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書籍と雑誌の要約と解説

初歩からわかる食品添加物

新しい表示から天然添加物まで

装丁
初歩からわかる食品添加物 初歩からわかる食品添加物――新しい表示から天然添加物まで――
吉田勉(女子栄養大学教授/東京都立立川短期大学名誉教授)
芽ばえ社
ISBN4-89579-162-9
1991/12/01
¥1300
解説
私たち現代人の食生活は、いまや食品添加物漬けといっても過言ではありません。
日々の食卓には何かしら加工食品がのぼり、知らず知らずのうちに、
何十種類という食品添加物を口にしているのです。
そこで、食生活の質的安全をテーマにした『食生活の安全』(三共出版、1978年)
を世に出したのち、その欠陥部分を補い、かつ内容を深める立場から、
主に食品添加物についてまとめたのが、
1979年に上梓された『食品添加物』(芽ばえ社)です。
幸いにもこの本は好評を得、版を重ねたため、その後、体裁を改めて、
『増補 食品添加物』(芽ばえ社、1984年)として出版し、
多くの方々に読んで頂くことができました。
食品添加物を基礎から学び、
それへの基本的対応を知ることができるような内容を心掛けたためだろうと考えています。
ところが、その後、とくに今年になり、食品添加物の新規指定品目が現れたり、
表示方法の改正が実施されたりと、食品添加物をめぐる状況にかなりの動きがありました。
そこでこの機会に、より一層わかりやすくて最新の情報を加えた本を作りたい、
という芽ばえ社の要望があり、
既刊の『食品添加物」に手を入れて、本書を出版することにしました。
食品添加物とは一体何なのか、何が危険なのか、に始まって、
では私たち消費者はどういう点に注意して加工食品を買えばいいのか、
少しでも安全な食べ方は・・・・・・など、実際に役立つ情報も含めて解説してあります。
本書が改めて食品添加物を見直すきっかけとなり、
より安全な食生活を築いていく助けとなれば幸いです。
目次
  1. 食品添加物ってどんなもの?
    1. 化学的合成品と天然物
    2. どんな時に使うの?
    3. どんなものからできてるの
  2. 食品添加物のどこが問題なの?
    1. 動物実験による確認は?
    2. 食品成分との反応で危険物質が・・・
    3. エッ! 他物質の毒性を強化
    4. 食品製造中に変化することも
    5. 流通中に変化した添加物の毒性は?
    6. 相乗毒性も心配
    7. 食品添加物同士が反応すると・・・
    8. 胃や腸のなかでも変化する
    9. 特殊状態での影響は?
    10. わからないことだらけの不安
  3. 天然添加物なら安全?
    1. ようやく表示が義務づけられた
    2. やっぱり不安な天然添加物
      1. 野放し状態
      2. 安全性の確認が行われていない
      3. 輸入原料であること
  4. 特に気をつけたい食品添加物
    1. 甘味料
      1. サッカリン
      2. 砂糖
      3. 天然物の糖の誘導体
      4. グリチルリチン
    2. 着色料
      1. 食用タール色素
      2. 天然着色料
    3. 漂白剤
    4. 発色剤(亜硝酸塩)
    5. 発酵調整剤
    6. 糊料
    7. 酸化防止剤
    8. 防腐剤(保存料・殺菌料)
      1. 過酸化水素
      2. かんきつ類の保存料(防かび剤)
    9. 香料
    10. 調味料
    11. リン酸塩
  5. こう変わった食品添加物の表示
    1. 今までの表示の問題点
    2. 要求は満たされたか?
    3. 新しい表示のしくみと課題
      1. 天然添加物も表示義務化
      2. 表示の死角、バラ売り食品
      3. 表示義務のある食品添加物
      4. 一歩前進、用途名・物質名併記
      5. 慣用名表示のカラクリ
      6. 一括名表示の問題点
      7. 表示が免除される食品添加物
      8. 改正前と後、比べてみると・・・
  6. 食品添加物最新情報
    1. 機能性食品はカラダにいい?
    2. アレルギーの犯人、アゾ系色素
    3. 食品行政先進国の食品添加物事情
      1. 消費者代表の参加
      2. 食品一般法と添加物一覧
      3. 食用タール色素の使用規制
      4. WHO(1986年)の評価内容
      5. 北欧の食品添加物行政に学ぼう
  7. 自分でできる食品添加物から身を守る法 
    1. 個人的対策三カ条
    2. 今すぐできるひと工夫
      1. 調理の前にちょっとひと手間
      2. アク抜きの効用
      3. 野菜を上手にとり合わせて
      4. タール色素を解毒する食物せんい
      5. カラダの解毒能力を高める栄養素
  8. ますます増える食品添加物
    1. 貿易摩擦と食品添加物
    2. 危険な農産物自由化
    3. みんなで減らそう食品添加物索引
文献
  • 大森義仁&藤巻正生『わかりやすい食品添加物』38頁[P.12]
  • 日本食品衛生学会『日本食品衛生学会誌・32巻3号』206-220頁[P.41]
  • 日本食品衛生学会『日本食品衛生学会誌・32巻2号』210-212_216頁[P.46-47]
  • 『食品添加物公定書解説書・3版』871頁[P.62]
  • 茨城県『消費生活・106号』1978年12月20日[P.64-65]
  • 『食品衛生研究・40巻2号』41頁[P.76-77]
  • 食品添加物表示検討会『食品添加物表示について』1987年9月24日[P.81_90]
  • 『食品衛生研究・31巻9号(水政加三)』45頁[P.103]
  • 『食品衛生研究・41巻8号(輸入食品監視統計)』77頁[P.104]
  • 藤原邦達『よくわかる食品添加物一問一答』[P.111]
  • 藤原邦達『続・よくわかる食品添加物一問一答』[P.113-114]
校正
  • 突然変異源物質ができます。→突然変異原物質ができます。

内容

  1. 亜硝酸塩ミンク大量死事件[P.18-20]
  2. 過酸化ベンゾイル不要事件[P.22]
  3. サッカリン禁止騒動[P.22-24]
  4. 食品添加物の派生毒物[P.25_50-51_56]
  5. チクロ毒性実験のミステリー[P.27-28]
  6. 砂糖やデンプンにアンモニアを加えて加熱して作るカラメルには、4-メチルイミダゾールというけいれん作用のある物質ができるため、一日摂取許容量が定められているのです。[P.43-44]
  7. もやしのビタミンCは、次亜塩素酸ナトリウムで処理した場合には三〇㌫も減少することを、私たちは確かめています。[P.48]
  8. 東南アジア産のえびやくらげには、防腐硬化をねらって、漁獲後、日本では許可されていないほう酸水に浸すものもあります。[P.48]
  9. 大豆油を作る時に濾過をしますが、濾過に時間がかかるので、酸性白土のような濾過助剤というものを使います。[P.86]
  10. ノルウェーとスウェーデンではタール色素が禁止されている[P.96-97]
  11. 合成化学物質を解毒する栄養素[P.106-108]

亜硝酸塩ミンク大量死事件[P.18-20]

たまたまノルウェーで次のような事件が起こりました。
ニシンを大量に陸揚げしましたので、ミンクの餌にすることにし、
腐ると困るので亜硝酸塩をかけました。
外国では亜硝酸塩は防腐剤(保存料・殺菌料)として使われるのです。
ところが、それを食べたミンクがバタバタと死んだのです。
調べた結果、ジメチルニトロソアミン(DMNA)という非常に毒性の強いものが生成されて、
そのために死んだことがわかりました。

この反応は特に酸性の状態で早く進行します。
片一方で亜硝酸塩入りのハム・ソーセージを食べ、
胃の中でもDMNAができるのではないかということで調べた結果、
試験管の中でも酸性にすればこの反応が起こることがわかりました。

このことは私たち実験者にとってたいへん重要な示唆を与えます。
最初はネズミを使ったからこの反応がうまく起こりませんでした。
しかし、ある先生がウサギを使ったらこの反応が起こりました。
ネズミでだめでウサギでDMNAができたのは、
胃の中の酸性がネズミは弱くウサギは強かったからだということです。
しかも、人間の胃内酸性度はウサギに近いのです。
そういうことに気がつかないで研究しているとたいへんなことになります。

食品添加物の相乗毒性[P.21_25-26_43]

スモン病をおこすとして有名なキノホルムという薬品がありますが、
キノホルムの毒性は合成糊料CMC
(カルボキシメチルセルロースナトリウム=繊維素グリコール酸ナトリウムや同カルシウム)
によって毒性が強められるのです。

*   *   *

合成保存料にパラオキシ安息香酸エステルと呼ばれるものがあります。
そのなかにはソルビン酸が一緒になると、
それぞれの単独の急性毒性よりも毒性が強くなるという例が知られています。
また、OPPの発ガン性はTBZとの併用で強まります(五八頁)。
二種類混ぜてこうですから、さらに三種類以上混ぜるとどうなるかということを、
本当は実験しなくてはいけないはずです。

<中略>

名古屋市立大学医学部の伊東信行教授らの実験(一九九一年九月)では、
五種類の発がん物質を、がん発生量の二五分の一ずつ混ぜてネズミに食べさせたところ、
合計しても発がん量の五分の一なのにがんが発生したということです。

*   *   *

タール色素の混合使用は、駄菓子類、無果汁飲料などに多くみられますが、
混ぜられた各種色素の相乗毒性はどうなのでしょうか。
その可能性を推測させるものとして、ひとつの色素を単独に使うよりも、
いくつかを混合して使うほうがいっそう消化酵素の力を弱める例が、
私どもの行った試験管内の実験では明らかになっています。

過酸化ベンゾイル不要事件[P.22]

普通、小麦粉というのは、製粉後しばらく置いておかないと、
その製パン性や製麺性が良くならないものですが、
過酸化ベンゾイルを使うと、その性質が早く出てくるといわれていたのです。

玄人はそう考えて、これを使わなければ経済的に非常に損だと思っていたのでしょうが、
消費者グループが「過酸化ベンゾイルはビタミンB1をこわす働きがあるから、
過酸化ベンゾイルを使ってくれるな」といいました。
一方では「これを使わないと小麦粉の製麺性をよくするのに時間がかかる」
ということで議論があったのですが、ためしにこれを使わないでみたところ、
その製麺性にはあまり関係がなかったというのです。

サッカリン禁止騒動[P.22-24]

サッカリンは、その使用が許可取り消しになったり、再許可されたりしました。
許可取り消しの理由は発がん性があるからとうことでした。

それが、すぐ使ってもよいと変わったのは、その後の実験で、
サッカリンそのものではなく、サッカリンに含まれる不純物
(オルトトルエンスルホンアミド)に発がん性があるのだとなってきたからです。
そこで厚生省は、不純物がないように、
サッカリンをきれいに作ればいいということでふたたび許可したのです。

サッカリンには、そういう経緯があったことを頭に入れていただきますと、
食品中で二〇㌫のサッカリンが分解した場合、
上記の不純物と同じような毒性を持った物質ができていないかどうかを、
明確にしなくてはいけないということになります。

酸性状態で加熱するということは、サッカリンの場合にはしばしば行われます。

たとえば、いちごジャムを作る時、砂糖の代わりにサッカリンを入れることが考えられます。
ミカンの缶詰なども酸性状態で加熱します。
したがって、動物実験の結果は、
必ずしもわれわれが食べる食品中のサッカリンと同じ状態のものについての
結果を表していない(分解がおこっています)ことになります。
サッカリンの動物実験をわれわれの生活にあてはめてみると、
ご飯の上にサッカリンをかけて安全かどうかをいっている実験にあたるからです。
ですから、われわれが知りたいのは、ネズミにサッカリンを給与して安全かどうかよりは、
サッカリンを使った食品をネズミに食べさせてみて、安全かどうかを知りたいのです。
しかし、そういう実験は皆無に近いといえます。

食品添加物の派生毒物[P.25_50-51_56]

光があたると変化をおこす色素は、赤色3号・104号・105号・青色2号などです。

食品添加物の安全性の実験をする時は、
たとえばネズミには青色2号そのものを食べさせて実験します。
ところが実際、人間が食べる時には、
青色2号は蛍光灯の下でもしだいに分解するものですから、
流通中に分解をおこした青色2号の分解産物をも、
何種類か食べさせられていることになります。

このように、分解とは、
多くの場合その物質がなくなることではなく、変化するということです。
しかし、変化したその物質の毒性はあまり調べられていません。
また、一般に、添加物が食品流通中に変化したものは、
どういう物質なのかという実験も、あまりやられていません。

*   *   *

グリシンというアミノ酸と過酸化水素がいっしょにある場合に加熱されると、
それらからホルムアルデヒド(ホルマリン)ができるのです。

グリシンを使って使ったかまぼこに、
表面のネト防止のために過酸化水素をかけることは昔よくやっていたのだそうです。
そのカマボコが保存性がよいので、不思議に思って研究者が調べた結果、
このようなことがわかったのです。

*   *   *

肉のすじに多いコラーゲンというたんぱく質には、
プロリンといわれるアミノ酸がたくさん含まれており、
塩漬けにした豚肉のたんぱく質には五㌫近くもあります。
このプロリンが亜硝酸塩と共存しているとき、
とくにベーコンを焼くのに最適の温度(摂氏一八五度)では、
ニトロソピロリジンという発がん性を疑われる物質が作られます。

さらに、でんぷんとかCMC
(カルボキシメチルセルロースナトリウムというような合成糊料で、
人工ケージングにも入れられます)があるときに加熱する実験も行われ、
やはり、プロリンと亜硝酸塩からニトロソピロリジンができることが知られています。

一方、しょう油、果実ソース、酢、清涼飲料水、シロップなどの合成保存料である
パラオキシ安息香酸エステルと亜硝酸塩を紫外線下で反応させれば、
ブチル-3ニトロ-4ヒドロキシ-ベンゾエートという突然変異源物質ができます。

また、合成保存料として毒性が低いといわれ、
チーズ、食肉製品、魚肉ねり製品、魚介乾燥製品、マーガリン、
煮豆、あん類、つくだに、みそ、漬物、ジャム、ケチャップ、
果実酒、乳酸菌飲料その他に使われるソルビン酸と、
この亜硝酸塩とを加熱すると、とくに酸性溶液では、
微生物の生育阻害や突然変異をうながす物質ができることがわかりました。

そのほか、魚介の冷凍品・乾製品・塩蔵品・鯨冷凍品、油脂、バター、
乾燥裏ごしいもに使われる酸化防止剤のブチルヒドロキシアニソール(BHA)と
亜硝酸塩(硝酸塩も)が共存しているときに紫外線照射を受けますと、
芳香族ニトロ化合物というものができます。
一般に、この種のものには毒性が考えられるので心配です。
これらは、酸性条件下で2-tert-butyl-quinomeというDNA損傷活性のある物質を生じ、
また同じ条件下で亜硝酸塩とトリプトファン(又はシスチン)からは
突然変異誘起作用のある物質ができます。

調味料として、かまぼこその他に用いられるグリシンも、
亜硝酸塩が共存していると、シアンを発生したりします。
また、亜硝酸塩は、豚肉に多いビタミンB1をこわすことも知られています。

チクロ毒性実験のミステリー[P.27-28]

かつて、チクロに発がん性のあることがわかり、
大騒ぎがおこり、その使用許可が取り消されました。
その時に、チクロそれ自身が悪いのではなく、
チクロが変化したチクロヘキシルアミンに発がん性や催奇形性があるということで問題になりました。

最初、イギリスで犬にチクロ投与実験をしたところ、
チクロヘキシルアミンは排泄・検出されませんでした。
ところが、同時に日本で行った実験では、この物質が尿中にでてきたのです。
対立した結果になりましたが、日本の方はあまり重視されませんでした。
日本の実験は製糖工業会からの研究費でやったからだということです。
したがって、チクロは良くないという、
製糖会社に都合のいい結果を出して当然と思われたのでしょう。

<中略>

ところが、最終的には両国の実験とも正しいということになりました。
イギリスではチクロを使ってもいい食品はソフトドリンクだけだったのですが、
実験当時の日本ではどの食品に使ってもよかったので、
したがってイギリスの犬はチクロの入った食べ物を食べた経験はないのに、
日本の犬は残飯を通していつもチクロを食べていたことになるのです。
その結果、日本の犬ではその腸内細菌がチクロを分解する能力を獲得していたわけです。
イギリスの犬は、はじめてチクロにお目にかかったので、そういう能力がなく、
違う結果が出たことがわかりました。

ノルウェーとスウェーデンではタール色素が禁止されている[P.96-97]

食品に色をつけることは必要でないという考えが徹底しているのはノルウェーです。
ほぼ全身的にタール色素は禁止です。
この近視は一〇年以上も前に行ったのですが、最初は相当の反発があったようです。
それを押し切って実行したのは年配の女性の専門官で、
もちろん厚生省がバックアップして行ったのですが、
今は子どもたちも色のついたものは気持ちわるがるそうです。

最初のころは、港に外国の着色されたものが入ってくるものだから、
それをシャットアウトするのにゴタゴタしたようですが、
今はこの方針が周知徹底されてきて問題がないそうです。

スウェーデンでも食用タール色素はほぼ禁止です。
使ってもいいのは、ある種のアルコール飲料などだけです。
子どもには影響がないだろうということからです。
ここでも食品添加物の専門官には女性がいました。

合成化学物質を解毒する栄養素[P.106-108]

発色剤の亜硝酸塩と魚臭成分(ジメチルアミンのような二級アミン)、
あるいはソルビン酸とが反応すると発がん物質や突然変異物質ができますが、
今述べましたように、この反応はビタミンCによって抑制されます。
また、ビタミンCは環境汚染物質のカドミウムの毒性防止にも効果があるといいます。

<中略>

食物せんいはタール色素の毒性を弱めるはたらきがあります。
さらに、海藻中に含まれるアルギン酸という食物せんいはカドミウムの毒性防止にも有効です。
この他、果物に含まれるペクチンという食物せんい
(ジャムなどにも含まれる)はPCB排泄を促進します。

<中略>

水銀などの重金属と固く結合しやすい含流アミノ酸の多い卵白などの食品を摂ることは、
水銀の排泄を高める効果があるといいます。

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