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書籍と雑誌の要約と解説

恐るべきサントリーの魔術商法

文化の名を利用する虚構集団の威力と野望の構図

装丁
恐るべきサントリーの魔術商法 恐るべきサントリーの魔術商法
伊藤四郎(フリーライター)
青年書館
ISBN4-7918-0045-1
1983/01/31
¥1000
目次
  1. “文化”の名を借りたしたたかな商魂
    1. “文化”を巧みに操る魔術商法
      1. 文化志向の消費者心理につけこむ企業戦略
      2. 名誉欲にかられた“サントリー美術館”設立
      3. 文化活動を利用したイメージアップ作戦
      4. 文化事業で利潤を生みだすしたたかな商法
      5. 文化路線がもたらす物心両面の余徳
    2. 拡大路線を突っ走る大国主義
      1. 『TBSブリタニカ買収』のもくろみ
      2. 攻撃型経営体質をカムフラージュする“文化事業”
      3. 原価二〇〇円のオールドに水代と文化代金をプラス
      4. 文化攻勢が逆にサントリー離れを起こす皮肉な現象
  2. サントリーには同族経営の弊害はない!?
    1. 鳥井新治郎の原点「やってみなはれ」精神
      1. 社史ではっきりうたう“個人企業”
      2. 創業者が残した“ダボハゼ商法”
      3. 戦前は日本軍、戦後は進駐軍御用達で急成長
      4. “売らんかな”精神に背を向けた“品質主義”の竹鶴政孝
    2. 強運に守られたサントリー経営の系譜
      1. 同族会社の“純血主義”がもたらす弊害
      2. すぐれた後継者に恵まれた経営人脈
      3. 才能をフルに活かす帝王・佐治敬三のカリスマ性
    3. 忠誠心のかたまり社員を動かす“佐治イズム”
      1. 単純なお祭り社員を操る怜悧な頭脳
      2. “佐治学校”と称される恐怖の役員会議
      3. 違った部所に配置転換する横断人事で社員にショック療法
      4. 能力なき者は去れの“生き残りゲーム”
      5. 笛吹けばすぐに踊るサントリアン
    4. 佐治・鳥井一族による後継者レース
      1. 次期社長の呼び声高い優秀な御曹司・佐治信忠
      2. すぐれた経営感覚の持ち主、ナンバー2の鳥井道夫
      3. 佐治・鳥井兄弟コンビの絶妙な連携プレイ
      4. 次期社長の本名は誰か?
  3. 傑作CMで消費者を酔わす大量広告のマジック
    1. 味は二のつぎ、広告を飲まされている消費者
      1. 年間二三〇億円をつぎ込む日本一の広告宣伝費
      2. なぜウイスキーの中身を公表できないのか?
      3. 商品の付加価値を出すためのイメージ広告作戦
    2. 巧みに消費者を洗脳するアメーバ広告
      1. 売っているのはウイスキーではなく傑作CMなのか?
      2. 市場の細分化に合わせた商品別のイメージづくり
      3. かげりの見えてきたオールドの巻き返しCM大作戦
      4. 味よりもファッション感覚で売る若者向けCM
      5. 目新しいドリンク法で商品の売上げをもくろむ
    3. 大金をかけて作る広告戦略と仕掛け人たち
      1. 広告のためには金を惜しまずの伝統
      2. 他メーカーのCMをかすませ吸収してしまう追いうち物量作戦
      3. マスコミを抑えられる強い味方の広告代理店を配下に
      4. “おしつけ文化”でたくらむあこぎな商魂
  4. 手段を選らばぬサントリーの侵略商法
    1. サントリー商法、仕掛けの歴史
      1. 和風料理にもウイスキーを合わさせた“二本箸作戦”
      2. 罪づくりな、ウイスキーは水割りで…の創作捏造
      3. ストレートで飲むと化けの皮がはがれる輸入モルト使用
      4. 水で薄めどんどん飲ませるアイデア商法
      5. 拡販のためのバー、スナック店へのボトルキープ大作戦
    2. ビール部門五〇〇億円の赤字挽回策
      1. タカラビールの敗北に学んだ新ビール発売だったが……
      2. ビールの苦戦で赤字が増えて「オールドこけたらみなこける」
      3. 仁義なき戦い、ビール業界の食うか食われるか
      4. 生ビールでしか生き残れる道はないサントリービール
      5. 生きた酵母が入っていないビールでも“生”ビール
      6. 後発キリンも参入しての熾烈な樽ビール戦争
      7. 薄っぺらなファッション的商品“生ビール”にかげり
    3. あくどいライバルつぶしの実態
      1. 二番手商法によるニッカ追い落とし作戦
      2. 悲惨なオーシャンブライト撤退の真相
      3. ワインでも他社の類似商品追っかけ商法でかきまわす
      4. こけおどし“本邦初の貴腐ワイン”騒動
  5. 行政官庁との癒着で思うがままの大陰謀
    1. 力でねじふせる弱肉強食のしたたかさ
      1. 焼酎ブームに眼をつけた強者の力の論理
      2. 虎視耽耽、焼酎業界に殴り込むウォッカ「樹氷」
    2. 大蔵省、国税庁、公取委との癒着
      1. ウイスキーシェア七十%で独禁法の対象にならないわけ
      2. サントリーに天下るエリート官僚たちの役割り
      3. 酒税法の改正ができないのはサントリーが承知しないから
      4. 金の力で問屋や特約店を泣かすゴリ押し商法
  6. 問題をまきちらすサントリーの多角経営戦略
    1. 見かけだおしの海外進出戦略
      1. 世界に通用しない“世界の名酒”サントリー
      2. “世界のウイスキー”よりもサントリーラーメンの方が有名
      3. 世界的不況の中での不安な海外投資
      4. アメリカでの流通ルート確保にペプコム社買収
      5. 頭が痛いモルトの輸入先国イギリスとの貿易摩擦
    2. 多角経営路線を歩み出したがもう戻れぬ悪循環
      1. 儲かるものならなんでも手を出す侵略商法
      2. 制ガン剤をひっさげて医薬品業界にも乗り出した腹の中
      3. 多角経営の狙いは独禁法対策でもある
文献
  • 日本消費者連盟『ほんものの酒を!』
  • 片山又一郎『キリン商法対サントリー商法』
  • 池田政次郎『サントリーの読み方』
  • 名和太郎『生活文化企業へ飛躍するサントリー』
  • 戸塚国男『サントリーの経営』
  • 国頭義正『洋酒業界のゆくえ』
  • 斉藤隆『酒類・清涼飲料業界』
  • 片山又一郎『キリンビール独走の秘密』
  • エズラ・F・ヴォーゲル『ジャパン・アズ・ナンバーワン』
  • 沢野広之『サントリー残酷物語』
  • 季御寧『「縮み」志向の日本人』

解説

アルコール業界の覇者サントリーの経営問題を追及する中で、
サントリーと組合・政府との癒着構造を浮き彫りにしていく。

内容

  1. サントリーと政府の癒着の構造

サントリーと政府の癒着の構造

大蔵省関税局長だった吉田富士雄氏(五十九歳)は、
昭和五十三年にサントリーに入社し、現在は副社長である。

専務取締役から監査役になった原三郎氏は国税庁次官から天下り、
審議室長の三好寛氏は、大蔵省税制二課係長の出身である。

官僚OBを民間企業が高い金を出して雇うメリットは、
彼らが金儲けに権利の拡大に役立つ法的・経済的な抜けアナの情報を提供してくれるので、
法スレスレのきわどい線まで商売できることだ、とまでいいきる事情通もいる。

サントリーに天下ったエリート官僚たちがどんな役目を果たすのか、
業務の詳細は分からないが、昭和五十六年に、
ニッカの原酒工場がある北海道の余市の税務署長が入社したときは、
これでニッカのモルト混和率や貯蔵状況をサントリーがすべてつかんだ、
などというスパイ大作戦のような噂が、業界を駆けめぐったものである。

酒税官僚の再就職先は、酒造メーカーだけではなく、
日本洋酒酒造組合、日本酒造組合中央会、
日本蒸留酒酒造組合など五つの大手業界団体の専務理事のポストもそうである。
業界団体の運営は会員の会社の分担金でまかなわれているが、
分担金の比率は売り上げの多い会社ほど額が大きくなり、
役員の選出も分担金の多い会社ほど有利な仕組みになっている。

このため佐治社長が理事長をしている年間酒税課税額の二十%がウイスキーで、
その二十%の九十%にあたる一八〇〇億円をサントリーが支払っているという。
金の成る木で、しかも高級官僚の老後を保障する天下り先とあれば、
国税庁や大蔵省の恐い役人も人の子、酒税を改正するさいに、
いちいち洋酒酒造組合の佐治理事長の顔色をうかがうというのも納得がいく。

洋酒酒造組合は昭和五十七年九月に、大蔵省にとびきり顔の広い、
もと大蔵事務次官で、参議院議員の鳩山威一郎氏を会長に迎えた。
サントリーの行政当局へのにらみはさらに強くなりそうだ。

大蔵省・国税庁の酒税官僚の人脈をしっかり握ったご利益は、
大蔵省が昭和四十三年に実施を予定していたスコッチウイスキーの自由化を、
猛烈な圧力をかけて四十六年に延ばすのに成功するなど、たちどころに表われてくる。

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