部分がなくなってしまいました。
それは、まるで悪夢をみているようでした。

症状が顔だけに出ているころはまだ眠れましたが、
体の方に広がると、痒みと苦痛で眠れなくなります。
朝方まで眠れず、暗い気持ちで朝を迎え、不思議と朝の光が見えると少しうとうとするのです。
体の症状がひどくなってくると、服を着たり脱いだりするのも、
まるでピノキオのように、ギクシャクした動きしかできず、
大変な労働になってしまいました。また、お風呂に入るときには、
出てきたとたん、今度は因幡の白ウサギのように、
体中がひりひりして、痛くて身動きがとれないのです。
皮膚が皮膚として機能することを止めたかのようで、
途切れることのない激しい痒みがと苦しみが、
1年半以上もの間、来る日も来る日も繰り返されたのです。

*   *   *

そのころの私は、皮膚がものすごい勢いでむける時期になっていたようで、
私の通る場所すべての床に、まるで天の川のように、
はがれ落ちた皮膚が白く積もってしまいました。
それがあまりにもひどくて、私は携帯用掃除機とともに室内を移動し、
皮膚片を視界から消そうとしたものです。
しかし、はがれ落ちた皮膚の下にできている皮膚は、
普通の皮膚にみえるのですが、またすぐにはがれ落ちる皮膚になってしまい、
「落ちる皮膚」は消えるものではありませんでした。
これでもか、これでもかと私の体から落ちつづけ、
ほとんど驚異としか言いようがありません。
皮膚の新陳代謝は普通3~4週間といわれていますが、
あのときは、それが2~3日で行われていたような気がします。

豊富温泉[P.77]

私はついに、アトピー患者の間で評判がよい
北海道の*31豊富とよとみ温泉」に逃げだすことにしました。
温泉の効果を期待してというよりも、少しは涼しいだろうと思ったからです。
ところがこれがまた、私のアトピーにとって、突然の転機となりました。

豊富温泉は、タール分を含む塩分濃度の高い弱アルカリ性の泉質を持ち、
アトピーや*32乾癬といった皮膚病に著効であるといいます。
確かに、目の前で症状が急激によくなる患者たちをみて、私は目を丸くしました。
他人の症状に目を丸くしているうちに、数日たって、
今度は自分の症状が急激によくなっていくのを見て、これまた目を丸くすることになりました。
何が起こっているのかよくわからないうちに、10日間の湯治で、私の症状は格段によくなったのです。

*31 豊富温泉 北海道天塩那豊富町にある温泉。稚内から車で30分ほどの距離にある。
温泉は独特の石油臭がし、乾癬やアトピーといった慢性の皮膚病に効くという評判から、
多くの患者が湯治に訪れている。ここを会場とし、2006年より毎年1回患者、
家族、医療関係者などが集い語り合う「アトピーフォーラム」
(実行委員会:ptgeddes@mac.com)が開催されている。

高木仁三郎市民化学基金によるアトピー調査[P.85-147]

この調査はアンケート調査を中心としたものですが、患者さんたちの本音に迫るため、
インタビューを実施し、また、語り合いの場であるフォーラムを開催して、
より深くお話を聞くことも試みました。
アンケート調査だけでもなかなか大規模なものになり、
26ヵ所を数える医療機関の医師(203~205ページ参照)、
アトピーの療養者の多い豊富温泉、
アトピーの患者支援団体や口コミを通して、アンケートは配布されました。
協力いただいたお医者さんたちは、ステロイドを第一選択にしない方を中心としましたが、
まったく使用しないというわけでもありません。

回収は、主に郵送法で筆者宛に返信してもらいました。
最終的に2087部が配布され、なんとその半分以上の1074部が回収され、
この手の調査としてはひじょうに高い回収率となりました
(こういった種類の調査は、2~3割の回収率が普通だそうです)。

*34 今回の調査 2006年度高木仁三郎市民科学基金の助成をうけ行われた。
<調査研究のタイトル>
アトピー性皮膚炎の成人患者支援スキーム作りのための基礎研究:
患者の「困難」の構造的・歴史的理解と支援方針の検討のために
<調査時期> 2006年4月から2007年3月まで

  1. ステロイドの使用期間(回答者数:994人)[P.91]
  2. 現在の薬剤使用の状況(回答者数:1025人)[P.92]
  3. 現在の薬剤使用頻度(回答者数:221人)[P.93]
  4. リバウンドの経験(回答者数:980人)[P.94]
  5. ステロイドをやめた理由(回答者数:972人)[P.100]
  6. あなたのアトピーに、心のケアは必要だと思うか?(回答者数:1055人)[P.108]
  7. どういった心のケアを求めるか?(回答者数:829人)[P.109]
  8. アトピーの悪化時に入院先があったほうがよいと思うか?(回答者数:949人)[P.112]
  9. 医療現場でのつらい経験について(回答者数:611人)[P.114]
  10. 患者が考える自分のアトピーの悪化原因(回答者数:1049人)[P.131]
  11. 自分のアトピーがコントロールできるようになった理由(回答者数:561人)[P.133]
  12. 妊娠中のアトピーの悪化(回答者数:156人)[P.147]
  13. インタビュー集[P.115-127]
ステロイドの使用期間(回答者数:994人)
1年未満 5年以下 10年以下 20年以下 20年以上
7.6% 23.8% 23.7% 28.9% 15.9%

アンケート調査では、千人以上の方が回答してくれましたが、結果は次のとおりです。

 「ステロイド外用剤を使ったことがある」98%
 「使ったことがない」1%
 「わからない」1%

つまり、現在ステロイドに対し忌避の傾向がある患者さんも、
そのほとんどがステロイド外用剤を使用した経験があることがわかります。
最初からステロイドを理由もなく拒否しているわけではないのです。

<中略>

ステロイド外用剤を意識的に中止することは、俗称<脱ステ>とも呼ばれますが、
1000人強の回答者のうち、93%が「経験あり」と答え、6%が「経験なし」と答えています。
1%未満の方が、選択肢になかった「その他」を記入していました。
やはり、相当数の人が「脱ステ経験」をしています。

現在の薬剤使用の状況(回答者数:1025人)
ステロイド・プロトピックとも使用 05%
ステロイドのみ使用 11%
プロトピックのみ使用 06%
どちらも使用せず 78%
現在の薬剤使用頻度(回答者数:221人)
ステロイド プロトピック
ほとんど毎日 67人39% 41人37%
1週間に数回 57人34% 30人27%
1週間に1回 15人09% 12人11%
それ以下 18人11% 28人25%
その他 13人08%
リバウンドの経験(回答者数:980人)
もっとも悪くなるまで悪化 630人
かなり悪化 181人
日常の悪化の範囲 100人
ほとんど変化なし 55人
その他 14人
ステロイドをやめた理由(回答者数:972人)
症状が安定していたため 111人
異常・副作用を感じたため 385人
専門医の勧め 317人
民間業者の勧め 50人
家族・知人から言われたため 169人
書籍の情報 125人
インターネット情報 111人
マスコミ報道 40人
その他 120人
あなたのアトピーに、心のケアは必要だと思うか?(回答者数:1055人)
強くそう思う 483人
ややそう思う 353人
どちらとも言えない 120人
あまりそう思わない 81人
まったくそう思わない 18人
どういった心のケアを求めるか?(回答者数:829人)
主治医に聞いてもらう 581人(70%)
心療内科・精神科 153人(19%)
カウンセリング 306人(37%)
患者会・支援グループとの交流 259人(31%)
同病の患者さんとの交流 308人(37%)
その他 63人(8%)
アトピーの悪化時に入院先があったほうがよいと思うか?(回答者数:949人)
強くそう思う 438人
ややそう思う 306人
どちらとも言えない 133人
あまりそう思わない 57人
まったくそう思わない 15人
医療現場でのつらい経験について(回答者数:611人)
望まない治療・医療行為をされた 298人
こちらの話をまったく聞いてくれなかった 234人
医師から精神的に傷つけられることを言われた 173人
医師から怒られたりどなられたりした 134人
医療過誤としか思えないような治療をされた 114人
上記にあてはまらないが、辛い経験をした 124人
患者が考える自分のアトピーの悪化原因(回答者数:1049人)
ストレス 820人
バランスの崩れた食生活 370人
運動不足 256人
ステロイドなどの薬剤の中止 351人
合わない民間療法など 44人
ステロイドの副作用 490人
わからない 114人
その他 123人
自分のアトピーがコントロールできるようになった理由(回答者数:561人)
自然によくなった 79人
環境の変化 67人
食生活の改善 217人
運動 75人
ステロイド・プロトピックに戻った 24人
ステロイドの使用を中止 355人
漢方治療 124人
民間療法 86人
その他 132人
妊娠中のアトピーの悪化(回答者数:156人)
おおいにある 51人(33%)
ややある 37人(24%)
どちらとも言えない 24人(15%)
あまりない 26人(17%)
まったくない 18人(12%)
インタビュー集
  • 入院時、主治医がどうしてもステロイドを使うと言い、もめて、主治医を変えてもらった。[30代前半女性]
  • 脱ステをして数年経っていたのに、ステロイドをその場で塗られた。ステロイドに対する不安など、話を聞いてもらえない。[30代前半女性]
  • 名医といわれる医師に「顔にステロイドを塗りたくない」と言うと、「そんな赤い顔でよく外が歩けるな。恥ずかしくないのか」とその医師は切れた。[20代後半女性]
  • ステロイドを使用したくないと言うと、「素人が生意気言うな」「なにしにきたの?」とか言われたり、その場でステロイドを塗られたりした。[30代前半女性]
  • 「顔にステロイドは塗りたくない」と言ったら「帰れ!」と怒られた。[40代前半女性]
  • ステロイドに対する不安を話したら、「医者と患者は信頼関係で成り立つ。信用できないなら、他に行ってくれて結構」と逆ギレされた。[40代前半男性]
  • 医者は、私がなぜステロイドをいやがるのか、聞いてくれない。[20代前半女性]
  • 軽い症状に対してデルモベート(最強ランク)[20代前半男性]
  • 「保湿クリームみたいな薬だから」と言われ、ステロイドを出された。[30代前半女性]
  • 「ステロイドは入っているが、特別に副作用が出ないようになっている」と説明を受け、1年間全身に使ってしまった。[20代前半男性]
  • 使用制限や副作用について聞くと、いやな顔をされる。[30代前半男性]
  • 入院したときに「資料のために上半身裸の写真を撮らせて」と言われ、拒否したのに脱がそうとした。[30代後半・女性]
  • 「あなた自身の意思が弱く、ストレスをコントロールできないから悪化するんだ」と言われた。[40代後半・女性]
  • 「病は気から」「神経質だからアトピーになる」といわれた。[30代前半・女性]
  • まだ成人していなかった頃、通院した病院で、「親が過保護に育てるからだ」とか、根拠のないことで、母親を責められるような言葉を受けた。[30代前半・女性]
  • 「何でこんなに汚いの?」と初対面で言われた。[30代後半・女性]
  • 「アトピーなんて治らないよ。なんでここに来てるの?病院なんか変えても無駄だよ」と冷たく言い放たれた。[30代前半・女性]
  • 皮膚科で、彼氏の親の持病のことを話したら、「あなたはアトピー、彼氏はその病気になるかも。こんな二人の間に生まれてくる子がかわいそう」と言われた。[30代前半・女性]
  • 偉いお医者さんだったらしいが、治療に少しでも通わないと、どなる、怒る、治す気があるのか?などとひどい言葉をあびせられた。[40代後半・女性]
  • ある病院で、診察中に自分の意見を言ったら、「だから治らないんだ!」とカルテを破られ、そのまま帰ろうとしたら、診察代だけは請求された。[30代前半・女性]
  • 「私の出す薬はすべて使いきりなさい。次に来る2週間後までに」と言って、ステロイドの薬をたくさんだし、使いきっていないと怒る。しかも、他の患者さんに丸聞こえするくらいに大声で。[30代前半女性]
  • アレルギーテストを求めると「素人が口を出すな」と言われた。[30代後半・女性]
  • 看護師さんによっては、さも汚い病気と言わんばかりの態度をとる人がいます。[40代後半・女性]

脱ステロイドの奥の手[P.168-169]

患者を痛烈に苦しめるこのリバウンドに対し、
ステロイド内服や注射を用いられるケースがあります。
ステロイドから離脱したいのに、またステロイドなの?
と思われる患者さんもいらっしゃることでしょう。
しかし、脱ステロイドを実施するお医者さんには、この奥の手を使う先生は結構います。

私にはそのメカニズムがはっきり分からないのですが、
ステロイドのリバウンドが楽に乗りこえられるケースもあるようです。
皮膚からのステロイドの投与と、血流に乗ってステロイドが運ばれる場合では、
ステロイドの効き方やその後の残り方がちがうということなのでしょうか。
実際、そういった治療法をした患者さんから、お話を聞いたこともありますが、
経験者の患者さんたちによると、かなり楽にリバウンドを乗りこえられるそうです。

NOATOクリーム[P.173]

「ステロイドが入っていないのにアトピーに効く」という
口コミやインターネットで話題になったアメリカから輸入された化粧品。
2008年8月、最強ランクのステロイドであるデルモベートと
同一成分がほぼ同濃度で検出されたことを受け、都が回収命令を出した。
販売元は株式会社ラバンナ。

温泉療法[P.183]

アトピーに効く温泉としては、草津温泉、豊富温泉などが有名であるが、
個人差が大きく、実際試してみなければ効果はわからない。
どちらかというと、酸性泉より弱アルカリ性泉の方がよいという患者が多く、
塩泉も好まれる傾向がある。硫黄泉は、効果に差があるようである。

体の歪みでアトピーになることもある[P.189]

運動とともに意外に大切なのではないかと私が感じているのは、<姿勢>です。
常識的に考えても、姿勢というのは体の働きの根幹にかかわってくるものです。
でも、それが皮膚の健康と直結するという考えは、私にはありませんでした。

それが変わってきたのは、何人かの比較的症状が重いアトピー患者さんたちが、
<体のゆがみを直す>ことをめざす代替治療*56によって、
劇的に回復する過程を見聞きしたからです。
お話をよくうかがってみたところ、患者さんたちは自分の回復が
「体のゆがみを直したことによるもの」というかなり強い確信があるようでした。

薬物療法の効かない患者を無視するT大学付属病院某医師[P.199]

2年ほど前のことだったでしょうか。
地獄のようなステロイド離脱がようやく一段落したころ、
私は、「日本臨床皮膚科医会」という学会で、
アトピー患者としてスピーチをさせていただく機会を得ました。
その時、招待してくださった皮膚科医の方が、
私のT大学付属病院時代の主治医に引き合わせてくださいました。
数年ぶりの対面でしたが、元主治医の先生は以前と変わらぬ穏やかな表情で、
私に話かかけてくださいました。

「ああ、お顔を覚えていますよ。あれから、いかがでしたか」

私は一時期、彼の行っていたプロトピックの治験に参加していましたが、
その後、プロトピックを断念し、ステロイドに戻ったものの、
現在ではステロイドも離脱していました。
はじめは、標準治療の中心的な立場におられるこの先生に私の過去を話しても、
ただ不快なだけだろうと思ったのです。
しかし、やはり起こったことを知ってほしいし、
この先生も知るべきでは、と思い直しました。

そこで私は、勇気を奮って、私の身に起こったことを話してみることにしました。

「実は、プロトピックは使えなくなってしまい、
ステロイドに戻ったのですが、やはりこちらも使いこなせなくて……」

このあたりまで言いかけたときだったかと思います。
元主治医は、まるで私が突如、存在しなくなったかのように、
もう一人の先生に向かって、全然ちがう話をはじめたのです。
それは私があたかも突然、透明人間になったかのような、そんな一瞬でした。

もしかしたら、私はほんとうに透明人間になっていたのかもしれません。
アトピーの標準治療では、ステロイド外用剤が第一選択。
その大前提が崩れ、ステロイドで問題を起こす患者たちは、
標準治療の場にいる医師たちにとっては不都合な存在です。
そんな患者は、みなかったことにしてしまう、存在していなかったことにしてしまう、
そんなことが起こっているような気がします。

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