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書籍と雑誌の要約と解説

うそつき食品

メーカーへの告発状

装丁
うそつき食品 うそつき食品
郡司篤孝
三一書房(三一新書660)
ISBN4-380-69007-5
1969/07/31(1990/06/30)
¥800
目次
  1. 農産食品
    1. うそつき米
    2. 外観だけよい米
    3. クスリを加える米
    4. まずい米
    5. やみ米(自主流通米)
    6. 堕落した麦
    7. 本当のソバ、うそのソバ
    8. 機械製の手打ちウドン
    9. 量目不明のパン
    10. 品質低下のパン
    11. 全糖入り?食品
    12. 砂糖一三〇円、サッカリン一円五五銭
    13. ブドウ糖水増し砂糖
    14. 人工甘味料水増し砂糖
    15. 水増しサッカリン
    16. チクロの害
    17. 化粧する野菜果実
    18. カタクリ粉とキナ粉
    19. 大豆粕の豆腐(または水売り豆腐)
    20. いつのまにか高くなる納豆
    21. スイスの味、日本のチョコレート
    22. 夏からつくるケーキ
    23. 汚れたおせち料理
  2. 嗜好食品
    1. コカコーラ輸入さる
    2. 一本三円のコカコーラ
    3. 悪魔の木コーラ
    4. サイダー、ラムネの運命
    5. ポッカレモン事件その後
    6. 相変らずのうそつきジュース
    7. 官庁のジュース戦争
    8. ジュースのカラクリ
    9. プロ球団を買うヤクルトの利益
    10. 巧妙なヤクルトの宣伝
    11. マムシでないマムシドリンク
    12. マムシドリンクの奇妙な成分
    13. マムシ酒かミリン酒か
    14. 薄くなるコーヒー
    15. まずくなる紅茶
    16. 奇妙な名称の酒
    17. 安い酒への圧力
    18. 無添加酒への圧力
    19. 果してウィスキーか
    20. ビールの価格は妥当か
  3. 調味料
    1. 袋詰め味噌のうそつき
    2. 醤油でない醤油
    3. ソースでないソース
    4. ミリンでないミリン
    5. 食酢界の馬鹿げた論争
    6. 食酢業界のみにくい争い
    7. 石油味の素
    8. 巨大な利益の中身
    9. 低すぎる消費者心理
    10. 知らぬまに登場した石油味の素
    11. 一、〇〇〇円の原価が六〇円
    12. 米ヌカ油中毒事件
    13. サラダオイル事件の発端
    14. サラダオイルの秘密
    15. 製油会社の幼稚な回答
    16. 奇妙な結末
    17. マヨネーズは純正食品か
    18. 粉ワサビと暴漢
    19. 粉ワサビはワサビ大根
  4. 動物食品
    1. まずくて高い肉
    2. 業者保護の食肉行政
    3. 卵まで代用品時代
    4. うそつきハムと農林省
    5. 牛乳の神秘を破壊する
    6. 牛乳はなぜ高い
    7. 乳児を傷つける粉乳
    8. にせチーズ
    9. 有害なうそつきアイスクリーム
    10. 病気になりたかったらソフトアイスクリーム
  5. 水産食品
    1. 化け魚の正体
    2. 魚をおびやかすもの
    3. 水増しカキの危険
    4. ノリのカラクリ社用族専用のすし
    5. 花イワシ、花サバ
    6. 猫も食わないカマボコ
  6. インスタント食品
    1. 食品添加物・蝿・ゴキブリのインスタントラーメン
    2. 粉末スープとプリン
    3. 高くて有害なプリン
    4. 飽くなき商魂の合作・人造肉
    5. 廃物処理――人造肉の危険な製法
    6. 石油人工肉への布石
    7. 避けられぬ石油食の恐怖
  7. うそつき食品行政
    1. うそつき食品行政のはじまり
    2. 暗黒食品行政
    3. 二枚舌の厚生省
    4. 不可解な外郭団体
    5. 明暗――奇病の発生
    6. 明暗――明るい日差し
  8. 増補 グルタミン酸ソーダもまた有害
文献
  • 津田幹夫『化学商品辞典』[P.197]
校正
  • 謝まりにきました。→謝りにきました。[P.246]
  • 食べているのである。→食べさせているのである。[P.255]

内容

テレビ局に対する食品添加物メーカーの圧力[P.3-5]

四四年五月一日、私は、NETテレビのアフタヌーンショーに出演して、有害食品の話をした。
圧力が、まず、食品添加物専門メーカーの飢えの製薬からかかってきて、
なんだかんだの末に、「郡司の話は一方的であるから、業者の方も出せ」というのである。
御もっともということになり、業者側から、
これも食品添加物専門商社の台東株式会社(元台糖ファイザー)重役の霜博士が出ることになった。
なお、霜博士は、厚生省食品衛生調査会の臨時委員でもある。

<中略>

ついで五月一四日、朝刊が配達されて、テレビ欄に、
NHK午後七時三〇分からの「生活の知恵」という番組の
“食品に赤信号”郡司篤孝、森下敬一、柳沢文徳という予告が掲載されていた。
そしてこの日も、食品添加物協会はじめ、
食品添加物メーカーの面々がNHKへ圧力をかけてきて、
「ビデオを見せろ、見せなければ内容を教えろ」と食い下がったが、
スポンサーに関係のないNHKが、断固として拒否したことはいうまでもない。
業者もNHKには歯が立たなかったのである。

つぎの圧力は、一日おいた五月一六日、大阪の毎日テレビにかかってきた。
この日も朝刊の予告をみてからで、午後二時~三時の「ファミリーショー」に、
“あなたは毒を食べている?”というテーマで、私の出演名が掲載されていたのである。

大阪は、食品添加物メーカーの本場だけあって、
上野製薬、三栄化学工業、武田薬品、第一製薬、田辺製薬などの連中が、
押っとり刀で毎日テレビにおしかけてきた。
そして、NETテレビにかけたと同じように、

「郡司を下ろせ、さもなければ業者側からも出演させよ」と迫ってきたのである。
そこで局側では、

「それでは、どなたか一人出て下さい」と言うと、
彼らは、ぶつぶつ何事かを協議した後、
「私たちは今、資料を持ち合わせていないから出られない。
その代り、大阪大学薬学部長川崎近太郎を出していただきたい」と申し入れてきた。
川崎博士は、元厚生省の局長を勤めた人であり、
また大阪薬学部は、上野製薬のニトロフラン誘導体をはじめ、
産学協同という形で、製薬会社ともっとも密着している学部である。

偽装全糖標示[P.37-39]

ごく最近、主婦連が東京都内の商店から、全糖入りと標示されている食品を、
任意に五〇品目を買い求めて、その標示が不正かどうかを調べ、その結果を発表した。
こういうことは、都庁や保健所が行なう仕事なのであるが、
その怠慢はともかくとして、その発表は私の想像以上にヒドいものであった。

つぎにかかげる品目は、全糖を表示しながら、人工甘味料のサッカリン、
チクロ(サイクラミン酸ナトリウム)を使っていた会社とその商品である。
戒めの意味で転記しておく。

  • 帝国食品株式会社(東京都荒川区西尾久七-三三-九 二部上場 資本金二億円)、
    帝食三色豆、帝食うずら豆。
  • 石井食品株式会社(船橋市本町一-二三二六 二部上場 資本金一億六、〇〇〇万円)、
    イシイの煮豆、イシイの白金時豆。
  • 日魯漁業株式会社(東京都千代田区丸ノ内二-二-一 一部上場 資本金七〇億円)、
    あけぼのシロップ漬みかん。
  • 雪印食品工業株式会社(札幌市苗穂町三六 二部上場 資本金二億七、二〇〇万円)、
    雪印フルーツポンチ。
  • ゴールド・パック株式会社(東京都渋谷区渋谷一ー二三 資本金三億円)、
    みかんゴールドパック。
  • 株式会社北洋商会(東京都千代田区日本橋通三ー八 資本金六億円)、
    ひがさゴールド。
  • 伊藤忠ドール食品株式会社(東京都中央区日本橋本町 大和ビル)、ドールみかん。
  • 日本カルパック株式会社(東京都港区西新橋 川手ビル 資本金四、〇〇〇万円)、
    デルモンテみかん。
  • 長野トマト株式会社(松本市荒川村井町二二三 資本金五、〇〇〇万円)、
    ナガノ白桃。
  • ヒメギク缶詰株式会社(尾道市吉和町古淡二七 資本金五〇〇万円)、
    ブランデーピーチ。
  • 諏訪農村工業食品、SNSあんず。
  • 港常商店、洋あんず。
  • 大洋食品株式会社、金太郎印びわ
  • 清水食品株式会社(清水市築町二-四八 資本金一億五、〇〇〇万円)、
    エスエスケイのネオマスカット。
  • 服部商店、フルーツシロップ。

右に記した会社の商品のほかに、
次の会社は使用禁止になっているズルチンを使用している。
いっそう悪質といわねばならない。

  • 後藤缶詰株式会社(清水市島崎町一五一 資本金二、四七八万円)、はごろも印白桃。
  • 株式会社国分商店(東京都中央区日本橋通一-二 資本金二憶四、〇〇〇)、
    国分のみかん。
  • 日本リビー株式会社(東京都千代田区丸の内 三菱商事ビル 資本金一、〇〇〇万円)、
    リビース白桃。
  • 日本カルパック株式会社(前掲)、デルモンテ黄桃二ツ割。

水増し砂糖[P.45-46]

一三種のブドウ糖水増し砂糖を製造していた悪徳会社のうち、
つぎの六社は人工甘味料まで混入していたのである。すなわち、

  • 関西精糖 チクロ
  • 金剛精糖 チクロ
  • 台湾精糖A チクロとサッカリン
  • 台湾精糖B チクロとサッカリン
  • 帝国制糖 サッカリン
  • 三菱精糖 チクロ

仔細にこの表をみると、少し妙なことに気がつく。
関西精糖という会社は関西の大手であるが、
この場合は東京となっており、東京に関西精糖は実在しない。
台湾精糖という会社も聞いたことがない。
知らぬ人は大手メーカーの台糖と間違う恐れがある。
三菱精糖なる会社も、三菱の系列下のように見せかけただけである。

つまりこの六社は、まったく無名のモグリ会社だったわけである。

ところが、レッキとした精糖会社でも、
うそつき砂糖を販売していたのであるから、呆れるほかはない。
台東精糖株式会社(柴田文雄社長 東京都台東区西浅草三-二四-一三)がそれである。

チクロの毒性報告とずさんな規制[P.50-53]

昭和四三年一一月二六日の朝日新聞が、
「人工甘味料のチクロを摂取すると、奇形児が生まれる恐れがある」として、
米国FDA(食品医薬品局)マーヒン・リゲーター博士の発表を掲載し、
一般に大きなショックをあたえたけれども、
こんなことは、もう数年前からわかりきっていたことである。

<中略>

昭和三八年頃、イギリスのウィスコンシン大学研究所では、
チクロの分子が、体内では代謝されないようであるが、
腸にはよく吸収され、また尿中に大量に排泄されることによって、
残りの少量が体内に蓄積されることに疑問を抱いていた。

そのため同大学では、昭和三九年六月、チクロの毒性を確かめるための実験をはじめた。

まず、それぞれ五〇匹ずつのネズミを入れた三つのグループをつくり、
一グループには普通の基準食を、二グループには五%のチクロを混入した基準食を、
三グループには一〇%のチクロを混入した基準食をあたえた。

そして毎週データをとっていき、六カ月後の結果では、

  1. 三グループのネズミは、一グループのネズミより、体重増が二〇%少なかった。
  2. 二と三のグループのネズミは、一グループより二五~六〇%の水分を余分にとった。
  3. 一グループから生まれたネズミの体重は、平均五〇グラムであるが、
    二グループは四二グラムであった。
  4. 二グループのネズミは、生まれた子供を五日以上育てることができず、
    一グループのネズミは離乳期まで育てあげた。
  5. 二グループから生まれた子供は、生後七日以内に死に、
    三グループのネズミは妊娠しなかった。

アメリカでは、チクロは体重減少のための美容食(ノンカロリー食)
として宣伝されているが、かなり前から子供が下痢したり、
ネズミの新生児に一〇ミリグラムのチクロを与えると、
その七一%が死亡し、ウサギにも多量を与えると死亡する、と報告されている。

もっとも恐ろしいことに、チクロが生成する「シクロヘキシルアミン」という物質が、
発ガン物質になる、という報告がある。
またカロリー審議会アポット研究所のチャールズ・ブラウン博士は、
毎日人間が五グラム以上摂取すると、かなりの影響が認められると発表している。

イギリスやアメリカだけでなく、ソ連でも発ガン物質であると発表し、
東ヨーロッパの諸国は、ソ連と共に全面的に禁止している。

また、フィラデルフィア総合病院のランバーク博士は、四〇歳の黒人の主婦を診察し、
チクロのために日光皮膚炎にかかっていると発表している。
これはチクロを含んでいる、ダイエットソーダという飲料を、
毎日六本も飲んでいた主婦が、光線アレルギー性皮膚炎を起こしたものであるが、
飲用を中止したところ、簡単に全快したというものである。

<中略>

アメリカ政府は、昭和四四年四月三日、
「現在では、チクロを全く無制限に使用することには、正当な根拠がない」との、
全米研究会議の結論にもとづき、
「チクロの含有量をミリグラム単位まで食品に表示し、
同時に、一日にチクロは大人三、五〇〇ミリグラム、
子供は一、二〇〇ミリグラム以上摂取してはいけない」ことを要求する制度を提案し、
メーカー側からの公聴会の陽性がなければ、三〇日以内に発効することになった。

ベニショウガ工業用色素事件[P.57-58]

ベニショウガに、工業用色素を使う業者もいる。

東京都千代田区外神田四―一四―一、
都中央卸売市場神田市場内、
東京東梅食品会社(坂爪友治社長)がそれで、
純度が六〇%と低いため、ペンキやマジックインキ用にしか使えない
「ブリリアント・スカーレット3R」を、ショウガに染めて売っていたのである。

違法着色黄粉[P.61]

昨年、東京都衛生局が摘発したうそつきキナ粉はひどいものであった。
使用を禁止されているタール色素のナフトール・イエローSで着色していたのである。
このタール色素で着色したキナ粉を、長い間食べつづけると、
慢性的なカイヨウをおこして発ガンする恐れがあるほか、ヒ臓、ジン臓もおかされる。
たいへん毒性の強いもので、これを使って製造していた会社は、

東京都江戸川区輿三谷町三六四、加藤産業株式会社(加藤久次郎社長)

この会社の有毒キナ粉を、二キログラム入り、一キログラム入り、
七〇グラム入りの三種類で六万八、二〇〇袋も販売していた会社は、

  • 東京都台東区元浅草四-三ー二 西野商店
  • 東京都足立区千住緑町一-二四 鈴藤商店
  • 東京都千代田区神田練塀町五二 中野元治商店

加工食品細菌汚染事件[P.72-73_238-239]

つぎの商店会社で製造または販売していたカマボコ、ハンペン、ソーセージなどには、
驚くなかれ、一グラム中一〇〇万個の大腸菌や、一、〇〇〇万個の雑菌がついていたのである。

  • 東京都中央区築地四-一〇-一 
    珍味食品販売業 長谷川幸造商店(社長長谷川幸造)
  • 東京都中央区銀座三-一有楽町フードセンター内 
    海産物卸商 古川商店東京出張所(所長浜野清人)
  • 東京都千代田区有楽町、有楽フードセンター内 
    乳肉製品販売業 フジフード(社長岡勝子)
  • 東京都千代田区神田淡路町一-一一 
    食品販売業荒木商店(社長荒木晋吾)
  • 東京都台東区池之端四ー七ー一 
    ソーセージ製造 太田シャーマン会社
  • 東京都台東区上野四-六-一三 
    食品卸商斎藤商店(代表斉藤富司雄)
  • 東京都台東区上野四-七ー一三 
    雑穀商 まるも商店(社長古川保)
  • 東京都台東区上野四-七-一四 
    食品販売業 伊藤商店(責任者伊藤哲氏夫)
  • 神戸市茸合区二宮町四-一四 
    食品加工業 いなば商店(社長稲葉憲一)
  • 銚子市和田町一五六二 
    上総屋水産製造
  • 富山県新市古新町二八四 
    有限会社新かまぼこ製造販売所

味の素廃棄物「味液」[P.130-131]

戦後、アメリカ軍が進駐してきて、ある日、技術将校が味の素株式会社の工場を訪問し、
工場廃液が下水道に流れ出ているのを見た。
将校は、その液をちょっとなめてみて、味の素の社員に質問した。

「これは何か」

「グルタミン酸ソーダ製造のさいに生じるアミノ酸の廃液です」

「なるほど」

と、その将校は考えこみ、これを醤油製造に利用すれば、アメリカから輸入する大豆を、
従来の醸造醤油のように一ヵ年近くも寝かせなくてもすみ、
二、三日で製品にすることができると考えついた。
その当時の輸入アメリカ大豆は、ガリオア・ファンドといって、
アメリカ国民の税金によって支出された占領地区住民救済資金によって賄われていたので、
一刻も早く換金しなければならない必要に迫られていたのである。

こうして化学(合成)醤油が製造されることになった。
今までドブに流していたアミノ酸廃液に「味液」という、
もっともらしい商品名がつけられ、ドラム缶一本に数千円の価格をつけた。

ワサビ屋の郡司篤孝襲撃事件[P.179]

一二月の初め、私は静岡県主催の「みんなの消費生活展」へ招待され、
私の講演が始まろうとするとき、突然、最前列にいた一人の男が立ち上がり、
「このインチキ野郎」と大声で叫び、
「こんな奴の言うことを聞くな、みんな出たらめだ」とわめきつづけた。
満員の聴衆が呆気にとられたことはいうまでもない。私は気を落ち着かせて、

「あなたはどなたですか」と言った。その暴漢は、

「おまえにウソを書かれたワサビ屋だ」といって、いっそう暴れだし、
演壇に棒立ちになっている私に、なぐりかかろうとする態度を示した。
幸いにして、まわりにいた県庁の役人が、なだめるようにして、
その男を沈黙させたので、私は所定の講演をすませることができた。

哺乳瓶ホルマリン検出事件[P.206-207]

昭和四三年一二月二七日、山口県下関市保健所は、
デパートから回収した授乳器のツバを調べたところ、人体に有害なホルマリンを検出してしまった。
驚いた保健所では、山口県公衆衛生部を通じ、
東京都衛生局にたいして詳しい検査を依頼する一方、県下のデパートや薬店での販売を禁止させた。

槍玉に上がった会社は、東京マミー哺乳器本舗(東京都大田区馬込西四-六一)で、
発売していたのは「マミーヨーク」という、
合成樹脂でつくった高さ約七センチメートルの栄養授給器である。
この容器の、乳首型の吸い口の中央にある赤色のツバから、ホルマリンが検出されたのである。

黴菌ソフトクリーム[P.216]

昭和四三年七月に東京都衛生局が実施した、ソフトクリームの取締結果によると、
飲食店やデパートのスタンドなどで販売しているソフトクリームは、
九五個を検査して五五個が不合格であった。五八%の率である。

また、喫茶店で販売していたものは、一九七個のうち七〇個が不合格(三六%)、
包装して冷蔵庫に入れ、小売商店で扱っていたものでも、一一%が不合格であった。

ここで不合格というのは、食品衛生法にいう、
(1)一般の生菌数が一グラムあたり五万以下、
(2)大腸菌なし、に違反していることである。
この不合格品のうちには、一般生菌が一グラムあたり一〇万を越えるものが二三%、
大腸菌が一グラムあたり三、〇〇〇を越えるものが一四%という、驚くべき不衛生品も含まれていた。
子供が、この程度のソフトアイスクリームを食べると、下痢を起こすことは確実であるという。

南方産フグ中毒事件[P.224-225]

南方産のフグは、その肉質部分まで有毒であることは、
魚類を取り扱うものなら誰でも知っているくらいの常識であるのに、
それを干物にして販売している業者がいることも、まことに困ったことである。

最近の例では、昭和四三年三月、ベトナム沖でとれたフグの干物を買って食べた、
東京都大田区の会社員家族が、フグ中毒にかかった。
古くは昭和三四年一〇月、北九州市の小倉区で、
同じベトナム沖のフグ干物を食べて、四人が死んでいる。

ウナギに添加される茶粉[P.225]

ウナギ専門店では考えられないことであるが、小さな魚屋では、
タレに有害色素のメタジフェニレンアミンやビスマルクブラウンを使っているところがある。
これは俗に茶粉(チャコ)と呼ばれる茶かっ色の色素で、たいへん有害なものである。

どうして、このような色素を使うかというと、
ウナギを、よく焼き上がったように見せかけるためで、
よく焼くと大きさが半分近くにちぢまってしまうため、
よく焼かずにタレの色でゴマ化してしまうのである。

もっとも、このようなうそつきウナギには厚みがない。
ニシンのカバヤキのように平べったいのである。
ウナギ料理専門店では使えないウナギで、死にかかっている病気のウナギを、
タダ同様の価格で仕入れてくるのだそうである。

インスタントラーメン告発投書[P.244-246]

何を好んで中毒しやすいインスタントラーメンを食べたがるのか、
消費者の心理というものはわからないものである。

しかし、インスタントラーメンを食べることの恐ろしさを知りはじめてきた消費者も、
すこしずつ増えてきたことは事実である。
その例を、「コンシューマーズ・ガーディヤン」という
団地新聞の昭和四三年六月一五日号の投書欄にみてみよう。

お腹をこわすラーメン
 横浜市磯子区田中町 笹沼ミチ子(主婦四六歳)

即席ラーメンには防腐剤が入っていると、ある新聞を読み知りましたが、
たいして気にもとめず愛食していました
(筆者注、ラーメンには防腐剤は許可されていないが、抗酸化防止剤は許可されている)。

ところが最近になって、食べたのちは、かならず腹をこわすようになりました。
以前はよかったものが、なぜだろうと思い、医者にも聞いてみたのですが、
よくわかりませんでした。

このまま続けますと、一家全員が体をこわしてしまうのではないかと、たいへん心配です。
先日も、私の家と同じような症状になったという近くの奥さんに会いました。

三人に一人は胃腸を悪くする
 東京都渋谷区初台 北村和歌子(主婦二四歳)

私はときおり、主人の夜食のつきあいに、
インスタントラーメンを食べ、お腹をこわすことがあります。
知人に聞いても、三人に一人は胃腸が悪くなるような気がする、と言います。

蝿、ブヨ、ゴキブリ、ワラクズ入りラーメン
 東京都調布市西つつじが丘 津村昌子(主婦)

先日、私たちの団地で、インスタントラーメンの中から、
こともあろうにゴキブリがでてきたという話を聞き、とうとうやったかとショックでした。

事実、私の家でもインスタントラーメンの中に、
蝿、ブヨ、ワラクズ、炭の粉が入っていたことがあります。
あるときメーカーのエースコックへ現物を送りかえしましたら、
一カ月分のラーメンをもって謝まりにきました。
そして驚いたことに、下請の農家でつくらせているので、
その過程で入るとのことでした。
もう一つの明星食品などは、現物を送ってもナシのつぶてです。

人造肉・大豆タンパクの危険性[P.251-257]

畑の肉とか、植物性高タン白質の栄養食とかのキャッチフレーズをかかげて、
最近、猛烈な売り出しをはかっている人造肉は、製油会社と香料会社との合作商品である。

この二つの業界が資本提携しているところに、人造肉の基本的なあり方がある。
つまり両者とも、人造肉が売れることによって、
巨大な利益を得る点において共通しているからである。

まず、大豆から油を抽出すると、七七%の大豆カスができる。
昭和四二年度に例をとると、158万トンの大豆を処理して、
一二一万四、〇〇〇トンの脱脂大豆カスが生産された。
この脱脂大豆カスは、七〇%以上が動物の飼料や肥料になるが、
それでは利益率が低いので、脱脂大豆、つまり大豆油カスから、
できるだけ多量のタン白成分を抽出して、もっと有利に販売しなければならない。

そこで、自社の利益をあげるために考えついたのが人造肉である
(後述するが、これはもちろん肉ではない)。

そうして大豆油カスから、いろいろな危険な工程を経て、肉状(?)の繊維とし、
どうやら食べられるような形態に仕立てあげるのであるが、
肉の味はついていないから、香料会社の手助けによって、
ミートフレーバー(肉の匂い――香料)をかけて、肉らしい味にするのである。

<中略>

ところで、これらのうそつき人造肉の生産量は、秘密にしている会社もあるので、
はっきりした数字はつかめないが、年間三、〇〇〇トンはかたいとみられている。

その三、〇〇〇トンの人造肉は、どのような食品に使われるかというと、
もっとも需要の多い水産ねり製品の年間生産量が約八〇万トンであるから、
人造肉の配合率を三%として二、四〇〇トンの需要があることになる。
また、ハムの場合のつなぎ肉の消費量は、年間約二万五、〇〇〇トンであるから、
この三〇%の需要として、七~八、〇〇〇トンが代替できることになる。

<中略>

そのうえ、価格はきわめて安く、一キログラムあたり、
豚肉が七~八〇〇円、牛肉が一、〇〇〇円以上もするのに、
人造肉は工場渡しで、わずか一二〇円というから、豚肉の七分の一から九分の一にすぎない。

このため、悪利にさとい食品メーカーがとびつくのは当然で、
インスタントラーメンの大手であるエースコックでは、
すでに同社が発売した「みそ味ラーメン」に、この人造肉を使っているのである。
しかし消費者に、人造肉が入っていることなど、ぜんぜん知らせることなく食べているのである。

しかも驚いたことに、本当の肉がいくらでも入手できる時代に、日本の農林省は、
タン白食品の開発奨励金として、一、六〇〇万円を計上しているのである。
なんという、消費者の健康と嗜好を無視した行政感覚であろう。

*   *   *

それでは、この人造肉はどうして製造できるのであろうか。

大豆油の製法は、他の食用の油と同じく、
ノルマルヘキサン、またはベンジン、ベンゾールなどで食油を抽出する。
残りが大豆油カスであるが、これからタン白を抽出分離するのが第一の工程である。

第一の工程は、各種類の化学工業薬品を使用し、複雑な工程をへて、タン白を溶出させる。

まず大豆油カスに一〇位量の〇・二%、つまり10g×0.2/100の亜硫酸ソーダ水溶液を加え、
これを四〇度Cに加熱してかきまぜながら、一〇%カセイソーダ溶液でPHを八・〇に調整する。
そしてタン白を溶出し、残滓を除去した後、亜硫酸ガスを吹きこんで、
PHを四・五としてタン白を沈殿させる。
このタン白をまたカセイソーダで溶かして、
凝固酸の中に細い孔から噴出させると、繊維状のタン白ができるのである。

第二の工程は沈殿で、亜硫酸ガスを吹きこんで、PHを四・五とすれば沈殿する。

つぎにこのタン白を、再びカセイソーダで溶かして、酸性の凝固液の中に入れ、
細かい孔から噴出させれば、肉の繊維に似せたタン白になってくる。

ここまでの工程でも、かなり危険な薬品を使っていることがわかる。
私たち人間が、他の動物のように敏感な本能をもっているならば、
ここまでで、人造肉の摂取を拒否してしまうであろう。

ところが、これだけではすまないのである。
これでもか、これでもかと、危険な薬品で処理されていく。
それは次のようなものである。

  • 亜硫酸塩
  • 塩化カルシウム
  • イオン交換樹脂
  • 綿実油と大豆油混合物を部分水添した油
  • グリセリールラクトパルミチン酸塩

これらの薬品を使う必要は、私にはわからない。
メーカーが教えてくれないのである。
わかっているのは、着色のために、赤色タール色素を使うことである。
タール色素一つを使うだけでも、人造肉は食品として失格である。

さらに味をつけるために、甘味料、グルタミン酸ソーダ、リボ核酸、
脱脂大豆キナ粉、黄色玉ネギ粉、食塩、乾燥卵白、水などを使う。
それでもまだ、肉にはならない。そこで最後の仕上げとして、
合成香料によるミートフレーバーが登場して、肉のにせ物となるのである。

石油タンパクの広告(協和醗酵)[P.261]

協和醗酵が、朝日新聞の昭和四四年三月一三日号に
石油人工肉の全面広告を掲載しているので、その宣伝文を転載しておく。

燃える水――石油を着た現代人は
さらに食べることを知らされました
石油の食品化に挑んだ
協和醗酵の技術陣は
英国B・H社と技術提携して
新時代の食品づくりをはじめました
栄養価の高い石油タンパクは
家畜飼料として貢献するだけでなく
より高度な人類未来の食品として
大きな期待を集めています
現代から未来へ――
人類のあたらしいテーマを追って
協和醗酵は活躍しています

優れた食品添加物は製薬会社に潰される[P.270-271]

元東北大と大阪大の教授をつとめた林喬博士が、低毒性の防腐剤を発明したので、
漬物に使用するための食品添加物の許可を申請したことがある。
申請を受理した厚生省食品衛生課では、提出された試料を試験したところ、

 (1)急性毒性試験の結果が良好であること
 (2)三ヵ月間の慢性毒性試験(授与量一〇〇倍)の結果が良好であること

このことにより、食品衛生課長補佐は林博士にたいし、
「六月より漬物の保存料として指定許可をあたえ、官報に告示する」と言明した。

ところがその後、一年たっても許可にならない。
問い合わせると、こんどは、
「本薬は第四級アンモニウム類似のものであり、
各国においても、この種の薬剤を許可していない。
よって食品衛生調査会に諮問して決定する」と延期の旨をつたえてきた。

ここで林博士は、この延引のうらには、本薬が許可されることによって、
営業上の不利益を招く製薬業者の妨害の手が動いた、と言っている。

さらにしばらくたって、こんどは
「実験の結果はフェノールを分離し、黒色のフェノール臭を発する毒物である」
との、食品衛生調査会の決定が通報された。驚いたのは林博士である。

三年も前から、同じものを何回も試験していながら、
急に「毒物である」という決定は、どういう根拠にもとづくものであろう。
不審に思って調べてみると、実に信じられない奇怪事が明るみにでてきた。

それは、博士が提出した試料が、いつのまにか、
偽せの毒物にすりかえられていたのである。

味の素株式会社と一緒になってモミ消し工作をする厚生省[P.285-286]

ある一流週刊誌が、アメリカのある州の議会が、
グルタミン酸ソーダの害性について審議を開始した、との外電をキャッチして、
さっそく厚生省へ取材に行ったところ、それがそのまま味の素へ筒抜けになって、
あわてふためいた会社では、宣伝担当の社員を、週刊誌の親会社へ赴かせ、
強引なモミ消し工作をはかった。
その記者が厚生省にいる間も、味の素から再三の電話がかかってきて、
そのたびに、厚生省の課長は
「もう大丈夫だ、心配するな」と何回も言っていたという。

化学調味料を口にしない調味料会社員[P.286-287]

ある財界人の娘が、調味料メーカーの社員と結婚した。
娘が実家にくるたびに、せっせと化学調味料を持ってくる。
余るほど持ってくるので、せっせと使っては、
気前よく近所の人にも呉れてやって、たいへん喜ばれていた。

そんなある日、娘ムコがやってきたので、
世間話の末にその話をすると、急に真剣な表情になって、
「それはいけません。前のならばよいが、今は石油法に変っているので、
たいへん有害かもしれないから、食べないほうが良い。
私自身も会社の製品をいっさい口にしませんよ」

と言ったという。娘のお母さんは、それを聞いて、
それでは他人にあげても毒になるのだから、と、庭の片隅に穴を掘って、
大量の商品を埋めてしまった。本人から直接きいた話である。

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