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書籍と雑誌の要約と解説

川崎病は、いま

聞き書き 川崎富作

装丁
川崎病は、いま 聞き書き 川崎富作 川崎病は、いま 聞き書き 川崎富作
細川静雄(日本経済新聞大阪社会部記者)
原信田実(翻訳家)
木魂社
ISBN4-87746-099-3
2006/06/20
¥1600
米国の人気医学ドラマ「ER」にも登場する。謎の小児疾患「川崎病」。
その発見者が、学会での大論争、“Kawasaki Disease”として世界に認識されるまでの道程、
原因究明に取り組んできた45年間の軌跡を熱く語る。
目次
  1. 未知との遭遇
    1. 川崎病との出遭い
    2. 症例検討会でも解答出ず
    3. 翌年、6例と出会う
    4. 上司の留守中に学会報告
    5. 生涯忘れえぬ思い出
  2. 下町に育つ
    1. 生まれは浅草
    2. 小学校時代
    3. 富作という名前
    4. 洟垂れ小僧
    5. 旧制七中へ
    6. 進路に悩む
    7. 生物への興味
    8. 浪人時代
  3. 小児科医になる
    1. 千葉臨時医専へ
    2. 臨時医専とは
    3. 解剖の授業
    4. 姉ヶ崎に疎開
    5. 敗戦後
    6. 医専で出会った田中先生
    7. 千葉寺会
    8. 虫垂炎で臨床講義モデルに
    9. 久保政次先生の助言 – 人生の転機
    10. 小児科に入局した理由
    11. 小児科に入局
    12. 初めて受け持った患者、K子ちゃん
    13. 輸血でマラリア感染
    14. 患者から学ぶことを知る
    15. 佐々木教授の勧めで日赤へ
  4. 日赤中央病院小児科へ
    1. 日赤赴任
    2. 日赤の患者第一号は極くまれな症例
    3. 家族性白血球核異常に出遭う
    4. 論文に初めて自分の名前
    5. 婦長と衝突
    6. インクスタンプ事件
    7. 「ひとりも死なせるな」
    8. 尊敬できた都築院長
    9. タイミングを逸する痛恨事
  5. 二人の恩師
    1. 内藤先生と出会う
    2. 外来の日はスタッフ泣かせ
    3. ユニークな育児相談
    4. 一喝「それは邪心があるからだ」
    5. 症例報告と解剖の重視
    6. 牛乳アレルギーの患者
    7. 三つのテーマに挑む
    8. 息抜きタイムを作る
    9. 今なお、お元気
    10. 愛育病院を建て直しに
    11. 後任は神前章先生
    12. 「牛乳嫌い」で博士論文
    13. 神前先生との確執
    14. 神前先生に絡む
    15. 反撃されて、発奮
    16. 喘息治療にニンニク灸
    17. テーマ探し
    18. 稀な病院に次々遭遇
    19. 不思議な“結核”
    20. 免疫低下に思い至らず
  6. MCLS大論争
    1. 新しい病気、神前部長も認知
    2. 外部の臨床医にも照会
    3. 小児科学会に籍はなし
    4. 苦心作の大論文
    5. カラー写真印刷に大金
    6. 著者名を削った神前先生
    7. 新しい病気をめぐる反響
    8. ムッした山本高治郎さん
    9. 小児科学会での論争
    10. ライバルだった聖路加グループ
    11. 東大教授による封じ込め
    12. 臨床懇話会で議論
    13. 「川崎病」の由来
    14. 小児科学会でシンポ
  7. 研究班と突然死問題
    1. 厚生省に研究助成を申請
    2. 申請説明に直談判
    3. 重松先生が指南役
    4. 神前部長をリーダーに研究班
    5. 突然死に対応
    6. 突然死した乳児の二例
    7. 突然死の危険性の見落とし
    8. 社会問題化
  8. 川崎病は流行病か
    1. 川崎病の疫学
    2. 貴重なデータ
    3. 三度の大流行
    4. 桜前線と同じく北上
    5. 過去最高の患者数
    6. サーベイランスの途中に第三次流行
    7. 一転、漸増から急増へ
    8. 少なくない謎
    9. 不思議な川崎病
    10. 日本人の川崎病
  9. 原因諸説にきりきり舞い
    1. 日本川崎病研究会
    2. 神谷さんと近畿川崎病研究会
    3. 心臓財団と原因究明委員会
    4. 募金目標に多田さんが苦言
    5. 原因説で百家争鳴
    6. 第一次究明委員会
    7. 米国のレトロウイルス説を否定
    8. 第三次委員会は規模縮小
    9. 今また溶連菌外毒素説
    10. 病因探りできりきり舞い
  10. 治療法でも日本が貢献
    1. 自然治癒の認識
    2. ステロイドの時代
    3. アスピリンに注目
    4. 動脈瘤など心臓に合併症が発生
    5. アスピリンへ右ならえ
    6. 「アスピリン神話」に反発
    7. ガンマグロブリンの登場
    8. 古庄報告に米国が反応
    9. 日米の差は少数精鋭の組織力
    10. ガンマグロブリンの効果
  11. 世界のKawasakiDiseaseへ
    1. 国際的にデビュー
    2. ランディングとの出会い
    3. 病名決着にも貢献
    4. メリッシュからの手紙
    5. 米国で最初の患者を報告
    6. 米国での川崎病の歴史
    7. 米国の疫学
    8. 国際的にも認知
    9. バルセロナの国際学会
    10. 英語の武者修行
    11. 国際シンポジウムを仕切る
    12. 韓国の川崎病
    13. 各国の実態
    14. 中国では共同研究
  12. 小児科の改革と受難
    1. 三金会が発足
    2. ユニークな運営
    3. 啓蒙書も出版
    4. 山の手小児懇話会
    5. 畏友、中山喜弘さん
    6. 医療センター発足と部長就任
    7. 新生児未熟児科の独立
    8. 小児科を三つに分ける
    9. サブスペシャリティ
    10. 日曜日も部長出勤
    11. 管理職は経営責任も
    12. 臨床治験は断る
    13. 過酷な小児科の勤務実態
    14. 副部長も輪番制
    15. 痛恨、有望小児科医の死
    16. 脳梗塞で入院
  13. 日本川崎病研究センター
    1. 日赤を定年退職
    2. 情報センター所長に就任
    3. 財団設立を目指す
    4. 生存研に財団設立の準備委員会
    5. 遺言の1億2千万円
    6. 小川英子メモリアル・レクチャー
    7. 四苦八苦のすえNPOオピニオンの勧め
    8. 「成人」川崎病?
    9. 「親の会」
    10. 長期予後をどう見るか
  14. 川崎病は新しい病気か
    1. 東大教授が「川崎病」で退官講義
    2. 56年前のカルテに川崎病の「症状」
    3. 大学病院の不幸
    4. 隔世の感
    5. 川崎病は新しい病気か
    6. 台湾で検討結果を発表
  15. 病因究明の夢
    1. 大相撲観戦
    2. 運鈍根感厳
    3. 恩師の二人は健在
    4. 人の命は運命
    5. 病因解明こそ悲願
文献
  • 『川崎病の疫学――三十年の総括』[P.128]
  • 『川崎病の診断と治療』代表的な教科書[P.141]

内容

洗剤説を否定する川崎富作[P.146_153]

中性洗剤アレルギー説は、名古屋大学教授の坂本陽さんが唱えたものです。
おむつの洗濯に使う中性洗剤が乳児の皮膚を通して入るという考えで、
皮膚が弱い乳幼児がなりやすいと考えました。
マスコミで取り上げられましたが、学会では俎上にあがりませんでした。
僕も試みたものの、確かな証拠は得られませんでした。

*   *   *

ここで改めて言っておきたいことがあります。
川崎病は人から人へ感染することはありません。
ダニも合成洗剤も感染源ではありません。
今でもこうしたことを商売の材料にする人がいますが、
こうした誤った原因説の利用はぜひやめてほしいのです。

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