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書籍と雑誌の要約と解説

危険な油が病気を起こしてる

現代風食用油製造の内幕を暴く

装丁
危険な油が病気を起こしてる 危険な油が病気を起こしてる
The FACTS ABOUT FATS
ジョン・フィネガン(自然療法クリニック所長)
訳・今村光一(健康ジャーナリスト)
中央アート出版社
ISBN4-88639-885-5
1998/11/16
¥1300
目次
  1. あなたの食生活は間違っている! – 必須脂肪酸の必要性
    1. 現代の悪い食生活がガン、心臓病を急増させた
    2. 足りないのは必須脂肪酸
    3. トランス脂肪、水素添加脂肪の恐怖
    4. 欠乏しがちなオメガ-3
  2. なぜ栄養は偏ったか – 必須脂肪酸不足の原因
    1. この一〇〇年ですっかり後退した栄養
  3. マーガリンは心臓病を誘発し得る – 製油法の革命
    1. 世界の伝統的製油法
    2. 技術の進歩と良心の退歩
    3. 「健康食品」は本当に安全か?
    4. 信じてよい「健康食品」とは
    5. 有機農法のもたらす利益
  4. 恐るべき「プラスチック食品」の実態 – バターとマーガリン
    1. 何が本当の毒なのか
    2. マーガリン大実験でわかった「ぞっ」とする結果
  5. よい油、悪い油の見分け方 – 植物油の歴史、性質、用途
    1. アーモンド油
    2. ルリヂサ油
    3. バター
    4. カノーラ油
    5. ギー
    6. 月見草油
    7. 亜麻仁油
    8. ヘイゼルナッツ油
    9. オリーブ油
    10. ピスタチオ油
    11. カボチャ油
    12. 紅花油
    13. ゴマ油
    14. ヒマワリ油
    15. 黒フサスグリ油
    16. コーン油
    17. 綿実油
    18. 大豆油
    19. クルミ油
    20. アボカド、コーンの胚芽、ブドウの種、米のふすま、小麦胚芽の油など
    21. ヤシ油(パーム油)
    22. ヤシの穀の油
    23. ココナッツ油
  6. この油が現代人を救う – 亜麻仁油の驚異
    1. 太陽のエネルギーを持つ聖なる油
    2. よい生活にはよい栄養を
  7. ガンに力を発揮するスーパー繊維質 – 亜麻、役立つ繊維
    1. 繊維がガンを予防する
    2. 効き目のカギは「リグナン」にあり
    3. 亜麻がマラリアにも効いた
  8. 湿疹をすっかり消したリポプロテイン食 – 油と蛋白質のコンビ
    1. 免疫力を強化するコンビネーション
    2. 病気撃退、健康維持の特効食
    3. 私はこの食事で湿疹が治り、体調は一変した
    4. 運動能力を支える栄養素
  9. 悪い脂肪が引き起こす、これだけの病気 – 必須脂肪酸と健康との関連
    1. アルコール中毒・依存症
    2. アレルギー
    3. 食品アレルギー
    4. 貧血
    5. 関節炎
    6. ガン
    7. 皮膚ガン
    8. カンジダ症
    9. 抑うつ症
    10. 喘息
    11. 慢性疲労症候群
    12. 心臓病
    13. ウイルス感染、インフルエンザ、エイズ、偽ジフテリアその他
    14. 代謝
    15. 痛みと炎症
    16. 生理前症候群(PMS)
    17. 皮膚の症状
    18. 潰瘍
    19. その他の病気
    20. 細胞膜と必須脂肪酸
  10. 脂肪を摂ればやせられる – バランスの取れた減量作戦
    1. ダイエットには脂肪が必要
    2. 肥満もやせすぎも原因は一緒
    3. 亜麻仁油が運ぶダイエットの夢
    4. 実践!体に役立つ体重コントロール
  11. 子供の発育まで阻害する悪い脂肪 – 妊婦、母親のための必須脂肪酸
    1. DHAの少ない母体は子どもにも悪影響を
    2. アレルギー、自閉症の要因にも
    3. 妊娠中に特に必要なオメガ-3
    4. カロリーのニ%を亜麻仁油で
    5. 必須脂肪酸不足が起こした世代的な問題
  12. 理想的脂肪環境とは – 脂肪はどれだけ摂ればよいのか
    1. 健康な社会の条件
    2. 脂肪摂取のガイドライン
    3. オメガー3とオメガー6を一対一のバランスで
  13. 化粧品の恐怖 – 化粧品、マサージ・オイルと基軸になる油
    1. 化粧品と再生品の脂肪の正体
    2. マッサージ・オイルのよし悪し
    3. それぞれの油のマッサージ効果
文献
  • W・カーラット『有機農法食品』[P.49]
  • エラスムス『脂肪と油』[P.62]
  • 奥山治美『油、このおいしくて不安なもの』[P.69]
  • ドナルド・ラディン『完全栄養食ガイド』[P.91_161_182]
  • ジョン・フィネガン『いい油を使った健康料理』[P.97]
  • R・スミス『コレステロールの陰謀』[P.141]
  • C・ベイト『必須脂肪酸と健康や病気の関係』[P.155]
  • W・プライス『栄養と体の退化』[P.193]

内容

  1. レシネーズ社のマヨネーズ流用販売[P.41]
  2. オランダの研究では、精製油に含まれているトランス脂肪が、
    飽和脂肪酸と同様に悪玉コレステロールといわれる低比重リポ蛋白質を増やし、
    善玉コレステロールの高比重リポ蛋白質を減らす、と指摘している。
    Mensink and Katan,”Trans Fatty Acids and Lipoprotein Levels,
    “New England Journal of Medicine,Vol.323,No.7(Aug.16,1990).
    [P.42]
  3. ゴキブリも食べないマーガリン[P.57-60]
  4. インドではマーガリンが流通してから心臓病が急増[P.66-67_140]
  5. 北米インディアンのチェロキー族は、亜麻がもっとも栄養豊富で病気を治す効果のある薬草だとして尊重していた。[P.95-96]
  6. 亜麻仁油の薬効[P.99-100]
  7. リグナンはホルモン分泌系のガンに効果を発揮する[P.106]
  8. 鶏のひなや仔牛での実験の結果、
    餌に亜麻の種を混ぜると成長が促進されることが確認されている。[P.110]
  9. 亜麻仁の抗マラリア作用[P.110]
  10. 私はスイスのチューリッヒ郊外の農家に育ったという若い女性と話す機会があった。
    彼女はスイスに暮らしていた二〇年の間にアレルギーの人には一人も出会わなかった
    という。[P.130]
  11. ガンマ・リノレン酸は食物アレルギーを改善させる[P.131]
  12. リノレン酸はリウマチを改善させる[P.132]
  13. 必須脂肪酸が欠乏すると免疫力が低下する[P.145-146]
  14. 慢性疲労症候群患者に必須脂肪酸を投与したら改善した[P.147-148]
  15. エイズ患者に必須脂肪酸を投与したら延命した[P.148-149]
  16. 妊婦は必須脂肪酸が欠乏している[P.184]
  17. オメガ3を投与したら発育障害が解消した[P.185]
  18. 私は多くの老年の医者と話したが、彼らは口を揃えて、
    「五、六〇代の人間は三、四〇代の者に比べると、おしなべて体は強く健康でもある」
    というのだ。[P.193]
  19. 再生脂肪[P.205-206]
  20. ヘキサン残留を認めないボソー油脂[P.211]
  21. 調理油の分析を拒否する日本食品分析センター[P.216]
  22. 市販調理油のトランス型脂肪酸含有率リスト[P.219]
  23. スイスのガンと免疫クリニックの創立者C・コウスミンは物価が毎週々々上がる戦時下で物資不足の一九四四年、食用油の価格だけが変わらないのに首をひねった。そこで製油会社に訊ねたところ会社はきわめて率直に同じ原料から余計に油が取れる新技術を使っていると自慢気に答えた。[P.212]
  24. 完全水素添加マーガリン[P.221]
  25. 市販調理油は未開封でも使い古した油よりも古い[P.222]
  26. 軋轢を恐れて情報提供を拒否するエニッグ・アソシエーツ社[P.230]

レシネーズ社のマヨネーズ流用販売[P.41]

健康食品として、また多くの人が美味で上質だとして高く評価していたあるマヨネーズがあった。
しかし、突然ある日の新聞に、政府当局がこの会社の工場の閉鎖を命じたという記事が出た。
この会社では一般の市販のマヨネーズを買い込み、
そのラベルをはがして自社の健康食品マヨネーズというレッテルに貼り代えて、
事情を知らない消費者に売り付けていたことが判明したからだ
(この会社、レシネーズ社はその後廃業した=訳者)。

ゴキブリも食べないマーガリン[P.57-60]

私が知る限り、マーガリンをめぐる愚かな悲喜劇の意味をもっともよく教えてくれる話は
フレッド・ローが行った“マーガリン大実験”の話である。

フレッド・ローは、アメリカの自然派運動の世界では名が通っており、
『ランニングの禅』『ケーリー博士のガン療法』、『自然食事典』などの著書もあり、
北カリフォルニアでオーガニック・マーケティングという自然食品業界のための
コンサルタント会社も経営している、斯界の第一人者である。

ローは、この実験について、次のように記述を残している。

一九六五年から七三年まで、サン・フランシスコ、
パロ・アルトなどで数軒の自然食品店を経営していた私は、
ある日サン・フランシスコの店の常連客と話をした。
その男は食品工業の技術者で、彼は私に、
「自分がなぜ“プラスチック食品”という言葉を造らざるを得なかったか」
ということを話してくれたのである。
「水素添加した脂肪の分子を顕微鏡で覗いて見れば、
それはプラスチックの分子にそっくりだって誰もが思いますよ。
そうとくれば、マーガリンに“プラスチック食品”
っていう名前を自然につけたくなるものです。

彼はそう説明した。

彼のいう“プラスチック食品”という言葉は、彼の話した意味以上に私を強く引き付けた。
私は尋ねた。
「プラスチックにとてもよく似ているっていうんですね。
でもそれは、プラスチックにただ見かけが似ているというよりも、
プラスチックそのものと本質的に似ているということじゃないのですか?」
「そうですよ。脂肪専門の化学学者たちは実際に、
オイルをプラスチック化する、という言葉を使っていますよ」

その言葉は私に、自分がやっている商売が何だったのか、ということを考えさせた。
私はそれまでマーガリンをたくさん売ってきたし、私自身も客たちも、
マーガリンを本当の食品と思って売買していたのだ。
客たちに今のことを話すべきか?それとももっと大きな問題として取り上げるべきか?
とにかく私はすぐに、マーガリンやマーガリンとは兄弟分みたいな
植物油系ショートニングが含まれている食品を売るのを止めた。
そしてちょっとした実験をやってみた。

この実験は本当に素人の実験で、専門の技術者がやるような実験ではなかった。
それまで自分の店で売っていたのと同じマーガリンの小さな塊を小さな皿にのせ、
その皿を店の裏部屋の窓ぎわに置いただけである。
マーガリンが本当の食べ物であるなら、
虫や細菌がやってくるのに好都合な場所にあるこのごちそうに、
大喜びしてむらがるに違いないと考えたからだ。
バターの場合にそうであるように、
蝿や蟻やかびがマーガリンの上にもいっぱいになるに違いない。
もしその通りになるならば、マーガリンが自然の仕組みに支配された、
プラスチックとは違った立派な食物であることを示す状況証拠にはなる、と私は考えた。
そうなれば私はもう一度堂々とマーガリンを売ることができる。

しかし、マーガリンの塊はやはりバターとは違っていた。
この塊は二年たとうともとのままであり続けているようだった。
その間どんな虫も一匹としてその塊に近寄るのを眼にすることはなかったし、
一かけらのかびも生えはしなかった。
窓を通して入る日光の熱でマーガリンは半分溶けてくずれ、ほこりにまみれ汚くはなった。
しかし起こったことは、ただそれだけ。
マーガリンの塊はけっしてきれいになることもなく、
ただ汚くてぞっとするものになっただけだった。私は実験をここで止めた。

インドではマーガリンが流通してから心臓病が急増[P.66-67_140]

この研究はインド国営鉄道会社の医師・マルホトラ博士が行ったもので、
インドの南北二つの地域の食事と健康の関連を調べたものだ。
北部の住民は肉を食べる食習慣を持っていて、
主な脂肪源はギー(牛乳や水牛の乳から造る一種の液状バター)だった。
読者は彼らのコレステロール値は高かったと想像するに違いないし、
その想像は当たっているといっていい。

*   *   *

インド北部に住み、ギーの摂取量の多いシクー地区の人々は、
コレステロール値が高いにもかかわらず、心臓病死がたいへんに少ない。
これに対し、動物性の脂肪をほとんど摂らないインド南部の菜食主義者は、
シクー地区に比べ心臓病での死亡率がはるかに高かった。
これは、彼らが精製したピーナッツ油やマーガリンを大量にとっていたのが原因、
としたのがマルホトラ博士の報告である。

精製した油と心臓病の関係をもっとよく知るために、
ボンベイのヤスロク病院のB・S・ラージャ氏の研究を詳しくたどってみよう。
彼は、インドにおける心臓病死はインド的な食事の中のバターやギーが、
精製された植物油やマーガリンにとって代わられるにつれて急増したことを明らかにした。
またシクー地区でも、食事の中に精製油が取り入れられるようになってから
心臓病死は急増した。

Birhard S.Rhaeja,The Lancet(November 14 ,1987).

亜麻仁油の薬効[P.99-100]

  1. オーストラリアのビクトリアにある複数の病院では、
    亜麻仁油とリノール酸を使って連鎖状球菌による感染症の治療に成果を上げている。
  2. ポーランドでの実験例。ウサギに亜麻仁油から分離させた脂肪酸を与えてみたところ、
    ある種のガン細胞が破壊されるのが観察され、
    同時に、正常な細胞には最小限のダメージしかなかった。
    そしてその三時間後にはガン細胞は一〇〇%破壊された。
  3. 有名なゲルソン・ガン・クリニックでは、
    治療法の重要な部分として何十年も前から亜麻仁油を患者に与えている。
  4. 関節炎によって起こる痛み、炎症、むくみの軽減に亜麻仁油が効果を発揮した症例が、
    複数報告されている。
  5. 亜麻仁油が血液中の高コレステロール状態を改善し、
    高い中性脂肪のレベルも低下させる効果のあることが確かめられている。
    本来コレステロールには細胞膜を硬化させる作用があるが、
    亜麻仁油はその作用を抑えてバランスを取ったり、
    細胞膜を軟化させたりする効果を発揮する。
    また、血管を柔軟性のあるものに変える働きがあることも報告されている。

リグナンはホルモン分泌系のガンに効果を発揮する[P.106]

人体中にあるリグナンは、バクテリアの働きにより小腸で作られているが、
その原料となるのが食物から摂取される植物性リグナンである。
トロント大学をはじめとする研究機関は、人体中のリグナンを分離し、研究を続けてきた。
これらの研究によって、リグナンは小腸の中の人体に有用な細菌叢によって、
非常に強力な対ガン効果物質に変化することが明らかにされている。
そしてこの対ガン効果物質は、ホルモン分泌に関係するガン、
たとえば乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン、子宮ガン、卵巣ガンに効果を発揮するという。

亜麻の種に含まれるリグナンは、人体の中の動物性リグナンであるエンテロラクトン、
エンテロディオルを造り出すもとになる配糖体である。
エンテロラクトンは動物のリグナンの中で大量に必要とされるもっとも大事なものである。
これらのリグナンは構造的には合成ホルモンであるエストロゲンに似ているが、
エストロゲンを抑える働きを持っているのでホルモンの分泌と関係の深い
大腸ガンや乳ガンの予防効果を発揮する食物要素になっている。

亜麻仁の抗マラリア作用[P.110]

アメリカ亜麻研究所の機関誌に発表された論文や、
一九九二年京都で開催された国際酸素ラジカル会議で、驚くべき研究報告がなされた。
亜麻仁油と亜麻の種の粉がマラリアに効果を上げたというのである。

O.A.Levander, Al.L.Ager, V.C.Morris and R.G.May,”Protective effect of linseed oil against malaria vitamin E-deficient mice.” Flax Inst. of the U.S., Proc.53(1990):16-19.
O.A.Levander, Al.L.Ager, V.C.Morris and R.G.May,”Protective effect of ground flax seed or ethyl linolenate in a vitamin E-deficient diet against murine malaria,” Nutr.Res.11(1991):941-48.
O.A.Levander, Al.L.Ager, V.C.Morris, R.Fontela and R.G.May,”Suppression of malaria by dietary oxidant stress.” Proc.5th Int.Congress on Oxygen Radicals(kyoto, Japan, in press, 1992)

ガンマ・リノレン酸は食物アレルギーを改善させる[P.131]

オメガー6の必須脂肪酸から造られるプロスタグランディンの過剰といった現象を起こす。
食物アレルギーの患者にこれらの点に効果がある
ガンマー・リノレン酸と亜麻仁油を食事と一緒に摂らせると、
顕著な体質改善が起きた例は多く、アレルギー全般に対してと同様の効果がある。

リノレン酸はリウマチを改善させる[P.132]

イギリスで、リュウマチ性関節炎患者に月見草油と魚油を使った二重盲検テストが行われた。
この結果、二つの脂肪を一緒に摂った患者の六〇%は黄体が好転し、
非ステロイド系の炎症抑制剤が全く要らなくなった。
またこの他に二〇%の患者が炎症抑制剤の必要量が半減し、
残りの二〇%の患者は、状態はやや好転したものの、
薬は以前通りの投与、という結果になった。
そしてこの二種類の脂肪をプラシーボに代えてみると、
全ての患者がわずか三ヵ月のうちに元の悪い状態に逆戻りしてしまった。
この実験を行った研究者は、
「これはリュウマチ性関節炎に全く新しい治療法の道を開くものだ」と結論づけている。

Udo Erasmus, Fats That Heal, Fats That Kill Designing Health(1988):18.

必須脂肪酸が欠乏すると免疫力が低下する[P.145-146]

医学研究者にとっても治療に当たる医者にとっても、長い間大きな疑問とされてきたことがある。
それは、人がウイルスにさらされても、なぜある割合の人だけが病気になり、
他の人は健康でいられるのかという疑問である。
たとえば偽ジフテリアを例にすると、亜エリカ人の九〇%はこのウイルスを持っているというのに、
病気を発病するのはごく一部の者だけなのである。

人間がいつもさらされている病菌と闘い、
これをコントロールする免疫システムを支配している
重要な要素のことを明らかにするという、劇的な研究が最近なされた。
これは、ロンドン・ロイヤル・フリー病院のD・ホロビン、
S・ライト両博士を中心とするグループの研究で、
人体の持つ自然なウイルス抗体薬であるインタフェロンが
どんなふうに働きを妨害されるのかを明らかにしたものである。

インターフェロンは、人体がウイルスを殺すために造り出す物質である。
いまでは体がインターフェロンを造るにもこれを活用するにも、
オメガ―6やオメガ―3の必須脂肪酸とこの両者からできるプロスタグランディンが
重要な役割を果たしているという証拠が明らかにされている。

多くの研究がウイルスの感染症患者は必須脂肪酸を
これから造られるもののレベルが正常なレベル以下になっていると指摘している。
そしてこれらの研究の意味から考えてホロビン、
ライトの両博士はイギリスのヴィクトリア朝時代に着目した。
当時、アトピー性湿疹の子どもたちは、
天然痘のワクチンの接種を受けた後でひどい病気になったり、
ときには死んでしまったりもしたが、
正常な子どもには何の副作用も起きなかった、という記録があった。
両博士は、アトピー性湿疹のできた子どもたちは
必須脂肪酸の欠乏があったがゆえに湿疹を起こしていたのだと推論し、
この欠乏が体の免疫機能を低下させたり天然痘のウイルスと闘う
インターフェロンの働きを妨げたりしていた原因だと考えたのだ。

慢性疲労症候群患者に必須脂肪酸を投与したら改善した[P.147-148]

スコットランドの実験で、
慢性疲労症候群の患者に必須脂肪酸のサプルメントを与えてみたところ、
見事なまでの好結果が得られた。
これは必須脂肪酸のサプルメントとプラシーボを使った二重盲検テストで、
長年慢性疲労症候群に悩んでいる七〇人の患者を対象に行われた。
必須脂肪酸のサプルメントとしてはリノレン酸とエイコサペンタエン酸
(EPA。つまりオメガ―6の必須脂肪酸を
さらに不飽和化したものとオメガ-の必須脂肪酸)を与えた。
六カ月後、必須脂肪酸のサプルメントを与えられた組では八四%が
“よくなった”ないしは“とてもよくなった”と自分の状態を評価、
プラシーボの組では二二%だけがこれと同じように自分の状態を評価した。

エイズ患者に必須脂肪酸を投与したら延命した[P.148-149]

いままでに行われたもっともドラマティックな研究は、
タンザニアのダー・エス・サラーム大学ムヒンビリ医学センターで、
エイズ患者を対象に行われた実験である。
この国では発病後三カ月たって生き残っているエイズ患者は、たったの七・五%しかいない。
そのような状況下、一三人の患者に必須脂肪酸を混ぜ合わせたものを与えてみると、
なんと全員の健康状態がみるみるよくなったのだった。

患者たちには、ガンマー・リノレン酸、エイコサペンタエン酸、
ドコサヘキサエン酸を混ぜ合わせたものが与えられた。
彼らは体重が増加し、CD4リンパ球のレベルが向上し、
疲労、下痢、皮膚の吹出物なども減り、生存期間が延長された。
二人の患者はとくによくなって仕事にもどったほどであった。
二〇ヵ月後でも五人が生存していて“比較的いい状態”で暮らせていた。”

妊婦は必須脂肪酸が欠乏している[P.184]

世界的にも有名なアメリカの大病院、
メイヨー・クリニックが一九九一年に実施した“健康な”妊婦一九人の調査では、
全ての妊婦にオメガ―3の脂肪酸が不足していただけではなく、
オメガ―3の脂肪酸の場合ほどではないまでも、オメガ6―の脂肪酸も欠乏していた。
この妊婦たちはみな平均的なアメリカの食生活をしている人たちだった。

Ralph T.Holman, Susan Johnson, Paul Ogburn, “Deficiency of essential fatty acids and membrane fluidity during pregnancy and lactation,” Biochemistry, Proc.Natl.Acad. Sci. USA, Vol.88(June1991):4835-4839.

イヌイットの女性とカナダの女性を比較して調べたもう一つの調査では、
カナダの妊婦にもメイヨー・クリニックの妊婦と同じ脂肪酸の欠乏が見られている。

Sheila M.Innis, and harriet V.Kuhnlein, “Long-chain n-3 fatty acids in breast milk of Inuit woman consuming traditional foods,” Early Human Development 18(Elsevier Scientific Publishers Ireland Ltd.:1998):185-189.

オメガ3を投与したら発育障害が解消した[P.185]

オメガ―3の脂肪酸は脳の機能、免疫機能、
幼児や青少年の全般的発育にも関係していると見てよい。
事実、栄養がかたよっていたために発育が遅れていた七歳児に
オメガ―3の脂肪酸のサプルメントを与えたところ、
同じ年齢の子どもの発育に追いついたという研究もある。

Bjerve K.S.,Thoereson, “Linseed oil and cod liver oil induce rapid growth in a seven-year-old girl with a N-3 fatty acid deficient,” JPEN, J.Parenter, Enteral Nutr. 12(5)(Sept.-Oct. 1988):521-5.

再生脂肪[P.205-206]

脂肪の再生プラントは大がかりな工場で、
そこにはレストランやファースト・フード・チェーンから集められた
使い古しの油がタンクで持ち込まれて再生されている。
この油には、さらに家畜や食用の鳥などからの脂肪が加えられるが、
そういう動物はみな、ガンその他の病気を持っているために
人間の食用には不適と判定された病獣や病鳥ばかりなのだ。
またこのうえさらに動物病院から集められた死んだ動物、車にはねられて死んだ動物、
野犬狩りなどで捕らえられて安楽死させたものの死体などを集めて、
これも脂肪を再生するプロセスに加えられる。

死んだ動物たちは、一種の巨大な調理器のようなものに入れてあぶられ、体から脂肪を絞り出す。
この脂肪を集めて精製したものに、
レストランなどから集めた使い古しの油を再生、精製したものと混ぜ合わせる。
そして最後にこうして造られた油が大きな化粧品会社などに売られる。
大部分の魅力的な化粧品、口紅、スキン・ローション、
石鹸などの主原料になっているのがこういう脂肪である。
読者は、肌に塗ったものが自分の体に吸収されて行く様子を思い浮かべてみるとよい。
それを考えると、いま紹介したような事実はどうにもぞっとする図だと思わざるを得ないだろう。

毎週一〇億ポンド単位で、
こういう動物の脂肪を再生したものが、いろいろな産業の分野で使われている。
そしてその比率は、四二%が家畜の飼料、
二五%が化粧品、塗料、合成ゴムなどの消費者向けおよび産業用品、
一五%が石鹸、一〇%がペット・フード、八%がその他もろもろの分野に使われている。

ヘキサン残留を認めないボソー油脂[P.211]

「当社調合コメ油に対してSGSの分析結果ではヘキサンが二二ppm検出されたとありますが、
当社の精製工程の中の脱臭工程で絶対圧三mmHgの真空下で
二五〇度C以上に油を加熱し水蒸気を吹き込み有臭成分を除去していますので、
ヘキサンが製品に残留することは考えられません。
財団法人日本油脂検査協会に当社調合コメ油を分析依頼した結果、
ヘキサンは検出されませんので分析試験証明書を送付致します。」
(ボーソー油脂株式会社技術部)

カナダのSGS研の分析で同社の食用油に溶剤のヘキサンの残留が判明したと
オフィス今村が伝えたのに対して答えてきた文章である。

調理油の分析を拒否する日本食品分析センター[P.216]

当初、日本食品分析センターに分析してもらう交渉をしたが、
同センターは問題に巻き込まれるのを恐れてか、
「依頼者の製品でも取扱い品でもない他社製品(全てオフィス今村の製品ではない)
の分析はしない、どうしてもといえば分析はするがその代わり製品名や
メーカーの名前は伏せることでOKなら」という。
これでは意味がないのでSGS研に分析を依頼した。
日本分析センターの分析センターとしての存在意義さえ疑わせるが、
ともかくそんなわけでSGS研で分析した。

市販調理油のトランス型脂肪酸含有率リスト[P.219]

米沢製油 無添加なたねサラダ油 8.5%
ホーネンコーポーレーション 豊年サラダ油 2.4%
白絞油 2.4%
吉原製油 一番しぼり天麩羅油 2.1%
日清 サラダ油 1.6%
花王 エコナ揚げ油 1.5%
日本生協連合会 コーンサラダ油 1.2%
味の素 サラダ油 1.0%
(参考)キューピー マヨネーズ 1.7%

完全水素添加マーガリン[P.221]

Trなしの小岩井マーガリンはいいマーガリンかというとそうもいい兼ねる。
このマーガリンを実際に製造している下請けの丸和油脂㈱の話では
材料として植物油に完全水素添加をしたものを使っているという。
多くのマーガリンは原料の不飽和脂肪酸に部分的水素添加という水素添加のし方をしている。
これに対し完全水素添加というやり方では不飽和脂肪酸の不飽和な
個所の全てに水素を添加して完全な飽和脂肪酸にしてしまう。
これだと脂肪酸の分子構造の中の全ての炭素にいっぱいに
水素が付いて分子構造上もTrはできなくなる。ノンTrのものになるわけだ。

しかし、この完全水素添加では水素を添加する過程の中で
有害な脂肪の“かけら”の発生や触媒として使われる金属触媒の残留の可能性を指摘する学者もいる。
また、冒頭で紹介した諸外国のノンTrのマーガリンは水素添加とは違う方法で造られているものである。

市販調理油は未開封でも使い古した油よりも古い[P.222]

Trゼロのオメガ・ニュートリッション社の亜麻仁油を180-190度Cの温度で45分間熱し、
日本食品分析センターで分析した結果では0.2%のTrが生じていた。
45分間は過程で天麩羅を2ー3回揚げる時間に相当しよう。
これを巻末飼料の食用油のTrのレベルと比べると
半数の油は使い古しの油より実は“古い”ということになる。
白絞油のTr2.4%はいまの実験の使い古しの油より実に12倍の“古さ”というわけだ。

軋轢を恐れて情報提供を拒否するエニッグ・アソシエーツ社[P.230]

マーガリン、ショートニングに関しては本書の出版を企画中に
アメリカのエニッグ・アソシエーツ社から“たれ込み”が来た。
日本のマーガリンなどの分析データを持っている、必要なら提供するという。
しかし、その後同社は提供の申出を撤回した。
同社は日本の大手商社などとも取引があり、
そんな情報を提供して商社などの不興を買いたくないと考え直したのが真相らしい。

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