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書籍と雑誌の要約と解説

虫歯から始まる全身の病気

隠されてきた「歯原病」の実態

装丁
虫歯から始まる全身の病気 虫歯から始まる全身の病気――隠されてきた「歯原病」の実態
Root Canal Cover-up
ジョージ・E・マイニー
George E.Meinig
恒志会
農山漁村文化協会
ISBN4-540-08176-7
2008/06/20
¥1714
恒志会の生みの親である片山恒夫博士が尊敬してやまなかった、
真の口腔医学の偉大な先駆者、開拓者であるウエストン・プライス博士は、
一粒種の令息を心臓病で急死させた。

いらい、四半世紀に及ぶ研究をつみかさねた博士は、
虫歯が愛児の死病の「引き金」となったこと、
多くの深刻な全身病がじつは口腔内の病巣が引き起こしたものであることをつきとめ、
『病巣感染』(1923年)を著してこの事実を公表したが、
内容が衝撃的過ぎたためか、長年真実が隠されてきた。

この事実を偶然に知るところとなったジョージ・E・マイニー博士が、
使命感に燃えてここに「真実」を報告する。

解説
ウェストン・プライス博士の1938年の著書Nutrition and Physical Degeneration
(食生活と身体の退化)は、以前の私にとっては実に意外な本であったが、
私が内心いつも正しいと思っていることがそこには書かれていた。
ウェストン・プライス博士は、時代の先を行く人だった。
その研究内容は、彼が書き残したものと同様に実に膨大なものであった。
プライス博士の歯内療法に関する研究、
それは根管治療が
我々の生命を危険にさらしているか否かという疑問を提起したものであったが、
ジョージ・マイニー博士はその研究内容を本書において明らかにしている。

エドウィン・C・ファン・ヴァレイ
(歯科医師、米国歯科医師会会員、国際歯科医師会会員、米国歯内療法学会元会長)

目次
  1. 世界一の歯科医登場、ウサギが明かす治療した歯の問題
  2. 隠された根管治療の事実
  3. 歯牙感染を起こす細菌や微生物
  4. 根管消毒剤では消毒できない
  5. 歯の感染による驚くべき血液の変化
  6. 歯根の感染と全身への影響
  7. 口中にいるスピロヘータ、アメーバ、その他の常在菌
  8. 口内細菌はジキルとハイド、無毒菌が猛毒菌へ
  9. 改良されても問題ある根管充填材
  10. 感染した歯ぐきも全身の深刻な病気につながる
  11. 生命現象はカルシウムイオンに依存する
  12. 歯の細菌が好んで侵す心臓と循環器系
  13. 小さな虫歯から始まる全身病
  14. レントゲン写真の限界
  15. 免疫力が落ちるときは根の治療を避けるとき
  16. 細菌の出す毒素も最近と同じくらい有害
  17. この研究が隠された謎、病巣感染を避妊する人々の重大な過失
  18. 虫歯が原因で全身に起きる病気の実例
  19. 「歯根尖切除術」は驚異の外科手術と信じていたものの…
  20. 新たな研究が証明するプレイス博士の発見
  21. 二重盲検法に匹敵するウサギ30羽の研究
  22. 死と歯科医学
  23. 電子顕微鏡の驚異 エンドウ豆大に見える細菌
  24. 歯槽の感染を放置しない抜歯法

内容

根管充填歯を抜くと病気が治り、それを動物に移植すると同じ病気に罹る[P.26-27]

プライス博士は1900年代初頭にすでに感染根管を治療しており、
その治療は今日のものと比較しても決して遜色のないほどのものであったが、
それでもなお博士は、こうした歯は常に感染状態にあるのではないかという疑いを抱くようになった。

この考えは博士の脳裡から離れず、
医師も途方に暮れるような重病患者が診察に来るたびにこの考えがつきまとった。
そんなある日、重症の関節炎のため車椅子で生活している女性の治療中、
かつて、ある病気の患者から採取された培養細菌をある動物に接種し、
その患者と同じ病気をその動物に起こさせ、
そしてその病気のための治療薬の有効性を確かめる研究がなされたという、
その研究のことをふと思い出した。

そこであれこれと思いを廻らした末、実はこの患者の根管充填された歯は
見たところ問題はなさそうであったにもかかわらず博士は彼女に抜歯を勧めた。
この根管充填されている歯があなたを苦しめている原因なのかどうか、
それをはっきりさせたいとの意向を博士は意を決して彼女に伝えたのである。

一般的に歯科医は、
悪い歯を抜くと関節炎や他の病気がよくなることがあることを知っている。(註:米国の状況)。
しかし、この患者の場合、どの歯にも問題はなさそうであったし、
この根管充填された歯にも感染の症状は一切認められなかったし、
またレントゲン写真でもこの歯は正常の範囲にあると思えた。

そこで歴史的な実験が行われたのである。
プライス博士は抜歯して患者を帰した後、すぐに歯をウサギの皮下に埋め込んでみた。
すると驚いたことに、2日後にウサギは患者と同じく関節炎になって四肢を動かせなくなり、
10日後には感染のために死んだのである(次頁写真参照)。

この発見に博士がどれだけ興奮したかは想像に難くない。
さらに、この患者は抜歯後すっかり回復したのである。
その後この患者は杖なしで歩けるようになり、細かい刺繍までできるようになった。
この好結果によって、プライス博士は、
不治の病気にかかっている他の患者にも根管充填された歯の抜去を勧めるようになった。

その後、機会あるごとに博士はウサギの皮下に歯を丸ごと、あるいは部分的に埋め込んだ。
最終的には、博士は歯の中から取り出した細菌を培養して、
ウサギや他の実験動物に注射した。
ほとんどの場合ウサギには患者と同じか、あるいは類似の疾患が生じた。
感染による影響は非常に大きく、ほとんどの動物が3~12日で死んでしまったのである。

患者が腎臓に問題を持っていた場合にはウサギの腎臓に問題が起こり、
患者の眼に問題があれば、ウサギは眼の病気になった。
心臓の異常、関節炎、胃潰瘍、膀胱感染症、卵巣の病気、静脈炎、骨髄炎、
ありとあらゆる病気にウサギは同様に感染した。
ウサギの免疫系は弱いので、ほとんどが2週間以内に死んでしまった。

プライス博士は、歯列矯正のために抜歯された健全歯や、あるいは埋伏歯など、
治療を受けていない健全歯をウサギの皮下に移植して、さらに理論の裏付けを重ねた。
さらに、滅菌した10セント硬貨を埋め込んだが、ウサギには何ら変化を認めなかった。

このような硬貨や健全歯は皮下で埋まったまま特別な変化はなく、
これらの周りに袋状の非感染性嚢胞のうほうができたり、
異物排除(免疫系の作用により皮膚の外へ硬貨や正常歯が押し出されたりした)
が起ったが、このようなウサギは良好な健康状態で生き続け、
根管充填された歯から病原性細菌を接種したウサギに起こったような
病気の発症を認めたものは1羽もいなかった。

砂糖を歯に触れずに投与しても虫歯の原因になる[P.45]

象牙細管の中は液体成分で満たされており、
この液体によって必要な栄養物質などが歯に運ばれ、歯は嫌悪区を維持する。
栄養物質運搬のために象牙質内の液体は細管内を経て、エナメル質にまで達する。
つまり硬いエナメル質もこの液体の移動が可能な程度の透過性は有しているのである。
この液体こそが、歯の隅々まで栄養を供給し、その機能を保持させる役割を果たしているのである。

これまでに多くの科学者がこの興味深い現象について書いており、
砂糖を摂ると歯髄から象牙細管内へのこの液体の外向きの流れが逆転する現象を実際に証明している。
さらに最近、ロマリンダ歯科大学名誉教授ラルフ・R・スタインマン博士がラットを研究し、
ブドウ糖(砂糖)の腹部皮下注射でこの流れが逆転したことを発見している。

同博士はまた胃ゾンデを使って直接胃の中に砂糖を入れ、同様の結果を得ている。
このことは、一般に信じられていることに反し、
砂糖が歯にまったく触れなくても重症の虫歯になり得ることを示している。

根管充填保持者の30%は発病しない[P.50_73]

根管充填された歯を長年抱えていながらも健康に問題のない人については、
どう考えたらよいのか? 
プライス博士は、こうした人が治療を受けた人のうち約30%いることを発見した。
こういう人は、存在する細菌を抑制できる優れた免疫系を有していた。

*   *   *

●驚いたことには、根管充填を受けたことのある歯があっても、
 健康上何の問題をも認められない患者の場合、
 その根管充填の歯を抜去し、そこから採取した培養物をウサギに接種しても、
 ほとんど何の病気の発生も認められなかった。

歯が感染すると体重が激減する[P.54-55]

歯の感染物質の接種や感染した歯の皮下移植を受けたウサギでは全て体重が減り、
その感染の程度が高いほど、体重減少も著しかった。

プライス博士は、リウマチ性疾患患者の身体組織が萎縮しやすいことに気がついた。
体重減少率は多くの場合10~25%で、極端な例では35~40%であった。
ある女性患者の体重は正常時の130ポンド(約59kg)から72ポンド(約33kg)まで
減少したと博士は報告している。
感染した歯を除去すると、体重はすぐに72ポンド(約33kg)から111ポンド(約50kg)まで戻った。
また、この患者の感染歯の1本から採った細菌を培養してウサギに接種したところ、
体重は4日間で1381gから1105gまで20%減少している。

また、体重減少の進行を認める遺骸は特別悪いところはなく、
体調はまあ良いと感じていた男性患者の報告もある。
この症例では、根管治療された歯は存在しなかったが、
患者は中程度から重度の歯周病にかかっており、
抜歯を必要とするほどの深く膿汁に満たされ、進行した歯周ポケットが数ヶ所存在していた。
それらの歯のうちの1本を粉砕し、洗浄し、遠心分離にかけて、
得られた透明溶液をウサギに接種したところ、
何と16日間で体重が1430gから843gまで41%も減少した。
そこで顕微鏡で細菌数を数えたところが、このウサギに接種された細菌はごく微量で、
たったの100万分の1gにすぎなかった。

このことをさらによく調べるため、粉砕した歯の洗浄液を、
細菌の完全除去用に考えられたベルケフェルト濾過器に通した。
濾過後の溶液を別のウサギに注射すると、やはり著しく体重が減り、
注射後の平均生存期間はわずか5日間であった。
この場合、細菌は除去されていたのだから、ウサギの衰弱の原因は、
細菌から出た毒素が歯根に浸透残存しており、
それらが上記実験により抽出された結果によるものであることに間違いない。

根管充填による血液異常[P.55-56]

●根管充填された歯により感染してしまった患者と動物の
 1000におよぶ血液の調査の結果判明したことは以下のようなことであった。

 *リンパ球(白血球)はヒト、ウサギ共に増加し、ウサギでは58%の増加であった。
 *白血球細胞の一形態である多形核白血球は、
  ヒト、ウサギ共に減少し、ウサギでは正常値に比し33%の減少であった。
 *ヘモグロビンはほとんど変化せず、わずかな増減を認めた程度であった。
 *出血傾向を示す血友病がウサギで多く発症した。
 *血糖値の上昇が認められた。
 *カルシウムイオン濃度の高いウサギもいたが、ほとんどは低く、
  その結果15~20種におよぶ病的状態が認められた。
 *尿酸値と残留窒素の増加が認められた。
 *予備のアルカリが減少し、アシドーシスが生じた。
 *患者の一部とウサギ全羽で体重の減少を認めた。

歯科疾患の根本原因はカルシウム・リン不均衡[P.85-86]

フロリダ州ピーターズバーグ・ビーチの歯科医師であった故メルヴィン・ペイジは、
プライス博士の、歯、扁桃、遺残扁桃の感染に起因する病巣感染に関しての研究だけでなく、
カルシウムにおける研究をも継承した偉大なる研究者であった。
ペイジ博士独自の血液に関する研究、
さらにカルシウム・リンバランス状態と全ての疾患との関係についての研究は、
プライス博士の研究を大いに補足するものであった。

ペイジ博士は、我々が10mgのカルシウムを使うためには、
血中にリンが4mgなければならないことを明らかにした。
4mgを上回っても下回っても進退の衰退の原因になると考えられた。
これは正確にカルシウムが10mg、リンが4mgなければならないという意味ではない。
必須条件として、カルシウムがリンの2.5倍必要だということだ。

何千回も繰り返し試験を行って、ほとんどの米国人の常食では
カルシウムとリンのバランスが崩れていることをペイジ博士は見つけた。
カルシウムとリンのバランスを崩す主な食物は、
砂糖、カフェイン含有製品、精製穀物、ソフトドリンクのたぐいである。

たとえば、砂糖ティースプーン1杯やコーヒー1杯で、身体の中のカルシウムが増え、リンが減る。
毎日砂糖を使っていて血液検査を受けたとすると、カルシウム値はたぶん10.8mgまで増えていて、
リンはおそらく3.4mgまで下がっているだろう。
リンの量を2.5倍すると、実際に利用されるカルシウムは8.5mgとなる。
しかし、血液検査結果ではカルシウムは10,8mgある。
実際の利用量8.5mgを差し引くと(10.8-8.5=2.30)となり、2.30mg余る。
つまり、身体が利用できない2.30mgのカルシウムが血流中で浮いた形になるわけだ。
利用されずに血中を流れるこのカルシウムは、実際、身体組織に毒性を有する。

さて、ここで次なる疑問が出てくることは十分予想される。
(1)過剰なカルシウムはどこからのものなのか? 
(2)この過剰なカルシウムは身体にどんな害を与えるのか? 
こうした緊急事態に備えて、骨格という巨大な貯蔵庫を自然は与えてくれているのである。
過剰のカルシウムは骨から引き出されるのだ。

リン不足のために利用できないカルシウムは、
異物かつ毒性物質として作用し、身体組織に沈着してしまう。
このような遊離状態のカルシウムは病原性物質となるのである。
たとえば、関節炎の関節に見られる沈着物になったり、腎臓や胆嚢では結石、
滑液嚢炎や腱炎がある場合には肘や肩へのカルシウムの沈着、目では白内障、
さらには動脈を塞ぐ主要成分になったりする。
あまり知られていないことだが、
アテローム性動脈硬化症で動脈閉塞物質の組成は95%がカルシウムであって、
コレステロールは0.5%にすぎない。

ソフトドリンクの場合には、主にリン酸と甘味料と化学物質から作られているので、
上述の作用とは反対の化学作用が起こる。
清涼飲料水を飲んだ後の数値は、カルシウムが10ではなく9.6に減り、リンは4.9に増える。
4.9×2.5 = 12.25mgがバランスの維持に必要なカルシウムの量である。
しかし、カルシウムは9.6mgしかないから、
血中にはカルシウムを探す過剰のリンが2.65mg一時浮遊状態となるが、
待機状態の骨中カルシウムで何とかなる。
ただこれが一度や二度の問題で、
また骨が十分緻密でこの種の偶発的な不足を補うに十分な量のカルシウムがあれば、
それほど問題にすることではない。
しかし、この種のアンバランスが日常的に起これば、
リウマチ様関節炎やくる病、骨粗鬆症や骨軟化症を起こす主因になる。

メルヴィン・ペイジ博士は、患者のカルシウム値をリンの2.5倍にできれば
必ず退行性疾患は消失することを発見した。
博士は本を3冊出しているが、前述したデータはベストセラー
Young Minds With Old Bodies(肉体老えども若き精神)に詳述されている。

総義歯患者は本物の歯と変わらないと言い張る[P.133]

義歯は、身体の中で置きかえられる人工物の中では最良のものに入るが、
よく治療された歯ほどには食物を咀嚼することはできない。
ところが、ほとんどの総義歯の患者は、義歯に感激して、何でも食べられると言い張る。

しかし、接種食品を調べたところ、義歯を装着している患者が特定の食品を噛めない場合、
咀嚼困難な食品は次第にその患者の食生活から姿を消して、
噛みやすい食品に変わっていくことがわかった。
やがて、多くの患者の食事の中身は、咀嚼力をほとんど必要としない軟らかな食品ばかりになる。
こうして選択された軟らかな食品は、栄養価の低いものがほとんどである。

根管充填症候群[P.133-134]

退行性疾患の数は非常に多いので、ここで全てを挙げることはしないが、
患者から動物へ感染歯をを移植し、その患者の疾患が容易に移ることを
プライス博士が発見した中でもっとも一般的と言えるものは以下のものであった。
関節炎、リウマチ、心臓病、腎臓・肝臓・胆嚢などの問題、
首・背中・肩の凝り、眼、耳、皮膚、帯状疱疹、貧血、
肺炎、虫垂炎、神経炎、神経痛、神経系障害、動脈硬化。

歯原性舞踏病(注意欠陥多動性症候群)[P.141-142]

シデナム舞踏病とか舞踏病というのは、現在、行動機能亢進症とか
「注意欠陥障害」と呼ばれている病気の古い医学用語である。
辞書による定義は、「四肢や顔の筋肉の不規則な痙攣性の不随意運動」である。

これが現代だけの症状だと思われないように、次の症例を紹介しよう。
以下の患者の話から、自分の子供にも同じような病巣感染がある可能性を
心配している親にとっては非常に重要な情報が得られるので、
プライス博士の第2巻Dental Infections and the Degenerative Diseases
(歯牙感染と退行性疾患)に出ている通りを引用することにする。

「この患者は9歳で、母親に連れられてやってきた。
次のような話があった。涙を流しながら母親はこういった。
『なぜ夫と私のあいだに、こんな呪われた子ができてしまったのでしょう? 
学校の先生は、この子が学校に戻ってくるのなら自分が学校を辞めると連絡帳に書いて、
この子を家に帰してきたのです』。

『この子は、挑発もされないのに顔をたたいたり、
他にも許せないような暴力を振るわずには、他の子と遊べません。
父親や私にも同じことをします。
そういう訳で、やむなく私たちはこの子を学校に行かせていません。
いい機会なので、歯など、あれこれと治そうと思ったのです』。

この少年について実験をいくつか行うと、やがて共同運動能力の喪失が大きいことがわかった。
この少年は、症状が極めて急性の舞踏病で、興奮期が非常に増大していた。
少年の歯のレントゲン写真を撮っているあいだ、
少年は挑発もしないのに私の顔を殴ろうとした。

このような実験を実施したほか、我々は、共調欠如の様子を映像に撮った。
じっと座っていることは明らかに不可能で、絶えず攣縮と衝動性があり、
このような患者によくあるように、不随意な筋肉の収縮を随意収縮にしようとしていた。
少年は、自分の膝が攣縮するのを見て、恥ずかしさを隠すために蹴りに見せようとしていた。
手についても同じであった。
不随意反射が起きて手が振れ出した時、手に何か持っていれば、
自分がそうしようと考えていたかのようにそれを投げようとした。

我々は、少年の教師が我慢の限界に来たことを不思議だとは思わない。
というのは、並の力では少年を制することは不可能であったし、
少年自身の意志でさえ制することは無理だったからである。
我々は母親に、『この子は悪い子ではありません。
脳の皮質の感染症にかかっており、おそらく感染した歯が主因でしょう。
感染をなくせばおそらく普通に戻ります』と、説明した。

少年の上記症状は極端だったので治療は非常に困難であったが、
非常に深い虫歯が存在し、歯髄まで感染の及んでいた乳歯を抜歯した。
そしてそれらの歯から採取した菌を培養してウサギに接種したところ、
数羽に中枢神経系の急性疾患が生じた。
また、刺激が殆どなくても横に倒れそうになる顕著な中枢神経系障害のあるウサギが、
この一連の研究で同時に4羽いた。

このようなウサギの1羽から脳皮質切片を作ったところ、
複数の点状出血と、拡散した双球菌による出血を認め、
それが興奮性と衝動性、はては暴力にまでつながると考えられた。
これら全部が組み合わさって舞踏病として現れることが非常に多いのである。」

これらの感染歯を抜くことにより即座に少年の状態は良くなり、極めて速やかに正常に戻った。
2週間で少年は学校に戻り、普通の子供らしくなって、5年経過した後も再発は認められなかった。

ジョージ・E・マイニー担当患者のリタリン失敗談[P.143]

私のところに子供を連れて栄養の相談に来たある親は、
リタリン治療の結果は悲惨だったと話してくれた。
息子はゾンビのようになって眠れず、眠ると悪夢にうなされた。
最悪なのは時々非常に暴力的になることだった。

遺残扁桃感染[P.152]

扁桃摘出術を受けた患者の53%が再手術を受けなければならなかったという事実を容認し難ければ、
1928年のJournal of American Medical Association誌第29巻1149頁に掲載された
ポール・S・ローズ博士とジョージ・F・ディック博士の研究結果を追加し、
その論文を引用する。

「感染した扁桃組織の切除が不完全だったために、たとえそれを専門医が行ったとしても、
扁桃摘出術は症例の73%がその目的を果たしていないことが、本研究によって明らかになった。

…多くの例において、扁桃摘出術が不完全であったために生じた状態は、術前よりも悪化している。

…感染病巣に起因する全身性疾患の患者は、最初の扁桃摘出術後には良くならなくとも、
最初の手術で残留してしまった扁桃組織の除去後はめざましく回復した。」

扁桃摘出術は非常に難しくて、不適切な場合は術後残った「切除断端」1gあたりの細菌数が、
切除した扁桃の細菌数より多いということがある。
感染した扁桃が病気の原因であるから扁桃の切除をしましょう
と勧められて手術を受けたものの、完全除去ができなかったために、
感染組織に対し何もしなかった場合よりかえって状態を悪化させてしまう。
後日、患者が扁桃除去の効果がないと医師に訴えても、
多くはその病気は何か他の病気であるに違いないと医師に言われるだけであった。
まして、神経症だとまで言われる患者も多く、精神障害の薬をもらうことさえあった。

三叉神経痛は慢性骨髄炎にすぎない[P.188-189]

1950年代初頭、ヨーロッパの医師や歯科医師数名により、
古い抜歯窩の多くにおいて、その部位が骨で完全に修復されないために、
顎堤に浅い陥凹部が残ったり、時として、それがもっと広範囲に及んだりしていることが報告された。

<中略>

近年の徹底した研究により、このような空洞部分は20~30種の細菌に感染していることが解明された。
感染症としてもっとも多く見られるのは慢性骨髄炎である。
この分野の代表的病理学者は、歯科医師で医学博士でもあるジェリー・E・ブーコットである。
彼はまた、モーガンタウンにあるウェストヴァージニア大学の病理学教授でもある。

<中略>

これまでにも、歯科医師は口や顔や顎に原因不明の痛みを訴える多くの患者を診てきている。
症状は概して慢性的かつ長期的であり、痛みは軽度のものから激痛まで様々である。
これら多くの症状を引き起こす原因についてはいまだ解明されておらず、
そのような痛みには悩まされる。

ブーコット博士は、根管充填された歯や空洞化した部分の両方、
またはいずれか一方を除去することにより、このような患者の多くが治癒することを見出した。
もっとも激烈な痛みを起こす疾患として知られる三叉神経痛(発作性三叉神経痛)の治療法は、
いままでは、酷い傷が残るのを承知で大切な第五神経を切断するか、薬物で焼灼するかしかなかった。
これらの症例に認めた空洞部を外科的除去することにより、ほとんどの患者の痛みは消失した。
これらの感染症のほとんどが軽度の慢性骨髄炎にすぎないことを知れば歯科医はまず驚くものである。

ブーコット博士は同僚らと、
Journal ofOral Surgery, Oral Medicine and Oral Pathology誌の論文において、
1992年3月に壊死性骨神経痛(死んだ骨による神経痛)の症例を1995件報告している。
そして、各研究者が診た1976年から1991年までの治験例全てを表にまとめて報告している。

滅菌率100%の水酸化カルシウム[P.210-211]

スウェーデン・ウメイの歯学部歯内療法学・微生物学科の研究者である
A・ビストローム、R・クレッソン、G・スンドクイスト博士らは、
1985年に、パラモノクロロフェノールカンフル、フェノールカンフル、
水酸化カルシウムの根管内細菌に対する殺菌能力について報告している。
プライス博士が研究した100を超える薬剤には、この三つは入っていないし、
これら3薬剤によって治療方法の改善ができるかもしれないので、その内容を紹介しておこう。

根管をフェノールカンフルかパラクロロフェノールカンフルで処理したところ、
30根管のうち10根管(33%)に依然細菌を認めたが、
水酸化カルシウムを1分作用させると35根管中1根管にのみ細菌の存在を認めた。
貼薬を1ヶ月間そのままにしておいた場合には細菌はまったく認めなかった。

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