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書籍と雑誌の要約と解説

愛犬を病気・肥満から守る健康ごはん

生食療法で完治した犬の持病の実例集

装丁
愛犬を病気・肥満から守る健康ごはん 愛犬を病気・肥満から守る健康ごはん
木村伸子(獣医師)
ペガサス(食と健康の本)
ISBN4-89332-045-2
2002/11/01
¥1200
食事の誤りが原因で、生活習慣病や肥満に苦しむ犬が激増しています。
本来、犬は肉食動物ですが、市販のドッグフードの多くは穀物が主原料ですから、
犬の食事にはあまり適していないのです。
さらに、有害な化学物質が添加されている例も報告されています。

あなたが真に愛犬の健康・長寿を願うのであれば、
ドッグフードだけに頼らずに自分で食材を選び、
愛犬の体質に合ったごはんを作ってあげることです。
本書は、そのノウハウをお教えます。

目次
  1. 飼犬の多くが病気や肥満に苦しんでいる
    1. 人間と同じ病気(ガン・心疾患など)の犬が多くなった
    2. 病気の前兆としての肥満も激増
    3. 病気も肥満も、主たる原因は生活習慣(特に食習慣)の誤り
    4. 無計画な繁殖も問題
  2. ドッグフードの落とし穴
    1. 便利さがもたらしたヒズミ
    2. ドッグフードは栄養満点という神話
    3. ペットフードには有害な添加物が使われている場合もある
    4. ナチュラルフードは、本当にナチュラル?
    5. ドッグフード、サプリメントを選ぶ際の留意点
  3. 愛犬を病気・肥満から守る手作りごはん
    1. 手作りだと、安全で犬の体質に合ったごはんが作れる
    2. 人と犬の愛情・信頼も深まる
    3. 手作りごはんには、ドッグフードにはない特別な成分が含まれている可能性も
    4. 基本が分かれば簡単に作れる
    5. 手作りごはんが、こんなに元気になった!
      1. ビリー(ラブラドール・レトリーバー、2歳、雄) ドッグフードを併用している犬
      2. PERU(ゴールデン・レトリーバー、4歳、雄) 生食にして劇的に変化した犬
      3. あゆ(柴犬、2歳、雌) 食餌から食事へ
      4. 海(ラブラドール・レトリーバー、4歳半、雄) マッチョな犬に大変身!
      5. ムギ(ラブラドール・レトリーバー、3歳半、雌) 1年以上シャンプーをしない犬
  4. 手作りごはんの基本
    1. 長い目で栄養のバランスを考える
    2. 犬の大きさ、年齢、食事の嗜好を考える
    3. 手作りごはんは、生がベスト
    4. “ごはん日記”をつけよう
    5. 時には絶食も
  5. 手作りごはんの材料と病気別・ダイエット用ごはん
    1. 手作りごはんの材料
      1. 動物性食品
        1. 肉類
        2. 内臓類
        3. 乳製品
        4. 魚介類
      2. 植物性食品
        1. 野菜
        2. 発芽野菜(モヤシ)
        3. 穀類
        4. イモ類
        5. 豆類
        6. 種実類
        7. キノコ類
        8. 海藻類
        9. 果物類
        10. 発酵食品
        11. 食用油
        12. ユリ科の植物
        13. クエン酸
      3. 成犬・老齢犬・幼犬のごはん
      4. 病気の犬のためのごはん
        1. 皮膚疾患
        2. 肝臓疾患
        3. ガン
        4. 腎臓疾患
      5. アレルギー体質の場合
      6. ダイエットのためのごはん
      7. ドッグフードとの併用食
    2. 手作りごはんに併せて行う健康法
      1. ウンチで見分ける健康状態
      2. 肥満の見分け方
      3. 定期健康診断で健康状態をチェックする
      4. 適度な運動を欠かさずに
      5. 心のケアも考えよう
文献
  • 唐沢豊『動物の栄養』
  • 近藤和雄、板倉弘重『第三の栄養学』
  • 長谷川篤彦『コンパニオンアニマルの栄養学』
  • 星野貞夫『ヒトの栄養動物の栄養』
  • 牧田登之、山根義久『メルク獣医マニュアル第7版』

内容

  1. 多摩獣医臨床研究会の資料(「PROVET」2002年5月号)によると、ここ十数年間に、ドッグフード派が3倍近く増え(1990年22.7%→2001年64.5%)、手作り派は激減(1990年21.3%→2001年1.6%)しています。[P.2]
  2. 1960(昭和35)年、日本で初めてドッグフードが店頭に並びました。[P.12]
  3. アメリカの飼料協会が提示している値を参考にしているので、日本の狭い庭で飼われていたり、室内で飼われていたりする犬たちには合っていません。そのため、表示されている必要量を与えた場合には、カロリーオーバーになったり、栄養過多になったりするのです。[P.13]
  4. 犬に関して世界一の先進国である英国では、3ヵ月未満の子犬の売買を禁止しています。しかし、40日くらいの子犬の方がかわいいのですぐに売れるという理由から、日本では販売してしまっています。[P.17]
  5. 3代続けて同じメーカーのフードを与え続けると、3代目の犬には繁殖能力が無くなってしまうものが、アメリカのすべてのフードのうちの2割ほどで見つかりました。この調査を行った研究者は、ずっと同じメーカーのフードを与え続けるのではなく、数年おきに与えるメーカーを変えるべきだと結論づけています。[P.25]
  6. エトキシキン[P.26]
  7. ナチュラル系のフードに関しては、まとめ買いはしないことです。場合によっては、開封前であっても袋の中で酸化が進んでいることがあります。袋を開けるたびに、そのにおいを確認するようにしましょう。[P.29]
  8. フードジプシー[P.36]
  9. 膿皮症が生食で完治した症例[P.44-46]
  10. 外耳炎が生食で完治した症例[P.48-50]
  11. 体臭が生食でなくなった症例[P.62]
  12. 最近では、ドッグフードを食べている犬でも、タウリン欠乏によって拡張型心筋症を発生する例が増えてきています。[P.68]
  13. 4、5ヵ月齢から1歳までは、週1回の半日絶食(朝あるいは夕ごはんだけ抜く)と1ヵ月に1回の一日絶食を、1歳以上になったら、1週間に1回の一日絶食をできるだけ行います。[P.80]
  14. SPFという寄生虫がいない豚肉もあり、そういった特別な豚肉を利用すれば、火を通す必要はありません。[P.84]
  15. 卵白に含まれるアビジンが卵黄に含まれるビオジンの吸収を妨害するので、生の卵白を与えるなといわれています。しかし、ビオチンは腸内細菌によって合成されるし、卵黄には十分なビオチンが含まれているので、欠乏することはほとんどありません。[P.87]
  16. アイリッシュ・セッター、シベリアン・ハスキー、シャーペイは、大豆に耐性のない犬種なので、大豆ではなく他の豆類を利用しましょう。[P.92]
  17. 近年、ブドウとレーズンの食中毒が犬において報告されています。嘔吐や下痢を引き起こし、ひどい場合には腎不全で死亡する例もあります。まだ原因物質は特定されていませんが、与えない方がよいと思われます。[P.93]
  18. タマネギ・長ネギ・ニラなどのユリ科の植物は、人間にとっては無害ですが、犬では溶血性の貧血を起こすことがあります。個体によっては、ほんの少量で反応をすることもあります。大量に与えても、なんともない個体もあります。タマネギにはコレステロールを減少させたりするいろいろな作用がありますが、犬には与えない方が無難でしょう。[P.95]
  19. 亜鉛欠乏による皮膚炎[P.102-103]
  20. 腫瘍細胞は、グルコース(ブドウ糖)をエネルギー源にして増殖するといわれます。従って、ガンを抱えている犬の場合には、高タンパク質・高脂肪の食事にし、できるだけ糖質を与えないようにします。[P.104]
  21. 食物アレルギーは、離乳が早過ぎること(これはペットショップとブリーダーに問題があります)、そしておそらく市販のフードの不十分な消化が、主な原因ではないでしょうか。[P.107]
  22. 犬の場合、遺伝的に肥満になりやすい犬種があります。ラブラドール・レトリーバー、コッカー・スパニエル、コリー、ダックスフント、ビーグル、バセット・ハウンド、シェルティー、そしてテリア系の犬です。逆に、なりにくい犬種もあります。シェパード、ボクサー、そしてアイリッシュ・セッターなどは、他の犬種よりも肥満になりにくいようです。[P.110]

エトキシキン[P.26]

1998年にFDA(米国食品医薬品局)は、
ドッグフードへのエトキシキンの添加を極力抑えるようにという指示を、
各フードメーカーにしました。

そこで、獣医師が推薦するという宣伝で有名なあるメーカーのものを、
アメリカで販売されている袋の表示を使って調べてみました。
98年以前、このメーカーのフードにはエトキシキンが使用されていましたが、
それ以後のフードにはエトキシキンの表示はありませんでした。
ところが、雑誌「暮しの手帖」(96号/2002年2・3月号)で
ドッグフードに含まれるエトキシキンとBHAの分析を行ったところ、
このフードメーカーのものからエトキシキンが検出されたのです。

フードジプシー[P.36]

“フードジプシー”という言葉があるのをご存知でしょうか。
いろいろな種類のフードから、
飼っている犬にぴったりのものを見つけることができないために、
次から次へと違うメーカーのフードを与え続けるのです。
下痢をしてしまうフードがあったり、
すぐに湿疹が出てしまったりするものがあるために、
なかなか一つのフードに決められないのです。

膿皮症が生食で完治した症例[P.44-46]

ビリー(ラブラドール・レトリーバー、2歳、雄)/小酒井恵子

我が家は、大型犬3匹・小型犬1匹の計4匹の犬たちと暮らしております。
その中の一匹、黒ラブ“ビリー”が特に弱いのです。
生後2ヵ月で我が家にやって来て以来、
毎月のように病院通い、行かない月はありませんでした。
腸が弱く、頻繁に下痢をします。それも血便まで出すほどでした。

さらに、耳の中と皮膚が弱いのです。
耳は酵母菌による外耳炎、皮膚は膿皮症です。
身体の内側には赤いポツポツができ、
季節の変わり目になるとフケと全身のポツポツが重なりあって、
真っ赤なコブのようになってしまうのです。

そのたびに薬を飲み続けていては、絶対に身体には良くないと思っていましたが、
私にはどうしてよいのか分かりませんでした。
ただ思うのは、「このままでは、ビリーは早死にしてしまう」ということでした。

そこでまず、できるだけ病院に行かないことに決め、
次に、それまでは病院に置いてあるシャンプーとドッグフードを利用していましたが、
一切やめてみることにしました。

けれど、何にしてよいものか悩んでいたときに、犬のしつけの先生に相談したところ、
シャンプーとドッグフードを紹介してくれました。

その中で先生が、生肉と生野菜を与える方法もあるとお話してくれました。
今までドッグフード以外に与えたことがなかった私だったので、
その話にものすごく興味を持ちました。
もしかしたら、犬たちには良いのかも?
何が入っているのか分からないドッグフードより、
私が作った方が良いに決まっていると思い、
半信半疑でしたが挑戦してみることにしました。

最初は、ゆでた肉から始め、1ヵ月くらいかけて生の肉を与え、
そして最後に骨付き生肉を与えました。
骨付き生肉を与えたときは、ビリーは4日間吐きましたが、すぐに慣れてくれました。

生肉にして約7ヵ月になりますが、1回も下痢をせず、
耳の酵母菌はリンゴ酢で洗浄したところ、2週間で良くなりました。

皮膚の方は膿皮症が現れません。
多少フケは出ますけど、気になりません。
今までシャンプーは週に2回ほどしていましたが、今では10~14日に1回くらいでよいのです。
ものすごくべたついて臭かったのですが、におわなくなりました。

基本的に週に3~4回くらいの生食なのですが、
こんなに健康体になってくれてとてもうれしいです。

外耳炎が生食で完治した症例[P.48-50]

PERU(ゴールデン・レトリーバー、4歳、雄)/脇所さえ子

“PERU”が2歳になるまで、私はドッグフードこそが犬の完全食だと思い込み、
それ以外のものは絶対に与えませんでした。
「犬と人間は身体の構造が異なるから、食べるものが違うのだ」
と思い、毎日同じ食事で飽きないのかと少々疑問もありましたが、
完全にペットフード業者を信頼していました。
ですがそんな折、偶然見つけた木村先生の本を読み、
それまで気にもしなかったペットフードの成分、
犬の栄養学を知り、カルチャーショックを受けたのです。
そして、ペットフードへの見方がガラリと変わり、
自然食への関心が高まっていきました。

初めは、圧力鍋で煮た加熱食を与えていました。
原材料の見直しをし、身体に良いと言われればそれをプラスし、
ありとあらゆる素材を使いました。
しかし、1歳の頃から悩まされていた外耳炎やアレルギー性皮膚炎が、
日増しにひどくなっていったのです。
そして、持久力もなくなり、とうとう加熱食を始めて半年後、
PERUの体重は33キロから26キロになっていました。
見た目でもはっきりと分かるアバラの骨、
液状の便が週に3~4日もあり、血便や粘膜の張った便も時々ありました。
PERUを、まさに栄養失調という身体にさせてしまったのです。

私は行き詰りながらも、なんとしてもフードには戻したくないという思いで、
どうしようもなく、行き場のないまま加熱食を与え続けていました。
そんななか、まさに天の助けともいうべき木村先生のセミナーを知り、
それを機に、天にもすがる思いで生食を始めてみました。

初めは「生」という言葉にかなり抵抗があったのですが、
いざ与えてみると飼主の考え過ぎだとはっきり分かりました。
それまで1年半という長い間、まったく変化のなかったPERUの体重が、
たった1ヵ月半でほぼ元の32キロに増えていたのです。
見た目には相変わらずスリムな体型ですが、
体重が増えたということは筋肉がついたという証拠です。
実際、PERUの上半身には少しずつ筋肉がついていきました。
そして気がつくと、PERUの慢性外耳炎もピタッと治まっていたのです。
しょっちゅう身体をかいていたアレルギー性皮膚炎も、
生食に替えだした頃から目にすることがなくなりました。
本当に1ヵ月半という短い期間は、驚きの連続でした。
また、週に3~4日はあった軟便や血便、粘膜の張った便も、
この頃から一度もなくなったのです。

そして分かったことは、PERUにとってはたとえ手作り食に替えても、
加熱食はしょせん加工された食事。
今まで私がやってきた加熱食は、添加物が入っていないナチュラルなものだとしても、
素材そのものが持つ栄養素を加熱によって半減させ、
消化を困難にし、結果PERUを栄養失調に追いやってしまったということを、
身を持って思い知らされました。

体臭が生食でなくなった症例[P.62]

ムギ(ラブラドール・レトリーバー、3歳半、雌)/木村直子

我が家の愛犬“ムギ”は、現在3歳と半年になるラブラドール・レトリーバーの女の子です。
生後半年頃から、生食を中心とした自然食しか食事として与えていません。

ムギに自然食を与えてみてまず感じたことは、体臭がまったくないということです。
私たちはいつの間にか、「犬は定期的にシャンプーしなければいけない」
と思い込んでいるのではないでしょうか。
私は試しに、ムギを臭いと感じるまで洗わないでみることにしました。
その結果、現在1年5ヵ月に至っています。
臭いどころか、「きれいな毛並みをしていますね」とか
「ムギちゃんは、おひさまのにおいがする」とか言われるぐらいです。

二つ目はウンチの大きさとにおいです。
隣に住んでいるダックスのウンチかと間違うほどの大きさしかないし、
においもほとんどないのです。
ドッグフードを食べている犬のウンチのような、あの独特のウンチ臭さがないのです。
うっかり、車の中に置き忘れていても、気がつかないほどです。

亜鉛欠乏による皮膚炎[P.102-103]

亜鉛が欠乏すると、皮膚に備わっているバリア能力が低下して、細菌などが侵入しやすくなります。
そして最近、まさにこの亜鉛の欠乏による皮膚炎が増加してきています。
その原因としては、繊維質の多い食材を与えられたり、
あるいはカルシウム、鉄、銅などのミネラルの過剰摂取による、吸収阻害が考えられます。
最近では、血中の亜鉛は正常値にもかかわらず、
亜鉛への反応が悪いために生じる皮膚炎も増えてきています。
亜鉛欠乏の影響を受けやすい犬種としては、シベリアン・ハスキーなどのソリ犬があげられます。
腸管からの亜鉛の吸収能力が劣るために起こる遺伝性疾患と考えられています。

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