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書籍と雑誌の要約と解説

うつぶせ寝赤ちゃんはスクスク育つ

ドイツでも実証されたうつぶせ寝の凄い効果

装丁
うつぶせ寝赤ちゃんはスクスク育つ うつぶせ寝赤ちゃんはスクスク育つ
杉山四郎(元日本医科大学附属病院産婦人科医局長/杉並区杉山医院院長)
二見書房(サラ・ブックス)
ISBN4-576-88135-3
C0277
1988/11/25
¥800
目次
  1. うつぶせ寝は“感動”を運んでくれました
    1. 日本の産院で初めて“うつぶせ寝”がとり入れられた日
    2. 赤ちゃんが教えてくれた“うつぶせ寝”の素晴らしさ
  2. これさえ守っていれば安心です
  3. うつぶせ寝赤ちゃんはスクスク育ちます
    1. うつぶせ寝は赤ちゃんの発育を促します
    2. うつぶせ寝を医学的データから検討してみましょう
  4. 全国のうつぶせ寝産院を訪ねました
    1. 能動的で積極的な赤ちゃんに変わりました――総合保原中央病院(福島県)
    2. よく眠るし、ごきげんがいいので育てやすい――関根産婦人科医院(東京都)
    3. 赤ちゃんにもママにも、いちばんよい方法を!――幸町産婦人科(東京都)
    4. 赤ちゃんにも、お母さんにも、GOOD!――(神奈川県)
    5. うつぶせ寝は“自然な妊娠・出産”の一環――加藤産婦人科(愛知県)
    6. 評判をきいてつぎつぎにお母さんがやってきます――平野医院(奈良県)
    7. スタッフ一同による手づくりの“うつぶせ寝”――小阪産病院(大阪府)
    8. すでに七年も前から“うつぶせ寝”を導入――林産婦人科診療所(兵庫県)
    9. これからの成果がとてもたのしみです――清和病院(大阪府)
    10. お産は普通の病室で、赤ちゃんはうつぶせ寝で――三宅医院(岡山県)
  5. うつぶせ寝ママからの素敵なおたより
    1. スヤスヤとよく寝て食欲も背筋力も驚くばかり
    2. まだ二カ月なのに、首のすわりがしっかり
    3. 赤ちゃんにとって“安心”の寝方のようです
    4. 上のことの違いに目をみはる毎日です
    5. 想像以上の運動量に驚いたり感心したり……
    6. うつぶせ寝を一年間つづけてきました
    7. 発育がいいので子育ても楽しいのです
    8. 赤ちゃんに自信のない私でも、これなら安心
    9. 目をみはる成長ぶり、うつぶせ寝にしてよかった
    10. うつぶせ寝って自然な姿だと、つくづく思います
    11. ふたごの育児も、うつぶせ寝で大助かり
    12. よいことずくめのうつぶせ寝をおすすめします
    13. うつぶせ寝にしたい一心でアメリカに飛んだ私
    14. 確信! これから子どもはこれです!
    15. 育児書より早い発育に、うれしい戸惑い
  6. うつぶせ寝育児Q&A
  7. よい子育てへの五つの提言
文献
  • 医学書院『新生児学入門』1988年[P.53]

内容

うつぶせ寝保育に無知な保健所[P.7-8]

杉山医院で生まれた赤ちゃんを保健所の健診につれていったら、
赤ちゃんを見た小児科の先生に
「この頭は前後に長すぎて奇形らしい」といわれたお母さんがいます。
でも充分に当院で講習を受けていたお母さんは、
「『この子はうつぶせ寝保育をしてますから』といったら、
そんな危ないことはしてはいけないとしかられちゃったんですよ。
危ないことなんて何もないのに」
と笑いながら電話してきました。

私はさっそく、その先生のところに、
腹伏臥位の医学的な文献集と、研究資料のコピーを送ったところ、
「実は経験がなく、失礼した。ご教導を感謝する」旨の礼状がきました。
こんなことはザラにあって、毎日がうつぶせ寝の啓蒙運動に日々です。

某産院長のうつぶせ寝談[P.48]

ある産院のご年配の院長のお話ですが、
赤ちゃんにうつぶせ寝をさせるのなら自分もやってみようと、
長年の習慣をあらためて、夜うつぶせで眠ることにしたそうです。
最初は寝つかれなかったそうですが、
いく晩かするうちにぐっすりと眠ることができたというのです。

「こりゃいいですよ、杉山先生。
今までかならず夜中に二回ぐらいトイレに起きていたのに、それがなくなった。
おなかがあたたまったんじゃないかな」

うつぶせ寝では胃の軸捻転が起きない(仁志田博司)[P.53-54]

生まれてしばらくのあいだは、いろいろな靭帯(臓器を支える筋肉)がゆるいのです。
胃を固定している靭帯もそうですから、固定が不十分なため、
胃のねじれ(胃の軸捻転)が起こりやすくなります。
これが起こると、飲みこんだ空気は図②のようにたまってしまってゲップが出にくくなり、
腸のほうに流れて、おなかがふくれたり、臍仙痛の原因となります。
わけもなく泣く赤ちゃんのなかには、こんな場合があるのです。
ときにはミルクが飲めなくなったり、吐くこともあります。

胃の軸捻転は、靭帯がしっかりしてくるニ、三ヵ月ごろには自然になくなりますが、
それまでのあいだは、うつぶせ寝にするとねじれは起こりにくく、
また、ねじれても自然になおります。
胃のねじれによるおなかのふくれや嘔吐は日本に多く、欧米にはほとんどありません。
欧米の新生児の教科書にもほとんどのっていないほどです。
私は、これは日本があお向け寝、
欧米がうつぶせ寝であることにおおいに関係があるのではないかと思います。

いずれにせよ、うつぶせにするとゲップは出やすいし、
吐くことも少ないし、吐いてもつまる心配はなく、
胃のねじれを起こさないことは確かです。

先天性股関節脱臼はうつぶせ寝で自然治癒する[P.102]

整形外科の先生方は先天性股関節脱臼の予防にいいとおっしゃっています。
この病気は先天性という名前がついていますが、
生まれつき股関節が脱臼している赤ちゃんは少なく、
生まれたときは正常でもその後の赤ちゃんの生活状態によって
はずれてしまう場合が多いのです。
この予防には、できるだけ赤ちゃんの股を開いて
お相撲さんがシコをふむような形をとらせることが大切ですが、
うつぶせ寝ですと、この条件を満たします。

どんな赤ちゃんでも生まれてしばらくは手を握って、手足を曲げた恰好をしています。
そう、カエルの姿に似ていますでしょう。
うつぶせに寝かせるとおなじような姿勢をとります。
しかも、動きは自由です。
うつぶせ寝のほうが股関節脱臼が少ないというレポートを
整形外科の学会で発表した医師もおります。

ドイツにおけるうつぶせ寝育児事情[P.110-111]

ドイツでうつぶせ寝が広まってきたきっかけは、一九六〇年初め、
整形外科医を中心に斜頚(首の筋肉にしこりがあって頭の向きがかたよる)や
側わん症(背骨が曲がる病気)の予防、改善は寝る姿勢(体位)に
関係があるのではないかという考え方が出てきたことにあります。
そして千何百人という赤ちゃんを観察したところ、
うつぶせ寝の利点がいろいろとわかってきて、だんだん広まってきたのです。
すでにアメリカでうつぶせ寝が一般的に行なわれていたことも、
おそらく受け入れられやすい下地としてあったのでしょう。

全国のうつぶせ寝産院からの証言[P.125-160]

  1. 福島県総合保原中央病院高橋チーフ[P.125]
  2. 東京都関根産婦人科医院関根院長[P.131-132]
  3. 神奈川県倉品産婦人科医院倉品院長[P.138-141]
  4. 愛知県加藤産婦人科病院院長[P.140-141]
  5. 奈良県平野医院平野院長[P.145-146]
  6. 大阪府小阪産病院竹村院長[P.148-150]
  7. 大阪府清和病院大田院長[P.159-160]
福島県総合保原中央病院高橋チーフ[P.125]

「まず、赤ちゃんの発育のよいのにびっくりしました。
入院中赤ちゃんの動きが活発でしたので、
今までとはずいぶん違うなという印象をもっていたのですが、
一ヵ月健診のときには月齢を間違えたのでは? と思ったほどです」

一ヵ月おきの追跡調査では、どの子もみな、発育状態がとてもよく、
なかにはあまり発育がよくて逆に心配になり、
整形外科で診てもらった赤ちゃんもいたそうです。
その子は五ヵ月ぐらいでお母さんの手につかまって立ってしまったのです。
整形外科では、本人がそうするのなら異常はありませんよ、
といわれたそうですが……。

東京都関根産婦人科医院関根院長[P.131-132]

“ロマンのある母と子の病院”をめざして、
赤ちゃんのためによいと思われる方法はとりこんでいこうということで、
昭和六十二年十一月から、うつぶせ寝を始めています。
うつぶせ寝に合わない赤ちゃんがいることも考慮に入れて、
生後二十四時間は慎重に赤ちゃんを観察、
小児科医のチェックを受けてから始めます。
うつぶせ寝のよさについて山田多美枝婦長は、育てやすさをあげます。

「よく眠るし、ごきげんがいいのです。
ずっと抱きっぱなしと訴えるお母さんが減りました。
とくに、吐きやすい赤ちゃんは授乳後、
うつぶせにして背中を軽くなであげるようにするとゲップも上手に出します。
目覚めているときは、赤ちゃんを少し高いところにうつぶせ寝にして
お母さんが坐るとちょうど赤ちゃんとお母さんの顔がおなじ高さになって遊びやすいし、
たたみならお母さんもいっしょに寝っころがるだけで母と子の顔が寄せ合えてスキンシップにいいですね。
条件さえ守れば楽しい子育てができます。
でも赤ちゃんがいやがるときはむりをしないように。赤ちゃん本位が基本です」

神奈川県倉品産婦人科医院倉品院長[P.138-139]

ここでは、昭和六十三年に入ってからうつぶせ寝をとりいれはじめました。
ひとりひとりにうつぶせ寝の本を渡し、ビデオを見せたりして、
それぞれの選択にまかせるというやり方でしたが、
七~八割の人が希望したといいます。

中略

生後二ヵ月のある赤ちゃん、発育もいいし健康そのものなのですが、
たったひとつ夜泣きという悩みがありました。
三十分から一時間おきに目をさまして泣くものですから、
そのたびに起きておっぱいを飲ませるお母さんは肉体的にも疲労の極致。
そのうえ、ご主人やお姑さんから責められて精神的にもまいってしまい相談にきました。
そこで、うつぶせ寝をすすめてみたところ――。

「翌日、そのお母さんからニ~三時間つづけて眠ってくれたと感謝の電話があったのです。
こんなケースがニ、三ありますよ。
うつぶせ寝にすると確かによく眠るようで、
三人目の赤ちゃんから始めたお母さんは、こんなに寝ていいのかしらと心配するほどです。
赤ちゃんがよく眠ると、おっぱいの間隔があいて飲みがよくなりますし、
胃袋が休んでいる時間が長くなるので消化不良も少なくなります。
授乳時間が一定になるのも早いですね」

愛知県加藤産婦人科病院院長[P.140-141]

三ヵ月の準備段階を経て、六十三年四月から導入されました。

「当初は不安で、誰かしらベビールームをのぞきにいってましたね」と加藤院長。
「でも赤ちゃんたちは本当によく動き、よく眠ります。
看護婦たちも、ベビールームがあまりにも静かになったのにおどろいてました」

お母さん方には、母親学級でうつぶせ寝についての説明をしたあと、
パンフレットを渡し、理解を深めてもらってから家で始めていただいているとのことです。

赤ちゃんが二人目、三人目のお母さんには、育児がとても楽、と好評です。

「先生、おそろしいほどよく眠りますし、反対に起きているとすごく動くんですね」

奈良県平野医院平野院長[P.146]

平野医院では、うつぶせ寝は強制していません。
母親教室で妊娠中からうつぶせ寝のよい点を理解してもらっていますが、
うつぶせ寝にするときはかならずお母さん方の了解を得てから。

「親の側に不安感があると赤ちゃんに伝わってしまいますから……。
でも半数以上はうつぶせ寝を選んでいます。
初めにあお向けを選んでいたお母さんも、
ほかのうつぶせ寝の赤ちゃんを見ているうちに、
うちの子もやっぱりと変える方もいます。
うつぶせ寝の赤ちゃんは動きが激しく活発で、よく眠ります。
あお向けですと無抵抗の姿勢ですから不安感があるのか、
ちょっとの物音にもビクッと反応しますね」

大阪府小阪産病院竹村院長[P.148-150]

関西地方でいちはやく“うつぶせ寝育児”をとりいれたのは、
東大阪市の小坂産病院です。

中略

うつぶせ寝をとりいれてから、ベビー室がとても静かになったそうです。
以前はひとりずつ、赤ちゃんが時間差で泣いていましたが、
今では、泣き声はほとんど聞こえません。

「赤ちゃんがよく眠りますね。
それに吐くことも少なくなってシーツが汚れなくなりました。
生まれたばかりでも、自力で頭を動かすし、
運動が活発ですから発育・発達がよいのも確かです。
一週間で退院するころには、
今までの赤ちゃんより体つきがしっかりしているようです」

また、赤ちゃんの血中酸素濃度の測定も行なっていますが、
あお向けよりも10mm/Hgぐらい高いとのこと。
うつぶせ寝は生理的に酸素を多くとりいれる姿勢ともいえます。

「お母さんにとっては育児がしやすく、いわゆるマタニティーブルーという
産後のゆううつやもの悲しさのような気分の変動も少なくなったようです」

とつけ加える竹村院長。

大阪府清和病院大田院長[P.159-160]

「ベビールームはとても静かになり、赤ちゃんがよく眠るようになりました。
そしてよく動きます。以前は排気(ゲップを出すこと)のあとも
ダラダラとおっぱいを吐く子がけっこういましたが、
今ではそれがほとんどなくなりました。
帝王切開で生まれた赤ちゃんは十日間ぐらい入院していますが、
退院のころには首を上に大きくもちあげています。発育は早いですね」

三人目をうつぶせ寝で育てたお母さんが一ヵ月健診に来院してうれしそうに話しています。

「上の子とぜんぜん違って、とても育てやすいんです。
三人目だからということではないようです。
近所の人から“上手に育てているね”といわれるとうれしくなっちゃいます」

ハワイ旅行をして流産したら産婦人科医のせいにする妊婦[P.237-238]

私の知人の産科医の話ですが、こんな妊娠中の方がいました。
妊娠六ヵ月ですが、ハワイに遊びに行ってもいいかとたずねるのです。
私ども産婦人科医はとても“いい”とはいえません。
近くに心身を休めるために行く小旅行とは違うのです。
妊娠前の気分とおなじでいるのですし、妊娠中というのは体が敏感なときですから、
周囲のちょっとした差異が重大事故をひき起こすことがあるのです。

「いいですよとはいえません。
あなたがどうしても行くというなら、しかたありませんが」

と、その先生はお話ししましたが、
この方はこれを承諾と受け取ってしまいました。
そしてハワイに着いたら流産してしまったのです。
そうしたら、この方は、「先生がいいといったからだ」と、
数千万円の慰謝料を要求してきたのです。
もちろん、そんないい分は世間には通りませんね。

この方は、今がよければいいという考え方です。
妊娠中の生活がおなかのなかの赤ちゃんにどんな影響を与えるかも考えずに遊びに行き、
流産を人のせいにしているわけですね。
体の変化を感じとれなかったのです。
ここまで極端ではなくても、こんな考え方のお母さんたちにはよく会います。

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