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書籍と雑誌の要約と解説

あぶない無リン洗剤

粉せっけんで洗いましょう

装丁
あぶない無リン洗剤 あぶない無リン洗剤
日本消費者連盟
三一書房(三一新書902)
ISBN4-380-80003-2
1980/07/31
¥700
目次
  1. 環境汚染
    1. 無リン洗剤
    2. 手賀沼
    3. 諏訪湖
    4. 霞ヶ浦
    5. 神島
    6. カビ臭
    7. 塩素
    8. 有害プランクトン
    9. リン分
    10. 水資源
    11. 赤潮
    12. アワビ・ノリ
    13. EDTA
    14. 魚の死
    15. 稲の被害
    16. 土の汚染
    17. 細菌
    18. トイレ用洗剤
    19. ゼオライト
    20. 水質
    21. 自浄作用
    22. 可溶化・分散化
    23. 水をきれいに
    24. 三島市実験リポート
    25. 土壌水質浄化法
  2. 洗剤メーカーと行政の癒着
    1. 誤飲事件
    2. ママレモンコップ1/3
    3. 無害論
    4. D委員会
    5. 裏工作
    6. 都の姿勢
    7. 野菜汚染
    8. 許容量(ADI)
    9. うそつきCM
    10. 複合せっけん
    11. 品質表示
    12. 産婦人科病院
    13. 全温度チアー
  3. 身体にどれだけ悪いのか?
    1. 遺伝子障害
    2. 発ガン性
    3. 先天異常(奇形)
    4. 複合作用
    5. 脊椎破裂
    6. 妊娠率
    7. タンパク結合作用
    8. 円形脱毛症
    9. パッチテスト
    10. 精子
    11. 卵子
    12. 人体実験
    13. シャンプーで赤毛
    14. 医療器具汚染
    15. コレステロール
    16. 川崎病研究班
    17. 緑膿菌
    18. ミトコンドリア阻害
    19. アルファケリー
    20. カラクリン
  4. 粉せっけんで洗ってみましょう
    1. 愚民化
    2. マッチポンプ商法
    3. 洗剤メーカーのウソ
    4. 教科書のウソ
    5. 工業会への反論
    6. 法律
    7. 試買テスト
    8. 蛍光増白剤
    9. 洗じょう力テスト
    10. 黄ばみテスト
    11. 手づくりせっけん
    12. せっけんカス
    13. オムツ洗い
    14. 自然なシャンプー
    15. 米ぬか
    16. 漂白剤
    17. 学校給食
    18. 学校教育
    19. 贈りもの
    20. 廃油リサイクル
文献
  1. 我孫子に石けんを広める会『地域闘争』1979年10月号[P.17]
  2. 国民生活センター『国民生活』1979年11月号[P.39_81]
  3. 『瀬戸内通信』20号[P.44]
  4. 『漁協ちば』1968年3月10日[P.47]
  5. 『よみがえれ琵琶湖』(映画)[P.52]
  6. 『油化学』「各種界面活性剤の分解性」[P.70]
  7. 『第18回日本公衆衛生学会』1962年10月[P.97]
  8. 『洗剤汚染』[P.98]
  9. 『日本洗剤公害レポート』[P.122]
  10. 『経団連月報』1976年3月号[P.123]
  11. 日本消費者連盟『消費者レポート』298号[P.129]
  12. 『週刊新潮』1980年5月29日[P.134]
  13. 三上美樹『合成洗剤』[P.153_179]
  14. 『食品衛生研究』27・№4・1977年[P.153]
  15. 『化学洗剤とその周辺』[P.154]
  16. 日本消費者連盟『合成洗剤はもういらない』[P.170_186_215_228]
  17. 日本石鹸洗剤工業会『合成洗剤と粉せっけん』[P.193]
  18. 『日本経済新聞』1982年9月10日[P.211]
  19. 『厚生省食品化学課長通知』1970年9月16日[P.212]
  20. 『通産省課長通達』1973年11月24日[P.213]
  21. 『公害をなくす三原市連絡会、報告』第32号[P.214]
  22. 『東京新聞』1979年4月17日[P.222-223]
  23. 『暮しの手帖』第53号[P.232]

内容

神島洗剤没収事件[P.26-28]

神島は伊勢湾口に位置する離島。周囲は約四km。
戸数は二三八戸で、島の人口は一〇二七人。
三島由紀夫の名作『潮騒』の舞台として知られています。
小説で馴染みのように島の生計は、ほとんど海女のアワビ採りに支えられています。

そのアワビの漁獲量が近年、年を追うごとに減少、
ついには十年前の半分以下という深刻な事態にまで達しました。
増殖、保護、乱獲防止は慎重の上にも慎重に守られています。
原因歯他にあるはず。
その時、島の人たちに思い浮かんだのが
三、四年前伊良湖水道で連続して起こったタンカーの衝突事故。
多量の重油中和剤が撒布され、薬剤は海面を覆い、海面下に沈んでいきました。
この処理剤が水産生物には猛毒であり、同様の成分が家庭の合成洗剤の中にも入っている――
このことがわかったのは、おびただしい処理剤撒布が終わったあとでした。

海と合成洗剤は共存できない

とにかく、島でつかった洗剤は家庭排水として間違いなく、
島の生活を支える沿岸のアワビ漁場へとそそぎこみます。
生活の糧であるアワビを守るか、これまでの洗たくのやり方を変えてみるか。
結論ははやく、一九七七年二月一九日、漁協定期総会で以下のように決議されました。

「…美しい海を守ることは、漁民に課せられた重大な使命の一つである。
有害な合成洗剤が海岸汚染の凶漢として、追放が叫ばれて久しいが……
我々はこの機運に先駆け、神島から、神島町民から有害な合成洗剤を完全に追放し、
唯一の生産の場である漁場環境を保全することをここに決議する」

この決議にいたるまでにはアワビ養殖等に与える合成洗剤の影響などについての講習会など、
島民の周到な学習があったことはいうまでもありません。
三月一二日、漁協婦人会、青年団の役員が粉せっけんの箱をさげて各家庭をたずね、
洗たく用合成洗剤を受けとり、かわりに粉せっけんを置いてくる。
その他、ママレモンなどの台所用合成洗剤はいうにおよばず、
シャンプー、リンス、歯ミガキまで受けとり、
かわりにせっけん・シャンプーなどを玄関に置いてくる。
歯ミガキはまにあわないので明日から塩でみがいてくださいといい置くあわただしさ。
たちまち漁協の倉庫は、三々五々持ち運ばれてくる
“没収”した合成洗剤の箱が山と積まれはじめました。
まだ封を切っていないもの二五〇箱。使用中が七〇〇箱余り。

ニュースは全国へそして海外へ

この全国初の“合成洗剤没収事件”はニュースとなって全国に、
そして外国まで駆けめぐりました。
事態の重大さに仰天したおっとり刀の日本石鹸洗剤工業会の役員も
「ぜひ一度お会いしてお話を」と、鳥羽湾まで駆けつけましたが、
海が大荒れにしけて、定期船は欠船、来島できず桟橋で狼狽するばかりで島民の失笑を買い、
またニューヨークタイムズの記者まで取材にやって来るなど
思いもかけぬ洗剤騒動がもちあがったということです。

さて騒ぎの静まった現在、神島の人たちは名古屋あたりから帰京してくる子供たちに
粉せっけんを持たせて帰す人さえでてくるようになりました。
三重県尾鷲市須賀利町の漁協など他の漁協でも、
神島の方向性をみならう所がつぎつぎに出ています。

こうして、三年あまりの月日が流れ、神島のまわりの海も澄んできました。
鳥羽水産試験所長の話によればアワビの稚貝も増えはじめ、
漁獲量も上むいているということです。

アワビの洗剤実験[P.46]

千葉県川口漁協・同県鵜原漁協に勤務する丸山正二郎さん、
隆一郎さん兄弟が、アワビの実験を行なっています。

一〇リットルの海水に、わずか一グラムの合成洗剤やせっけんをそれぞれ加えて、
アワビの卵を入れてみたのです。
合成洗剤を入れた海水中のアワビの細胞は、緑色から白っぽい色に変わり、
発生が進まず死卵となって底に沈殿してしまいました。
せっけんの海水の方は、発生が少し遅れながらも緑色のままふ化まで進んでいます(図)。

同じ濃度の海水中に、今度はふ化したばかりのアワビの幼生を入れたところ、
合成洗剤の海水中では、わずか四時間ですべて底に沈んだまま細胞が破壊されて死滅。
せっけんを溶かした海水の方の幼生は、ベロージャー幼生に進んでいます(図)。
さらにベロージャー幼生を、同じ合成洗剤を溶かした海水中に放すと、
図のように変化して、すべて死んでしまいました。

国立衛生試験所長の洗剤飲む宣言[P.91-92]

『ライポンF』誤飲事故は新聞でも大々的に報道され、
国民は一様に不安にかられて自宅の台所の合成洗剤の容器を手にとってみました。

こういう時に当時の国立衛生試験所・刈米所長の次のような談話が新聞に報道されたのです。

「中性洗剤は有毒ではない。
私はいま中性洗剤の致死量の一〇分の一の三〇gを飲めといえば、
飲んでお目にかけてもいい」

むろん彼が飲んでみせたという話は誰も聞きません。
この国立衛生試験所長の洗剤メーカー保護の姿勢はあまりにロコツです。

琵琶湖富栄養化防止条例を潰そうとした洗剤業界[P.100-101_105-106]

「琵琶湖富栄養化防止条例」の案を滋賀県武村知事が公表したとたんに仰天したのは花王、
ライオンなど二七社が加盟する日本石鹸洗剤工業会。
同工業会は、一九七九年六月一五日、急遽役員会を召集。
その鳩首協議の経過を「滋賀県対策打ち合わせ記録」に見ることができます。

その内容。まず①戦略本部としてS本部、さらには電通社員二名を含むS委員会の設置。
(S本部とは、Secret=秘密の略称と思われます。
気がとがめたのか後にD本部と改称。これは、Detergent=洗剤の頭文字)
②情報活動推進のため雑誌、週刊誌、日刊紙などに“アプローチ”する。
③国会、中央官庁、地方自治体、学界などへ“活発”に働きかける。
④(この工作活動のために)特別予算を計上する――などの基本戦略を打ち出しています。
この役員会の席で「洗剤禁止運動は一種の人民運動」とか
「科学的な対応だけではダメで、情緒的に’’’’マスコミ、週刊誌などの利用を考える必要がある」
などの意見が出たことが記録されています。

<中略>

洗剤工業会は、この委員会の“前線司令部”を大津市のびわ湖ホテルの一室に設置。
先の電通社員二名をはじめ、東京から地元にとんだ作戦要員が、
マスコミへの「情緒的働きかけ」や
「活発な官庁・自治体等への働きかけ」に奔走をはじめたのです。

この琵琶湖条例潰しのために計上された特別予算は一〇億円は下らないといわれています。

*   *   *

一〇月一六日、琵琶湖条例は、同日午後開かれた滋賀県議会で満場一致で採択された。
施行は一九八〇年七月から。

同じ日の朝日新聞の「論壇」に花王石鹸の丸田芳郎社長の“投稿”が載った。
題して「何のための洗剤禁止条例か」

日本の合成洗剤メーカーの中心的人物がどのような考えを持っているのか、
興味深いので、ここに引用しておく。
まず「(琵琶湖条例は)なんのための条例なのか、
私にはまったく理解できない」と前置きして「洗剤の売れゆきが低下するとか、
業績にひびくとかいう些細な利己心から申し上げるのではなく、
一国民として市が県行政の基本的な考え方、姿勢に黙っていられない」と大ミエをきる。
「私が心配するのは、毎日の生活を黙々と精一杯に過ごしておられる大勢の主婦の方たちが、
この条例のために不便を強いられる結果になる」と見当はずれの心配をして、
話は突如、聖徳太子の話になる。
「太子制定一七条憲法に『篤(あつ)く三宝を敬え』という有名な言葉がある。これを私は
『天地宇宙の理を正しく聞きなさい。そうすれば、まちがったことをするはずがない』
というふうに理解している」そして、「県民の真の幸せ、人類の文化向上を考えるとき、
県当局はもっと心を澄まし、宇宙の理を聞く姿勢があってもよいと思う。
それが、上に立つ人のまえではないのだろうか」とむすんでいる。

妨害された通産省の洗剤洗浄力試験[P.108-109]

「販売禁止条例を葬れ」、
一九七九年七月二六日付の東京新聞社会面トップの大見出しが、目にとびこんできました。
中味出しは、(洗剤工業会が)「洗浄力試験中止を――中央官庁などを巻き込み」というもの。
東京新聞が入手した洗剤工業会の部内資料は一九七九年六月二二日、
第三四五回の工業会理事会で出席者に配られたもの。
滋賀県対策に関して通産省を訪問した記録などが印刷されていた。
この記録によれば通産省を工業会の小川照次会長ら一行が訪問したのは六月一日。
同省の平河化学製品課長(当時)と面会、
「午前中の(役員会での滋賀県の洗剤条例案を潰すための)打ち合わせ内容を説明し、
きたんのない意見の交換を行なった」とある。
さらに、見のがせないのは
「洗剤の洗浄力試験はやめてもらうよう通産省当局への要請を行なった」というくだり。

テレビCMで全国の茶の間に放映しているようにあんなに「真ッ白!」に洗い上がるのなら、
逆に通産省に「早く粉せっけんとの洗浄力テストをして欲しい」と要請するのが当然です。
合成洗剤の汚れ落ちの悪さを知っているのは洗剤メーカー自身です。
それが国民に知られるときは、彼らのマスコミを使ったサギ犯罪がバレるときです。
だから、通産省に「洗浄力テストをやらないよう」裏工作を行なった。
“きたんのない”話し合いの中で、
通産省の役人がどういう返事をしたか、大いに興味があります。

都公害衛生専門委の洗剤安全説捏造劇[P.110-112]

突然の「安全宣言」の真のネライは?

<「合成洗剤シロ」の判定――都公害衛生専門委が報告書>(日経新聞・一九八〇・四・一〇)。
当日の新聞各紙軒なみに次のような見出しが見られます<界面活性剤の毒性シロ>(朝日)。
<通常使用量なら実害ない――合成洗剤のLAS>(東京)etc……。

この東京都の合成洗剤“安全宣言”は、次のようにして行なわれました。
美濃部都政下の昭和四七年、都衛生研究所は、合成洗剤の有害性の研究に着手。
昭和四八年、野菜洗いでは、水洗いと同じなので
「毒性の不安の残る合成洗剤をわざわざ使う必要はない」と、
都内の学校給食での野菜・果物洗いの使用を中止(東京都通達)。

ところが、以来、五年間、なんの中間報告もないまま鈴木都政にかわり、
突如、今回の合成洗剤の“安全宣言”が出されたのです。
まず、都衛生研究所の「有害性は認められなかった’’’’’’’’
という毒性研究の報告書(抄録)を三月三一日に発行。
これをうけ、都衛生局長が収集した都公害衛生対策専門員会で
“毒性無シ“と「承認」されたのです。

美濃部都政から鈴木都政へ洗剤行政一八〇度の転換のナゾ

美濃部都政から鈴木都政へ、六年間の時の経過は、
「学校給食の野菜・果物洗いに合成洗剤の使用中止」から「合成洗剤は安全」と、
東京都の洗剤行政の姿勢を一八〇度変えさせたのです。
“政治”の本質を見せつけられた思いがします。
また六年間の沈黙の後、大急ぎで唐突に発表された今回の不可解な都の
“安全宣言”の舞台裏を想像すると、興味深いものがあります。

厚生省と同様の東京都政

さて、東京都は何を根拠に「合成洗剤は安全」という発表を行なったのでしょうか?

その根拠は、ラットの体重一kg換算で〇・三g(三〇〇mg/kg/day)のLASを毎日、
餌に混ぜて与え続けたが「何ら害的影響を与えなかったから」というものです。
この体重一kgあたりLAS〇・三gというのは、
奇しくも厚生省が唯一「合成洗剤は安全」との根拠にしている
最大無作用量(三〇〇mg/kg/day)と一致します。

この三〇〇mg/kg/dayという値は、成人になおすと
台所用合成洗剤(ママレモン等)約六〇~七〇CCにあたります。コップ約1/3です。
これだけの量のママレモンを毎日、「飲んでもだいじょうぶ」とと東京都は“宣言”したのです。
これで東京都の態度は、政府・厚生省と全く同じであることがはっきりしました。
鈴木都政の本質がここに露われたと見るべきでしょう。

ABS台所用洗剤(ライポンF)を一口飲んで悶絶死した例があることはすでにのべたとおりです。

公害課長も飲めない、専門委員も飲めないママレモン

恐れいったというより呆れて返すことばもなくなる都の見解です。
この“合成洗剤はシロ”の安全宣言に抗議するため、
消費者連盟をはじめ、洗剤追放運動グループの代表十数名が、
四月一一日、都衛生局を訪れ、石館敬三公害保険課長などと面会。
話し合いの席におもむろにママレモンをとり出し、コップに1/3注ぎ
「これだけの量を毎日六カ月飲みつづけても安全というのなら
今日一回だけでいいから飲んでいただけますか」と目の前に差しだしました。
同課長は困惑してただ絶句。
「安全」というからには身をもって示して当然でしょう。
それが最も科学的であり責任のある態度です。
しかし、ついにコップに手を触れることはできなかった。
安全宣言を出した都公害対策専門委員会の委員も上田喜一会長(昭和大学教授)以下、
誰一人飲めないはずです。生命が惜し’’’’’いからです。

“安全宣言”を出した人たちが、真先に安全性を否定しているのです。

学校を取り込もうと画策する洗剤メーカー[P.123-124]

花王石鹸の生活科学研究所では、洗剤の上手な使い方、食器、野菜の洗い方を
消費者に教える生活講座を全国各地で年間に一四〇〇回(七五年)も開いています。
ライオン油脂の家庭科学研究所では、毎月一回東京、
大阪で交互に社外講師による高校の家庭科の先生を対象とした講習会を開催したり、
毎夏休みにも文部省の高校教師向けの産業教育研修に協力し、
会社の施設を公開して実習の手助けを行なったり、
生活学校のようなグループに対する講習会を開いているのです。

また、実際に学校の家庭科の授業に、洗剤メーカーの「講師」が、
生徒に対して授業を行っているという話も聞きました。

全温度チアーのインチキCM[P.133-134]

P&G社、性懲りもなくさらに悪どい洗剤CMをやっています。
全温度チアーの汚れ落ちをためしてみましょうと、
ドロンコに汚れたズボンの膝のあたりを一回結んで、
おまけに黒く汚れたハンケチを尻ポケットにつめこんでおく。
そして、全温度チアーで洗ったらナントッ!結び目をほどいたら真ッ白! 
一点のシミもない、ポケットのハンカチをとり出すと
ウソのように’’’’’’汚れが落ちてまぶしい白さ!
(ズボンもハンケチも真ッサラの新品とスリカエているのだから当然である)。

ライオンの広報部長が憮然として言ったものです。
「一回結んで真ッ白だなんて……いくらなんでもひどすぎる」

<中略>

この全温度チアーのCMに主婦の扮装で登場して、
「ワーッ、真ッ白!」とやっている女性タレントの証言です。

「ズボンのポケットに靴下を入れて洗濯機に入れるんですが、洗濯機の中はカラッポ。
水なんか入っていないんです。次のカットで別のズボンと、靴下を見せて
“ワーッ、こんなにきれいになったわ”っていうんです」
(『週刊新潮』一九八〇・五・二九)。

このタレントさん自身は、生協のグループに入っていて、
おせんたくは合成洗剤でなく粉せっけんで洗っているというから皮肉な話ではある。
彼女いわく「はじめに入れるズボンなんかは、スタジオで泥をなすりつけていますよ。
あんな風な汚れは、実際には簡単に落ちないと思いますね」

長いこと全温度チアーのCMを制作してきた広告マンは、次のように告白する。
「実際の撮影では、洗ってみたことはないんですよ。
洗い上がりシーンでは、新品か、新品らしく見えないように
一回水通しをしただけの汚れていない衣類を使うんです。
洗い上がりに新品を使うのは表現上のウソなんですが(メーカーの)
研究所が責任を持つというのだから作るわれわれの立場とすれば、
そうするより仕方ないでしょう」

ちなみに、広場に奥さんを集めてワイワイやっているところを映すCMも
落ちやすいように’’’’’’’’“特殊な汚し方”をしているという。
開いた口がふさがらないテレビCMの堕落ぶりです。

シャンプーと光接触性皮膚炎[P.158-159]

関西大学医学部皮フ科に来院してきた三十三才の女性。
三~四年前から、夏になるたびに腕や首、顔に赤い斑点ができたり、
ブツブツができてカユイという。
化粧品は全く使っていないということで、
殺菌剤、香料、シャンプーなどでパッチテストを実施。
その結果、わずか〇・一%の薄いシャンプー液で、はっきり要請が確認されました。

夏が来るたびに、この婦人を悩ませた、かゆい発疹の原因は、
シャンプーによる光接触性皮フ科だったのです。
同皮フ科の東*彦氏は、来院した患者七八名にパッチテストを行なったところ、
シャンプーの原液を一〇〇倍にうすめたものでも、三七%の人が陽性を示し、
ある商品では、五〇%の人が陽性であったことを確認しています。
さらに注目すべき事実は、シャンプーを一〇〇〇倍にうすめた水溶液でも、
一二%の人に皮フが赤くかぶれるなど陽性変化を起こしていることです。

一〇%溶液のテストでは、被験者の苦痛が強すぎ、
とても試すことはできないというのですから何をかいわんやです。
エメロンやフェザーシャンプーの原液を頭にチュッチュッとふりかける洗い方は、
やはり相当問題があります。

一方、リンスのパッチテストの結果では、
一〇〇倍にうすめた溶液で八%の人が陽性反応を示しています。
テレビなどで宣伝されている、エメロンなどの合成リンスの主成分である、
第四級アンモニウムの一種、塩化ベンザルコニウムを湿疹、皮フ炎患者に貼付したところ、
わずか〇・一%水溶液で二五・五%が陽性になっています。

市販のリンスを一〇倍にうすめても、
第四級アンモニウム濃度は〇・二~〇・三%になりますから、
“髪スッキリ(?)”のリンスも、やはりおすすめできません。

NEWママレモン人体実験[P.163-164]

使用合成洗剤は「NEWママレモン」(ライオン油脂)塗布期間は三週間。
塗布方法、左手首に三×四cmの楕円状にママレモン原液を
流れないていどに塗布(〇・三~〇・四CC)
手首に包帯をして、布団などの他のものと触れないようにする。
毎夜一回塗布。

その人体実験の経過です。
三日目、少しカユミが出てくる。
八日目、やっと見えるていどの小さな斑点。
一一日目、カユミはなくなり塗布時にしみるような痛み。
一四日目、昨夜飲んだビール(一本半)のアルコール分が分解されず残り、
電車に乗ってもフラーリ、フラーリとほろ酔い気分。
一七日目、完全に表皮は角質化してガサガサ。
二一日目、倦怠感が強く動きたくない(ゴロリ寝ている分には苦しくない)。
二二日目、全身だるくちょうど下痢がつづき
脱水症状で体がだるいときのような状態で階段を歩くのもつらい。

この実験での一回塗布量〇・三五CCなので総塗布量は六・六五CC(一九回分)。
ママレモンのLAS含有量を二〇%とし、血中吸収率〇・五三%(国立公衆衛生院発表)。
包帯への吸収は1/3とすると一日一回塗布のLAS体内吸収量は
体重一kgあたり〇・〇〇〇四g、これは厚生省、メーカーのいう
一日最大無作用量(〇・三g/kg)のなんとわずか七五〇分の一にすぎない。
それでもこれだけの自覚症状が出ているのです。
この無作用量はごまかしの数値であることがわかります。
皮フ塗布によって吸収されたLASの体外排泄率は
「一〇日で一〇・〇%、残りは体内に蓄積する」(三重大学報告)のですから、
三週間の実験期間中に、LASが次第に肝臓に蓄積、
実験末期に「倦怠感」などの肝臓機能障害が出てきたのでしょう。
貴重な人体実験報告というべきです(星野正夫氏「青い地球の会」の実験報告より)。

沐浴剤アルファケリーの主成分は流動パラフィン[P.179-180]

製造元の山之内製薬に無いよう成分など問い合せてみました。
その回答は次のようなものでした。

 流動パラフィン……………………八九%
 精製ラノリン…………………………五%
 非イオン系界面活性剤………………六%
 外用緑色二〇二号……………………適量
 香料……………………………………適量

スプレー洗剤カラクリン被害[P.181]

カラクリンはジョンソン社の製品です。
派手な新聞広告のためか、これまでに二〇〇〇万本以上も売られているということです。
ところが、一年ほどカラクリンをつかっているうちに
左手の甲に白い斑点ができてきたという苦情が出てきました。

この被害を受け付けた大阪府立消費生活センターが成分を分析した結果、
犯人がわかりました。
テトラクロルエチレン。ドライクリーニング溶剤で非常に有害です。
目や皮フを刺激し、吸いこんだり、皮フから吸収された場合でも毒性は強いのです。
労働安全衛生法にも規制があり、
クリーニング工場などやむをえず使う場合の濃度も
五〇PPM以下を厳しく決めているくらいなのです。
それが、あのカラクリンの缶の中に二五・九二%も含まれていました。

洗剤教科書問題[P.196-197]

せっけんは冷水では落ちにくいと堂々とウソをつく

問題の家庭科教科書は開隆堂、中学二年生向の家庭科の教科書「技術、家庭」です。
左隅に、文部省検定済教科書と小さく印刷されていました。

その、せんたくについての記述です。
<洗たく液の温度が低いと、図(省略)のようによごれが落ちにくい。 とくに、せっけんは、冷水にはとけにくく’’’’’’’’’
汚れがとれにくいので、洗たく液の温度に注意する>

そして、粉せっけんの“汚れ落ちの悪さ”を証明するために、グラフまで載せています。

これでは子どもたちはみんな騙されてあたりまえ

これでみると冷水になるほど粉せっけんの汚れ落ちは低くなっています。
これでは子どもたちは<粉せっけんは汚れ落ちが悪い>と信じこんでしまいます。
それも、学校の教室で先生が教える教科書に載っているグラフです。
テストに出るかもしれません。信じないのが異常です。
ところが、実際の洗じょう力比較テストの結果と比べてみて下さい。

インチキ「実験グラフ」は洗剤工業会が提供……(!!)

粉せっけんのほうが合成洗剤よりよく落ちるのです。
とくに冷たい水ほど粉せっけんの洗じょう力は合成洗剤をはるかにひきはなしています。

すなわち、この家庭科教科書のグラフは、粉せっけんと合成洗剤をすりかえています。
呆れました。

この教科書のせんたくの記事を書いたのは某家政学評論家氏です。
このグラフについて疑問に思った静大の大木助教授がこの著者に尋ねました。
「あのグラフは私のやった実験結果と逆なんですが、どんな実験方法でなさったんです?」。
電話の向こうの声は次のように答えました。
「あれは私がやった実験ではないんです。洗剤工業会からいただいたデータです」

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