バベルの図書館

書籍と雑誌の要約と解説

食品の裏側

食品添加物の元トップセールスマンが明かす食品製造の舞台裏

装丁
食品の裏側 食品の裏側
安部司(食品添加物の神様)
東洋経済新報社
ISBN4-492-22266-9
2005/11/10
¥1400
目次
私が主張したいのは、「添加物の情報公開」ということです。

添加物の世界には、消費者には見えない、
知らされていない「影」の部分がたくさんあります。
食品製造の「舞台裏」は、普通の消費者には知りようがありません。
どんな添加物がどの食品にどれほど使われているか、
想像することさえできないのが現状です。

しかし、実際に食品を選ぶのは私たちです。
それを口にするのは私たち消費者です。

「そんなふうにつくられているなら、食べたくない」
「高いお金を出しても、無添加のものがいい」
「安全性も大事だけど、やっぱり安いほうがいい」
「そもそも添加物に関心がないし、気にしない」

そのどれを選ぶかは、消費者の自由です。

ただ、そのためには、まずは「事実」を知らないといけない。
知らなければ判断のしようもない。
にもかかわらず、現状では何も知らされていないし、何も知ることができない。

本書は、そんな「裏側」を告発するはじめての本だと思います。

目次
  1. 食品添加物が大量に使われている加工食品
    1. 「明太子」「漬物」「練り物、ハム・ソーセージ」
    2. 低級タラコが、あっという間にピカピカの高級品に変身
    3. 10種類以上の「白い粉」で明太子はつくられている
    4. 10種類もの添加物を一度に食べるとどうなるか
    5. 「無着色明太子」は安全志向か
    6. 「プリンハム」の怪――100キロの豚肉から130キロのハムができる!?
    7. あなたがカゴに入れたのは「プリンハム」ではありませんか?
    8. 「素朴な疑問」を持つことがすべての始まり
    9. 「低塩梅干」は「高塩梅干」より体に悪い!?
    10. 梅干の形をした添加物
    11. 「低塩」の代償は誰に?
    12. 「おばあちゃんの手づくり漬物」に怒り
  2. 食卓の調味料が「ニセモノ」にすりかわっている!?
    1. 特売しょうゆはなぜ安い
    2. 「しょうゆ風調味料」のつくり方
    3. 「1リットル1000円」と「1リットル198円」の違いは?
    4. みりんにも「純米みりん」と「みりん風調味料」がある
    5. 「米だけでつくった純米酒」vs「米以外も使っている酒」
    6. 「米以外も使っているお酒」のつくり方
    7. 1本の純米酒から10本の酒ができる
    8. 値段だけを見て買わないで
    9. 塩にだまされるな
    10. 塩のうまみは海のミネラル
    11. 塩の情報公開を求める
    12. 酢や砂糖も「ニセモノ」がはびこっている
    13. 日本の食文化が崩壊していく!
    14. 子どもたちは「まがいもの」の味を「本物」と思い込んでいる
  3. 私たちに見えない、知りようのない食品添加物がこんなにある
    1. コーヒーフレッシュの正体は!?
    2. 水と油と「白い粉」でコーヒーフレッシュができる
    3. 「一括表示」の「裏側」で何が行われているか
    4. 「調味料(アミノ酸等)」の「裏側」に化学調味料あり
    5. なんでもかんでも一括表示。こんな便利な法律はない
    6. 「表示免除」の「裏側」にどれだけ添加物がはびこっているか
    7. 食品業界も情報公開を
  4. 今日もあなたが口にした食品添加物
    1. 知らないうちに大量の添加物を食べている現実
    2. コンビニ大好き 独身サラリーマンN君の1日
    3. N君は1日にどれぐらいの添加物を摂取したか?
    4. 「普通」の主婦F子さんの1日
    5. F子さんの摂取添加物はコンビニ生活よりひどい!?
  5. 食品添加物で子どもたちの舌が壊れていく!
    1. 秘伝のラーメンスープも「白い粉」の調合ひとつ
    2. うまみのベースはみんな同じ――粉末スープ=スナック菓子=だしの素!?
    3. 化学調味料――使用量はうなぎのぼり!?
    4. 「天然だし」も化学調味料入り
    5. たんぱく加水分解物――大豆を塩酸で分解!?
    6. たんぱく加水分解物はうまみ界のスター
    7. たんぱく加水分解物は「安全」か?
    8. たんぱく加水分解物が子どもの舌を崩壊させる!
    9. たんぱく加水分解物は天然だしか?
    10. 子どもにたんぱく加水分解物の味を教えないで!
    11. 魔法の色水
    12. 子どもが大好きなブドウ糖果糖液糖
    13. 急激に血糖値が上がる怖さ
    14. お母さんも子どもも身を乗り出して
  6. 未来をどう生きるか
    1. 「毒性」よりも怖い食品添加物の問題
    2. 忘れちゃいけない食品添加物のメリット
    3. 食品添加物は「敵」か?
    4. 食品添加物の物質名なんかわからなくていい
    5. 食品添加物とは、台所にないもの
    6. 「台所にないもの」から「裏」を見る
    7. 食品添加物と上手に付き合う5つのポイント
    8. 台所にある食材は本当に全部必要か
    9. 食の乱れは国の乱れ
    10. 食べ物が安易に手に入ると思ってしまう子どもたち
    11. 子どもに親が料理をする姿を見せる
    12. 子どもには10年かけて教える
    13. 手伝いと片づけが「食育」につながる
    14. 「舌」は必ず取り戻せる
    15. お父さんも家事をする
    16. 「まごころ基準」を持って
    17. 心ある消費者は、きっといる
    18. 無添加に甘えてはいけない
    19. みんな食品添加物が大好き
    20. 4人に3人が食品添加物を支持している
    21. あなたの小さな選択が食と心を変える
文献
  • 福岡都市科学研究所『福岡市民の食生活に関するアンケート』2003年[P.238]
校正
  • 「このたんぱく加水分解物」→この「たんぱく加水分解物」[P.160]

内容

  1. 添加物の毒性のみを煽りたてるのは私の意図するところではありません。[P.4]
  2. 安部司が食品添加物の告発に到った理由[P.41-43]
  3. 自分で作った加工食品を食べない業者達[P.43-44_75-76_150]
  4. 化学調味料漬けの明太子[P.46_58-59]
  5. 水増しされたプリンハム[P.63-64]
  6. 鳥羽醤油[P.81]
  7. 精製塩=化学塩[P.94]
  8. 植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたもの――それがあの小容器の「コーヒーフレッシュ」の正体なのです。[P.106]
  9. パックサラダは次亜塩素酸ソーダで消毒されている[P.120-121]
  10. インスタントラーメンのスープレシピ[P.149-150]
  11. 蛋白加水分解物の問題提起[P.158-163]
  12. 清涼飲料の1割はブドウ糖果糖液糖[P.175]
  13. 消費者の75%は食品添加物に無関心[P.235-237]

安部司が食品添加物の告発に到った理由[P.41-43]

「パパ、なんでそのミートボール、食べちゃいけないの?」

ミートボールの製造経緯に思いをはせていた私は、
子どもたちの無邪気な声にはっと我に返りました。

「とにかくこれは食べちゃダメ、食べたらいかん!」

皿を取り上げ、説明にもならない説明をしながら、胸がつぶれる思いでした。

ドロドロのクズ肉に添加物をじゃぶじゃぶ投入してつくったミートボールを、
わが子が大喜びで食べていたという現実。
「ポリリン酸ナトリウム」「グリセリン脂肪酸エステル」「リン酸カルシウム」
「赤色3号」「赤色102号」「ソルビン酸」「カラメル色素」……。
それらを愛する子どもたちが平気で摂取していたという現実。

このミートボールは、それまでの私にとって誇りでした。

本来なら使い道がなく廃棄されるようなものが食品として生きるのですから、
環境にもやさしいし、1円でも安いものを求める主婦にとっては救いの神だとさえ思っていました。
私が使った添加物は、国が許可したものばかりですから、
食品産業の発展にも役立っているという自負もありました。

しかし、いまはっきりわかったのは、
このミートボールは自分の子どもたちには食べてほしくないものだったということです。

――そうだ、自分も、自分の家族も消費者だったのだ。

いままで自分は「つくる側」「売る側」の認識しかなかったけれども、
自分は「買う側」の人間でもあるのだ。いまさらながらそう気づいたのです。

その夜、私は一睡もできませんでした。

添加物のセールスこそが自分の生涯の仕事と決め、
日本一の添加物屋になってみせると意気込んでここまでやってきた。
添加物で日本の新しい食文化を築こうと本気で考えていた。

しかし、自分の「生涯の仕事」は何かがおかしい。

なんのためらいもなく、添加物を売りさばくことしか頭になかった自分。
営業成績が上がることをゲームのように楽しんでいた自分。
職人の魂を売らせることに得意気になっていた自分……。

たとえは適切でないかもしれないが、軍事産業と同じだと思いました。
人を殺傷する武器を売って懐を肥やす、
あの「死の商人」たちと「同じ穴のむじな」ではないか。

このままでは畳の上では死ねない――そう思いました。

自分で作った加工食品を食べない業者達[P.43-44_75-76_150]

ある工場の工場長Aさんは、いつも
「俺のところの特売用ハムはだめ。とても食べられたものじゃない」と言っていました。

漬物工場の経営者Bさんもよく
「『価格破壊』の商品とはいえ、うちの漬物は買うなよ」と言っていました。
塩漬けされた輸入品のくろずんだ野菜を使い、それを漂白した挙げ句、
合成着色料で色をつけてごまかしているからです。

先ほど紹介したレンコン会社の社長Cさんも、
「あのレンコンは自分では食べない」と言っていました。
それも当然です。
あの真っ黒な「廃材」みたいな色をしていたレンコンが、
一瞬のうちに真っ白になる過程を見れば、
まともな神経を持つ人間ならとても口にできないでしょう。

餃子屋のDさん、豆腐屋のEさんも、同じ。

「自分のところでつくっている食品は食べない」

そう言い切る人がどれだけいたことでしょう。

アジの干物をつくっている工場のパートのおばちゃんの話も思い出しました。

あるとき割引で買える社内販売カタログが回ってきた。
そこには自分のところでつくっているアジの干物と、
こだわりスーパーのアジの干物が並んでいる。
パートのおばちゃんは全員、こだわりスーパーのアジの干物を選んだというのです。

自分の工場のものは、
次々と「白い粉」を大量に流し込んでつくった添加物の液体に、アジを漬けてつくる。
なかには刺激臭のあるものもあり、ゴホゴホとむせこみながら作業をするのです。

それにひきかえ、こだわりスーパーのアジは無添加です。

おばちゃんたちには専門的な知識などないけれど、
わけのわからない粉を大量に溶かし込んでつくった干物は、
本能的に気持ち悪い、だから自分たちは食べない、というのです。

*   *   *

「おばちゃん、この漬物は本当におばちゃんが家でつくっているものと同じものなの?
ずいぶんいろんな『クスリ』を使っているけど、家でもそうやっているの?」

ある県の「村おこし」のイベントに出席した私は、
模造店で販売されていた漬物を手にとり、売り子のおばさんにそう尋ねました。

「いいや、家でつくるのは塩だけしか使いません」

そういう答えが返ってきました。

<中略>

「家では使わないのなら、どうしてこの漬物を漬けるときは『白い粉』を使うの?」

重ねて尋ねる私に、おばちゃんは少々困り顔。

「家では使わなくても、工場でつくるときは、
こういうのを使いなさいと言われて、それで入れています」

<中略>

そのおばちゃんは、私にこう漏らしました。

「私らは、わけのわからん『白い粉』を溶かし込んでつくったものは、気持ち悪いです。
だから本当は家では食べません」

*   *   *

某インスタントラーメンの大手メーカーに勤める人は、
よくわからない粉を大量に混ぜ込む製造工程を知ってしまったら、
気持ち悪くてとても口にできないと言っていました。

化学調味料漬けの明太子[P.46_58-59]

明太子は、「無添加明太子など存在しない」と断言するメーカーがあるほど、
添加物なしでつくるのが困難な食品なのです。

*   *   *

とくに「化学調味料」の量ときたら、明太子以上のものはないと言われるほどです。
うま味を出すために、次々と袋を開けて、「白い粉」をザーッと混ぜ込み、
タラコを漬けるための調味液をつくります。
一昔前には、メーカーによっては、タラコが見えなくなるくらいに、
タラコの上に直接、化学調味料を振りかけているところもあったくらいです。
明太子に使われる化学調味料の量は、総重量の2~3%ほどです。
かまぼこも化学調味料を大量に使っている食品とよく言われますが、
それでもせいぜい1%程度。いかに明太子が化学調味料の多い食品か、
この数字を見るだけでもおわかりいただけるのではないでしょうか。
みんなが「おいしい」と言って喜ぶタラコや明太子、かまぼこの味――
それは化学調味料の味なのです。
いわば添加物の味を食品の味だと思って食べていて、
化学調味料を「おいしい」と言って喜んでいるのです。

水増しされたプリンハム[P.63-64]

業界には「プリンハム」なる用語があります。

響きは一見可愛らしいのですが、要は水を肉の中で固めたハムということです。

業界では、搾れば水が出るくらい水を含んでいるということで、
「雑巾ハム」とも呼ばれています。「水増しハム」と呼ぶ人もいます。

いずれにせよ、実態はなんら変わりません。

ハムの原料はもちろん豚肉ですが、
たとえば100キロの豚肉のかたまりから120~130キロのハムをつくるのです。

では、増えた20キロは何か?

もちろん「つなぎ」で増量させているのです。

増量させるために一番安くて便利なのは「水」です。
しかし水をそのまま入れ込んだのでは、肉がグチャグチャになってどうしようもない。
そこで加熱すると固まる「ゼリー」を使用するのです。

それ専用につくられた肉用ゼリー液を、豚肉のかたまりに注射器で打ち込むわけです。
100本ぐらいの注射器で、肉のかたまりにいっせいにゼリーをチューッと注入するのです。
一度見たら忘れられない、それはそれはすごい光景です。

次に、注入したゼリー液が肉の組織に均等に行き渡るように揉みこみます。
肉の全量に対して20~30%もの肉用ゼリーを打ち込むわけですから、
この段階では肉はブヨブヨ。
それをなんとか成形して加熱すると、ゼリー液が熱によって固まり、
最終的にちゃんとハムらしい形になるのです。

これが「プリンハム」のつくり方です。

この肉用ゼリーの原料は主に大豆や卵白ですが、乳たんぱくや海藻抽出物なども使われます。
要するに「固まればなんでもOK」という世界なのです。

鳥羽醤油[P.81]

しょうゆのうまみの素はアミノ酸です。

このアミノ酸。時間をかけて発酵させなくても、
大豆などのたんぱく質を塩酸で分解すれば、簡単につくることができます。
このとき使う大豆は、油は絞った絞りかすである脱脂加工大豆で十分。
「たんぱく質からアミノ酸」という図式で、
鳥の羽からアミノ酸を開発しているメーカーもあったほどです。

精製塩=化学塩[P.94]

海水から電気と膜を使って塩化ナトリウムだけを取り出したもの。
塩化ナトリウムの純度が高く、それ以外の成分はほとんど除去されています。
いままで一般的に使われていた食塩がこれに当たります。

パックサラダは次亜塩素酸ソーダで消毒されている[P.120-121]

なぜ、「カット野菜」「パックサラダ」は長持ちするのでしょう?

それらが長持ちするのは、実は「殺菌剤」(次亜塩素酸ソーダ)で消毒しているからです。
たとえ「殺菌剤」を使っていても、加工工程で使われただけで、
製品になったときには残っていない――
そんな理由から「殺菌剤」(次亜塩素酸ソーダ)という表示は免除。

しかし、カット野菜・パックサラダの野菜の消毒現場は、それはそれはすさまじいものです。

「殺菌剤」の入ったプールに、カットされた野菜を次々に投げ込んで消毒します。
しかも一度ではなく、濃度を変えて数回プールに入れます。
メーカーによっては、食べたときのシャキシャキ感を出すために、
さらに「pH調整剤」のプールにつけていたりします。

そんな光景を見たら、普通の人は絶対に食べたくないと思うのではないでしょうか。

そういうパックサラダを、みんな「健康のため」と思って食べているのです。

カット野菜を好む奥さんは、自分が切ったレタスはすぐに切り口が茶色くなるのに、
なぜ、売っているものはいつまでもきれいなのか――
そんな「素朴な疑問」を持ったことがあるのでしょうか。
プロが切るから切り口はいつも新鮮なのだと、本気で思っているのでしょうか。

少し考えれば、「何かおかしい」と思うのではないでしょうか。

インスタントラーメンのスープレシピ[P.149-150]

私も過去、さんざんインスタントラーメンのスープを開発しましたが、
たとえばとんこつスープなら、次のようにつくります。

まず塩を2・5グラム~3・5グラム用意します。使うのは安い焼き塩です。

これに「化学調味料」を加え、とんこつエキス、
チキンエキスなどの「たんぱく加水分解物」も入れます。
さらにホワイトペッパーなどの「香辛料」を微妙な配合で加えていきます。

ゴマや乾燥ねぎも入れます。
もう一口飲みたくなるよう、さっぱりした後味にするために「酸味料」、
とろみをつけるために「増粘多糖類」なども入れます。

これでとんこつスープの出来上がり。液体スープなどは一滴も使いません。

それは「食品」というよりも、まるで「工業製品」です。

メーカーは「白い粉」の調合の微妙な配合で独自の味を出しています。
それがメーカーのいう「味の探求」であり、「ノウハウ」なのです。

蛋白加水分解物の問題提起[P.158-163]

「たんぱく加水分解物」とは、肉や大豆などのたんぱく質を分解してつくられるアミノ酸のこと。
アミノ酸はうまみの素で、日本人が最も好む味なのです。

しかしこの「たんぱく加水分解物」こそが、実は非常に大きな問題を抱えているのです。

「たんぱく加水分解物」は正確には添加物ではありませんが、
食品の味を調えるという意味で、限りなく添加物に近い存在です。
にもかかわらず、この「たんぱく加水分解物」については
添加物の本などでも取り上げられることは少なく、
取り上げていてもあまり深く突っ込んだ記述はありません。

しかし、私はこれを非常に問題視しているのです。

「たんぱく加水分解物」には、2つのつくり方があります。

ひとつは酵素を使ってたんぱく質を分解する方法。
もうひとつは「塩酸処理法」といって、塩酸を使って分解する方法です。
後者のほうが早くて簡単にできます。

使用するたんぱく質には、植物性と動物性があります。
植物性でもっとも一般的に使われるのは大豆や小麦、大豆といっても、
たんぱく質だけが必要なので、油を絞ったあとのカス(脱脂加工大豆)を使います。

これを塩酸に反応させます。
塩酸で水の中の大豆を分解し(「加水分解」と言います)、
それを中和すると複雑なアミノ酸の液ができます。これがうまみの素です。
動物性の場合は、魚粉や動物のゼラチンなどを使用します。

そうして出来上がったのが「たんぱく加水分解物」です。

それは、もわっとした変な臭いのついたうまみ成分です。
おおよそみなさんが出会ったことのない臭いで、風味も何もありません。

私はよく講演のとき、これを会場に回すのですが、みんな、

「うわー、くさい!」

「変な臭い!」

と騒ぎます。

しかし、これに「とんこつパウダー」や「かつおエキス」などを混ぜれば、
そんな臭いは消し飛んで、うまみだけが生きてくるのです。

ちなみに「このたんぱく加水分解物」が普及しはじめたのは、30年ほど前から。

かまぼこやインスタント食品などの加工食品が急成長を始めた頃です。
それにともない、より複雑な味を出したいというメーカーからの要望が出てきたのです。

それまで、うまみの素の主役を担っていたのは「化学調味料」でしたが、
使いすぎると飽きられてしまう。「化学調味料」は言ってみれば単調な味なのです。

そこで、そんな「化学調味料」に代わり、
「たんぱく加水分解物」がさまざまな加工食品に使われはじめたのです。

求める味に合わせて、より簡単に、より自然なうまみを出せるということで、
「たんぱく加水分解物」の需要は急速に増えていきました。

時代背景もそれに味方しました。

生、または乾燥麺(ラーメンやうどんなど)が袋に入って販売されるようになり、
同時にスープをつけてセット販売されるようになったのです。

これによって、ラーメンスープの味は飛躍的に進化。
麺業者はスープを卸す加工食品業者にどんどん複雑で高度な「味」を要求してきました。

「もうちょっとチキンの味を強く」

「これは味噌のうまみが全然ないから、強くしてくれ」

「もっと後味がよくてコクのある味が出せないか」

それをまとめてなんでも可能にしてくれる「味のベースの魔法の粉」――
それが「たんぱく加水分解物」だったのです。

<中略>

いまでは、日本の加工食品は「たんぱく加水分解物」なしでは成り立たない――
そう言ってしまってもいいくらいです。

しかし、私はこの「たんぱく加水分解物」に対して、2つの意味で問題提起をしたいのです。

ひとつは安全性の問題です。

「たんぱく加水分解物」をつくるには、

酵素を使う方法と塩酸を使う方法があると述べましたが、
問題なのは後者の塩酸分解のほうです。

「たんぱく加水分解物」のヒントになっているのが、味噌としょうゆです。
しょうゆのうまみは何かといったら、
大豆のたんぱく質がこうじで分解されてできたアミノ酸なのです。
だったらたんぱく質を酸で分解してしまえば、うまみの素ができるだろう――
そういうことから「たんぱく加水分解物」はつくられるようになりました。

しかし、しょうゆや味噌がこうじでゆっくりたんぱく質を分解していくのに対し、
こちらは塩酸で強引にアミノ酸分解してしまう。

そこで問題となるのは塩酸を使うこと。

塩酸はいうまでもなく劇薬ですが、
これを使うことによって「塩素化合物」ができてしまう恐れがあるのです。
「塩素化合物」は、「たんぱく加水分解物」をつくるときの副産物といってよいものですが、
発ガン性が疑われている物質です。

現にメーカーでは「たんぱく加水分解物」に「塩素化合物」が
どれぐらい入っているかを厳しくチェックしているくらいです。

それは、メーカー自身もその安全性を問題視している、なによりの証拠ではないでしょうか。

そして、安全性以上に私が問題視しているのは、
「たんぱく加水分解物」によって起こる「味覚の破壊」です。

清涼飲料の1割はブドウ糖果糖液糖[P.175]

500ミリリットルの飲料には、
「ブドウ糖果糖液糖」が60ミリリットル以上は含まれています。
つまり、みなさんが普段飲んでいる500ミリリットルのペットボトルのうち、
なんと1割以上がシロップ(糖分)なのです。
粉末に計算すれば、ブドウ糖として25グラム以上、果糖として20グラム以上入っています。
皿に乗せれば山盛りの量です。

消費者の75%は食品添加物に無関心[P.235-237]

ここに面白い調査結果があります。

財団法人福岡都市科学研究所という団体が行った調査で、
それは農業や食に関する安全性の意識と実際に買い物をする行動とを調べたものです。

その団体は、15歳以上の男女1700人に、
以下の4つのような消費者のタイプを設定し、
「自分がどれにあてはまると思うか」といった質問をしました。

あなたもどのタイプに入るか、少し考えてみてください。

①積極型消費者

「食と農」は生命の源なので、安全なものなら多少高くても買うし、虫がついていても平気。
また、援農などの農水産家を支援する活動にもなるべく参加している

②健康志向型消費者

家族の健康や食の安全性を守るために食生活に注意しているし、
生協の購入活動や青空市場などもよく利用している。

③無関心型消費者

日々忙しくて食のことは大事だと思うが、安くておいしいものが食べられればそれで満足

④分裂型消費者

食の安全性や家族の健康には注意しているが、特別なことはやっていない

いかがですか?

そして左が、自分があてはまると回答したグループの割合です。

①積極型消費者   →5・5%
②健康志向型消費者 →16・6%
③無関心型消費者  →23・0%
④分裂型消費者   →52・4%

※徳野貞雄教授監修:2003年「福岡市民の食生活に関するアンケート」
(福岡都市科学研究所)を参考に作成。もともとは農業のデータだが、
添加物についても同じことが言える。無回答があるため、合計は100%にならない

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です