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書籍と雑誌の要約と解説

なぜ「牛乳」は体に悪いのか

医学界の権威が明かす牛乳の健康被害

装丁
なぜ「牛乳」は体に悪いのか なぜ「牛乳」は体に悪いのか
DONT DRINK YOUR MILK
フランク・オスキー(ジョンズ・ホプキンス大学医学部小児科部長)
Frank A. Oski,M.D.
訳・弓場隆(翻訳家)
東洋経済新報社
ISBN4-492-05925-8
2010/08/19
¥1100
目次
  1. 牛乳の糖質は、消化器症状を引き起こしやすい
    1. 胃腸の不快感の本当の原因
    2. 乳糖を消化するための人体のメカニズム
    3. 人類の大多数は乳糖不耐であるという現実
    4. 政府の隠ぺい体質
    5. 乳糖不耐の簡単かつ確実な解決策
  2. 牛乳のたんぱく質は、アレルギー体質をつくりやすい
    1. 牛乳アレルギーが多発している理由
    2. 牛乳の被害者は莫大な数にのぼる
    3. 鉄欠乏性貧血を引き起こすメカニズム
    4. 牛乳アレルギーの発症頻度
    5. 牛乳と虫垂炎の因果関係
    6. 自然の摂理に反する現代人の生活習慣
  3. 牛乳の脂質は、心筋梗塞・脳卒中・がんのリスクを高める
    1. 全国民の命にかかわる大問題
    2. 死を招く最大の危険因子
    3. 心筋梗塞を予防する食生活とは?
    4. 高脂肪食とがんの因果関係
    5. 脂質を摂取しすぎる現代人の食生活
  4. ミルクは赤ん坊を病気にかかりやすくする
    1. 人工栄養児の死亡率
    2. 育児法を金儲けの対象にしたことのツケ
  5. 牛乳はカルシウム源として不適切である
    1. カルシウム所要量の落とし穴
    2. 骨粗鬆症の実態
    3. 牛乳よりも好ましいカルシウム源となる食品
  6. 牛乳にありがちな風味の劣化と細菌の汚染
    1. 牛乳の風味の問題
    2. 牛乳の細菌汚染の問題
    3. 残留農薬の毒性の問題
    4. 牛乳とにきびの関係
  7. 難病の原因は牛乳だった!
    1. 牛乳と白血病
    2. 多発性硬化症と牛乳の関係
    3. 筋萎縮性側索硬化症
    4. 未成年者のリューマチ性関節炎
    5. 反社会的行動
    6. 牛乳と虫歯の関係
  8. 事実を歪曲している牛乳の宣伝と報道
    1. 連邦取引委員会の判断
    2. 有名人を利用した販促活動
    3. 消費者に利益をもたらさない宣伝
    4. 国民の牛乳信仰はどうやって生まれたか
  9. 牛乳は青少年の精神面に悪影響を及ぼす
    1. 慢性疲労を訴える子どもたち
    2. アレルギー性緊張弛緩症候群
  10. 牛乳は完全栄養食品の名に値しない
    1. 理想的な育児法のポイント
    2. 乳児期を過ぎた人の場合
    3. 牛乳が完全栄養食品の名に値しない理由
文献

内容

  1. ナイジェリア諸部族における乳糖不耐比率[P.24]
  2. 南米諸国の粉ミルク集団下痢事件[P.26-27]
  3. 黒人の乳糖不耐調査[P.27-28]
  4. 小児再発性腹痛は乳糖不耐に起因している[P.30]
  5. エール大学医学部小児胃腸クリニック所長のジョイス・グリボスキー医師は、
    「慢性的に下痢をしている子どもを週に少なくとも一人は紹介されて診察しているが、
    原因は牛乳アレルギーである」と語っています。[P.35]
  6. 胃腸出血による牛乳貧血[P.36-37]
  7. 牛乳アレルギーの発症頻度(J・W・ジェラード)[P.39-40]
  8. ネフローゼ牛乳原因説[P.42-43]
  9. 牛乳アレルギーの臨床報告(ダン・バゲット)[P.43-46_107-108]
  10. アテローム硬化は牛乳を飲む者に多い[P.62_157]
  11. 人工栄養児は死亡率が高い[P.68-69]
  12. 人工栄養児には胃腸炎が頻発する[P.70-72]
  13. リア・マルギレス「海外での粉ミルクの実態」[P.74-75]
  14. 一九八一年、世界保健機関(WHO)は、
    途上国での粉ミルクの販促活動を禁止することを決議し、
    「すべての赤ん坊は可能な限り母乳で育てられるべきである」
    という理念を支持しました。[P.78]
  15. 全米酪農乳業協会ですら、生後六か月までの赤ん坊には
    牛乳は不適切であることを公然と認めるようになっています。[P.79]
  16. 牛乳はリンが多いためカルシウムの吸収率が低い[P.83-84]
  17. 骨粗鬆症はカルシウムの摂取量とは関係がない[P.84_86]
  18. 牛が野生のニンニクやタマネギを食べれば、においが数時間以内に乳から漂います。
    さらに具合の悪いことに、牛が野生のニンニクのにおいを嗅いだだけでも、
    そのにおいが数分以内に乳から漂ってしまうのです。[P.91]
  19. ペニシリンに対してアレルギーを起こす人(全国民の推定一%程度)は、
    それが混入している牛乳を飲んだ後でペニシリンアレルギーの症状を示すことがあります。[P.95]
  20. ニキビ牛乳原因説[P.96]
  21. 牛乳中の牛白血病がヒトに感染する可能性を示唆する諸報告[P.102-104]
  22. 多発性硬化症は牛乳の消費量と関係している[P.105]
  23. 牛乳を推奨するアメリカ農務省[P.118]
  24. フランク・オスキーの牛乳告発に対する弾圧[P.119]
  25. アレルギー性緊張弛緩症候群牛乳原因説[P.126-127]
  26. アメリカ人は週に平均約四リットル程度の水しか飲んでいないことがわかります。
    水はもっと飲むべきです。[P.133]
  27. 白内障が乳糖とガラクトースの摂取に関連しているというリスクが
    一部の人々にあると考えられる。
    [P.158]
    Couet C, Jan P, Debry G, “Lactose and Cataract of Nutrition (1991 Feb.) 10(1) : 79 – 86.]
  28. 母乳に移行した牛乳蛋白が乳児に大腸炎を起こした症例[P.164]

ナイジェリア諸部族における乳糖不耐比率[P.24]

国立衛生研究所(NIH)の小児衛生発達部の部長を務めるノーマン・クレッチマー博士は、
ナイジェリアの諸部族における乳糖不耐の割合を調査しました。
対象となったのは、主要部族のうちヨルバ、イボ、ハウサ、フラニの四部族で、
次のことがわかりました。

ヨルバ族とイボ族は牧畜と無縁の地域に住んでおり、牛乳をほとんど飲まない部族です。
この両部族では一歳半から三歳までの幼児の九割に乳糖不耐がみられました。
一方、ハウサ族とフラニ族はナイジェリア北部で伝統的に牧畜を営み、
牛乳・乳製品が日常の食生活の一部になっています。
フラニ族の中で乳糖不耐の人が占める割合は二割程度でした。

Simoons FJ,Johnson JD and Kretchmer N,”Perspective on Milk-Drinking and Malabsorption of Lactose,”Pediatrics,59:98,1977.

南米諸国の粉ミルク集団下痢事件[P.26-27]

乳糖不耐という問題が認識されるまで、途上国への粉ミルクの輸出が引き起こした問題は、
アメリカ政府にとって困惑と不満の種でした。
粉ミルクがはじめて南米諸国に到着した後で起こったことは、今や語り種になっています。
現地住民が粉ミルクに水を加える作業を注意書のとおりに実行し、
おいしく飲んだ後で腹部の痙攣と下痢がどの村にも大量に発生したのです。

現地の反応は、「またしてもアメリカ帝国主義の陰謀だ!」という激烈なものでした。
その後も粉ミルクの輸入はつづきましたが、
現地の人々はそれをごく少量の水に溶かして丸太小屋の塗装に使うことにしました。
アメリカの一部の科学者は、「わが国の酪農・乳業界は今でも
乳糖不耐の問題を塗りつぶすことによって事実を隠ぺいしている」と皮肉っています。

黒人の乳糖不耐調査[P.27-28]

ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、
メリーランド州ボルチモアの黒人児童三〇〇人と白人児童二〇〇人を対象に
牛乳引用の習慣について比較調査を行いました。
全児童が昼食時に二五〇ミリリットルの牛乳を与えられました。
その結果、黒人児童の大半は与えられた牛乳を四分の一、
多くて半分しか飲みませんでしたが、
白人児童の中で牛乳を半分しか飲まなかったのは全体のわずか一割でした。
与えられた牛乳を半分しか飲まなかった児童の乳糖消化能力を検査したところ、
その能力をもっていないのは、
牛乳を飲む白人児童の一八%、牛乳を飲む黒人児童の三三%、
牛乳を飲まない黒人児童の七七%であることがわかりました。
牛乳を飲まない黒人児童に乳糖を試験的に与えると、
彼らの八五%が胃痙攣やガス、下痢といった消化器症状を起こしたのです。

そこで研究者たちは、
「黒人児童が牛乳に拒否感を抱いている原因は乳糖不耐にある」と結論づけました。
その子どもたちが牛乳を飲んで不快な症状に苦しんでいることについて、
アメリカ政府は経験的によく知っていながら無視を決め込んでいます。

Paige DM,et al.,”Lactose Malasorption and Milk Rejection in Negro Children,” John Hopkins Med J,129:163,1971.

小児再発性腹痛は乳糖不耐に起因している[P.30]

「小児再発性腹痛」を患っている子どもたちを対象にした研究が
ボストンとサンフランシスコで行われ、同様の結論に達しました。
その子どもたちの約三分の一は、腹痛が乳糖不耐に起因しているというのです。
唯一の簡単な解決策は、
牛乳・乳製品をすべて食事から除去して回復の兆しを見守ることでした。

胃腸出血による牛乳貧血[P.36-37]

牛乳に対する胃腸過敏の比較的軽い形態は、最近とみに報告が増加しています。
このタイプの過敏症が激しい症状を引き起こすことはめったにありませんが、
ゆっくりと確実に出血します。
乳幼児の場合、便に混じって一日一~五ミリリットルずつ出血するおそれがあり、
やがて貧血を起こします。
一日の出血量があまりにも微量なために視診だけではわかりません。
たとえ便の色が正常であっても、
胃腸の出血があるかどうかは血液生化学検査をしなければ判別できないのです。

アメリカの乳幼児にみられる鉄不足の半数は、
牛乳によって引き起こされる胃腸の出血が原因と考えられています。
アメリカの二歳未満の乳幼児の約一五~二〇%が鉄欠乏性貧血であることを考えれば、
これは驚くべき数になります。

牛乳アレルギーの発症頻度(J・W・ジェラード)[P.39-40]

牛乳アレルギーの問題を最も綿密に分析した最近の例として、
カナダのサスカチェワン州サスカトゥーン市の
J・W・ジェラード医師とその同僚による研究を紹介しましょう。

ジェラード医師らは牛乳アレルギーの発症頻度を確定するために、
自分たちが担当している七八七人の赤ん坊を出生時から調査しました。
その際、どの粉ミルクを選ぶかは指示しませんでした。
また、新しい食品を赤ん坊にはじめて食べさせた時期についても記録をとりました。

次の中から一つまたは複数の症状をもつ赤ん坊は、
牛乳アレルギーの可能性があるとして、さらに研究が行われました。

  1. 持続性か再発性の鼻づまり、ぜんそくの発作、胸部の感染症
  2. 持続性か再発性の発疹
  3. 他に原因が考えられない持続性か再発性の嘔吐と下痢

赤ん坊が牛乳アレルギーを疑われると、ミルクをやめて豆乳に切り替えられました。
症状が消えれば牛乳を再開し、それでもし症状が再発すれば牛乳・乳製品をすべて除去します。
そしてまた症状が消えると、再び牛乳・乳製品を摂取させるという具合に調査が行われました。
その際、二度目も症状が現れた場合に限って牛乳アレルギーと確定診断されました。

その結果、七八七人の赤ん坊のうち、五九人が牛乳アレルギーであることがわかりました。
発症頻度は七・五%です。

牛乳アレルギーと確定診断された赤ん坊に最も頻繁にみられた症状は、
下痢、湿疹、反復性の嘔吐、再発性の鼻づまり、再発性の気管支炎でした。

Gerrard JW, Mackenzie JWA, Goluboff N, et al.,”Cow’s Milk Allergy: Prevalence and Manifestations in an Unselected Series of Newborns,” Acta Paediatr Scand, Supplement, 234, 1973.

ネフローゼ牛乳原因説[P.42-43]

牛乳によって引き起こされるさらに深刻な合併症が、
コロラド大学医学部とマイアミ大学医学部の研究グループによって報告されています。
同グループは共同調査を行い、ネフローゼという厄介な慢性病を患う
一〇歳から一三歳までの多くの子どもの症例を突きとめました。

≪中略≫

医師たちが感動したのは、子どもの食事から牛乳を除去したところ、
たんぱく尿がすぐに治まり、かなりの改善がみられた
ことでした。
しかし、牛乳が食事に加えられると、一日から三日以内に重度のたんぱく尿がみられました。
調査にあたった医師たちは、牛乳やその他の食品に対するアレルギーが
一部の子どものネフローゼの再発に大きく関与していると考えています。

Deling B, et al.,”Hypersensitivity to Foods in Steroid-dependent Nephrosis,” Clin Res,74A,1975.

牛乳アレルギーの臨床報告(ダン・バゲット)[P.43-46_107-108]

私は1960年にアラバマ州モンゴメリーで開業して以来、
食物中の牛乳たんぱく質と小児の湿疹の因果関係に気づいていました。
また、湿疹をわずらっている子どもの多くは、
食事療法によって早期に湿疹を完治しておかなければ、
やがてぜんそくを併発することを知りました。

新生児のアレルギー疾患への対策として私が
食事療法による体系的な予防措置を講じるようになったのは、それらの経験的知識がきっかけです。

(中略)

私はまた、食物が呼吸器と消化器の障害にも明らかに関係していることに少しずつ気づきました。

1964年、私はサンフランシスコのウイリアム・ディーマー医師の研究を知りました。
同医師は、牛乳のたんぱく質が筋骨格の痛みを頻発させていることを指摘しています。
それ以来、厳格な食事療法にって、初期のリューマチ性関節炎と
思われる子どもたちの痛みをやわらげ、健康を回復させてきました。

約六年前、私は患者全員に牛乳・乳製品をいっさいやめるよう指導するようになりました。

≪中略≫

私はそれまでの五年間で年間平均四人の患者に虫垂切除術(盲腸の手術)を
勧めていたのですが、この五年半で手術を勧めた患者は二人しかいません。
しかも、最後に勧めたのは三年前です。

その二人の患者はどちらも牛乳を多飲していました。
現在、私の診療所にはぜんそく患者は一人もいません。
実際、私はぜんそく治療薬の処方の仕方を忘れてしまったほどです。

私が学んだことの中でおそらくもっとも重大な事実は、
牛乳のたんぱく質をいっさい含まない厳格な食事療法をつづけた子どもについては、
溶血性連鎖球菌が感染症を引き起こさないということです。

私はこのことを二年半前から知っていました。
現在のところ、例外はまったくありません。
連鎖球菌による咽頭炎や膿皮症を起こしている患者は、
医療機関を受診するきっかけとなった症状や兆候がはじまる
五日以内に牛乳たんぱく質を必ず摂取しているはずです。

連鎖球菌による病気と牛乳のたんぱく質の関係は、
それを検証するだけの時間と忍耐力のある小児科医なら
ほとんどだれでも証明できるはずです。

連鎖球菌が疑われるときは、子どもが診察を受けに来る直前の一週間に
牛乳やアイスクリーム、チーズを摂取したかどうかを子ども自身に問診するといいでしょう。

*   *   *

私はこれまでに、早期リューマチ性関節炎の兆候と症状をもつ子どもを何人も診察してきました。
その中の数人は、親だけでなく私も驚くほど症状が進行していましたが、
幸運にも、過去八年間にわたって一人の例外もなく、
牛乳・乳製品を食事から除去するだけで病状を和らげ、
子どもたちを健康な状態に確実に戻すことができました。
ある女の子は、リューマチの著名な専門医から
真性のリューマチ性関節炎と診断されて治療を受けてきたのですが、
私のもとで指導を受けて牛乳をやめたところ症状がかなり改善し、たいへん喜んでいます。

Baggert D,Jr.,Personal Communication.

アテローム硬化は牛乳を飲む者に多い[P.62_157]

ある病理学者は、事故死した一五〇〇人以上の青少年の心臓の血管を調べました。
死因は自動車事故や水難事故、弾丸による傷で、病死ではなかったのですが、
彼らの多くが心臓の動脈に病気の兆候を示していたのです。

これらの青少年の中で正常な血管をもっていた人とそうでない人がいた原因を探ったところ、
最大の違いは乳児期の栄養法にあることがわかりました。
正常な血管をもつ子どもたちの大半が母乳で育てられていたのに対し、
病気の血管をもつ子どもたちの大半は牛乳かミルクで育てられていたのです。
したがって、母乳栄養と人工栄養の違いが
冠状動脈の早期の変化をもたらしたと結論づけることができそうです。

*   *   *

牛乳の摂取と動脈硬化による心臓病との間に存在するのではないかと以前から
疑われてきた密接な因果関係が、近年の画期的な研究によって確認された

動脈硬化が青緑病原菌によって引き起こされる慢性の感染症であり、
牛乳がそれらの汚染物質である有機体を運搬する媒体になっているという
近ごろ発表された奇抜な仮説が裏づけられる形となった。
食事と牛乳が動脈硬化の発症に関与しているという修正主義的な見解が発表されている。

Rank P, “Milk and Arteriosclerosis,” Medical Hypotheses (1986 Jul.) 20(3) : 317 – 38,

人工栄養児は死亡率が高い[P.68-69]

最初の群は生後九か月間は母乳だけで育て、二番目の群には母乳にミルクを足し、
三番目の群には煮沸して還元した牛乳に砂糖を混ぜて飲ませました。
どの群の子どもにも生後一か月の時点からオレンジジュース、
生後一か月半の時点からタラの肝油を与えました。
さらに、生後五か月の時点からシリアル、生後六か月の時点から野菜を加えました。

結果はどうだったでしょうか。
生後九か月間で完全母乳栄養児と混合栄養児を合わせた死亡率は
一〇〇〇人につき一・五人の割合だったのに対し、
完全人工栄養児の死亡率は一〇〇〇人につき八四・七人と高い数値を示し、
さらに、完全人工栄養児では消化器系の感染症の死亡率が四〇倍、
呼吸器系の感染症の死亡率は一二〇倍に達していました。

それ以前にアメリカの八つの都市の赤ん坊を対象に行われた分析でも、同様の結果が報告され、
完全人工栄養児は生後六か月までに死亡する可能性が二〇倍も高かったのです。

人工栄養児には胃腸炎が頻発する[P.70-72]

母乳だけがもっている感染防御機能は、グアテマラの一連の研究でも実証されています。
上下水道の設備がきわめて貧弱で衛生状態が劣悪な地域の母乳栄養児を対象に観察が行われました。
毎週、検便を実施して病原菌の有無を調べたところ、
母乳栄養児の場合、無害な乳酸桿菌が検出されただけで
胃腸炎の発作に襲われる赤ん坊は一人もいませんでした。
それに対し人工栄養児の場合、胃腸炎は頻繁にみられたのです。

母親が赤ん坊の離乳をはじめようとしたとたん、便の中の菌の種類がすぐに変わりました。
便の中に大腸菌が含まれるようになったのです。

(中略)

ユーゴスラビア(現セルビア共和国)の首都ベオグラードにある新生児室で
胃腸炎が大発生した事例のくわしい分析は、たいへん参考になります。
新生児室に入院した合計一〇〇八人の赤ん坊に対する調査が半年間にわたって行われました。
この期間中、母乳だけで育てられた八八三人の赤ん坊には胃腸炎は発生せず、
便に大腸菌は検出されていません。
残りの一二五人の赤ん坊には、煮沸した母乳が与えられました。
この群の中からは一六人が胃腸炎を起こし、全員の便から大腸菌が検出されたのです。
しかし、この経験の後で全員に生の母乳を与えたところ、
二か月以内に大腸菌は新生児室から消えてなくなりました。

リア・マルギレス「海外での粉ミルクの実態」[P.74-75]

ジャマイカでの最近の統計によると、
首都キングストンに住む母親の九割が生後六か月より前に人工栄養を開始しており、
彼女たちの一四%が病院や産院で、
企業から派遣された「ミルクナース(牛乳看護師)」から粉ミルクの使用を勧められていた。

アメリカの製造元が「育児担当者」と呼んでいる人たちによって推進している常套手段だが、
それは関係諸国でくり広げられている高圧的な販促活動のごく一部にすぎない。
企業はまた、看板やラジオ、時にはテレビでも宣伝する。
ミルクナースは担当地域の家庭を訪れ、営業成績に応じて歩合制で報酬を受け取ることがある。
しかし、ほとんどの企業は彼女たちを雇って給料を雇って給料を支払い、
医者と結託して病院や産院で販促活動を行なわせている。
母乳にミルクを足しているナイジェリアの母親の九五%は、
主に看護師や助産師といった医療従事者にそうするよう指導されたと思い込んでいる。
しかしその原因は、育児法について助言をする乳業のスタッフが、
母親たちの目には医療従事者のように映る服装で営業活動をしていることにある。

Marguiles L,”Baby Formula Abroad: Exporting Infant Malnurrition,” Christianity and Crisis,November 10,1975,p.264.

牛乳はリンが多いためカルシウムの吸収率が低い[P.83-84]

牛乳には一リットルにつき約一二〇〇ミリグラムのカルシウムが含まれています。
一方、母乳には一リットルにつき約三〇〇ミリグラムのカルシウムしか含まれていません。
しかし、これだけの差があっても、母乳栄養児は人工栄養児より多くのカルシウムを吸収しているのです。

その原因は、牛乳がカルシウムだけでなくリンを多く含んでいることです。
カルシウムとリンの比率は二対一よりもやや大きいのですが、
リンは腸管内でカルシウムと結合するためにカルシウムの吸収を阻害することがあるのです。

骨粗鬆症はカルシウムの摂取量とは関係がない[P.84/86]

世界中の人々を対象に骨密度を調べる研究が行われました。
カルシウムの一日の摂取量がアメリカで推奨されている量とほぼ同じ人々と、
アメリカ人の半分以下しか摂取していない人々(主にアフリカの原住民)を比較したところ、
カルシウム摂取量が少ない人々に骨がもろいという現象はみられないのです

≪中略≫

アフリカ諸国とアメリカの黒人は、
ほとんどの白人に比べてカルシウム摂取量がはるかに少ないのですが、
骨粗鬆症の発症率は低く、かえって骨密度は高いくらいなのです。
この発見をもとに南アフリカの医学学術調査研究所のアレクサンダー・ウォーカー博士は、
「人間にとってカルシウム不足が存在するという確たる証拠はない」と述べています。

ウォーカー博士の見解は極論のように思えるかもしれませんが、
WHOの専門家グループは「一日のカルシウム摂取量が三〇〇ミリグラム未満でも、
健康に害を及ぼすという確たる証拠はない
」と結論づけています。

Walker ARP,”The Human Requirement of Calcium: Should Low Intakes Be Supplemented?” Amer J Clin Nutr,25:518,1972.

ニキビ牛乳原因説[P.96]

フィッシャー博士は、思春期のにきび患者が牛乳を多飲していることを発見しました。
さらに重要なのは、その患者たちが牛乳を飲むのをやめたとたん、
にきびが改善するのを発見したことです

牛乳中の牛白血病がヒトに感染する可能性を示唆する諸報告[P.102-104]

イギリスの権威ある医学雑誌『ランセット』に、「牛には要注意」と題する論説記事が掲載されました。
冒頭には、「牛肉が成人の大腸がんと関係している可能性があるという証拠とともに、
今度は子どもにも牛の新しい脅威が迫っているという情報を入手した」と書かれています。

その論説記事には、非加熱の牛乳をチンパンジーの赤ん坊に飲ませたところ、
六頭のうち二頭が白血病に冒されて死んだという実験結果が書かれていました。
それまでチンパンジーには白血病は観察されたことがありませんでした。
チンパンジーに与えられた牛乳が特殊であったことは付記しておかなければなりません。
ウイルスに冒された牛の乳だったのです。
そのウイスルは牛白血病ウイルスと呼ばれ、
牛に自然感染し、牛白血病を引き起こすと考えられています。

≪中略≫

チンパンジーの実験では、六頭がこの病気に冒されている牛の乳を出生時から飲み、
別の六頭はこの病気に冒されていない牛の乳を飲みました。
病気の牛の乳を飲んだチンパンジーのうちの二頭は、病気に六週間冒された末、
それぞれ生後三四週目と三五週目で死にました。
二頭は牛白血病に冒されていただけでなく、
チンパンジーにはあまりみられない伝染性肺炎にも冒されていたことがわかりました。

チンパンジーにうつる可能性のある伝染病のほとんどは、人間にもうつるおそれがあります。

Agranoff BW and Goldberg D,”Diet and the Geographical Distribution of Multiple Sclerosis,” Lancet,2:1061,1974.

≪中略≫

この気がかりな見通しについては、ペンシルベニア大学獣医学部のフェラー、ケニオン、
グプタの三人の獣医が『サイエンス』誌に投稿した報告書の中でも述べています。
牛白血病ウイルスに自然感染した二四頭の乳とその生細胞を子羊に摂取したところ、
二四頭の乳牛のうち一七頭に感染力のあるウイルスがあることがわかりました。
牛乳を加熱処理すれば、この感染力は破壊されると考えられていますが、
三人の獣医は次のような結論をくだしています。

「これまでの疫学調査では、人間と牛白血病の間には関連性がみられなかったが、
かなり多くの症例を対象とした最新の調査では、
牛白血病と牛白血病ウイルス感染の発生率が高い地域で
人間の急性リンパ系白血病が統計的に顕著な増加を示していることが判明した。
牛白血病ウイルスが人々の健康に害を及ぼすかどうかという疑問は、
ウイルス学的・免疫学的な方法を駆使して解明する必要がある」

Ferrer JF, Kenyon SJ and Gupta P, “Milk of Dairy Cows Frequently Contains aLeukomogenic Virus,” 213:1014,1981.

多発性硬化症は牛乳の消費量と関係している[P.105]

この病気の地理的分布の特異性に注目した
ミシガン大学のバーナード・アグラノフ博士とデイビッド・ゴールドバーグ博士は、
この病気を解明する手がかりとなる複数の要因と環境との関係を調査することにしました。

二人の科学者は、多発性硬化症で死亡した約二万六〇〇〇人のアメリカ人の地理的分布を調べました。
その結果、アラバマ、ジョージア、テネシーといった南部の州における多発性硬化症の発生数は、
人口比にもとづいて予想された数値の半分程度にすぎないことがわかったのです。
多発性硬化症とさまざまな因子との関係を調べたところ、
財産や教育とは関係がなく、医師や病院、病床、介護施設の数とも関係がなかったのですが、
牛乳の消費量と最も密接な関係があることがわかりました

アグラノフ博士とゴールドバーグ博士は驚きました。
二人は諸外国についても同様の関連性があるかどうかを調べるために
二一か国の実態を調査したところ、やはり、
多発性硬化症は牛乳の平均的消費量とだけ密接な関係がみられたのです

Agranoff BW and Goldberg D, “Diet and the Geographical Distribution of Multiple Sclerosis,” Lancet,2:1061,1974.

牛乳を推奨するアメリカ農務省[P.118]

これまでずっと酪農・乳業界は連邦政府と提携して牛乳の販促活動を展開してきました。
それを象徴する具体例は、アメリカ農務省が発行している『家族の食事の中の牛乳』という小冊子です。
主婦向けに作成されたこの手引書は、
「牛乳は家族全員に毎日必要な基本食品です」という一文ではじまっています。

フランク・オスキーの牛乳告発に対する弾圧[P.119]

私が牛乳の価値を疑問視する記事を書くたびに、それがボルチモア、
フィラデルフィア、ダラス、シラキュース、ランカスターのどの地域の新聞であっても、
記事の切抜きが全米酪農・乳業協議会のシカゴ本部にすぐに届けられます。
そして、いつも決まって同協議会からお叱りの手紙が私のもとに送りつけられてくるのです。

たいていの場合、同協議会の手紙の文面が当の新聞に掲載され、
その中で、私の記事を掲載した新聞社の姿勢を糾弾し、
これでもかというほど牛乳の効用を弁護していました。

アレルギー性緊張弛緩症候群牛乳原因説[P.126-127]

精神科医のH・L・ニューボルド医師は多くの患者を診察して、
不眠や不安、抑うつが食物によって引き起こされることを突きとめました。
大人であれ子どもであれ、これらの症状を最も引き起こしやすい食品は牛乳だというのです

この問題がいかに重大であるかは、クルック医師によって実証されています。
学校で多動や学習障害を指摘された四五人の子どもを八か月間にわたって診察したところ、
四一人の子どもが食物アレルギーのためにこれらの症状を引き起こしていることがわかったのです。
これらの子どもの場合、原因となる食物を取り除いたところ、
諸症状は部分的または全面的に緩和されました。

クルック医師は、
これらの子どもが平均三種類の食物に対してアレルギー反応を起こすことを突きとめました。
四一人の子どものうち、二八人が牛乳アレルギーだったのです。
砂糖に対するアレルギーも同じくらい頻繁にみられました。
卵や小麦、トウモロコシに対するアレルギーも同様でした。

Crook WG,”Food Allergy. The Great Masquerader,” Pediatr Clin No Amer,22:277,1975.

母乳に移行した牛乳蛋白が乳児に大腸炎を起こした症例[P.164]

牛乳が引き起こす好酸性の大腸炎を生後1週間目で起こした症例が報告されているが、
これはたいへんまれなケースである。

≪中略≫

家族歴を調べると、女児は出生後ずっと母乳で育てられていたが、
母親は産後ずっと1日にコップ4杯か5杯の牛乳を飲んでいることがわかった。
女児の皮膚に針を刺して検査したところ、牛乳たんぱく質が検出された。
体内で過剰な免疫反応を引き起こす可能性のあるIgE抗体を検出するためのラスト法を行ったところ、
牛乳たんぱく質に対して陽性反応が出た。
また、女児の血中IgE抗体の値は1.5IU/mlだった。
カゼイン加水分解産物を含む特殊な育児用粉乳
(製造元:米ミード・ジョンソン)を与えると結腸からの出血は治まり、
1週間後の内視鏡検査では紅斑が数か所にみられるだけで、症状は改善されていた。
女児は母乳だけで育てられていたのだから、
母親が摂取した牛乳たんぱく質が抗原性をもったまま母乳に移行したに違いないというのが、
われわれの結論である。

Wilson NW,SelfTW and Hamburger RN,”Sever Cow’s Milk Induced Colitis in an Exclusively Breast-fed Neonate.Case Report and Clinical Review of Cow’s Milk Allergy,” Clinical Pediatrics(Phila)(1990 Feb.)29(2):77-80.

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