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書籍と雑誌の要約と解説

なぞの川崎病

洗剤原因説は、なぜ消されたのか?

装丁
なぞの川崎病 なぞの川崎病
船瀬俊介(医療ジャーナリスト)
三一書房
ISBN4-380-89232-8
1989/09/15
¥2500
目次
  1. 「いったい、これは何だ?」
    1. 遭遇
    2. 困惑
    3. 論争
    4. 激論
    5. 研究班
    6. 突然死
    7. 雪の朝
    8. 公園
    9. 動脈瘤
    10. 時限爆弾
    11. 病巣
    12. 血管炎
    13. 奇跡
    14. 狭窄
    15. モヤモヤ病
    16. 心エコー法
    17. カテーテル検査
    18. 限界
    19. 手術
    20. 血栓溶解
    21. “煙突掃除”法
  2. 高熱に喘ぐ子ら
    1. 姉と弟
    2. 顔が膨れ
    3. 氷のう
    4. 大発生
    5. 退院
    6. 合成洗剤「トップ」
    7. 親の会
    8. 同じ団地に
    9. バイパス
    10. オタフク風邪?
    11. 承諾書
    12. 辛いニュース
    13. ぜん息
    14. ライ症候群
    15. ザブで洗濯
    16. ミルクアレルギー
    17. マラソン
    18. プール
    19. 食事
    20. せっけんでも?
    21. 貸しオムツ
    22. ママレモン
    23. 病院でも
  3. 謎の病気……原因を追え
    1. 究明委発足
    2. 不可解
    3. 水銀中毒説
    4. 農薬説
    5. 抗生物質説
    6. 溶連菌説
    7. リケッチア説
    8. カンジダ説
    9. ウイルス説
    10. サンギス菌説
    11. ダニ説(三説)
    12. 免疫複合体アレルギー説
    13. 化粧品被害
    14. 心臓弁膜症
    15. 癌死
    16. アレルギーでは?
    17. 「アレルギー抗体」急増
    18. ほとんどアトピーだ
    19. 免疫グロブリン
  4. 老学究――「洗剤説」への道
    1. 名古屋へ
    2. 古武士
    3. “赤首さん”
    4. 難病「疫痢」に取組む
    5. 「食原病」
    6. 味噌アレルギー
    7. 多面的着眼
    8. 業界の猛反発
    9. 泰然自若
    10. 探究
    11. 帰省
    12. スタッフたち
    13. 追跡
    14. 愛弟子
  5. <合成洗剤アレルギー>説
    1. 論文
    2. 洗剤が怪しい
    3. ママレモン
    4. 洗剤漬け
    5. 残留洗剤
    6. ABS検出
    7. 100%の家庭で
    8. “過敏症”
    9. 薬物アレルギー
    10. 病因は?
    11. その毒性
    12. 発症メカニズム
    13. “洗剤漬け”野菜
    14. オムツかぶれ激増
  6. 消えていく容疑者
    1. 見たこともない
    2. 海外でも……
    3. “大流行”
    4. 集積性
    5. なぜ「感染症」か?
    6. 疑問
    7. ウイルスの関わり
    8. 細菌の宇宙
    9. 振り出しに
    10. 容疑者シロ
    11. カーペット洗剤
    12. 警告チラシ
  7. 暗礁――「全くわからない……!」
    1. 探索
    2. 「研究班」を追う
    3. 「病因」説の放棄
    4. 川崎博士
    5. 軍団の戦争
    6. 「原因」か「結果」か?
    7. なぜ免疫異常に……
    8. 「わからない……」
    9. 二段階説
    10. 花王とタイアップ
    11. 消えたデータ
    12. “反証”の検証
    13. 禁忌
    14. もみ消し工作
    15. 疑念の雲
    16. たとえば化粧品犯罪
    17. 沈黙する医者たち
    18. ウイルス説も
    19. レトロウイルス否定
    20. 解散
    21. 素通り
    22. 委員長
    23. 犯人は……?
    24. 継続?
    25. 空振り
  8. 考察――引き金<トリガー>は何だ
    1. 素因、要因……
    2. 素因 – なぜ戦後、日本にだけ激増?
    3. 素因その一 「食」の激変
    4. 赤ちゃんコンテスト
    5. 牛乳・肉・卵……
    6. 過剰栄養の罠
    7. 意外!卵・牛乳の害
    8. 素因その二 飽食は短命
    9. 素因その三 アレルギーの家系?
    10. 素因その四 人種的特性も
    11. 要因その一 風邪 – “感染”のなぞ
    12. 風邪症状
    13. それは「風邪」である
    14. 要因その二 過労
    15. 要因その三 予防接種?
    16. 要因その四 気象 – “桜前線の怪”への解答
    17. 病因その一 真の<引き金> – 合成洗剤
    18. 「せっけんでも」に反論
    19. ABSにアレルギー無し!?
    20. <謎>は解けた――!
    21. ABSがタンパク質と結合 – 異種タンパクの出現
    22. これこそ洗剤の毒性
    23. “異種タンパク”=自己タンパク
    24. 風邪症候群
    25. 紙オムツ
    26. 要因その五 抗生物質乱用
    27. 要因その六 風邪グスリ – 火事場にガソリン
    28. 転院のたびに重症に
    29. 病因その二、その三……
  9. 小爆発から大爆発へ
    1. 免疫とは?
    2. 食細胞(顆粒球)
    3. リンパ球のはたらき
    4. 「抗原決定基」
    5. ABSのたんぱく結合
    6. 爆発の四型
    7. Ⅰ型アレルギー……鬼っ子「抗体」
    8. Ⅱ型アレルギー……細胞障害(溶解)型
    9. Ⅲ型アレルギー……免疫複合体が引き金に
    10. Ⅳ型アレルギー……殺し屋(キラー細胞)の登場
    11. ある医師の死
    12. 川崎病はアレルギー病
    13. 侵入者ABS
    14. 第一の爆発(Ⅰ型アレルギー)
    15. キラー(殺し屋)の跳梁(Ⅳ型アレルギー)
    16. 自己攻撃(Ⅱ型アレルギー)
    17. 大爆発(Ⅲ型アレルギー)
    18. 証明
    19. 微生物の叛乱
    20. 誘爆発
    21. 終息
    22. 痕跡
文献
  • 『川崎病 – 疫学データのすべて』[P.29]
  • 親の会『川崎病をみつめて』[P.34]
  • 『心臓病はここまで治せる』[P.38]
  • 『川崎病がわかる本』[P.70]
  • 宮田雄祐『こわいカゼ薬』[P.89]
  • 『アレルギーの話』[P.127]
  • 『小児科臨床 第22巻No.11・1969/11/01』「急性熱性皮フ粘膜リンパ腺症候群(川崎)は、合成洗剤過敏症か」[P.165]
  • 三上美樹『洗剤のすべて』[P.177]
  • 日本消費者連盟『あぶない無リン洗剤』[P.189]
  • CDC(Center for Disease Control),Georgia Atlanta “KAWASAKI SYNDROME AND RUG CLEANING”[P.229]
  • ファインバーグ『アレルギー』[P.261]
  • 甲田光雄『アレルギー性疾患の克服』[P.304]
  • 『人はどこまで長生きできるか』[P.309]
  • 親の会『第一回全国アンケート調査』1984/10/01[P.318]
  • 親の会『川崎病ってどんな病気』[P.318]
  • 『合成洗剤』合同出版[P.330]
  • 『やっぱり石けんをえらぶ』合同出版[P.332]
  • 『子どもの薬』[P.343]
  • 『免疫とは何か』[P.351]
  • 『身近な血液ゼミナール』[P.353]
  • 『乳児栄養学』[P.371]

内容

石鹸だけでも発症したケース[P.96]

「合成洗剤?関係ないですよ。せっけんで洗っている家からも、川崎病は発病しているから――」。
かつて、朝日新聞科学部記者の田辺功氏は、私におっしゃった。
田辺記者は、長年川崎病を追っている気鋭の科学ジャーナリストである。

原因究明委員会の重松逸造氏も私の質問に
「イヤイヤ!洗剤使わないウチも変わらないんだから」と強調された。

「じつは、せっけんを使ってるのに、川崎病になっちゃったウチがあるんですよネ……」
88年11月。松江で行われる第10回「合成洗剤追放全国大会」の打ち合せに
県民生協、やまゆりの事務所をお訪ねしたときのこと。
理事長の梅村さんがフト呟いた一言に、耳をひかれた。
洗剤説を否定する事例か?
「やまゆりの組合員の方ですか?」。
少し息せききって質問する。
「そう。それも二軒もね」と口を結んで少し顔を振った。

坂本研究チームの発想[P.173-174]

まず市販の合成洗剤によるオムツの洗たくによって、洗剤の成分ABSが、オムツの生地に残留する。
赤ちゃんが生まれて真先に接するモノ、それはオムツと産着、さらにシーツである。
これは病院の新生児でも同じである。
その生まれて初めて肌が接する物質には有毒な合成洗剤(ABS)が残留している。
これは、とくにオムツの部位でオシッコや糞便に濡れて、
粘膜を侵す(その浸透力は想像をはるかにこえる)。
こうして、ABSに曝された幼若な皮フからの微量のABSの浸透によって、
ABSを抗原とみなした抗体が体内に生成される。

この子が、離乳期になってイチゴやキュウリを食べた、とする。
すると、これら野菜や果物もABS系の台所用合成洗剤で洗浄されている。
当然、ABSは残留、付着している。
体内で再度侵入してきたABSに対して抗原抗体反応、すなわち免疫反応が起こる。
大多数の乳幼児は、この免疫反応がスムーズに行なわれ、
異常が発現することなく、体外に無毒化されて、排泄されるのであろう、
しかし、ごく一部の乳幼児に(おそらく1%以下か?)
激しい免疫異常反応、すなわちアレルギーの症状が現われる。

名鉄病院薬局によるオムツのABS残留量調査[P.175-177]

オムツへのABSの残留。調査チームは次のように測定した。
名鉄病院・外来に来ている母親を1968年7月、無作為に25人を選ぶ。
この母親たちに各々家からオムツを持ってきてもらった。

これらのオムツを、1Lの水に浸ける。
そしてその水の中に溶け出たABS量を測定した。
すると25例中24のオムツからABSが溶け出た。
その溶出量は最高値はナント75mgにも達した。
平均でも15.5ppm(使用水は井戸水。ABS陰性)。
その当時のふつうの家庭のオムツの洗剤汚染がはっきり確認されたのである。

同様にこの冬、2回目のオムツ調査を行なった。
外来20の家庭から集めたオムツのテスト。
やはり19名のオムツからABSが検出された。
95%もの検出率である。
浸したすすぎ水にさえ平均15ppmも溶け出すのだ。
だから、オムツ本体には相当量のABSが吸着・残留しているのは間違いない。

では、1回のザブ、アタックなどの合成洗剤で洗っただけで布地に相当残留するABSは、
どれだけすすげば水中に溶け出さなくなるのか?
それを名鉄病院スタッフが調べた結果が表である。

■8回すすいでもなお溶け出すABS
洗剤濃度 被洗物 水すすぎ回数(2Lですすぎ、うち1中の残量)
2回 5回 8回
0.35% タオル(49g) 25ppm 2.5ppm 1.5ppm
テトロン・ウール(37g) 5ppm 2ppm
ナイロン(29g) 3.5ppm 1ppm

(名鉄病院、薬剤師グループ実施、高木他)

ふつうの洗たくの合成洗剤の濃度(ABSで0.35%)で①タオル(木綿)
②テトロン・ウール③ナイロンの布地を洗ってみたのである。
木綿のタオルのばあい、8回洗ってもまだ、すすぎ水の中にABSが溶出することに驚く。

<中略>

恐ろしいことにアタックやワンダフルなどの合成洗剤は、
洗いこめば洗うほど、布への残留値は大きくなっていく。
回数が増えれば、ABS残留は増える。洗う回数の多いオムツなどは最悪だ。

さてこうした研究班のオムツの追跡調査の結果、
名鉄病院外来の計45名中43世帯にABS残留が確認されたのである(96%)。

洗剤カーペット説[P.229]

川崎病にかかった子どもは、ほとんどいつもカーペットのクリーニング中、部屋にいたか、
あるいはカーペット洗剤が使われて二時間以内に部屋の中に入ってきた、というデータがあります。
重要なのは、洗浄後、部屋に入って、なにもなかった子どもに比べ、
川崎病にかかった子はさらにそれより早く部屋の中に入っているということです。
カーペットを洗ったら、すくなくとも数時間は子どもをその部屋のなかに入れないようにしましょう。

川崎冨作と花王の癒着疑惑[P.245_257-261]

89年3月1日、日赤医療センターに電話。
小児科に回され、すぐに川崎氏につながった。
「ああよろしいです。明日二時にお待ちしています」。
意外なほど気さくな応対にほっとする。
翌二日。広尾の日赤医療センターの白いビルは、青く晴れ渡った空に高く聳えていた。

*   *   *

――合成洗剤のABSによるアレルギーじゃないか、という疑問がありますが。

川崎「ぼくは、合成洗剤アレルギー説が出たときにね」

――名古屋大学の・・・・・・。

川崎「坂本陽先生。(いわくあり気な笑みを浮かべて)この先生は戦前、
疫痢の味噌アレルギー説をを立てられて、当時は一世を風靡したんです。(笑)
ああいう日本で旧帝国大学の大先生で教授なんていうと、
すぐに権威で言われたことは、影響するところ大きいです」

――味噌の業者が怒ったとか・・・・・・。

川崎「戦後、疫痢がなくなっちゃって・・・・・・
疫痢の味噌アレルギー説もどこかへ吹っ飛んでいったんだか・・・・・・。
川崎病の合成洗剤アレルギー説もどこへ行っちゃったか、わかんないです」

――はあ・・・・・・。そうですか。

川崎「そのときに、花王石鹸の研究所とタイアップして・・・・・・」

(この発言には、内心ハッ驚いた。突然、花王の名前が出てきた。
よりによって当事者企業の花王とタイアップして合成洗剤原因説を追っかけたとは!!)

「患者の(赤ちゃんなど)の皮フに原液を薄めたやつをズーッと
(と、自分の腕をさす身ぶり)パッチテストをしてみた。
注射じゃなくて皮フにちょっと傷をつけて(スクラッチパッチ)テストをやったんです。
10例ほど。だけどコントロール(比較対照群)と変わりないんですヨ。
こんどは、花王石鹸に頼んで大人に(ABS等を)飲まさせた」

これには、内心ギクッとした。
よりによって毒物の合成洗剤を人体実験で飲ませたとは・・・・・・。

――ハア・・・・・・!?あれは毒性があるはずですが。(唖然として聞く)

川崎「研究所の人が、飲んだんですヨ。だけども別になにも起こらないんです」

――お腹が下る、とか。

川崎「ン・・・・・・
いっぱい飲むと便がやわらかくなるらしいですけど。下痢する」

――人体実験までやったんですか!

川崎「ずーっと前ですけど。
それは花王石鹸の人たちのボランティアでやったわけ。
花王の研究所に勤めている人が自分で飲んだわけです」

――社員も大変ですねぇ・・・・・・。

川崎「それはネェ・・・・・・。
飲んで下痢しちゃって、腸管から吸収されないで、おしっこに出てこなければ・・・・・・。
出てくるかどうかということも調べてもらった。
そしたら、それがむつかしい。なんか、分解されちゃって。
それでおしっこに出ているか、出ていないか、という証明が非常に・・・・・・(定量判断が)むつかしい。
そういうことがあった。
それで、そんなに大きなアレ(変化)がない、というんで。
・・・・・・ぼくはもう(合成洗剤は)関係ないと思った」

こうして、合成洗剤の有毒な主成分・ABSによるアレルギー説は、
あっけなく葬り去られてしまったのだ。
いささか呆気にとられてしまったが、
念のため、アメリカ疾病調査センター(CDC)のアラン・ローチ博士の
「カーペット用洗剤」の英文の「注意書」を、示してみる。

――アメリカで川崎病を追っかけている研究者が、
送ってくれたのですが。アレッと思ったんです・・・・・・。

川崎「ああ・・・・・・カーペットのシャンプーの洗剤ね
(と、英文チラシを一瞥)。あれも全然、意味ないですよ」

――カーペットを泡で洗浄したあと赤ン坊がハイハイして入ったというんですが。

川崎「あれもネ・・・・・・。まったくアレするに足りないです」

その花王と共同研究で行った追試のデータは、今もあるのだろうか?
「パブリシティ(公表)しなかったからねえ。花王にもないでしょう」

ちょっと待ってくださいと川崎博士、何やら資料を探し出してきて
「ああ、これしかないですね。
第四回大阪心臓病研究会(昭和51年2月21日)で
私が講演してますね、抄録に『名古屋大学、
坂本らが川崎病の原因説として中性洗剤アレルギー説を唱えた。
しかし、中性洗剤には(患者の)皮フテストは陰性であった――』
としか、ないや。このとき、皮フテストのスライドを使って
説明した記憶があるんですけど・・・・・・」。

博士の記憶では、この“追試”をやってたのは
「坂本博士が1969年に『洗剤説』を発表して、そのすぐ後。ニ、三年後にやったと思う」。
いまひっぱりだしても、これだけしかないなァ、とつぶやく。

「ノートか何かの形で残ってませんか?」。
思わず食い下がって聞いてみる。
「いや、そんなものないですネェ・・・・・・」。

その後、心臓財団他、いろいろなところに
「大阪心臓病研究会」なる「学会」について問合せてみたが
「聞いたことがない」ということであった。
「ずいぶん古い話なので記録などもないでしょう」とも。

問題の花王に直接問合せてみる。
3月10日。午後。広報の加藤氏が電話に出る。

――20年ほど前、花王研究所のほうで川崎博士と共同研究で
川崎病の調査をしたはず。経過を知りたいのだが・・・・・・。

花王 古いことなので知ってる人も50代60代でしょう。調べてみます。(そして約二時間後)

――当時の人、いましたか?

花王 古い人に聞いたんですが、ちょっとわかる人もいないんですネェー。

――記録がファイルで残っているのでは?

花王 とくにないみたいなんです。
どっかにあるかもしれないけど・・・・・・。
だれがそれ(川崎病研究)に参加したかも、わからない。

――社史に載っているのでは?大事な研究だから・・・・・・。

花王 90周年記念の社史がありますが、私の読んだかぎりではナイですネ。

――古い資料の中にあるのでは?

花王 当時の故とぉわかる人間がいないんですヨ。
花王研究所を統括する「研究開発本部」のほうに聞いてみたんですが
「イヤ、わかんないナァ・・・・・・」と。

ハプテン説[P.373-374]

ABSは「ハプテン」である。
血管内膜細胞の遊離たんぱくは「たんぱく抗原」(ハプテン・キャリアー)に該当する。
これは、「ハプテン」を運ぶという意味である。
「体内に入っても抗体への刺激にならないハプテンの存在は1930年代から知られていたのですが、
ベラセラフ、ゾルタンオバリーという学者らが、
近年、この『ハプテン・キャリアー』の存在を証明したのです」
と理化学研究所の免疫学専攻の中内啓光医師。
ベラセラフ博士はこれらの業績で1980年ノーベル賞を受賞した。
キャリアーにくっついたハプテンが侵入するとBリンパ球が
“異物”と認識して「ハプテン」にたいする抗H「抗体」(IgE)が産生される。
これは血中に放出され、全身に分布する肥満細胞(白血球の一種)に付着。
つぎの「ハプテン」(ABS)の侵入を待ち構える。
そこにフリーの「ハブテン」(ABS)が侵入してくると、今度は、ABS単独でも「抗体」と結合する。
もはや、たんぱく(キャリアー)にくっつかなくても、単体ABSはアレルゲンとしてはたらく。
すると、肥満細胞の細胞膜がやぶれてヒスタミン、
セロトニンなどの刺激化学物質(アレルギー症状)を引き起こす。

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