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書籍と雑誌の要約と解説

新編・日本酒のすべてがわかる本

『日本酒のすべてがわかる本』の改訂版

装丁
新編・日本酒のすべてがわかる本 新編・日本酒のすべてがわかる本
穂積忠彦(元大蔵省技術官/元富士発酵工業専務取締役)
健友館
ISBN4-7737-0317-2
1995/01/20
¥1800
目次
  1. 酒はいのちで造られる
    1. 誤解と珍説
    2. どうして酒ができるか
    3. ミクロの世界とマクロの世界
    4. 酒を造る微生物・酵母の発見
    5. 酵母と酵素
    6. 酵素と生命の誕生
    7. 酒を造る酵素 呼吸と発酵の親密な関係
    8. 酵素から眺めた“清酒のできるまで”
    9. 「ヒトとサケの出会い」と「酒類の進化」
    10. そして酒から酵素が消えた!
    11. 酒が生命を取り戻した第一章の総括として
  2. 近代清酒はこうして生まれ、育った
    1. 清酒 比類ない進化をとげた“米の発酵酒”
    2. サケのさまざまな異名
    3. 近代清酒にいたるまでの足どり – その一
    4. 近代清酒にいたるまでの足どり – そのニ
    5. 近代清酒にいたるまでの足どり – その三
    6. 酒屋の酒 – その一 池田、伊丹酒の興亡
    7. 酒屋の酒 – そのニ 灘の酒蔵・知的オリエンテーリング
  3. 現代清酒よ何処へゆく
    1. 現代清酒を造り上げた人々
      1. 醸造協会酵母を造りだした人々
      2. 清酒の酵母を変えた人々
      3. 優良米を造りだした人々
      4. 清酒専用の精米機を発明した人々
      5. 吟醸造りという極限の酒造にいどんだ人々
    2. もうひとつの現代清酒の原料「酒類原料用アルコール」
    3. 酒類のないよう表示の確立を
    4. 「日本人の酒」の国際化
    5. 「新・日本酒時代の到来」
    6. 平成の革新的清酒醸造法
    7. 日本酒の解放が始まっている
    8. 酒類行政の規制緩和は、すでに平成元年から始まっていた
文献
  • 西川勢津子『住まいと体の“バイキン”退治』[P.14]
  • オパーリン『生命の起源』[P.51]
  • 『大隅風土記』[P.68]
  • アリストテレス『気象学』[P.74]
  • 比嘉照夫『地球を救う大変革』[P.85]
  • 『味噌・醤油・酒の来た道』[P.91]
  • 『延喜式』[P.93_115_116]
  • 『灰の文化誌』[P.96]
  • 『日本書紀』[P.102_103_108]
  • 『古事記』[P.102]
  • 『万葉集』[P.103_105]
  • 『大三輪社略縁起』[P.104]
  • 『記紀』[P.104]
  • 『大系・日本の歴史』[P.107]
  • 加藤百一『日本の酒5000年』[P.129]
  • 人見必大『本朝食鑑』[P.132]
  • 加藤百一『日本の酒の歴史』[P.133]
  • 『摂陽続落穂集』[P.147]
  • 『童蒙酒造記』[P.182]
  • 『日本山海名産図絵』[P.183]
  • 朝日新聞社『値段の風俗史』[P.192]
  • E・H・ノーマン『日本における近代国家の成立』[P.198]
  • 小栗風葉『亀甲鶴』[P.203]
  • 前田俊彦『どぶろくをつくろう』[P.214]
  • 郡司篤孝『怖しい食品1000種』[P.296]
  • 郡司篤孝『ほんとうの酒・うその酒』[P.296]

解説

アルコール業界におけるタブー中のタブーであるウレタン告発の書。
ウレタンは火入れによって酒中に発生する発癌性物質であり、
このことは日本消費者連盟の『ほんものの酒を!』にも書かれていない。

内容

  1. 酒を火入れすると発癌物質ウレタンが生じる[P.62-64]
  2. 昭和四十二年度の計算では、サツマイモの生切干しと生のサツマイモと
    輸入廃糖蜜によるアルコールの製造原価の比率は一〇〇:七九:六である。[P.287]
  3. 酒類原料用アルコールを原料として使うことのできない酒類は、
    上記の一〇種類の酒類のうち、「ビール」と
    「雑種中の“発泡酒”と“その他の雑酒”」だけである。[P.300]
  4. 酒類原料用アルコールはアルコール燃料車に使用されている[P.301-302]

酒を火入れすると発癌物質ウレタンが生じる[P.62-64]

酒類中にあってはならぬ、あっては困る物質のひとつに発癌物質がある。
いまにわかにそんな物質として浮上してきたものが、
実験動物で発癌性が確証されたカルバミン酸エチル(ウレタン)である。
このウレタンは酒類の本質的主成分であるエチルアルコールが製造過程中に
尿素と結合してく極く微量ではあるが自然に作りだされてしまうのだから始末が悪い。
一日のウレタンの許容基準は体重一㌔㌘当たり〇・三μ㌘、
体重六〇㌔の成人で一八μ㌘とされている。

≪中略≫

清酒についてはカンダに輸出された大手メーカーの清酒二銘柄から基準値を超える
ウレタンが検出されたとして一九八六年に積み戻し処分を受けたが、
その後、米政府の調査ではやはり、大手メーカーの清酒から軒なみ、
高い濃度(一一五~二八六ppb)のウレタンが検出されている模様である。

ちなみに、私の体重は七二㌔㌘、したがって、ウレタンの一日の摂取許容規準は二一・六μ㌘となる。
ウレタン一〇〇ppbの清酒では一〇〇㍉㍑中に一〇μ㌘のウレタンが含まれている。
大酒家の私は一日平均、清酒五〇〇㍉㍑を飲むから、
毎日五〇マイクログラムのウレタンを摂取しているであろう。
過去四〇年の飲酒量をふりかえれば、すでに何十回となく癌にかかっても不思議はないこととなる。
あまり気にしていたら酒を楽しむことはできない。

清酒中には原料白米、米麹、酵母に由来する尿素が必然的に含まれる。
この尿素が清酒の火入れによって、エチルアルコールと反応してカルバミン酸エチル、
すなわち、極く微量ながら無視できない量のウレタンを生成する。
このウレタン量を許容基準量(日本では作成されていない)
以下に減少させることがいま求められているわけである。
その方法を研究者たちがいま盛んに研究している。
酒類醸造の学会誌「日本醸造協会誌」には昭和六十三年になって、
一五もの関連の研究報文がのせられているほどである。

現在明らかにされているところをきわめて大雑把に乱暴に要約すると、
清酒中のウレタンを減少させるのに有効なことは
清酒中に溶出されてくる尿素量を減少させることである。
このためには原料白米の精白度を高めることである
(精米歩合七〇%までは尿素含量は急激に減少する)。
火入れによってウレタンが生成されるので、生酒の状態では大丈夫だ。

酒類原料用アルコールはアルコール燃料車に使用されている[P.301-302]

石油のまったくとれないブラジルでは国家的プロジェクトとして、
サトウキビから直接にアルコールを製造し、
このサトウキビ(シュガーケーン)アルコールをガソリンの代用燃料として用いている。

≪中略≫

さて、このように見てくると同じサトウキビをもとに造られたアルコールといっても、
「サトウキビから直接につくられたもの(シュガー・ケーンアルコール)」、
「サトウキビから粗糖を生産する際に不可避的に生ずる廃糖蜜(モラセス)から
つくられたもの(モラセスアルコール)、
さらに「粗糖を糖蜜化したハイテスト・モラセスからつくられた
(ハイテスト・モラセスアルコール)」の三種類があるのである。
この三種類のアルコールには同じサトウキビ起源といっても、おのずから微妙なちがいがある。
このアルコールは日本のアルコールメーカーが精留すると酒類原料用アルコールとなる。
粗留、精留のちがいこそあれ、ブラジルでは自動車の燃料が、
日本では焼酎甲類となり、原材料表示は一切なく、
清酒の原材料表示では「醸造アルコール」ですまされてしまう。
そして、酒類という“神々の飲み物”に化けてしまうのだ。
考えてみればおかしな話である。

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