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書籍と雑誌の要約と解説

うつぶせ寝健康法

日野原先生も毎日実践!

装丁
うつぶせ寝健康法 うつぶせ寝健康法
監修:日野原重明(聖路加国際病院理事長)
著者:川島みどり(日本赤十字看護大学教授)
著者:丸川征四郎(兵庫医科大学教授)
KKベストセラーズ
ISBN4-584-18909-2
C0077
2005/12/8
¥1200
目次
  1. うつぶせ寝が自然の姿です
    1. なぜ、人はあおむけで寝るのか?
    2. 臓器は四つん這いの状態に適している
    3. 骨格の変化であおむけ寝のリスクが増大する
    4. 「うつぶせ寝は危険」のウソ・ホント
  2. この症状はうつぶせ寝で治す
    ―イビキ、睡眠時無呼吸症候群、肺炎、脳梗塞の予防まで…
    1. 【イビキと睡眠時無呼吸症候群を予防する】
    2. 【血行を改善し、脳梗塞を防ぐ】
    3. 【疲労や体力の低下を予防する】
    4. 【タンが排出し、セキを鎮める】
    5. 【不調を感じ始める中高年こそ実践してほしい】
    6. 【虫歯や鼻炎、糖尿病など免疫力が低下している人】
    7. 【胃腸のトラブルを抱えている人】
  3. 実践!「うつぶせ寝」をしてみましょう
    1. まずはチェック! あなたはうつぶせ寝ができる人?
    2. 【基本編】うつぶせ寝のやり方
    3. 【基本編】半うつぶせ寝のやり方
    4. 【症状別】自分でできるうつぶせ寝のポイント
    5. 快適なうつぶせ寝のコツ①―首の体操
    6. 快適なうつぶせ寝のコツ②―小道具
    7. 快適なうつぶせ寝のコツ③―注意点
  4. 安全なうつぶせ寝のためのQ&A
    ―こんな時は、どうしたらいいの?
    1. ここが心配! Q&A【一般編】
    2. この場合はどうすればいい? Q&A【方法編】
    3. 持病があっても大丈夫? Q&A【病気編】
    4. うつぶせ寝を在宅介護に取り入れたい! Q&A【介護編】
文献
  • 並河正晃『老年者ケアを科学する――いま、なぜ腹臥位療法なのか』
  • 佐藤誠『日本内科学会雑誌第93巻第6号』「睡眠時無呼吸症候群の診断と治療」

内容

腹伏臥療法誕生譚[P.9-11]

1980年代の終わり頃だったと思います。

当時、集中治療室に重症の呼吸不全の患者さんがいました。
彼は血液中の酸素濃度が極端に低く、気管挿管をして人工呼吸をしていました。

ところが、ある日のことです。
前夜の血液中の酸素濃度をチェックしたら、
とても低かったり、高かったり、測定値が一定していません。
私は、測定を担当した若い医師の測定ミスでは? と思っていました。
けれど、次の日も次の日も、測定値は相変わらず一定しません。
スタッフ一同で「これは測定ミスでも、偶然でもなさそうだ」と考え込みました。

そして、いろいろと測定条件を検証したところ、
うつぶせ寝に近い状態になった時に血液中の酸素濃度が上昇することがわかりました。

早速、患者さんをうつぶせにして再度の測定をしてみると、
酸素濃度が正常値に近いほどにグンと上昇する。
あおむけ寝にすると酸素濃度が低くなる…。
この明確な違いに驚きました。
そしてこの時に初めて、
体位によって体内に取り込まれる酸素量が異なることに気がついたのです。

体内の酸素量が上がれば、人工呼吸は軽くてすみます。
実は、人工呼吸には続ければ続けるほど肺の機能が低下するという難点がありました。

うつぶせにしただけで体内の酸素量が増え、肺が健康な状態に近づいていく。
しかも、うつぶせ寝には人工呼吸のような副作用がありません。

うつぶせ寝のことを医療では腹伏臥というのですが、
これを治療の一つとして確立できないか。
そう考えて始めたのが、治療の一環として患者さんをうつぶせにする腹伏臥療法です。

腹伏臥療法は、画期的な効果をもたらしました。

特殊な菌が肺に入ってしまい、
命が危ないほどの重症の呼吸困難を起こして集中治療室に運ばれてきた男子高校生が、
腹伏臥療法を始めて数日で回復し、1週間後には、元気になって退院していきました。
その後ぞくぞくと、呼吸不全の患者さんは腹伏臥療法で回復し退院していきました。

大学病院の集中治療室を中心に、腹伏臥療法はあっという間に全国に広がりました。

腹伏臥療法のメカニズム[P.12]

呼吸不全の患者さんの中には下側肺障害
(肺の背中側に病気が発生する症状)を起こしている人がいます。
肺の背中の下側はあおむけに寝ると一番底の位置になり、
ここに、唾液や鼻汁が気道に入り、
病原菌の塊となった粘液がたまって排出されにくくなります。
うつぶせになるとその場所が身体の高めの位置になって排出され、肺の機能が改善します。

呼吸不全の患者さんが回復したのは、
気道がきれいになって血液中の酸素濃度が上昇するとともに、
肺の機能が健康な状態に戻ったためと考えています。

肛門周囲の潰瘍はうつぶせ寝で治る[P.62-64]

あおむけに寝ると重たい内臓は背中側に沈み、背骨の前の血管を圧迫します。
血液が心臓に戻るのを邪魔してしまい、血流が悪化します。

寝たきりの人をあおむけに寝かせると、
肛門の周囲に潰瘍ができやすくなるのは、
大腸や小腸の重量が加わって血流がいっそう悪くなるためと考えられています。
あおむけ寝での血流の悪さに加え腸管の血管の血液循環も悪くなり、
血流が滞りやすい肛門がうっ血して潰瘍になると考えられています。

そこで、うつぶせ寝です。

うつぶせに寝ると血管の上に内臓がのらず、血液がスムーズに流れます。
実際、寝たきりの人をうつぶせにすると血液の環流がよくなり、
肛門周囲の潰瘍が治ります。

うつぶせ寝は誤嚥性肺炎を防ぐ[P.66-68]

空気とともに体内に入ってくるホコリや雑菌、食物のかす、
さらに虫歯などから常に供給されている菌…。
それらが増殖して、唾液の中に混じります。
また、菌の混じった胃液が食道を逆流して、口の中まで上がってくることもあります。

ところが、あおむけに寝ていると口の中の唾液や胃液を外に排出したり、
うまく飲み込むことができません。

菌や胃液などが口の中に滞り、しかも喉頭蓋がスムーズに機能しないために、
誤嚥しやすくなってしまいます。

さらに、年齢を重ねると喉頭蓋の反応が鈍くなり、
50代では多くの人が睡眠中に誤嚥をしていると考えられています。
60代以上に限ると、ほぼ100%の人が誤嚥しています。

小さな肺炎を繰り返し、知らぬ間に身体が衰弱する

誤嚥は、誤嚥性肺炎のもとです。

唾液や胃液などは、誤嚥すると気管を経由して肺へ入っていきます。
私たちは誤嚥した唾液や胃液に含まれた菌によって、
気がつかないうちに小さな気管支炎や肺炎を繰り返しています。

気管支炎や肺炎と闘い続けている身体はヘトヘト。
その結果、疲れやすい、体力がない、カゼをひきやすい、病気が治りにくい、老化が早い…。
身体が弱っていると肺炎が悪化したり、違う病気にもなりやすくなってしまいます。

中略

誤嚥性肺炎を防ぐ一番の方法は、汚れた唾液・鼻汁を外に排出することです。
そして唾液を排出しやすい姿勢がうつぶせ寝です。

うつぶせに寝ると自然に唾液が口から流れ落ちます。
口の中に上がってきた胃液も同じく流れ出ます。

菌の増殖した唾液や胃液がうつぶせ寝で外に排出されますので、
誤嚥も誤嚥性肺炎も予防できるわけです。

胃が弱いとMRSA腸炎になる[P.81]

手術によって胃を取った人は食物と一緒に入った菌が胃液で除去されず、
そのまま腸へ流れてしまいます。
また、胃の酸度の低い人は菌が増殖しやすいために菌を含んだ食べ物が腸に流れることになります。
そして、その菌が原因でMRSA腸炎
(メチシリン耐性黄色ぶどう球菌による腸炎)を起こす人が少なくありません。

MRSA腸炎はメチシリンという抗生物質を始め、
さまざまな抗生物質に耐性があり、治療がむずかしい病気の一つです。

うつぶせ寝のやり方[P.91_122]

うつぶせになって、顔は左右どちらかに自然な形で向けます。
手のひらは上に向けてもマットにつけても、
腕は上げても身体の横にダラリと伸ばしてもOK。
自分の気持ちのよいところにおきましょう。
ただし、腕や手を身体の下にしないこと。
肘や肩の関節に負担がかかり、腕や手が痺れてしまいます。

中略

また、頭をのせる枕が高いと首や肩がマットから浮き、コリや疲れのもとになることもあります。
うつぶせ寝には低めの枕がおすすめです。
自分に合った高さの枕を用意しましょう。

頭に、胸部に、下腿部に…。
枕は一つではなく、身体の部位に合わせて2~3個あると便利です。
頭から足までの隙間が埋められる長い抱き枕もどうぞ。

半うつぶせ寝のやり方[P.95-96]

うつぶせでは寝にくい、うつぶせになると身体が痛い…。
そういう人は、まず半うつぶせ寝から始めましょう。

半うつぶせ寝とは身体の左右どちらかを下にした、
横向きでも完全なうつぶせ寝でもない、うつぶせ寝に近い横向きのことです。
片側のわき腹を軸に身体の片側がマットから30度ほど持ち上がる、
おへそがやや下を向くような姿勢です。

ただし、わき腹で身体を支える半あおむけ寝やうつぶせ寝に比べて
マットに接触する身体の面積が少ないためやや安定性に欠けます。
抱き枕を抱えるような感じで、
マットについていない身体の下に長い枕などを差し込むと楽に寝られます。
また、下になったほうの肩や腕が圧迫されていないか、注意してください。
身体の下になった腕、そして身体と腕に挟まれた形になるワキが圧迫されてしまいます。
ワキには静脈・動脈の血管と神経が通っており、
ワキが圧迫されると血流が悪くなり腕が痺れてしまいます。

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