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書籍と雑誌の要約と解説

11番目の戒律㊦

P&G社が犯した強姦殺人未遂事件

装丁
11番目の戒律㊦ 11番目の戒律㊦ – 汚されたアメリカンドリーム
The Inside Story of Procter & Gamble
アレシア・スウェージー
Alecia Swasy
岸本完司&藤松忠夫
アリアドネ企画
ISBN4-384-02259-X
1995/09/19
¥1700
目次
  1. タンポン・ショック<後編>――事故とその対策をめぐって
  2. 99.44%ピュア――職場としてのP&G
  3. 第十一の戒律――テーラー郡の環境汚染
  4. 眼下の敵――小売流通業との確執
  5. 世界を包むパンパース――国際化の光と影
  6. 自由社会への脅威――情報統制と取材妨害
文献
  1. Epidemiologic Investigation Reports,Nov.5,1986 & March 16,1989[P.13]

内容

紙オムツの毒素性ショック症候群疑惑[P.13]

P&GはCMCを別の材料で代替しておむつを改善した。

しかし使い捨ておむつと毒素性ショックをめぐってはいまだ不安がぬぐいさったわけではない。
ナイス(全国人身危害監視システム)が集計した
一九八五年一月から九三年一月のデータでは、
何件かの乳児の毒素性ショックが報告されている。
この監視システムは、病院の緊急処置室が扱った障害のうち、
製品に関連すると申告されたデータを集めている。
たとえば一九八九年、生後十三か月のミズーリ州の男児は
毒素性ショックから来る症状と診断されている。
「母親は、使い捨ておむつがTSSの原因かもしれないと看護婦にいわれたと主張する」
と報告者は述べている。

別の報告は、十三歳のニューヨークの女児の死因は「吸収力の高い使い捨ておむつを
着用中に産生した毒素による毒素性ショック症候群と推定される」と述べている。
診断した小児科医は、CDC(防疫センター)が定めたTSSの症状の三つを確認した。
この報告では、積極的にTSSと断定するには不十分だと医師が述べ、
両親は病理解剖に同意しなかったと述べている93

P&G強姦殺人未遂事件[P.92-94]

P&Gの公害問題を議論するには、報復を覚悟しなければならない。
リンダ・ローランドとステファニー・マクガイアは従姉妹同士で、
いっしょにフェンホロウェー川フィッシュ・キャンプを経営していたが、
水の汚染が魚に影響しているのを知って、ジョーイのグループに加わった。
二人のうちで積極的に話すのはローランドだが、
彼女は十五年間バックアイ工場で働いただけに、内情をよく知っている。
「私は工場のごみ処理場に化学物質を埋め立てていました」と彼女はいう51

二人のところに特命の電話がかかってくるようになったのは一九九一年五月だ。
ある日ヘア・カットから戻ると、男が電話をかけてきて不気味な声でこういった。
「おれのためにおめかししているのかい? それとも棺に入るためかい?」

男からは一日四、五回かかってきた。
電話機に録音機をつけてからかからなくなった。
そのころジョーイ・タウルズ・カミングスに悲劇が見舞った。
二十三歳になる息子のトレイが事故で死んだ。
同乗していたトラック運転手がコントロールを失ったのだ。
事故の直後から、
ローランドとマクガイアのもとには以前よりひんぱんに電話がかかってくるようになる。
「事故のことは知っているな。お前さんにだて起きるかもしれないんだ」
と男はマクガイアに伝えた。

釣り場に係留していたボートのロープが切られた。
自宅そばの小屋で買っていたクジャクが毒殺された。
電話はさらに続いた。二人とも連れや銃なしには外出しなくなる。
一九九二年四月七日の午後五時ごろ、
マクガイアの息子のショーンが貯金でゲームボーイを買うので店に行きたいとねだった。
ローランドが連れていくことにした。ちょうど町に用事があった。
マクガイアは家に残った。ボートのうち一隻が湾に出たまま戻っていなかったからである。
ローランドは子どもを連れて外出した。
「二人が出かけたとき私は炊事小屋で洗い物をしていました」とマクガイアはふりかえる。
「ボートが入ってくる音がしました」。
てっきり最後のボートが戻ってきたと思いこんで彼女は、外に出た。

マクガイアが見たのは家に近付いてくる迷彩服の男だった。
「あそこの道の牛の飼い主はどこだい?」と男はいった。
「一頭撃っちまったようなんだ」。
彼女は不安になった。見たことのない男だ。
きびすを返して家に入ろうとすると、さらに二人の男が近くの茂みから飛び出してきた。
一人が石で頭を殴り、彼女が倒れると、石を川にほうり投げた。
彼女はよろめきながら立ち上がり、男の口のあたりを殴り、歯を一本折った。
彼はマスクの下に手をつっこんで折れた歯を取りだし、ポケットに入れた。

暴漢は彼女をもう一度殴り倒し、手を踏みつけた。
そして葉巻の火を身体に押しつけ、剃刀で顔を切りつけた。
ひとりが川の水を傷口に浴びせ、低い声でいった。
「これでお前さんにはおれたちを訴える材料ができたわけだ」。
彼らはP&Gと争うのをやめろ、といった。
ボートから降りて来た男はマスクをしていなかった。
「生かしておくつもりはない」からだ、と男はいった。

「これがお前の拝む最後の顔だ」と彼はいった。
あとの二人が彼女をレイプした。
彼女の命を助けたのはおそらく飼っていたテリアの一頭、ブーブーである。
ブーブーは男の一人の顔に食らいつき、離さなかった。
男が犬をふりほどいて川にほうりこむと、傷から血がほとばしった。

三人はボートに引き返し、一人がショットガンに手を伸ばした。
「ああ、撃ち殺すつもりなんだと覚悟しました」とマクガイアはふりかえる。
しかし操縦者がボートのエンジンをふかしたので二人はバランスを崩した。
彼らはスピードを上げて川を下り湾に向かった。

マクガイアは家にはい戻り、六、七キロ離れた隣家に電話で助けを求めた。
彼女は九一一にダイヤルして救急車を呼んでいるが、それは記憶にない。
六時ごろローランドとショーンが戻ってみると近所の者が家の前にいて、事件を聞かされた。
救急車が到着し、隊員はシェリフに通報した。
「彼女は地元の病院を嫌がりました。ただの応急処理施設だからです」とローランドは語る。
そこで一行はタラハシーの病院に向かった。

救急室で、マクガイアは暴漢の一人に見覚えがある、とローランドに話した。
プラス・ランタンという地元レストランで見かけたというのだ。
彼女たちのグループがグリーンピースの女性を迎えた場所である。
しかしローランドには特徴が思い出せなかった。
マクガイアの記憶では、暴漢の服装は土地のハンターとは違う。
通常なら使い古しの迷彩服を着てベルトにナイフを差すからだ。
しかも彼らには地元の南部なまりがなかった。
「プロの手口ではないかと思います」とローランドはいう。

警察はいまだ半信半疑である。
「レイプされたのを信じようとしません」とローランドはいう。
「その上、私たちの『痴話』げんかではないかととがめたんです」。
自業自得という者もいたが、
彼女の証言を裏付けるような出来事が事件から六週間後に起きた。
マクガイアが流産したというのだ。

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