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書籍と雑誌の要約と解説

やってはいけない美容法

あなたは、より美しくなれる

装丁
やってはいけない美容法 やってはいけない美容法
日本消費者連盟
三一書房(三一新書975)
ISBN4-380-86005-1
1986/5/31
¥777
解説
女性雑誌には「痩身」「伸長」あるいは「バストが豊かになる」「永久脱毛」――
等々の広告が満載されています。

ところが、当の厚生省ですら、
これらの効能は全くなく「一〇〇%ウソである」と断言しているのです。

それなのに、何万、何十万人という女性がこのような悪質広告にひっかかっている。
滑稽というより哀しむべき現実です。

それどころか、何十万円ものお金をだまし取られたり、
逆に身体をこわしてしまった人も後を絶ちません。

あなたの周りに、そういう方はおられませんか?

この本の中には、
本当に美しくスリムになるための方法もわかりやすく書いておきました。

目次
  1. どこまで、ほんとうなの?
    1. 増える! 美容被害
    2. 化粧品皮フ炎病院データ
    3. 洗浄用がアブナイ!
    4. 乳液も
    5. バイオでかぶれ
    6. ニキビクリームと癌
    7. ニキビ対策
    8. 肌の救急病院
    9. スクワラン広告
    10. スクワラン湿疹
    11. まつ毛パーマ
    12. 脂肪とり(?)ベルト
    13. スリム・エース
    14. 「伸長広告」被害例
    15. ヒップアップガードル
    16. 日焼けサロン
    17. バイオビーム
    18. ミネラル麦茶
  2. 私の失敗例……くやしかった!
    1. エステティック狂躁曲
    2. 美容サロンキャッチ
    3. 素肌美容センター
    4. 美容クリニック無残
    5. アイレディース被害
    6. パーマ液
    7. 毛染め
    8. 麦飯石商法
    9. 花王ソフィーナ
    10. ベルジュバンス
  3. 「やせる、やせる」というけれど
    1. 甘い誘惑
    2. 「ヤセターイ!」痩身願望
    3. 拒食症
    4. 「理想体重」の神話
    5. コンニャク商法
    6. エレーヌにひっかかった
    7. 「やせる本」八三冊…!
    8. 月見草
    9. ウーロン茶
    10. ウソツキ美容広告
    11. 「やせる」のまやかし
    12. 「背がのびる」はダメ
    13. 「豊かなバスト」の偽り
    14. 体験談
    15. 有名人も
    16. FDAの警告
  4. まちがいだらけのバイブル本
    1. 『スプーン三杯飲むだけでやせられる』
    2. 『グングンやせてもう二度と太らない』
    3. 『女のヒフは老化しない』
    4. 『今日からお肌美人』
    5. 『髪がゴワゴワ生えてくる』
    6. 『ニキビがきれいに治る』
    7. 『ヘア・ケア常識はウソだった』
    8. 『紫根による美肌革命』
    9. 『らくにシミをとる本』
    10. 『びっくり! シミがとれた』
  5. さあ! ほんとうに美しく――
    1. 鈴木その子式
    2. 「ハイセボン」摘発
    3. 「西田式」の失敗
    4. そして逮捕
    5. バイブル商法
    6. 不安支出
    7. やせるには?
    8. 健康に! 美しく!
文献
  • 『ニッポン消費者新聞』「広がる“健康食品禍”」1985年11月1日[P.13_16]
  • 日本消費者連盟『続あぶない化粧品』157頁[P.17]
  • 『月刊サッポロ』1985年6月28日[P.20_24]
  • 『北海道消費者リポート』1985年6月20日[P.22]
  • 『UTUSAN KONSUMER』「ニキビクリーム、癌と関連」35頁(1985年10月)[P.32]
  • 『UTUSAN KONSUMER』「日焼けサロン」64頁[P.33]
  • 『ダイムリポート』「マックスファクター“肌の救急病院”「プロフェクタ」発売」(1985年10月17日)[P.39]
  • 『ニッポン消費者新聞』1985年8月1日[P.52]
  • 『毎日新聞』「お腹の脂肪にアタック」1985年12月8日[P.55]
  • 『東京新聞』「ミセスに提案……」1985年9月30日[P.61]
  • 『続あぶない化粧品』71___158_89頁[P.67_69_157_177_193]
  • 『週刊現代』1985年8月10日[P.68]
  • 国民生活センター『危害情報報告書』[P.84_94]
  • 『週刊新潮』1985年7月18日[P.95]
  • 山崎伊久江『ヘア・ケア常識はウソだった』186頁[P.114]
  • 『グングンやせてもう二度と太らない』170頁[P.115]
  • 『東京新聞』1984年11月17日[P.119]
  • 『朝日ジャーナル』1985年5月24日[P.123]
  • 『朝日新聞』1985年6月28日[P.130]
  • 小学館『ダイエットバイブル』[P.133]
  • 『朝日新聞』1985年11月8日[P.135]
  • キャシー中島&村寛子『キャシーと寛子が月見草でいきいきやせた』[P.136]
  • 『朝日新聞』1984年10月27日[P.178]
  • 『朝日ジャーナル』1985年5月24日[P.203]
  • 『朝日新聞』「1日1粒背が伸びる」1985年5月28日[P.211]
  • 本畝淑子&宮田雄祐『こわいカゼ薬』[P.219]
  • 『週刊ポスト』1986年1月31日[P.219_221_227]
  • 『創』1986年1月2日[P.223]
  • 『朝日新聞』1986年1月31日[P.228]
  • 『たしかな目№24』[P.228_229]
  • 『消費者の声』1985年11月[P.233]

内容

利尿剤入り痩せ薬『スリム・エース』[P.56-58]

製造販売元はエコール・ド・ユーマー社(本社・東京都渋谷区)。

同社は「スリム・エース」と名づけた錠剤(一箱一八錠入り、九、八〇〇円)を
「一日一粒でやせられます」をキャッチフレーズに全国的に売りさばいていたものです。
(それにしても一粒ナント約五五〇円!)

ところが、福岡市内の服用した人から重大な症状の訴えが福岡県薬務課に寄せられた。

「『スリム・エース』を一錠飲んだらすぐにトイレに行きたくなり、
ひっきりなしに大量の尿が出て、身体がだるい」

この異様な副作用に着目した同課は「スリム・エース」錠剤を
同県衛生公害センターで成分分析したところ、驚いたことに、
一錠(一g)当たりに「降圧利尿剤」(フロセミド)が三九mgも検出されたのです。

<中略>

この恐るべき“やせるクスリ”の一件は福岡県よりすぐさま厚生省に通報。
これを受け同省はエ社に対して、薬事法違反の疑いで
「スリム・エース」剤の①販売の中止②製品の回収を指示したのです。

ミネラルを含有していない『ミネラル麦茶』[P.71-72]

ミネラル麦茶なる商品の製造方法は次のとおり。
ミネラル石と称する石を煮出す。その液を麦茶にふりかける。で、でき上がり。

その効用として
①石粒の作用で水道水中の残留塩素がなくなる
②石粒から相当量のミネラル分が溶出する――と表示にうたっています。

そこでテレビCMの「ミネラール……」となるわけです。

この“特殊な”麦茶を製造販売していたのはハウス食品工業、伊藤園、石垣食品など六社。

ところが公取委がこれらミネラル麦茶を試買、
テストしてみたところ次のようなガッカリする事実が判りました。

①ミネラル石からはミネラル成分はほとんど溶出していない。
②水道水の残留塩素は麦の成分で消えていたので、ミネラル石は全く無関係。

この分析結果をふまえて公取委は、八五年六月、
先の「水出し用ミネラル麦茶」メーカー六社に対して
景表法(第四条)違反の不当表示として警告。
さらに全日麦茶工業協同組合(加盟一〇七社)に対し、
「ミネラル麦茶」の適正表示を求めたのです。

ヴォロワールのあぶない化粧品便乗商法[P.78-79]

「私は五九年八月八日一八時頃銀座で、㈱ベルファ直営サロン『ヴァロワール』従業員に
『サロンの資料集めに協力してほしい』と声をかけられました」
東京都・豊島区・H・K子さんの苦情の便りです。
「さらに『美容の先生が近くにいるから肌の状態もわかる』
と貴社ビューティアドバイザーに引き会わされ、喫茶店に誘われました。
そして日本消費者連盟著『あぶない化粧品』を提示され
『今までの化粧品を使用し続けると黒皮症になる』と
『あぶない―』に基づいた貴社商品の安全性の高さの説明を受け
『石油系化粧品で荒れた肌がきれいになる』
と化粧品とヴァロワールへの来店を勧められました」

天神ビューティークリニックのコラーゲン療法犯罪[P.84-93]

福岡市に住むエレクトーン講師のM子さん(二九歳)が
バス停で声をかけられたのは八五年二月中旬のこと。

「あの、ちょっと、私のところの先生がお肌の研究を熱心にやっているの。
いちど相談してみられては……?」

M子さんは「アレルギー体質、アトピーだからどの化粧品を使っても合わないんです」
と断ると「それは副腎皮質ホルモンというおクスリのせいね。
共立薬科大学の宮本教授の許で指示を受けている『コラーゲン療法』がいいワ」
と熱心にすすめられ、「療法」を書いた小冊子まで親切(?)手渡してくれた。

この「コラーゲン療法」を行なうというクリニックは福岡市内の天神にあった。
(名称は天神ビューティクリニック、代表・大塚ミチヨ・中央区渡辺通五―二五―三)

被害発生の経過――
(M子さんの手紙より)

2/18(月)ピリッと刺激を感じて、TELする。
「うすめて使う様」指示あり。そうする。

2/20(水)
全体に少し赤味、美容室に行く。オイルを塗り、オゾン入り蒸気当たる。
数日後、酵素飲み始める。はれがすごくパンパン。
「薬を使い過ぎた人は皆こうなる」との事。

3/4(月)
はれがひどく真っ赤で膿も出、こびりつくと血が出る。
「どの位続くのか」に対して「ニ週間」と言われ我慢する。
毎日、皮(角質がどうかはわからないが……)はボロボロとれる。

3/6(水)
あまりにひどいので仕事をこの日より休む。
オイルがなくなり買う。四八ml一万五、〇〇〇円。

3/13(水)
もう一週間と延びる。お風呂の中でもオイルやパックをする。

3/20(水)
もう一週間と延びる。首のまわり(胸元)まで真っ赤になっている。
皮膚はブヨブヨ、膿もひどい。痒みがひどく、ダラダラと出る。

3/27(水)
湿疹が顔中にできる。
「医者にかかる」と言いに行くと「ティッシュでたたくから雑菌が入った」

蒸気に一時間半あたり、ホウ酸軟こうをぬってもらい帰る。家でも夜はつけて寝る。

「もっとひどい日田(大分)の高橋さんという人も治ったから心配ない」と店は言う。
この日より食事療法をする。カルシウム、V・Cを買う。

「何度も怒鳴り込まれた事があるが自分は絶対間違いない」と言われた。
「三週間もすればよくなるから」とこの日以来無料で毎日通う。
一時間半蒸気に当たり、薬をぬってもらう。

4/6(土)
オイルを顔の良い部分、首にぬり始める、首の痒み異常。
夜ガーゼを首にまいて寝るが、二~三度は痒みで目がさめ、
熟睡出来ない為ストレスがたまる。
目がはれコンタクトの出し入れがしにくい。
痒みを訴えるが、「治りがけは痒いので我慢する様」言われた。

4/13(土)
翌日遊びに来る友人に見せたいから写真を借りる。
この日の写真のあまりのはれに、びっくりし、
「もう三週間たったが駄目ですね」と言うと、
「うちは少しずつだから、オイルを使えばはれると言ったでしょ」と沢水さんが答える。
夕方、痒い事をTELすると、「病院に行く様(痒み止めをもらいに)」言われた。

医者は、その顔のあまりのヒドさに驚嘆。「これが“療法”かね……?」と絶句。
「ひどい状態だねえ、来るのが遅すぎたね」とすぐに入院するように指示。

そしてついに丸一週間、入院する。

この“クリニック”で顔に塗り続けられた化粧品類はコラーゲン入りの
「ナイトクリーム」「クレンジングクリーム」「洗顔クリーム」
「紫根ローション」「パック材(クリーム・粉)」「オイル」等々、九種類。

その値段も例えば「ナチュラルオイル」と称するものは
四八㏄一万五、〇〇〇円と信じ難いもの。
それをM子さんはパンパンに腫れて膿が出る顔に三ビン(!)も塗りつけられている。

M子さんの抗議に対する“クリニック”側の応対が、この犯罪的な体質をはっきり物語ります。
相手は代表の大塚路代。場所は同クリニック応接室にて。(85・5・7テープ録音より)

M「私は医者から『これ合ってない』と言われたんです」

路「うん、あのね、それはね、合っていないていういい方が、
ちょっとその皮膚というのはね、必ずね、一回ね、
アレルギーを起こすとね、やっぱり軟弱になるんです。
特に副じん皮質ホルモンというのは、上からどんどん、
こうカバーする訳ですからね……」

M「でも医者は『副腎皮質ホルモンは関係ない、角質云々の問題じゃない』
『私の体質に合ってない』と言われました」

路「いや、うーん、ま、それはわかりませんよね。
アレルギーテストしてないからね。
それはわかりませんけど、いずれにしてもね、
あのーいわゆる薬との併用というのは良くないんです」

M「何の併用ですか」

路「ホルモン、え、ホルモン薬といわゆるうちの製品との……」

M「だから何もしてないですよね」

路「だけどま、おいでになって寸前かちょっとの間もまたつけられてたんでしょ?」

M「ここに来てですか?」

路「ええ」

M「つけてないですよ」

路「全然つけてない?」

M「全然つけてないですよ、お宅からもらったその日から一切つけてないですよ」

路「はい」

M「体の方(の異常)も、あの『酵素を飲んで出た』とおっしゃったじゃないですか」

路「いや酵素も別、うち……」

M「あれ、酵素『関係ない』って医者が言いましたよ。
『完全にアレルギーを起こしてる』って」

路「そうです。だからアレルギーってどういう事だか知ってますか。
拒絶反応ですからね。どういう事でも起こる訳なんです。
人間の体というのはものすごく複雑なんですよ」

M「『この療法を続けてはいけない』って、言われたんです、医者に。
いけないって、言われたら、私は、今まで先生の言葉を、
今までせっかく信じて二ヵ月頑張ってきたんですよね。
その二ヵ月間が何にもならなくなってしまうんですよね。

路「まあ、あのー、うーん、一番最初から言いますと、
つけたその日は、どんなだったですか、お帰りになったその日」

M「とにかく、ピリッとしました」

路「それでそういう風になさったら、少し落着きました?」

M「落着きませんよ。とにかく、こんなにはれたじゃないですか」

路「一日目からですか」

M「一日目はとにかくピリッとして、
そのー赤ーく一日目はそんなにならなかったけどもう二日で赤くなって、
とにかくこーんなにはれましたよ」

路「だからね、あのー、結局、あのーどういうんですか。
あの自分自身で、ほらこう、ま、自然治ゆ力には、時間がかかるんですけどもね、……」

M「そしたらもうお宅のも使えないですね」

路「んならね、うちがね、五〇〇人の会員の方がね、
何で喜んで使います。結構ひどい方もおりますよ」

M「でも、私は最初に『どのくらい状態が続くか』と言ったら
『まあ二週間』とおっしゃったんですよね」

路「そうそう、そうそう、二年も三年も来てる方もありますよ」

M「お宅が『あとニ、三週もすれば大丈夫よくなる』
とおっしゃったけど、とんでもない。全然だったでしょう」

路「いえとんでもない事ないでしょう」

M「三月二七日に……だって、全然もっとこんなになりましたよ。
それでもお宅は『異常ない』とおっしゃたんですよね」

路「ただね、あのー……」

M「私は言ったんだから、お宅に。
そしたらお宅の方が『いや絶対心配ない』っていうものだから……。
そうだったらその時点で医者に早く説明して頂かないと、
もうこんなにかかってしまってからそんなどうのこうの言われたってもう仕方ないです」

路「いや、只ね、いや只ね」

M「私は、わからないから、かかってるだけだから」

路「うん、いや只ね、……」

M「ま、とにかく、コラーゲン療法のあれはどうなっているんですか? いい訳ですか?」

路「あれはね、コラーゲンという皮膚のね、皮フと同じ蛋白質を入れる訳ですけど要するに、
表面がね、すでに今、副腎皮質とかでこう、どんどんやってますとね、
受け付けない状態になってるんです」

M「オイルは、どういう作用があったんですか?」

路「だからね、そういうので結局、
活性化してるから中にたまった物が、膿が出て来る訳。
そういう状態がただちょっと貴女の場合、ちょっとひどかった訳ね」

M「医者は『これ薬品で焼けてる』って言いましたよ」

路「薬品は何にもつけてません」

M「オイル、薬品ですよね」

路「オイル、薬品て言われても、あれは貴女……」

M「でもずーっと使ってるでしょう」

路「いや、使ってない、使ってない」

M「私は、だって、だって、人の倍以上オイル使ったでしょう。三本位買ったでしょ」

路「いや、最初、最初はね」

M「首もだからお風呂の中で使いなさいと……」

路「だけど、だけどね……」

――と、この調子で責任逃れに終始。

M子さんはこの身体的、精神的苦痛に対して、合計約一八六万円
(治療費、休業補償等含む)の損害賠償請求を同クリニックに対して行ないました。

これに対して訴えの症状は「自分のところと一切関係ない」と信じ難い返答をしてきています。
さらに逆にM子さんを「恐喝で告訴する」と脅してきているのには驚きました。

「(アトピー性の皮フトラブルが)オイルやクリームで治る」と最初勧誘したのは、
完全な薬事法(六六条)違反行為。
さらに「肌の異常が治る」とオイルやクリーム、
九種類も顔に塗布したのは「医薬品の不許可販売」(同法二四条)
さらにたんなる美容院でありながら「クリニック」(診療所)と称して客を誘引し、
「コラーゲン療法」などと称し、被害者の顔に施したことは
明白な医師まがい行為(医師法二条違反)であった。

連盟は四月九日付で、同クリニックの代表、
大塚路代を以上の容疑で厚生省および、福岡地検に告発しました。

花王の化粧品被害についてのシドロモドロな釈明[P.104-109]

花王側はオットリ刀で同社消費者相談室長、
藤森氏がやってきたそのやりとりのテープの再現です。

(85・8・23、一〇・四五AM~吉祥寺パルコ1F、喫茶店にて)

E子さん 「皮フによい」ということで、一生懸命せっせと買って、ぬったものが、
けっきょく肌を荒らして、しみを作る原因となったわけでしょ?

花王 ……。(無言)

E子さん 基礎化粧というのは、けっして「肌によいことは一つもない」
と皮フ科では立証されてますでしょ?「有害無益」と――

花王 立証されているというのは、どこでですか?

E子さん 私、東大と慶応と慈恵の医学部の図書館で、
皮フ科の学会誌の全部のバックナンバー調べました。

花王 ああ……。

E子さん それから皮フ科のお医者さんにも直接伺いました。

花王 で、薬事法違反とは、ようするに今のような根拠が……。

E子さん ようするに、いちばんぬらないのがよいということでしょ。

花王 いや、それはわかりませんが。

E子さん いいえ、ドイツやアメリカの学会誌に出てますけど。

花王 エッ!? 学会誌に出ていてでもですね、
日本の国のね……法律の……。(とシドロモドロ)

E子さん どういう効能があるんですか?

花王 あれは……ああ予防効果ですからネ。

E子さん (肌を)すこやかにするんですか?

花王 まあ、すこやかかどうか……
健康ということからしか言えませんね。化粧品ですから。

E子さん でしょ? 私は『しみが治る』と言われましたからね。

花王 「防ぐ」んじゃなくて「治る」ってですね。それは店頭の……?

E子さん 小田急でも東急でも言われました。

花王 しみっていうのはどこですか?

E子さん ここです(指し示して)見えますでしょ。

花王 (のぞきこんで)ああ、はあはあ。

E子さん まあ、昔なかったです、これ。

花王 あーそうですか。

E子さん (ソフィーナの)効能説明で「すこやかにする」とか
「うるおいを与える」とか「シミ・ソバカスを防ぎます」とありますでしょ?

花王 「防ぐ」ほうはいいんです。薬効……薬事法上ね。
(※これはウソ。「シミ・ソバカスを防ぐ」は禁止されている)

E子さん でも防ぐことにはならなかったわけでしょ?

花王 えッ?

E子さん 防ぐわけにはならなかったでしょ?

花王 えーえ、それが……。

E子さん ソフィーナやめたとたんに、シミは少し薄くなりかけていますからネ。

花王 ああ……そうですか。やめたとたんに薄くなったんですか……。

――と、まあ、ラチはあかない。

最後にE子さんは「(ソフィーナは)シミ、肌荒れとか痒みの原因にならない」
という証明を求めましたが花王側は「それは……出せません……」と絶句するのみ。

<中略>

連盟は、これら物理的証拠をもとに、
花王を同社の基礎化粧品シリーズ・ソフィーナの販売時における
薬事法違反(第六六条)容疑で四月九日に、東京地検に告発しました。

山崎伊久江美容室のパーマ犯罪[P.110-114]

ベルジュバンスのパーマ等を施しているのは山崎伊久江美容室。
この美容室は全国に数多くのチェーン店を持ち、
「一般のパーマはアルカリ性のため髪を傷めるが、
ベルジュバンスは酸性の液なので毛は傷まない」と大々的に宣伝しています。

川崎市に住むM・I子さんは四年前から一切パーマもかけず、ドライヤー、毛染めもなし。
つややかな黒髪が伸びてくるのを楽しみにしていました。
八四年秋、イメージチェンジのため決心。
前髪だけ思い切って(ふつうの)パーマをかけてみた。
だけどやっぱり思い直した。
「前髪をもとに戻したい……」(パーマをとるとき毛が傷むので)
なんとか傷めずもとにもどす方法はないものか? と思案。
そのときにベルジュバンスのことを思いついたのです。

電話で問い合わせる。
「ここでは毛が傷むどころか、かえってよくなりますよ」との応答。
念のため同じチェーン店ニ、三軒にTELしてみても全く同じ答え。
そこで安心して五反田のチェーン店に出かけたのです。

ふつうの美容院では、(問題の)前髪だけいじるのに、ベルジュバンスでは
「髪全体をトリートメントし、その作用で髪をまっすぐにし、前髪のパーマもとれます」という。

「あの、前髪だけでいいんです」と断わるI子さんに
「うちの方針です」と髪全体を一時間以上、
ベルジュバンスの化学薬液に浸した。
ところが帰宅してみると髪全体が
「つやがなくなり、」「パサついて」くしの通りが悪くなってしまった。
ストレートパーマでもかけたような異質な手触り……。

そこで同店に苦情を言うと「もう一度来てくれ」というので再来店。
「毛がたしかに荒れてますね」トリートメント液が強すぎたから今度は、
反対作用の液でやり直すとのこと。ところが結果は……。

「髪がひどく荒れてしまった。
ゴワゴワ、バサバサとして髪の根元まで指が行かないほど。
毛のつやはほとんどなくなり、毛が全体に茶色っぽくなり、
髪のはえぎわは部分的にかなり茶色が濃くなった」(I子さんの苦情)

さらに髪を一本一本抜いてみるとボソッボソッという感じで痛みがひどく、にぶい。

さらに二叉三叉の枝毛……。

「せっかく四年も大切に伸ばして楽しみにしていたのに……」

ほんらいトリートメントとは水分や油分を補うだけのはずなのに、
どうしてこんなダメージを受けたのだろうか?

五反田店美容室に不満を言うと、

「……こんな苦情は初めてだ。自分らはプライドを持ってやっている。
訴えたいならどこへでも訴えてくれ!」

まるで反省の色ナシ――。

「他の美容院はすべて髪に悪いと強く否定したうえで、
『うちの髪によい』と医学的用語を用いて強調し、人の心を惑わし、
他店よりかなり高額な料金をとっている……いきどおりを感じる……
納得のゆく話し合いが進むよう消費者連盟の力をおかしください」
(I子さんの便りより)

彼女は山崎伊久江さんの著書『ヘア・ケア常識はウソだった』
(青春出版社)も同封していました。
「この本の中にあるような内容のことをお客に積極的に説明しながら
仕事をするのがチェーン店のやり方です」

さてこの本、頁を繰ってみると、
「(トリートメントで)体の中の老廃物が髪の毛を通して出る」
「ハゲやちぢれ毛にも効果」「脱毛症が治った」「ニキビが治る」「シミが消えた」
とまあ、薬事法違反の効能書きのオンパレード……。
よくもここまでと苦笑してしまいました。(一八六頁参照)

連盟でこれらの薬事法違反の事実を書面で指摘したところそれまで
「当社のトリートメントで貴女の髪を損傷したことは全くありません」
と突っぱねていた山崎美容室の態度が一変。
同社顧問弁護士を通じて「金銭的に解決したい」と申し出があり、
二五万円の損害賠償金で解決しました。

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