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書籍と雑誌の要約と解説

痛風が気になる人へ

やさしい医学と健康のシリーズ

装丁
痛風が気になる人へ 痛風が気になる人へ
赤岡家雄(帝京技術科学大学文化情報科教授)
東洋出版(やさしい医学と健康のシリーズ)
ISBN4-8096-8016-9
1994/11/30
¥1200
目次
  1. 痛風の症状
    1. 痛風発作の特徴
    2. 痛風の合併症
    3. 痛風とまちがえやすい病気
  2. 痛風の原因
    1. 過剰に蓄積される尿酸が原因
    2. 高尿酸血症と痛風の頻度
    3. 痛風の誘因
    4. 痛風になりやすいタイプ
  3. 症状と経過
    1. 病気の経過
    2. 痛風の予後
  4. 痛風の検査と治療
    1. 痛風の検査法
    2. 治療は長期化する
    3. 食事療法
    4. 薬による治療
    5. 薬の服用上の注意点
    6. 痛風予防の心得
  5. 付録●痛風の症例
    1. 痛風協力医療機関
    2. 痛風友の会のご案内
    3. 痛風治療のための低プリン食
    4. 痛風の主な治療薬
校正
  • 1度に痛むのは、1か所⇒同時多発することもある[P.10]

内容

  • 痛風患者78名の検査異常とその頻度(初診時調査)[P.16]
  • 戦後急激に増加した日本の痛風患者[P.30]
  • 痛風患者の多くは、入院して低プリン食(プリン体の少ない食事)にすると、尿中に尿酸が排泄される量が減ります。[P.32]
  • 正常人血清尿酸値に対するアルコール飲用の影響(Lieber,1962)=ウイスキーで尿酸値上昇[P.33]
  • ストレスがなぜ尿酸値を高めるのかは、まだよくわかっていませんが、この両者に因果関係があることはまちがいないようです。[P.35]
  • 父親が痛風で息子が痛風というのは10~20%と、非常に高頻度です。[P.37]
  • 工場閉鎖に直面した人々を調査した結果では、真剣に再就職を考えて実行した人々の尿酸値は上昇し、そのまま失業者になった人々は下降していました。[P.38]
  • 痛風発作の特徴[P.42]
  • 尿をアルカリ性にするために、アルカリ性食品をとること。[P.56]
  • うま味の正体は、化学調味料に入っているような、水に溶けるプリンヌクレオチドおよび、各種のアミノ酸です。[P.57]
  • アルコールの制限[P.62]
  • 使われなくなったコルヒチン[P.64]
  • 特別な場合は、関節内に副腎皮質ステロイドを注射することがあります。しかし、これは一般的な治療法ではありません。[P.65]
  • 絶食などの急激な減量は決してしないでください。絶食すると、体重がどんどん減っていくと同時に、自分のからだの細胞まで壊れて、どんどん尿酸が作られてしまい、逆に痛風発作をまねくおそれがあるからです。[P.72]
  • 高尿酸血症になる男性は、外食が多いという事実があります。[P.72]
  • 帝京大学医学部附属病院の痛風診療例[P.74-79]

痛風患者78名の検査異常とその頻度(初診時調査)[P.16]

因子 頻度(%)
肥満(Broca指数10%以上) 60
高コレステロール血症(250mg/dl以上) 35
高中性脂肪血症(空腹時150mg/dl以上) 68
耐糖能異常(HbA1 8.0%以上またはHbA1c 6.0&以上 60
高血圧(150/90mmHg以上) 82
肥満・高脂血症・耐糖能異常・高血圧すべてなし 4

戦後急激に増加した日本の痛風患者[P.30]

痛風について、日本で特徴的なのは、
第二次世界大戦の終わりから日本が復興しはじめた頃(昭和34年頃)までは、
わずかに82例ほどの患者しか知られていなかったのに、その後急増したということがあげられます。
昭和59年、ある建設会社で調べたところ、従業員約1万人のなかで、
痛風患者は0.8%、糖尿病患者は4%でした。

痛風発作の特徴[P.42]

足の親指の付け根が、よく冒される部分で、夜中に始まり、左右どちらか片方に起きます。
わずか数時間で赤く腫れて痛みを生じ、翌朝はあまりの痛みに起きて歩けないほどです。

関節の炎症から、関節内にも液体がたまり、関節の外へも炎症が広く波及します。
それは、細菌による関節炎や組織の炎症によく似ています。
炎症を起こした部分の表面の皮膚は、赤く充血します。

ほうっておいても、まず1週間以内には痛みが減り始め、
腫れた後の皮膚にはしわができ、色は暗赤色になり、表面の皮膚がはがれます。
はがれた後は、軽い色素沈着を残して、すっかり治っていくのが特徴です。

アルコールの制限[P.62]

お酒の適量は、飲酒学の観点からいえば、翌朝までにアルコール分がすっかり抜けるだけの量です。
しかし、これは個人差があるので、一概にはいえません。
痛風を防ぐお酒の飲み方は、1日に日本酒なら1合、
ビールなら大びん1本、ウイスキーならダブルで2杯程度です。

使われなくなったコルヒチン[P.64]

日本人では、1日5錠飲むと50%くらいの人に下痢がおき、ひどいと腹痛や吐き気、嘔吐がおこります。
また、大量に長期に飲むと、白血球が減ったり、毛が抜けたり、
いろいろな副作用が出ることがあります。
痛風かどうかわからない痛みに対しては、診断の役にも立つということで今でも用いられますが、
現在では、コルヒチンを使うことは少なくなりました。

帝京大学医学部附属病院の痛風診療例[P.74-79]

  1. 結石併発[P.74]
  2. 結石結節[P.76-77]
  3. 酵素異常[P.78]
  4. 関節変形[P.79]
結石併発[P.74]

●タイプ:45歳男性、会社員、課長職、活動的で社交的、働き盛り。
日本酒を1日平均5~6合、ウイスキーならばダブルで5~6杯飲む習慣。
肉類や脂肪類の多い食事を好む。帰宅は毎日11時すぎ。
日曜日のゴルフ以外にスポーツをする暇もなく、40歳ころから肥満傾向。
2年前、高血圧と、血液中の尿酸値、中性脂肪が高いとの警告を受け、降圧利尿薬を服用。

●症状:昨年、ゴルフをした夜、
急に右足親指の付け根の関節あたりが痛み始め、朝には激痛。
局所は赤く腫れ、痛みのために起きられず3日間会社を休む。
発病から約1週間で痛みは自然におさまった。
しかし、その後も5か月の間に2回、同じ場所が急に痛み、医師を訪ねた。
その間に1度、腰の部分にも激痛があり、3日ほど尿に血液が混ざる。
4日目の排尿の際、ピリッとした痛みとともに小さな石のようなものが出る。
石が出たら腹痛と血尿はなくなった。

●診断:その後、再び左足首の関節が痛みだしたため受診。
体温37.5℃、血沈が促進し白血球が増えている。
血清尿酸値は10.5mg/dl。肝臓に軽度の異常。
尿中にタンパクとわずかな赤血球が出ていた。
腎臓の機能検査をしたが、問題なし。
プリン体の少ない食事を数日続け、尿酸の排泄能力を調べたところ、正常人の約2分の1.
尿中の1日の尿酸排泄量は、約380mg/dl。
尿酸排泄低下型と診断。

結石結節[P.76-77]

●タイプ:62歳男性。工場経営。積極的に仕事をするので、社員の信頼が厚い。
陽気な性格で、些細ささいなことは気にしない。
酒と肉食、特にモツや焼き鳥が好きで、社員と赤提灯の暖簾のれんをくぐることが多い。

●症状:最初は約15年前、足の親指が突然痛んだが、数日で治ったので、
気にしない性格もあって、そのまま忘れてしまう。
その後も年に2~3回、足指やアキレス腱、手指の関節などに痛みがあるが、
やはりしばらくしておさまるので、治療せずに放置。

約10年ほど症状が断続的に続くうちに、ひざなどの大きな関節が痛むようになってきた。
また、腎臓部の強い痛みや、尿から石が出ることもあったが、石が出るとおさまるので、これも放置。

2年ほど前には、右ひじに 2~3cm くらいのこぶのようなもの(結節)ができ、
膝関節のれと痛みが続いて仕事ができないため、医師を訪れた。

●診断:痛風結節が耳、肘、手指などに多数あり、
血清尿酸値は13.5mg/dl。尿タンパクは強陽性で、腎臓障害が著しく進んでいた。
血圧は上が 180mmHg、 下が 110mmHg の高血圧。
骨のレントゲン撮影で、手や足指に破壊と変形が強いこともわかり入院。
入院検査の結果、軽い心筋障害も発見された。

酵素異常[P.78]

●タイプ:17歳男性。痛風の遺伝的素因はない。

●症状:5歳のときに最初の痛風発作を起こし、以後、年に何回か発作が起こる。
13歳の時には、耳たぶに痛風結節ができ、そのころから股関節を除くほとんどの関節に炎症が広がった。
両側の手指、足指などの関節部にも痛風結節が生じ、一部皮膚が破れて、
膿とともに白いチョークのような物(尿酸結晶)が出てきた。

●診断:39℃の高熱を伴っていたため入院。
血清尿酸値は、13~20mg/dlの高い値を示す。
体型は、全身衰弱のため、むしろやせ型。腎臓障害がみられ、貧血も著しく、
低プリン食でも1日の尿酸排泄量は約900mg/dlと、異常に高い。
全身の関節の破壊もあり、一部には強い炎症がみられた。
強力な薬による治療が必要であった。

関節変形[P.79]

●タイプ:53歳主婦。40歳まではまったく健康。
しかし、2人の男の子はともに、13 ~ 15歳ころに痛風にかかっている。
子供の痛風は、数年で多くの関節炎をきたし、
痛風結節も耳や関節の近くにできて、進行性のものである。

●症状:40歳の冬、雪かきをしたあと、右足親指に激痛と腫れ。
数日でおさまる。やがて、足首や膝関節も痛むようになった。
医師に慢性関節リウマチの診断を受け、炎症を抑える薬や副腎皮質ステロイドの治療を受けた。
しかし、足のむくみが出て症状がよくならないため、
専門医を紹介され、検査を受けたところ、腎臓の機能低下と尿にタンパクが認められたため入院。

●診断:血清尿酸値は 8.1mg/dl。
レントゲン検査では、股関節や手指の骨の破壊、変形もみられた。
腎臓障害は著しく高度で、尿に赤血球が多く、タンパクは1日 10g ほどであった。
腎臓における尿酸排泄能力は著しく低下しており、尿酸の排泄低下型の痛風と診断。
人工透析を週2回受けている。

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