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書籍と雑誌の要約と解説

アトピー・脱ステロイドへの道

ドクター鶴町の脱塩素「水治療」

装丁
アトピー・脱ステロイドへの道 アトピー・脱ステロイドへの道
鶴町和道(鶴町皮膚科クリニック院長)
文理書院
ISBN4-8312-9502-7
1996/07/20
¥1400
解説
一九九四年二月に『アトピー・ステロイドからの脱出』(現代書林)という本を出版し、
水道水中の塩素や化学物質が本症の大いなる誘因であるという推察のもと、
それらを除外するという独自の治療法を書き記しました。
その後この本を読まれて、私の考え方、治療法に共感された患者の方々が、
関東一円はもとより、関西地方からも多数来院しました。

本症に対する私の考え方や治療法は後で詳しく述べますし、
また前書『アトピー・ステロイドからの脱出』にも書いてあります。
新たにこの本を出した主旨は、
実際に私の治療法を受けた患者の皆さんにご協力いただいたアンケートの内容を
是非とも公にしたかったからです。

目次
  1. 赤ちゃんと子どものアトピー症例
    1. ステロイド剤を使わない「水治療」に出合えてうれしかった 小林佐紀(仮名・4)
    2. この体験が将来の大きな自信につながります 清水利晃(13)
    3. いろいろな病院を回ったが今がいちばんベストです 野川良平(仮名・8)
    4. ほんとうにアトピー?と思うくらい良くなります 冨沢悠介(1)
    5. 「水治療」を頼りにアトピーと気長に付き合いたい 木村大介(仮名・11)
    6. アトピーから脱出できたうれしさでいっぱいです 高橋英樹(12)
    7. このまま改善され完治すると思っています 横田勇介(3)
    8. 食物除去という肩の重荷がとれました 池庄治まり子(7)
    9. 寝入りばなに痒がらなくなりました 石野達大(7)
    10. ステロイドを使っていないのに一週間ほどで良くなりました 亘惟一路(4)
    11. 我が家のお風呂に入浴剤が欠かせなくなりました 佐藤綾(1)
    12. 今まで気にもしていなかった水の大切さがわかりました 益子信彦(7)
    13. 副作用の不安が消え安心して治療ができました 栗林由佳(8)
    14. 保育園のプールをやめて症状が落ち着きました 幡谷聡(5)
    15. ワセリンなどを始めてからカサカサが少なくなりました 長岡裕樹(1)
    16. ステロイドでも治らなかった傷が完全に治ってしまいました 三上和世(仮名・8)
    17. 井戸水のお風呂に変えて良くなってきました 貝塚綾子(2)
    18. 登山でいえば五合目くらいまできたのかなと思っています 大野洋次朗(仮名・8)
    19. 治療を始めて二ヵ月くらいでだいぶ良くなりました 浜田莉奈(2)
    20. 入浴剤が肌に合いお風呂でピタッとかかなくなりました 吉武泰良(1)
    21. ふと気づくとひどかったところがすべすべになっていました 野村茉莉亞(6)
    22. 入浴剤のお風呂に長く入ると赤みが消えます 増田将大(2)
    23. 親としてとても信頼できる治療法だと思っています 大野将季(2)
    24. 自然のものはやはり偉大だと思います 豫城壮馬(4)
    25. ゆっくりと自然なかたちでアトピーを治していきたい 梅原広大(1)
    26. 水だけの治療でもとの肌に戻るなんて家族も喜んでいます 篠田翔子(10ヵ月)
  2. 青年期のアトピー症例
    1. お陰さまで夏、半袖を着て過ごすことができました 笠倉未緒子(15)
    2. 昔の症状を知っている知人たちも回復ぶりに驚くばかりです 大谷智子(29)
    3. 他人が見てもわからないほどになりとてもうれしいです 牧野敏江(21)
    4. 苦しいリバウンドを乗り切って短期間で良くなりました 大崎道定(仮名・15)
    5. 少しずつ改善のきざしが見えています 田辺香(仮名・21)
    6. ステロイドをがまんしてやってきて良かったと思います 篠崎真知子(20)
    7. 日常生活の中での痒みが消え、肌のほてり解消! 大本聖子(仮名・21)
    8. この治療で治ると信じることがいちばんの特効薬です 佐藤美奈子(26)
    9. 少しずつ完全に治っていくこの治療法に安心しています 金沢恵子(仮名・16)
    10. 通いだして半年で痛い思いが全くなくなりました 高麗誠(20)
    11. クレインウォーターで皮膚の状態が良くなってきました 西埜直子(18)
    12. リバウンド現象はあったが一ヵ月半でほぼ治りました 鈴木賢(27)
    13. 痒くて仕方のないときお風呂に入るとラクになります 西埜友子(20)
    14. いちばん効果があったのは入浴治療だと思います 藤原弘美(16)
  3. 成人のアトピー症例
    1. 薄紙をはぐように良くなっているように思えます 広沢文則(仮名・26)
    2. 副作用がないと考えただけで精神的に楽になりました 久米晴子(43)
    3. 「水治療」の効果は想像以上でありました 矢田雄一(30)
    4. 最も良いのはよく陽に焼くことと部屋の掃除です 大谷良弘(仮名・36)
    5. 自信を持って人前に出ていけるようになりました 金沢広子(仮名・32)
    6. 壊れた自然からアトピーが生まれたと理解しています 保田順子(31)
    7. 湯治を始めて約三ヵ月で皮膚に弾力が戻ってきました 中野英明(37)
    8. 「水治療」のお陰で痒みがなくなってきました 守屋博和(32)
    9. リバウンドは思ったほどひどくなく明るい見通しが 三木日登美(40)
    10. 目下のところ信じられないほど快適な状態にあります 豊子(46)
    11. 非常にゆっくりした歩みですが良くなってきています 久喜良一(仮名・33)
    12. 先生を信じてステロイドをやめて良かったと思います 玉木耕作(仮名・26)
    13. 一〇分間の入浴を一日三回行なって良くなりました 森憲治(32)
  4. アトピーは複合環境病である
    1. 古典的アトピーと現代型アトピー
    2. アトピー性皮膚炎の誘発因子・悪化因子
    3. アトピー患者は汗が出にくい
    4. アトピーの肌はひっかくと白く変わる
    5. ダニが生息する好条件は高温多湿
    6. 抗体検査(IgE)は目安にすぎない
    7. ダニはアトピーの第一要因ではない
    8. 防ダニ布団の効果と限界
    9. 食物アレルギーの犯人は食べ物の中の化学物質
    10. 精神的ストレスとアトピー
    11. 細菌やウイルスの影響も無視できない
    12. ステロイドは効果より弊害のほうが大きい
  5. アトピーの最大の敵は水道水
    1. 水源の汚染が健康を脅かす
    2. ヨーロッパの温泉療養
    3. アトピーの温泉療法を見なおせ
    4. 塩素皮膚炎
  6. 鶴町式アトピー治療法
    1. 地下九〇メートルの井戸水による入浴療法
    2. 塗布用の水(クレインウォーター)の開発
    3. 温泉水をヒントにした安全な入浴剤
    4. 主婦手湿疹の隠された原因
    5. 自然治癒力補助の外用剤
    6. 天然鉱石の浄水器
    7. 鶴町クリニックの治療の実際
文献
  • 鶴町和道『アトピー・ステロイドからの脱出』P.3
  • 江崎ひろこ『顔つぶれても輝いて』P.82

内容

  1. 鶴町皮膚科クリニックのアンケート調査1994年12月[P.15-19]
  2. 土浦市立石籾小学校のアンケート調査[P.20-22]
  3. テレビの影響で広まった強酸水[P.66_68_75]
  4. 鶴町皮膚科クリニック来院患者のアトピー体験談[P.70-138]
  5. 現代型アトピー[P.146]
  6. 防ダニ布団の実験[P.163-168]
  7. アトピー性皮膚炎=化学物質過敏症[P.178]
  8. 塩素皮膚炎[P.201-202]

鶴町皮膚科クリニックのアンケート調査1994年12月[P.15-19]

50名の方のアトピー性皮膚炎質問表に記載していただいた内容をまとめました。
はいと答えた方の人数と%を示します。

  • ほこりっぽい所に入ると皮膚が悪くなる 7名 14%
  • 運動会など野外のほこりをかぶると皮膚が悪くなる 13名 26%
  • フトンに入ると痒くなる 7名 14%
  • 卵で悪化する 7名 14%
  • 牛乳で悪化する 1名 2%

また個別にて、カニ、エビ、大豆、マヨネーズ、イクラ、明太子、
ソバ、ビールと答えた方はそれぞれ一名ずつでした。

  • お風呂に入るとヒリヒリする 17名 34%
  • プールに入ると悪化する 11名 22%
  • 温泉に入ったら良くなった経験がある 5名 10%
  • 海外で良くなったことがある 3名 6%
  • 住宅が変わって悪くなった 2名 4%
  • 夏でも汗をかきにくい、体内で熱が溜まっている感じがする 18名 36%

以上の結果が得られました。

土浦市立石籾小学校のアンケート調査[P.20-22]

当院のある茨城県土浦市は、全国でも汚染度が高いので有名な霞ヶ浦を水道水の供給源としています。
一九九五年十月にはこの地で
「人と湖沼の調和―持続可能な湖沼と貯水池の利用をめざして―」というタイトルの下、
第六回世界湖沼会議が開かれます。

私はこの会議で水道水とアトピー性皮膚炎の関係を取り上げようと思い論文を提出しました。
その際、ここ霞ヶ浦を水源とする土浦市立石籾小学校全生徒に対して
同様なアンケート調査を行いましたのでその結果もご紹介します。

アンケートは生徒を対象としていますが、回答は父母が行いました。

表1 土浦市立石籾小学校のアンケート結果
男子(242名) 女子(273名) 合計(515名)
現在アトピー 30名 34名 70名
過去アトピー 42名 49名 91名
現在アトピー ほこりで悪化 2名 5名 7名
水にしみる 3名 4名 7名
プールで悪化 7名 15名 22名
過去アトピー ほこりで悪化 2名 1名 3名
水にしみる 7名 8名 15名
プールで悪化 3名 2名 5名

(   )はアトピー性皮膚炎該当者における%である

テレビの影響で広まった強酸水[P.66_68_75]

茨城県 増田 将大くん(2歳)のお母さん[P.66]

テレビで話題になったアルカリイオン水と強酸性水で一〇〇%治ります
という治療を信じて、子どもを連れて東京に通いました。

茨城県 大野 将季くん(2歳)のお母さん[P.68]

TVのニュース番組で、強酸性水を患部につけ、アルカリ水を飲むという治療方法で、
アトピーにたいしてたいへん良い効果を挙げているということを聞き、
さっそく試してみました。
最初のニ~三日は全く変化がありませんでしたが、その後少しひどくなり、
それを過ぎて七~一〇日くらいから目に見えて回復の変化が現れましたので、
水道にアルカリイオン水の浄水器を取りつけました。

茨城県 篠田 翔子さん(10カ月)のお母さん[P.75]

二カ月ころ、テレビで、
アトピーには水を酸性とアルカリイオン水とに電気分解する整水器を使用すると
効果があるとやっていたので、取り付けてみました。

鶴町皮膚科クリニック来院患者のアトピー体験談[P.70-138]

  • 整体の先生からいただいた入浴剤の枇杷の葉(びわの葉とヨモギを乾燥させたもの)は、非常に良いです(千葉県・豫城相馬4歳の母親)。[P.70]
  • 塗り薬については、亜鉛華軟膏=傷口に良く効いた、吸水軟膏=夏に使用し肌の調子がよかった、ワセリン=冬に使用し肌の調子がよかった、イオウ=一度、顔に塗ったことがあるが、顔には強すぎたのか肌が少し荒れてしまった、といったところです。(静岡県・西埜直子18歳)。[P.98]
  • 痒みは、神経からくるといったようなところが大いにあると思います。勉強などで行き詰っていらいらすると痒くなったり、定期テストが近づくと痒くなったりします。その外、何か精神的に追い詰められたりするようなことがあると、すぐ痒くなったりします(静岡県・西埜直子18歳)。[P.98]
  • 以前、顔面に少し症状が現れたとき、海水浴に行ったら治ったので、その年の夏、海水浴に行きました。そうして、いったんは回復しましたが、一ヵ月後くらいから再発(千葉県・鈴木賢27歳)。[P.99]
  • 全体的に、亜鉛華軟膏とイオウ軟膏は良く効きます(神奈川県・大谷良弘(仮名・36歳))。[P.112]
  • 昨年の夏はよく海に行き、身体を焼いたのですが、
    これがとても良かったようです(神奈川県・大谷良弘36歳(仮名))。[P.112]
  • 6年近く、漢方薬を飲みつづけましたが改善することなく、かえって症状は悪化する方向となり、94年の初春には身体中が真っ赤に腫れあがるほどになってしまいました(神奈川県・金沢広子(仮名・32歳))。[P.115]
  • 先生のお風呂に入ると、今まではお風呂に入るたびに身体が痒くて仕方がなかったのが、あまりしみる感じがなく水が柔らかい感じで、かきむしることもありませんでした(神奈川県・金沢広子(仮名・32歳))。[P.115]
  • 成人にとなって、お化粧するようになると、顔の湿疹は増えはじめました(栃木県・保田順子31歳)。[P.117]
  • お風呂は山の湧き水や井戸水をくんできて、先生のところでいただく入浴剤を入れました。すると、お風呂上がりの皮膚のピリピリや痒みがずいぶん違いました(茨城県・玉木耕作(仮名・26歳))。[P.118-119]
  • 精神的に不安定だとなぜか痒くなって悪化します(茨城県・玉木耕作(仮名・26歳))。[P.136-137]
  • 私の場合、鍼治療や足の裏のマッサージなどは結構効いたような気がします(茨城県・玉木耕作(仮名・26歳))。[P.136]
  • 漢方薬は三種類ほど服用しましたが、服用するたびに顔や首や肩にニキビのような吹き出物ができたり、身体が痒くなったりしました。それぞれ三週間ほど服用しましたが、少しの効果の現れも感じませんでした。市民病院、近所の皮膚科や内科にも通いました。この内科医は漢方中心の治療で、十味敗毒湯が効果があったように感じました(大阪府・森憲治32歳)。[P.138]
  • 夏に太陽の光で身体を焼いて良くなったことがあります(大阪府・森憲治32歳)。[P.138]

現代型アトピー[P.146]

従来からの古典的アトピー性皮膚炎は、個体の状態がアトピー素因を持っているために、
環境の悪化因子の少しの影響で病気が発現していました。
しかし、現代型のアトピー性皮膚炎では、
特にアトピー素因とまでいえるものを持たない集団でも発症してしまう、
これはアトピー性皮膚炎を発症させるべく環境が著しく悪化してしまったことを意味するのではないか、
私にはこう思えるのです。

防ダニ布団の実験[P.163-168]

一般的な方法はダニ減らしには効果が不十分でめんどくさいためにやっても長続きしません。

もっと合理的でいい方法がないかと考えていた時に、
患者さんの一人が「防ダニ布団綿」が開発されたという新聞の切り抜きを私に見せ、
こんな商品がありますが知っていますかと尋ねました。
私は、これは使えるかもしれないと思いさっそく製造元の帝人株式会社に電話しました。

「私はアトピー治療を専門にしている皮膚科の意志です。
防ダニ布団綿を治療に用いてみたいのですが、協力していただけませんか」

すると帝人の担当の方は少し驚き、確かにダニが繁殖しない布団を開発はしたが、
寝具としてはまだ製品化されておらず、
ましてそれがまさかアトピー治療に用いられる可能性があるとは考えてもいなかったことを話されました。

そこで私はさらに次のようにいいました。

「もしかしたら、布団のダニを減らすことで、
現在アトピーで苦しんでいる患者の症状が軽減するかもしれないのです」

帝人からすぐに返事がきました。

「ご依頼の主旨はよく理解いたしました。
つきましては防ダニ布団綿を使った布団を試作し、提供させていただきますので、ご使用ください」

こうして30人のアトピー患者に防ダニ布団を使用してもらうことができました。
防ダニ布団綿は、帝人株式会社の開発によるもので、
ポリエステル綿にフタルイミド系防ダニ剤を付着加工したものです。

この薬剤は、通常、住宅の壁紙に防カビ剤としてすでに広く使用されており、
殺虫剤系統の薬剤などとは違って、居住環境に用いても毒性はないとのことでした。
しかし、年には年を入れるために、この薬剤が皮膚を刺激しないかどうかの検査をした上で、
防ダニ布団の使用を決定しました。

そして私は、患者を次の三群に分けてテストしたのです(表3)。

治療法 リザベン+ステロイド外用剤 リザベン+ステロイド外用剤+防ダニ布団 リザベン+ステロイド外用剤+防ダニ布団+フロアリング
全症例 総例数
軽快以上
著しく軽快
26
12(46.2%)
3(11.5%)
25
18(72.0%)
13(52.0%)
5
4(80.0%)
3(60.0%)
症例別効果 重症例数
軽快以上
著しく軽快
6
2(33.3%)
0(0.0%)
13
10(76.9%)
6(46.2%)
3
2(66.6%)
1(33.3%)
中等症例数
軽快以上
著しく軽快
16
10(62.5%)
3(18.8%)
12
8(66.7%)
7(58.3%)
2
2(100.0%)
2(100.0%)
軽症例数
軽快以上
著しく軽快
4
0
0
0
0
0
0
0
0

観察期間は、アトピー性皮膚炎が最も悪化する夏期にあたる一九八七年六月~八月の三カ月間としました。

結果は、治療効果にはやはり違いがあらわれました。

表3)でもおわかりのとおり、対症療法のみの一群と比べると、
防ダニ布団使用およびフロアリングを実施して
抗原除去治療(原因療法)を併用した二、三群は大きな効果を証明する結果になったのです。

なお、対症療法に用いたリザベンとは、抗アレルギー剤のひとつです。
また、ステロイド外用剤も三群同じもので、効果が弱いものを使用しました。
当時は防ダニ寝具そのものも発売されておらず、
またそのような方法によるアトピー性皮膚炎に対する効果判定なども行われていなかったので、
この結果を一九八八年、日本アレルギー学会で発表しました。

防ダニ布団のダニの数調査

次に私は、帝人から提供していただいた防ダニ布団を九カ月使用した後、
その布団の中にどれだけのダニが生息していたかを調べました。

対象となったのは防ダニ布団を使用した患者の中の一一名でした。

●寝室の床 ●防ダニ布団の表地 ●防ダニ布団の中綿、についてダニ数の調査を行いました。
採取方法は、床や布団の表地は電気掃除機で二〇秒/m2の条件で塵を集めました。

布団綿については、防ダニ布団の内側つまり敷布団側の綿を8g採取しました。
その結果、検出されたダニの数は(表4)の通りです。

●寝室の床 〇~一七二 平均一五・六匹
●防ダニ布団の表地 〇~二一 平均二匹
●防ダニ布団の中綿 〇~三七 平均三・三匹

各例いずれも、布団の表地、中綿ともダニの繁殖が非常によく抑えられていました。

詳しくは(表4)をご覧いただけばわかることですが、
№8宅の防ダニ布団の中綿にダニが多く検出されたのは、
カーペットの上にじかに布団を敷いていたためだと思われます。

表4 防ダニ布団使用後9カ月目の寝室の床、布団、綿のダニ数
(床10m、布団2m、綿8g中)
氏名 集塵場所 チリダニ科 イエササラダニ カザリヒワダニ ケナガコナダニ ツメダニ科 ニクダニ科 ホコリダニ科 中気門類 その他 不明 Totalダニ数 チャタテムシ
1 T.K.
布団
綿
145
12
0
28
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
172
13
0
0
0
0
2 M.O.
布団
綿
21
5
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
21
6
0
32
0
0
3 H.M.
布団
綿
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
16
0
0
0
0
0
4 Y.K.
布団
綿
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
5 K.S.
布団
綿
28
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30
0
0
0
0
0
6 Y.M.
布団
綿
80
2
0
32
0
0
0
1
0
32
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
144
4
0
48
0
0
7 T.K.
布団
綿
24
14
26
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27
15
26
0
0
0
8 M.T.
布団
綿
40
21
37
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
48
21
37
0
0
0
9 Y.K.
布団
綿
72
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
72
4
0
0
0
0
10 J.N.
布団
綿
20
1
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
1
6
0
0
0
11 R.N.
布団
綿
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0

ダニ検出率、
床…………10/11(91%)布団表地…7/11(64%)綿…………3/11(27%)

防ダニ布団一年間の推移

私はそれから引きつづき、防ダニ布団を使用する患者さんを定期的に診察し、
二二名について一年間の推移を把握することができました。
その結果は(表5)のとおりです。

表5 防ダニ布団の1年間の有効性
効果/症度 中等症(6例) 重症(16例) 全症例(22例)
悪化 0 0 0
不変 1 3 4
やや軽快 0 4 4
軽快 2 2 4
著しく軽快 3 7 10

アトピー性皮膚炎=化学物質過敏症[P.178]

アトピー性皮膚炎はその化学物質過敏症の代表であると私は確信しています。
化学物質の毒性については発ガン性や奇形を生む可能性、急性毒性だけが調べられていますが、
このようにアレルギーを起こしうることなどについては、未だ調査がなされていないのが現状なのです。

大学病院での診断例や文献などを見ても、
ある特定の食べ物とアトピー性皮膚炎の単発的な報告はありますが、
食べ物に含まれている化学物質を注目せずして、
食べ物自体がアトピー性皮膚炎の原因であると決めつけることは、片手落ちなのです。

塩素皮膚炎[P.201-202]

できる限りの防ダニ対策(防ダニ布団、フロアーリング)
を行っても約半数にしかその効果が見られなかった。
また治癒したものは一例もなかった。
これらのことが事実として上げられるわけです。
事実は事実として捉え、さらにそこから推察して何かを見い出さなくてはなりません。

水道水の汚染、温泉水の効果、アトピー性皮膚炎の乾燥傾向は、
水道水中に含まれる塩素や化学物質が、アトピー性皮膚炎を引き起こしている、
つまり悪化因子として働く。

温泉水は個々にその成分の違いこそあれ、
自然水であるがゆえに塩素や人工的な化学物質が含まれておらず、
皮膚に悪影響を及ぼさない(積極的な治療効果があるというよりは、
有害物質を含んでいない水ということで結果的に良い状況を作り出している)
と考えられはしないかということです。

このことを確認すべく私は、五年前当地にクリニックを開業した際に、
医院の敷地に地下九〇mの井戸を掘り、院内に風呂を併設しました。

<中略>

この水を使った風呂に実際にアトピー皮膚炎の方に入ってもらいました。
すると、今まで風呂の水がしみるとか風呂に入ると痒いといっていた方の
八、九割近くの方から、しみない、痒くないという答えが返ってきました。

これまで、アトピー性皮膚炎の方が風呂に入ると痒くなるのは、
血管が拡張し血流が増大することにより
痒みを起す伝達物質が局所的に増加するためと説明されています。
もっともらしい解釈であり、誰もがそれを疑おうともしませんでした。
しかし半ば常識と思われることの中にも実は錯覚は存在するのです。
(これは何も医学に限ったことではありませんが)
このことを見事に証明したといえます。

水道水そのものが、アトピー性皮膚炎患者に対して、刺激を与えていたのであり、
決して温度が高いからではないということです。

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