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痛風とつきあう法

東京新聞日曜版「痛風最前線(1997/4/7-1998/3/30)」の加筆修正

装丁
痛風とつきあう法 痛風とつきあう法
山中寿(日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン委員会委員長)
東京新聞出版局
ISBN4-4-8083-0622-0
1998/04/17
¥1300
目次
  1. 痛風はぜいたく病か?!
    1. 若者にも増えている
    2. 西洋では古い病気
    3. ダンテやミケランジェロも痛風持ち
    4. 痛風は王侯や学者の職業病
    5. 日本の有名人の痛風は?
    6. 肉食は痛風のもとと言われるが?
    7. イタタ…は神様の警告
    8. 働き盛りの男性に多い病気
  2. 痛風はこうして起こる|好中球が尿酸塩を食べると発作が起こる
    1. なぜ「時々」痛むのか
    2. 発作は足の親足止を襲う
    3. 尿酸はプリン体の老廃物
  3. 治療の現場から|痛風はホモ・サピエンスの証し
    1. 尿酸値7.0が異常信号
    2. 女性に痛風の少ない理由
    3. これでわかる痛風の診断
    4. 痛風と間違えやすい足の痛み
    5. 痛風とは異なる関節炎
  4. 痛風を予防する
    1. 尿酸値を上昇させる五つの要因
    2. 牛肉や魚も食べ方次第
    3. 肥満は大敵、まず大食いをやめる
    4. 大食いにつながる早食い厳禁
    5. 酒豪ほどなりやすい痛風
    6. 尿酸値を上げる敵は、ビール、日本酒、ワイン、ウイスキーの順
    7. 激しい運動も尿酸値を上げる
    8. 歩行、水泳、ゴルフなど有酸素運動を
    9. 脱水は禁物、1日2リットルの水を飲む
    10. 利尿薬、ぜんそく治療薬は尿酸値を上げることがある
    11. 痛風は頑張り屋・指導者タイプに多い
    12. 痛風は活動的で、競争心の強い人に多い
    13. ストレス解消法が尿酸値を上げる?
    14. 尿酸値を下げるセルフケア五か条
  5. 痛風の治療法|激痛が襲ったら、まず患部を冷やす
    1. 消炎鎮痛剤を短期多めに
    2. 病気のタイプの判定で正しい治療を
    3. 薬を誤ると、発作は治まらない
    4. 薬を飲まないと、腎臓機能が低下する
    5. 副作用の少ない尿酸排泄促進薬ベンズブロマロン
    6. プロベネシド服用には併用薬に注意を
    7. 尿酸を減らすアロプリノール
    8. アロプリノールは痛風以外の病気にも効く?
    9. 将来、夢のウリカーゼ遺伝子治療も
    10. 自分の服用薬をよく知っておこう
    11. 尿酸値はじわじわ下げるのがコツ
    12. 水をたくさん飲んで尿路結石を防ぐ
    13. 野菜や海草は尿をアルカリ性にする
    14. 痛風を治療すれば、腎臓の機能も回復する
    15. 薬をやめれば、尿酸値は上る
    16. 痛風患者は、腎臓を侵されやすい
    17. 痛風はぜいたく病でなく、生活習慣病
    18. 高血圧、高脂血症改善の努力を
    19. 正しい治療は、病気の正体を知ることから
  6. 付録
    1. インターネットによる痛風情報
    2. 痛風強力医療機関一覧
  7. コラム
    1. 痛風と遺伝
    2. 尿酸の化学構造式
    3. 痛風で長生きできる法
    4. 尿の酸性度と血清尿酸値
    5. 血清尿酸値のために良い運動、悪い運動
    6. 高尿酸血症の治療方針
    7. コンプライアンス
  8. 主なデータ
    1. 成人男性の血液、尿検査の基準値表
    2. 人間ドックなどの検査表
    3. 痛風、高尿酸血症のセルフチェック表
    4. 痛風と間違えやすい病気
    5. 食品中のプリン体含有量
    6. 血清尿酸値を上昇させる薬
    7. 尿酸をコントロールする薬の商品名一覧

内容

  • ティラノサウルスは痛風だった[P.56]
  • おばあさんのにせ痛風[P.64]
  • 同じ量のお酒を飲んでも尿酸値が上りやすい人と上りにくい人がいます。この個人差はアルデヒド脱水素酵素というアルコールを分解する酵素に差があることが原因です。[P.96]
  • とくにふだんあまりスポーツをしていない人がヘトヘトになるまでの運動をした後の尿酸値は、一時的に二倍近くまで上昇することがあります。[P.104]
  • 私たちの外来を受信中の2000人の患者さんの尿酸値を月別に集計したことがありますが、尿酸値は夏に高く、冬に低い傾向がありました。夏に多いものはビールの消費量でもありますが、当然夏は発汗量も多く、脱水気味になりがちなので、これと相関しているのかもしれません。[P.112]
  • 先日、尿酸値が高いと言われたといってある女性が外来を訪れました。確かに尿酸値は少し高かったのですが、その他にはとくに異常がなかったので水を積極的に飲むように勧めました。すると、それだけで尿酸値が低下してしまったのです。よく聞くと、長時間の立ち仕事でトイレにいけないため、水分を極端に制限していたそうです。[P.113]
  • 健康食品といわれるものの中に、核酸成分を大量に含むものがあります。核酸の一部はプリン体で、体の中で尿酸になります。このような食品を毎日食べ続けて尿酸値が高くなった人も何人かみています。[P.117]
  • 私たちは、痛風の人たちもストレスにさらされているタイプA行動パターンが多いのではないかと考え、アンケート調査を行いました。すると、タイプAの割合は痛風の人の40.1%、一般の人の28.3%で、痛風の人には一般の人の1.5倍ぐらいタイプAが多いという結果でした。[P.122]
  • 白血球は体温以下のところでは動きが極端に遅くなります。関節を冷やしておくことで、関節の一応の応急処置になります。冷湿布があれば貼りましょう。[P.132]
  • われわれの調査では、尿酸値が平均で1.0、2.0、3.0mg/dl低下したときは尿酸値が変化しないときと比べて発作がそれぞれ1.3倍、1.5倍、1.6倍も起こりやすいことがわかりました。[P.143]
  • 投薬開始直後は痛風発作が再発しやすい[P.166]
  • 痛風研究会オンライン痛風クリニック[P.190]

ティラノサウルスは痛風だった[P.56]

ティラノサウルスも痛風持ちであったという驚くべき論文が
一九九七年に科学雑誌の最高峰とされる「ネイチャー」に発表されました。
米国のサウスダコタ州から一九九〇年に発掘された「スー」という愛称をもつ
全長十五メートルもあるティラノサウルスの化石を調べていた研究者たちが、
スーの関節に尿酸が沈着していたと思われる部分を発見したのです。

おばあさんのにせ痛風[P.64-65]

保健所で開かれる住民対象の健康教室などで私が痛風の話をするときには、
なぜか「痛風と言われた」「尿酸値が高いと言われた」という年配の女性がたくさん聞きに来られます。
不思議なものですが、これには理由があります。

先ほどにも説明したように、
たいていの検査の報告用紙には血清尿酸値の「正常値」が男女別に書かれています。
女性全体では男性より正常値が低いのですが、
閉経後は尿酸値が少し上りますので、老人女性のみを対象にした場合、
正常範囲は高くなり、3.5~6.5mg/dL程度になります。
したがって、女性の「正常値」とされる2.4~5.8mg/dLの範囲を超えてしまう場合がかなりあるのです。

しかし、これでもからだに害のある7.0mg/dlまでは高くない人が多く、高尿酸血症と言えません。
したがって、本当はあまり問題にはならないのに、このような女性が足の痛みを訴えると、
「痛風ではないか」と言われることがあるのです。
言われるだけならいいのですが、薬をずっと飲んでいる人も多いようです。

住民相談で話を聞きに来られたおばあさんの半分以上は
この「みせかけの高尿酸血症」や「みせかけの痛風」です。
「痛風と言われた」と言って私の外来を受診される女性のなかで、
確かに痛風であると診断できる人はまず三分の一程度です。

くりかえしますが、
からだに害のある血清尿酸値は7.0mg/dl以上であって、それ以下では問題はありません。
薬は必要のある人が飲んで意味があるもので、必要のない人が飲んでも害が生まれるばかりです。
これを私は「おばあさんのにせ痛風」と呼んでいますが、一種の数字のトリックです。

投薬開始直後は痛風発作が再発しやすい[P.166]

わたしたちの調査では、
服用を始めて半年の間に約四〇%の患者さんが発作または発作の予兆を感じていました。
しかも一ヵ月目に約一五%、ニヵ月目に約一一%と最初のニヵ月にとくに多く起こっていました。
発作が起こった患者さんは発作のなかった患者さんより尿酸値の変動が大きく、
とくに尿酸値が大きく下がった人の方が発作をより多く起こしていました。

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