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書籍と雑誌の要約と解説

食品添加物安全神話の崩壊

食品添加物は両刃の刃だ

装丁
食品添加物安全神話の崩壊 食品添加物安全神話の崩壊
渡辺雄二(元消費生活問題紙記者)
丸善株式会社(丸善ライブラリー208)
ISBN4-621-05208-X
1997/09/20
¥680
添加物は、食品の保存、流通に革命をもたらし、
人々を“飢え”から救ったといっても過言ではない。
しかし一方、食品添加物が抱える問題も決して小さなものではない。
発がん性、催奇形性、アレルギーの誘発など、
われわれの健康をおびやかす物質が数多く存在する恐れがあるのだ。
本書は、食品添加物使用の経緯と、その功罪を検証し、
これから消費者がどのように対応すべきかを解説する。
解説
一人暮らしをするようになり、スーパーマーケットで買い物をする際に、
食品に「合成保存料」という表示が多いことに気付いた。
そして、その食品がいつまでも腐らないことを知った。
本来食品は、微生物によって分解され、腐敗するものである。
それが、腐らないということは、
微生物を殺してしまうような物質が添加されているということだ。
その物質は、ある意味では、毒性物質である。
食品に毒性物質を添加してよいものか、と疑問を感じた。
これが、食品添加物に関心を持ったきっかけである。

その後、消費生活関連の専門紙に記者として入り、
食品添加物、農薬、合成洗剤などに関する記事を執筆した。
退社して、フリーになってからも、同様なテーマの原稿を雑誌に執筆し、
また単行本を何冊か出版してきた。

本書は、その間にやってきた仕事の集大成だと思っている。
食品添加物の歴史、その毒性、健康への影響、被害の防ぎ方など、
これ一冊で、食品添加物に関するすべてが分かってもらえるように執筆したつもりである。

目次
  1. 食品添加物が抱える問題
    1. 輸入柑橘類に使われる発がん添加物
    2. ほかにも多くの発がん添加物が
    3. 強発がん物質に変わる添加物
    4. 不必要な着色料と漂白剤
    5. 不明な天然添加物の安全性
    6. 物質名表示はほんの一部
    7. 添加物がアレルギーの一因に
    8. 添加物とがんとの関係
  2. 戦後急増した添加物
    1. 食品衛生法の制定
    2. 森永ヒ素ミルク事件
    3. 食品添加物の定義が定まる
    4. 添加物の使用基準
    5. インスタントラーメンの登場
  3. 高度経済成長と添加物
    1. パンの大量生産が可能に
    2. 魚肉ソーセージを普及させたAF-2
    3. 指定基準がやっと決まる
    4. 水俣病とカネミ油症
  4. 安全神話の崩壊
    1. チクロに発がん性が
    2. AF-2の衝激
    3. 過酸化水素にも発がん性が
    4. 臭素酸カリウムとBHAの問題
    5. 一一品目一挙指定の不可解
    6. アスパルテームをめぐる論争
  5. 天然添加物への移行
    1. 天然系の使用が増える
    2. 天然添加物の物質名表示
    3. 九五年法改正による天然添加物の規制
  6. 進行する国際平準化
    1. 国際平準化の動き
    2. FAO・WHOの方針
    3. アメリカの規制
    4. EU諸国ほかの規制
    5. WTOによる国際統一化
  7. 添加物の持つ毒性
    1. 自然界に存在するもの、しないもの
    2. 添加物の急性毒性
    3. 添加物の慢性毒性
    4. 添加物の特殊毒性
    5. 毒性をめぐる解釈
  8. アレルギーの急増と添加物
    1. ジンマ疹を起こす着色料
    2. 食品添加物がアレルゲンに
    3. 添加物が補助役に
    4. 化学物質過敏症と添加物
  9. がんと添加物
    1. 化学発がんと添加物
    2. ニトロソアミンの強発がん性
    3. タール色素の危険性
    4. 柑橘類に残る発がん物質
    5. 過酸化水素とBHAの危険性
    6. 変異原性の強い添加物
  10. 添加物から身を守る法
    1. 添加物の一日摂取量
    2. 危険な添加物を避ける
    3. 食品中の添加物を減らす方法
    4. 添加物の毒性を減らす方法
  11. 添加物の害のない社会に
    1. 消費者の生命を重視した行政を
    2. 消費者がよりよい市場を作る
文献
  • 厚生省食品衛生調査会添加物会『第六版食品添加物公定書』
  • 厚生省食品化学課『食品添加物の使用基準便覧』
  • 厚生省生活衛生局『食品衛生小六法』
  • 谷村顕雄『食品添加物公定書解説書』
  • 日本食品添加物協会『暮らしのなかの食品添加物』
  • 谷村顕雄『食品添加物の実際知識』
  • 吉積智司『天然食品添加物の実際知識』
  • 西岡一『疑惑の食品添加物』
  • 杉村隆『発がん物質』
  • 泉邦彦『発がん物質事典』
  • 藤原邦達『よくわかる天然添加物の話』
  • 西岡一『すぐわかる食品添加物ガイド』
  • 高野利也『がん遺伝子を追う』
  • 石川哲『化学物質過敏症ってどんな病気』
  • 原田正純『水俣病』
  • 西岡一『食べ物からわかるガンの秘密』
  • 刈米孝夫『食品添加物を語る』
  • 藤原邦達『よくわかる食品添加物一問一答』
  • 川口哲明『これでわかる食品添加物表示』
  • ジェームズ・ベリーニ『ハイテク地球汚染』
  • 渡辺雄二『食品汚染』
  • 渡辺雄二『アレルギー児が増えている』
  • 渡辺雄二『食卓の化学毒物事典』
  • 植村振作『残留農薬データブック』
  • 矢田純一『アレルギーの話』
  • 藤原邦達『食品衛生法・WTO協定・コーデックス食品規格一問一答』
校正
  • 今まで直らなかったアレルギー症状が→今まで治らなかったアレルギー症状が[P.131]

内容

  1. 亜硝酸ナトリウムの致死量は青酸カリに匹敵する[P.11]
  2. ビールは無添加なので安心と思って飲んでいる人もいるかもしれないが、実際は苦味を出す「ホップ」には、通常酸化防止剤として微量の亜硫酸塩が使われる。[P.12]
  3. 食品添加物=ハプテン(蛋白結合抗原)[P.20]
  4. 「パルスイート」は、喫茶店などでも使われている。[P.79]
  5. 食品添加物性皮膚炎報告(京都市島津医院)[P.130-131]
  6. FDAは、亜硫酸水素ナトリウムが少なくとも一〇%の人にぜんそくを起こすと指摘している。[P.131]
  7. 筆者は、シナチクや海藻サラダに明らかに次亜塩素酸ナトリウムが残留している例に遭遇したことがある。[P.178]

亜硝酸ナトリウムの致死量は青酸カリに匹敵する[P.11]

亜硝酸ナトリウムのラットに対する最小致死量は、
体重一キログラム当たりわずか〇・〇七七グラムであり、
ヒトの経口致死量は動物実験の結果から、〇・一八~ニ・五グラムとされる。
これは驚くべき数字である。なぜなら、猛毒物質として知られ、
殺人や自殺に使われる青酸カリ(シアン化カリウム)の致死量は〇・一五グラムであり、
亜硝酸ナトリウムの最低致死量「〇・一八グラム」は、それに匹敵する毒性なのである。
もし、食品にどんなに微量であるにしろ、青酸カリが混ざっているとしたら、
それを食べる人はいないだろう。
しかし、現実にはそれと同等なことが起こっているのである。

食品添加物=ハプテン(蛋白結合抗原)[P.20]

アレルギーと化学物質との関係を、
臨床の立場から研究している島津医院(京都市)の幸寺恒敏院長は、
その研究の結果から、添加物の多くがアレルギーの原因になると指摘する。
着色料や保存料のほか、漂白剤や酸化防止剤、発色剤、
香料なども気管支ぜんそくやジンマ疹、皮膚炎を引き起こすという。

「食品添加物は分子量が小さいので、それだけではアレルゲン(抗原)にはなりにくいが、
血液中のタンパクと結合してアレルゲンとなる。
このような物質をハプテンといい、ペニシリンショックを起こす抗生物質のペニシリンが有名。
最近、金属アレルギーが話題になっているが、
水銀やニッケル、金などもハプテンである」(幸寺院長)

食品添加物性皮膚炎報告(京都市島津医院)[P.130-131]

アレルギーと化学物質との関係について長年研究を重ねている、
島津医院(京都市)の幸寺恒敏院長によれば、タール色素を除去したことによって、
今まで直らなかったアレルギー症状が治った例が数多くあるという。幾つか紹介しよう。

症例一

三か月の赤ちゃん。母乳育児。生後一か月より湿疹が出てきた。
IgE検査で卵に反応したので卵を制限。
症状はかなり良くなったが、母親がインスタントコーヒー、チョコレート、ラムレーズン、
「柿の種」、ハンバーガー、わさびをたべると子供の顔が赤くなるという。
タール色素を薄めて、赤ちゃんに極小なめさせると、
数分後に吐いたり顔面の発疹がひどくなった。
この子供にはタール色素に対する過敏症があったのである。
母親がそれらを止めると、症状はよくなった。
歯磨き、シャンプーも保存料や着色料を含まないものに帰ると、さらによくなった。

症例二

5歳の男の子。
お尻を中心に全身にアトピー性皮膚炎があり、
総合病院の皮膚科で治療を受けていたが、よくならず、島津医院を訪れた。
少量の黄色四号をジュースにして飲んでもらうと、
一〇分位の間に痒みを訴え、泣き出し、翌日は湿疹も悪化していた。
タール色素の関与を疑って、食事指導をすると共に、患者が使っていたシャンプー
(合成界面活性剤に香料、パラベン、安息香酸塩、黄色四号が添加されていた)
を止めさせ、天然油脂の添加物を含まないものに変更してもらった。
すると、一〇日~二週間で症状をすっかり改善し、治癒した。
その後うっかり着色料入りのアイスクリームを食べたところ、
またお尻の湿疹が少し再発した。

症例三

出産後に難治の皮膚炎になった女性が、島津医院を訪ねて来た。
妊娠・出産を契機に成人のアトピー性皮膚炎が起こることは案外多いという。
この患者にもタール色素の過敏症がありそうだったので、厳密にそれを除去していった。
ある時、ドリンク剤を飲んだところ、四版から全身に痒みと腫れが出て、
皮膚炎がひどくなったと、診察にきた。このドリンク剤には安息香酸が入っていた。
これを引き金にして症状が悪化することが分かった。

症例四

二二歳の女性。幼稚園教諭。
幼児期から、アトピー性皮膚炎があり、高校生頃から悪化、
最近は全身の痒みがひどくて夜眠れず、掻いてしまうので、
母親に手足を縛ってもらって寝ているという。
IgEはいずれも低値で、原因となるアレルゲンは不明。
アスピリンを試験的に飲んでもらうと、痒みが著しく増し、
解熱鎮痛剤-添加物過敏性が疑われた。
その後、半年以上に渡って食生活を改め、徹底した添加物除去を指導し、
患者と医師が二人三脚で努力を重ねた結果、
皮膚炎は次第に改善し、夜間の痒みもすっかり取れた。

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