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書籍と雑誌の要約と解説

食品添加農薬

気をつけよう輸入食品2

装丁
食品添加農薬 食品添加農薬
小若順一(日本子孫基金事務局長)
学陽書房
ISBN4-313-88033-X
1993/11/01
¥1359
解説
私が編集長をつとめている日本子孫基金の機関誌
『食品と暮らしの安全』に書いた記事をもとにして、
農作物別に取材記録やデータをまとめ直したのが本書である。
一九九〇年七月に、
初期の取材記録をまとめた『オストハーベスト農薬汚染』(家の光協会)を発行したから、
それ以降に書いた記事を中心とし、重複は最小限にとどめた。
目次
  1. 農薬が食品添加物になった
    1. オレンジ・バナナなどに許可されたイマザリル
      1. 収穫後に使用した殺菌剤は違法食品添加物!?
      2. 記者発表資料に九・二八通知はなかった
      3. 反ポストハーベスト農薬のキャンペーン
      4. 反対を押し切って食品添加物に指定
      5. 農薬と食品添加物の違い
    2. 収穫後に使用される殺菌剤は違法
      1. 厚生省・食品化学課長に面会
      2. あわてた業界団体
      3. アメリカから支援のメッセージ
  2. 輸入果物に添加される危険な農薬
    1. バナナ――発ガン性殺菌剤ベノミルのプールに
      1. 腐らなくなったバナナ
      2. 殺菌剤のプールに浮いていた
      3. フィリインでは一~二割の労働者に被害
      4. 発ガン性農薬ベノミルを検出
      5. ポストハーベスト無農薬の台湾バナナ
      6. バナナ農園と処理場
      7. 台湾バナナがおいしい理由
      8. なぜ、違法農薬が規制されなかったのか
      9. 変わり始めたバナナ業界
      10. 弱腰の厚生省
      11. ブランド別バナナの評価
      12. 学校給食から消えたバナナ
      13. バナナ業界は戦国時代
      14. ポストハーベスト無農薬バナナを手に入れる方法
    2. レモン――枯れ葉剤の主成分ニ・四-Dをスプレー
      1. ロサンゼルスのレモン処理場
      2. 第一のワックスにニ・四-Dが!
      3. 検出されたニ・四-D
      4. ポストハーベスト農薬とは
      5. 厚生省が違反使用を野放し
      6. 三・四月以外はニ・四-D使用
      7. ガンを多発させたニ・四-D
      8. 低迷するレモンの消費
    3. オレンジ、グレープフルーツ――発ガン性農薬OPP、催奇形性農薬TBZをスプレー
      1. 処理場の中はブラックボックス
      2. ようやく映像を入手
      3. ジュース原料にも農薬を使用していた
      4. 果実から検出された農薬は五種類
      5. ジュースにも農薬が含まれている
      6. 少しでも安全に飲むために
    4. リンゴとリンゴ・ジュース――発ガン性農薬を添加か
      1. ニュージーランド産リンゴの輸入解禁
      2. ニュージーランド産リンゴは安全なのか
      3. 日本で未登録のポストハーベスト農薬が使われている可能性
      4. リンゴに許可されているポストハーベスト農薬
      5. 輸入リンゴ・ジュースやジャムも農薬の検査は行われていない
    5. アメリカン・チェリー――殺菌剤イプロジオンに浸けてから出荷
      1. カリフォルニア産チェリーから殺菌剤
      2. 国内向けにポストハーベスト殺菌剤を使用
      3. 次々と農薬残留のデータ
      4. 日本向けにも使われていた
      5. アメリカ産の検出値は日本産の五倍以上
      6. 本格的な規制が必要
      7. 一〇週間おいてもカビないアメリカン・チェリー
    6. パイナップル――発ガン性農薬トリアジメホンに一つひとつ浸けられていた
      1. 約束を守らない国際果物資本
      2. 機関銃で警護していた処理場
      3. 小さな手袋だけで作業
      4. 発ガン性物質で催奇形性の疑惑もある農薬
    7. マンゴー――ドライ・マンゴー製造工場で使われる食品添加物
      1. マンゴーにもポストハーベスト殺菌剤
      2. 合成保存料を使用するドライ・マンゴー
  3. 輸入穀物に添加される知られざる農薬
    1. 米――殺虫剤を混入する外国米
      1. 虫が死んだアメリカ米
      2. 国内向けには殺虫剤を混入していないタイ
      3. オーストラリアでは白米に殺虫剤をスプレーしていた
      4. 国際米市場は農薬漬け
      5. ビデオ『米輸入は危険だ』に各国から反響
      6. 五年分の殺虫剤を一度の食事で
      7. 国際的なスケールで活動成果が生まれた
      8. 二〇〇万トンの輸入なら三〇万トンが農薬混入米
    2. 小麦――虫が死んだ外国の小麦粉
      1. 輸入小麦に虫が死ぬほど殺虫剤が残留
      2. 混入されている三つの殺虫剤
      3. カナダでもポストハーベスト農薬の使用が増加している
      4. 改善中のオーストラリア小麦
    3. パン――学校給食用に汚染のひどい小麦粉が使われていた
      1. イギリスのパンから信じがたいほど高濃度の殺虫剤
      2. 各国産のパン、シリアル、ビスケットを検査
      3. 殺虫剤が検出されなかったシリアル類
      4. 学校給食のパンを全国から集める
      5. 約四分の三の学校給食パンから殺虫剤
      6. 北海道は安全なパン用小麦を増産すべきだ
      7. 学校給食用と輸出用は同じ構造だった
    4. うどん・スパゲッティ・クッキーなどー―調理・加工で落ちる農薬、落ちない農薬
      1. 加工で減っている
      2. 殺虫剤の種類によって残留割合は大幅に異なる
    5. 肉・卵――TBZ入り飼料から身を守る方法
      1. トウモロコシにTBZ
      2. エサ米の生産
      3. ポストハーベスト無農薬のトウモロコシの輸入
  4. 野菜・イモ類にひそかに使用される農薬
    1. ジャガイモ――除草剤や殺菌剤を繰り返しスプレー
      1. 除草剤IPCが残留
      2. 防草剤と殺菌剤をセットで使用
      3. 日本でも発芽防止剤マレイン酸ヒドラジドが使用されている
      4. 異常に枯れていたジャガイモ畑
      5. 収穫を助けるハーベストエイド農薬
      6. 大規模農業では国際的に収穫直前に除草剤を使用
      7. 新しい発想の表示が必要
      8. 輸入ものと加工品は食べないように
      9. 改善には時間がかかる
      10. アメリカでも収穫直前に毒性の強い農薬をスプレー
    2. カボチャ・ゴボウなど――野菜は実態解明が遅れている
      1. アメリカでは冷蔵処理が普通に
      2. ようやく的のあった検査が行われた
  5. 農産物の危険性を高める新残留農薬基準
    1. 新残留農薬基準の設定
    2. 世界でもっとも緩い基準値に
    3. かえて農薬の使用量を増やす
文献
  • 若槻泰雄『バナナの経済学』[P.48]
  • 江波戸哲夫『コメ自由化の落とし穴』[P.160]
  • 『農薬便覧・第5版』[P.221]
  • 日本植物防疫協会『農薬ハンドブック』[P.222_227]
  • 農山漁村文化協会『作物別農薬表』[P.227]
  • 植村振作『残留農薬データブック』[P.98_229]
  • テレビ朝日『ザ・スクープ』1992年11月7日[P.28_134]
  • 『北海道新聞』1993年5月22日[P.]
  • 『衛生試験所報告』第110号,1992年[P.71_94_125]
  • 東京都生活文化局消費者部『諸外国で使用される農薬に関する調査』[P.75_114]
  • 東京都生活文化局消費者部『収穫後使用の農薬に関する調査』1990年[P.75_114_218]
  • 『食品衛生研究』1975年8月号[P.76]
  • 植村振作『農薬毒性の事典』[P.82_227_228]
  • 『大蔵省貿易月表』[P.83]
  • 『NETWORK』1990年1月号[P.87]
  • “News&Revie”1992.3.26[P.88]
  • 『日本農業新聞』1993年4月9日[P.107]
  • 農林水産省『日本向けニュージーランド産りんご生果実の検疫措置の流れ』1993年3月30[P.110]
  • 『東京衛研年報一九九〇』「輸入農産物の残留農薬実態調査」[P.123_133_220_242]
  • 『北のくらし』[P.124]
  • 『食品衛生学雑誌』1991年5月[P.124]
  • 『日本農業新聞』1993年5月15日[P.137]
  • 福士正博『イギリス農業に学ぶ』[P.189_219]
  • 『食品衛生学雑誌』第33巻第2号,1992年[P.205]
  • 『広島県衛生研究所研究報告』第39号,1992年[P.206]
  • 『三共農薬手帳・一九八三』[P.220]
  • 『農薬要覧』[P.228]
校正
  • 一見直ったように見えてくる。→一見治ったように見えてくる。[P.40]
  • 症状は直って?→症状は治って?[P.40]
  • 雑菌剤→殺菌剤[P.92]
  • 北海道消費者協会→北海道消費者連盟[P.124]
  • 「植物成長調整剤」→「植物生長調整剤」[P.221]

内容

バナナの残留農薬[P.34-35]

一九八二年に東京都立衛生研究所が購入して検査したデータをみると、
普通のバナナでは一九検体中一検体の果肉からベノミルが検出されている。
最大値は〇・〇〇三ppm。
モンキーバナナは一検体しか検査していないが、〇・〇〇五ppm検出されている。

ところが、東京都生活文化局が九〇年に検査したバナナの場合は、
皮からはすべて、果肉からも六検体中五検体から、
ベノミルとチオファネートメチルが検出された。
もう少し低いレベルまで検査していれば、すべての果肉から検出されたはずである。
ベノミルの最大値は八年前の三〇倍になっており、〇・〇九ppmだった。
また、チオファネートメチルの最大値は〇・一二ppmだった。

六検体中四検体の果皮からは、殺虫剤のクロルピリホス(商品名=ダーズバン)も検出された。
最大値は〇・一一ppmと、かなり高い。

バナナ処理場労働者の農薬被害[P.37-40]

予想に反して、健康そうな労働者たちが陽気に作業していた。
農薬の水槽に浸かっているバナナを素手で引き上げていたし、
スプレーしている人もマスクを着けていない。

<中略>

フィリピンで労働環境の改善に取り組んでいる
「MASIKAP」(本部・ケソン市)に頼んで、バナナ処理場を見学するとともに、
バナナ労働者が農薬によってどのような健康被害を受けているかを取材することにした。

<中略>

被害の実情を外に訴えるとクビになるので、すでに退職した人が多かったが、
インタビューの結果、ポストハーベスト農薬の使用現場で働いている労働者の
一~ニ割に皮膚障害や呼吸器疾患などが出ていることが判明した。

<中略>

皮膚障害は、会社を辞めて時間が経つと一見直ったように見えてくる。
ところが、症状は直って? も、一〇歳から二〇歳くらい年を取って見えるようになる。
どうも皮膚にタルミやシワができてしまうようなのだ。
連れて来てくれた労働組合の役員より一〇歳ぐらい年上だろうと思っていたら、
逆に一〇歳以上年下だったりする。“加齢効果”と呼んだらいいのだろうが、
私より年上と思っていた女性が、インタビューで一五歳も若いことがわかると、
気の毒としかいえなくなってしまった。

フィリピン産バナナは台湾産バナナを駆逐する[P.49]

フィリピン産バナナは競争を勝ち抜いたわけだが、
勝因の一つはポストハーベスト農薬を多量に使用したことにあったと思われる。
当時のバナナは残っていないから残留農薬を検査することは不可能だが、
三四ページに紹介した東京都立衛生研究所のデータと、
バナナが腐りにくくなってきたわれわれの実感から、
殺菌剤の使用濃度をだんだん濃くしたと考えられる。
そして、腐らないことによって流通市場を制覇した。

当時の厚生省は、ポストハーベスト農薬を違法としていた。
もし、収穫後に違法殺菌剤で処理していることが判明していたら、
フィリピン産バナナは輸入をストップされ、大打撃を受けて、
現在のように独占的なシェアを占めることはなかったにちがいない。

台湾バナナは合法的な食品添加物(ミョウバン)を使用したため腐りやすく、
味では消費者の指示を受けていたにもかかわらず、敗北したのである。

レモンのポストハーベスト[P.69-70-72_97]

一九九〇年六月、
私はアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスの近郊にあるレモン処理場を取材した。
レモンの処理工程は、次のようなものだった。

収穫後、レモンはコンテナで処理場に運ばれて来る。
そして、コンテナをひっくり返すようにして、まず塩素剤のプールに入れられる。
泥やホコリを落とすので、プールの中は泥水のようだが、ここは殺菌工程でもある。
次にアルカリ剤の入った大きな容器に移され、流れていくうちに、
レモンは無菌に近い状態になるとともに、表皮の細胞が壊される。
さらにブラッシングして、表面のカサブタなどを除去する。
これでレモンはきれいになるが、異物をはじくはずだった表皮は傷んでしまう。

薬剤を吸収しやすくなったレモンを引き上げ、第一のワックスをスプレーする。
それから選別し、傷がついたり規格外のものを取り除いてから、冷蔵倉庫に入れて貯蔵する。
取り除かれたレモンは、果汁原料などに回される。

数ヵ月後に冷蔵倉庫からレモンを出し、まずカビが生えたりして傷んだものを取り除き、
水洗いした後に、アルカリ剤をスプレー。
次に発ガン性のあるカビ防止剤OPPのシャワーをかけ、
さらに催奇形性のあるカビ防止剤TBZの入った第二のワックスをスプレーする。
それから「日本向け特選」という表示の箱に詰めて出荷していた。
第Ⅰ章で述べたカビ防止剤のイマザリルは、この取材ではマークしていなかったので、
どこで使用されていたのかわからない。

私の取材のターゲットは、ベトナム戦争で使用された枯れ葉剤の主成分ニ・四―Dだ。

<中略>

現場監督に案内してもらって一通り処理場の中を見せてもらった後、
「大学では二・四―Dを使うと教えてくれたが、どこで使われているのか」と彼に尋ねた。
返事は「第一のワックスに含まれている」だった。

<中略>

そして、第一のワックスを見せてくれるという。
薬剤置き場に連れて行ってくれ、
ワックスと合成洗剤の入った二種類のドラム缶の表示を見せて、
われわれにニ・四―Dが入っていることを説明しようとした。
ところが、ニ・四―Dの表示がない。
「おかしいなあ」と言いながら、彼はいくつものドラム缶を見ていたが、やはり表示はない。
そこで、ワックスを混ぜている機械のところに行って、蓋を開け、
これが第一のワックスで、この中にニ・四―Dが入っていると説明してくれた。

表示がないので、ドラム缶くらいの大きさの容器と、
ワックスを混ぜている機械しか写真に撮れない。これでは証拠にならない。
私は、ディッシュペーパーをワックスの中に浸し、ポケットに入れて持ち帰ることにした。

*   *   *

市販のレモンを買って、
横浜国立大学環境科学研究センター加藤研究室の花井助手に検査を依頼した。
すると、ワックスとレモンの両方から二・四―Dが検出された。
食品中の二・四―Dを分析するのは初めてだったので、
念のため(財)日本食品分析センターにも検査を依頼した。
こちらからも検出されたので、証拠はほぼ完璧になった。

同じ時期に、
私が映像を持ち込んだテレビ朝日の「ザ・スクープ」も同じように検査を依頼した。
日本子孫基金のデータと合わせると、表Ⅱ―3の結果となった。
このときに検出された二・四―Dの最大値は、
日本食品分析センターで検出された〇・六八ppmである。

加工用レモンは、ワックスをスプレーした後で選別して、規格外のものが原料になっていた。

表Ⅱ-3 レモンの2,4―D検査結果   (単位 ppm)
番号 検出値 番号 検出値 番号 検出値
1 0.03 12 23 0.10
2 0.08 13 0.22 24 0.24
3 0.02 14 25 0.13
4 0.01 15 0.03 26 0.13
5 0.03 16 0.05 27 0.09
6 0.02 17 28 0.24
7 0.01 18 29 0.16
8 0.02 19 0.04 30 0.33
9 0.09 20 31 0.41
10 0.01 21 0.08 32 0.68
11 0.04 22 0.05 33 0.17

(注1)検出限界は一律ではない。
(注2)検査機関:1~12,14~23;横浜国立大学環境科学研究センター(花井,加藤),
    13,24~33:(財)日本食品分析センター。依頼者:1~13;日本子孫基金,
    14~33;テレビ朝日「ザ・スクープ」。
(注3)レモンは東京・神奈川・埼玉のスーパー,百貨店,果物店,生協,
    共同購入グループから7月に入手。12は国産,それ以外はアメリカ産。

グレープフルーツのポストハーベスト[P.86-87_95]

カリフォルニア大学のケーダー教授の論文中に柑橘類の処理工程表を見つけ、
オレンジもグレープフルーツも収穫後の処理方法は基本的にレモンと同じであることが判明した。
ただ、レモンにはニ・四―Dが使用され、
オレンジとグレープフルーツには使用されない点が大きく異なっていた。

グレープフルーツの処理については、
日本生活協同組合連合会が八九年一一月から一二月にかけてアメリカに調査団を送り、
その調査結果を『NETWORK』(九〇年一月号)に発表した。
それで、フロリダ州での処理内容が次のように具体的に明らかになった。

トラックでパッキングハウスに運ぶ→
トラックごと消毒・洗浄(塩素・水酸化ナトリウム・TBZ)→
倉庫に貯蔵(二日間)→塩素消毒→洗剤で洗浄→乾燥→傷ものを取り除く→
ワックスをかける(TBZをシャワー)→乾燥→段ボール箱に詰める→出荷。

表Ⅱ-7 グレープフルーツのポストハーベスト農薬の検査結果(単位:ppm)
入手場所(原産国) 部位 DP OPP 2,4―D イマザリル TBZ ベノミル
1 横浜港(USA) 果皮 1.192 2.57 5.00
果肉 0.038 0.01
2 神戸港(USA) 果皮 0.03
果肉 0.03
3 小売店 果皮 0.154 0.24 2.16 0.48
果肉 0.06 0.20 0.03

(注1)ー=検出せず。
(注2)検出限界:DP=0.005ppm,OPP,2,4―D,TBZ,ベノミル=0.01ppm,イマザリル=0.05ppm。
(出典)表Ⅱ-6に同じ。

オレンジのポストハーベスト[P.94]

表Ⅱ-6 オレンジのポストハーベスト農薬の検査結果(単位:ppm)
入手場所(原産国) 部位 DP OPP 2,4―D イマザリル TBZ ベノミル
1 横浜港(USA) 果皮 0.250 2.93 2.50
果肉 0.028 0.02 Tr.*
2 神戸港(USA) 果皮 1.139 3.01 10.58 0.32
果肉 0.009 0.04 0.56 0.27
3 小売店 果皮 0.078 0.08 2.02 1.09 4.56
果肉 0.006 0.08 0.03

(注1)ー=検出せず。0.01ppm≦Tr.=痕跡<0.03ppm。
(注2)検出限界:DP=0.005ppm,OPP,2,4―D,TBZ,ベノミル=0.01ppm,
    イマザリル=0.05ppm。
(出典)外海泰秀、津村ゆかり、中村優美子、伊藤誉志男
    『衛生試験所報告』第110号,1992年。

米国から日本に転売された禁止農薬ダミノジット[P.108-109]

落下防止剤は、
日本でも発ガン性のあるダミノジット(商品名=エイラー)がリンゴに使用されている。
落下防止作用だけでなく、リンゴの実をいっせいに赤くする着色促進作用や、
貯蔵中にスカスカになったり味が落ちたりするのを防ぐ効果もある。
このダミノジットは、
八〇年代後半に発ガン性が発見されてアメリカで大問題になり、使用が減り始めた。
ところが、それから日本で登録され、広く使用されるようになっている。

アメリカで売れなくなったから、日本で売っているわけだから、
ノウヤクメーカーのモラルはなきにひとしい。

残留農薬の国際基準は業者に操作されている[P.121]

アメリカも含めて、各国の許容値は、
FAO/WHO(国連食糧農業機関/世界保健機関)の
一日摂取許容量にもとづいて設定されているので、一見すると公正に見える。
ところが、アメリカがFAO/WHOの合同委員会に消費者代表として
送り出したロドニー・レオナルド氏(「ニュートリーション・ウィーク」編集長)
などによって、専門家委員会は不公正なメンバー構成になっていることが明らかになった。
農薬メーカーや食品企業や穀物メジャーが過半数を超えるメンバーを送り込み、
消費者の健康に対する配慮を最小限度にして、
貿易の障害にならないよう非常に甘い許容値の案をつくっていたのである。
専門家の案だから、それがほとんどそのまま受け入れられ、国際基準になってしまった。

カビの生えないアメリカンチェリー[P.137-139]

休日にアメリカン・チェリーを一袋買ってきて、
表面に打撲の跡があるチェリーを二個出してカップに入れ、
常温に置いたところ、二週間たっても少ししなびたたけでカビは発生しなかった。
どうも、シーズンの途中から殺菌剤の使用を始めたらしい。
三週目からは日曜ごとに観察し、写真を撮ることにした。

五週目に少しカビがはえたが、六週目にはカビが消えた。
どんどんしなびて干しブドウのようになっていき、
七週目には完全なドライチェリーができあがった。
一〇週間たってもカビは発生していない。
九三年の夏は梅雨がいつ明けたのかわからなかったほど雨が多く、
湿度が高かったので、まな板にもカビが生えた。
その近くで、チェリーがカビないまま干からびていくさまは異様そのものだった。

コクゾウ虫の死ぬ輸入米[P.158-167]

日本子孫基金世話人の三宅征子さんがアメリカを旅行した際、米を買ってきた。
一〇サンプルを加藤研究室に持ち込んで九一年一月に検査した結果、
三つの米からマラチオンが検出された。最高値は〇・一九ppm。
これらの米に五〇匹のコクゾウ虫を入れたところ、最高値を検出した米は四日後に一〇匹死んだ。
再度のテストでも、同じ結果になった。
日本米でも同じテストを行ったが、まったく死ななかった。
それまで、日本の米の中に入れて買っていたのだから、
死なないのは当たり前である(表Ⅲ―1)。

表Ⅲ-1 米の残留農薬と殺虫テスト
番号 ブランド 購入地 マラチオン
(ppm)
殺虫テスト・50匹中の死亡数 備考
テスト① テスト②
DIXIE LILY SPANISH DINNER ロサンゼルス 0.02 14匹 2匹 白米
ELLIS STANSEL’S RICE ニューオリンズ 0.19 10匹 10匹 白米
(布袋入り)
Mahatma BROWNRICE オーランド 17匹 19匹 玄米
日本米(タイで生産) バンコク 0匹 0匹 白米
コシヒカリ 富山県 0匹 0匹 白米
HINODE CALIFORNIA WHITE ハワイ 白米
GOLDEN GRAIN ロサンゼルス 白米
Thrifty Maid ティファナ 白米
DIXIE LILY Extra Fancy オーランド 0.01 白米
EVANS ENRICHED ロサンゼルス 白米
DIAMCERS オーランド 白米
KONRIKO BROWN RICE ニューオリンズ 2匹 玄米
コシヒカリ 茨城県 0匹 玄米

(注1)検出限界:0.01ppm。―=不検出。
(注2)検査機関:横浜国立大学環境科学研究センター(花井,加藤)。
(注3)測定時期:①~⑤=1991年1月,⑥~⑬=1991年3月。
(注4)測定対象成分:有機リン系殺虫剤全般。マラチオンだけが検出され,
    他の有機リン系殺虫剤は検出されなかった。
(注5)①~⑤を厚生省指定検査機関で分析(検出限界:0.05ppm)したところ,
    マラチオンを0.14ppm検出した。
(注6)殺虫テスト(実施:小若)はそれぞれの米に50匹ずつコクゾウ虫を入れ,
    約100時間後の死亡数を数えた。
    実施時期:テスト①=1991年1月,テスト②=1991年3月。

学校給食パンの残留農薬[P.195-197]

表Ⅲ-6 学校給食パンの検査結果   (単位ppm)
都道府県 クロルピリホスメチル マラチオン フェニトロチオン 検体数
北海道 nd~0.003 0.003~0.008 nd 5
宮城 0.002~0.004 0.005~0.011 nd 3
nd~0.001 0.001~0.008 nd 2
nd~0.005 nd~0.004 nd~0.006 5
nd nd nd 4
0.003 0.008 nd 1
0.002~0.004 0.002~0.004 nd 5
nd~0.003 nd~0.005 nd 12
nd~0.005 nd~0.012 nd~0.007 24
0.002~0.003 0.003~0.004 nd 2
0.003 nd nd 1
0.005 0.006 nd 1
0.003 0.005 nd 1
nd~0.003 nd~0.005 nd~0.002 8
nd~0.005 0.00~0.003 nd 7
nd~0.001 0.00~0.005 nd 16
0.001 0.005 nd 1
nd~0.003 nd~0.003 nd 11
nd~0.002 0.001~0.013 nd 7
0.001~0.019 nd~0.007 nd 3
0.002~0.004 0.004~0.007 nd 4
0.002~0.006 0.004~0.008 nd 3
nd nd nd 1
0.001 0.007 nd 1

(注1)検出限界:0.001ppm。nd=検出せず。
(注2)検査機関:横浜国立大学環境科学研究センター(柏倉,花井,加藤)。
(注3)検体入手時期:1993年1~3月。

<中略>

混入ルートを調べているうちに、
学校給食パンは小麦の外皮に近い部位を原料とした二等粉を用いていることが判明した。
給食予算を切り詰めているため、安い二等粉をブレンドして原料にしているのだ。
小麦の内部を原料とした一等粉は高いので、市販のパンや強力粉に用いられていた。
つまり、ポストハーベスト殺虫剤をあまり含まない小麦粉が市販のパンの原料になっており、
多く含む小麦粉は子どもたちが食べる学校給食パンの原料になっていたのである。

小麦粉製品の残留農薬[P.205-206]

「小麦に残留する農薬は製粉、調理加工することにより減少し、
我々が食品として摂取する段階では一等粉を用いて製造された製品は
小麦中の残留濃度の六%以下の濃度になることが認められた。
しかし、クッキーなど二等粉を用いて製造された製品は残存率が高くなる傾向を示した」
(堀義宏・長岡隆夫・佐藤正幸・岡田迪徳
「小麦の製粉及び調理加工後における有機リン系農薬の残留」
『食品衛生学雑誌』第三三巻第二号、一九九二年)。

<中略>

スパゲッティ(イタリア、カナダ産)、マカロニ(カナダ産)、
タコスの皮(オーストラリア、アメリカ産)、パンのプレミックス(アメリカ、イギリス産)、
ビスケット(イギリス産)、オートミール(アメリカ産)について、
広島県衛生研究所もポストハーベスト農薬として使用されている殺虫剤の残留を検査した。
そして、イタリア産スパゲッティからピリミホスメチルを最高〇・〇三ppm、
オーストラリア産タコスの皮からフェニトロチオンを〇・二五ppm、
ピリミホスメチルを〇・〇一六ppm、
アメリカ産タコスの皮からマラチオンを最高〇・〇九六ppm、
イギリス産ビスケットからピリミホスメチルを〇・〇二九ppm検出している。

花粉症が1989年を境に急増したのは飼料中TBZが原因か?[P.208-209]

一九八九年秋に二度目のアメリカ取材を行ったとき、
イリノイ州立大学のドナルド・ホワイト助教授から、トウモロコシに殺虫剤だけでなく、
殺菌剤のチアベンダゾール(商品名=TBZ、マーテクト、ビオガードなど。
食品添加物の表示では、TBZが簡略名として認められている)も混入していると聞き、
そのシーンのスライドも見せてもらった。
九〇年にはイリノイ州で穀物貯蔵倉庫を見て回っていたとき、
入口にあった農薬販売所でセメント袋の大きさのTBZが積み上げられているのを目撃し、
事態の重大性にはっきり気がついた。

TBZは緑カビを防ぐ効果をもっているが、催奇形性があり、毒性の強い農薬である。
タンパク質と結合しやすく、酸やアルカリに強いだけでなく、熱をかけても分解しにくい。
アメリカ農務省は家畜飼料の成分評価システム(CES)で、
肉に残留しやすく毒性が強いB―2にランクしている。
このような農薬が資料に混入されると当然、肉や牛乳や卵に不安が出てくる。

干ばつでアメリカの穀物が大不作になった八八年には、
トウモロコシの生命力が弱ってカビが発生した割合は三割に達したといわれる。
TBZは、カビが発生したトウモロコシ、発生しそうなトウモロコシに使用する。
日本の輸入量は一六〇〇万トン程度だから、
混入されたものは五〇〇万トンを超えていたと思われる。
柑橘類にもTBZが使用されているが、輸入量は約五〇万トンだから、
トウモロコシの場合はその一〇倍以上の量になる。

トウモロコシと柑橘類はTBZを表面に塗るという点では、同じである。
ところが、大きさが異なっている。
重量が同じなら、粒の小さいトウモロコシのほうが表面積は数十倍大きくなる。
これらのファクターをかけあわせると、
輸入農産物に使用されて日本に入ってきたTBZの量は、
八八年から八九年にかけて数百倍増加したと思われる。

もちろん、肉や卵や牛乳に、飼料中のTBZのすべてが移行しているわけではない。
しかし、柑橘類も、口に入るものは果肉に移行したものやマーマレードなどの一部だから、
すべて口に入らないという点では同じようなものである。

八九年は、子どものアレルギーや花粉症の激増が社会的問題になった年だ。
原因を追究するには、
TBZ摂取量の増加とアレルギー激増との因果関係を調査すべきだったのである。

日本は、家畜のエサの九八%を輸入に頼っている。
したがって、現状ではTBZの危険から完全に逃れるすべはない。

国産ジャガイモのポストハーベスト[P.220-223]

日本ではポストハーベスト農薬は認められないから、
ジャガイモには残留する農薬は使用されていないはずだった。
ところが、いつの間にか同じ発芽防止を目的とする農薬が収穫前に使われるようになっていた。
もしかしたら、ずっと前から発芽防止剤を使用していたのかもしれないことも判明した。

八六年に、発芽防止剤を収穫直前の畑にスプレーして、
それがジャガイモに吸収されるのを待って収穫する方法が、
登録条件の拡大によって認められた。
これは、農水省が正式に登録を認めたものだが、
実はそれ以前にも、公然と発芽防止剤を使用していた形跡が見つかった。
『農薬便覧・第五版』(一九八二年、農山漁村文化協会)には、
MH―三〇(主成分はマレイン酸ヒドラジドエタノールアミン)は
「タマネギなどの貯蔵中の発芽防止」と出ていたのだ。
「など」というのが、ジャガイモだと推定される。

マレイン酸ヒドラジド(商品名=エルノー)は、ジャガイモに吸収させる植物生長調整剤で、
「萌芽抑制剤」「発芽防止剤」「植物成長調整剤」「植物生育調整剤」などとよばれている。
急性・慢性毒性は弱いが、不純物に発ガン性が認められているので、安全性に問題がある。
もともとは除草剤として登録されていたが、アメリカで
「一九四九年ごろから……研究が進められ、生育抑制剤として実用化された」
(『農薬ハンドブック』一九九二年版、日本植物防疫協会)ので、
どうも日本は、アメリカをまねして発芽を防止するために用い始めたようである。

ジャガイモは収穫二~三週間前(北海道では三一~四五日前)、
タマネギは一~二週間前(北海道では倒伏期の一~ニ週間後)、
テンサイは三~六週間前に使用できる。
八七年には、ニンニクにも一週間前までの使用が認められる。

マレイン酸ヒドラジドは細胞分裂を阻害するタイプの生育抑制剤なので、
収穫前の生育が止まったジャガイモの場合、除草剤のように枯れさせる力はない。
単に吸収されるだけだ。しかし、そのまま分解せずに残っていて、
ジャガイモが発芽しようとしたときに威力を発揮し、発芽を止めるのである。

北海道庁が作成した『平成四年度・植物育成調節剤使用基準』によれば、
ジャガイモには、貯蔵中の萌芽抑制のため、茎葉黄変期(収穫二~三週間前)に、
マレイン酸ヒドラジド液剤(三九%)を八〇~一二〇倍に薄めて
一〇aあたり八〇l散布することになっている。

北海道での全使用量は年間約四五トン(『農薬要覧―一九九二』、日本植物防疫協会)。
ジャガイモ、タマネギ、テンサイの希釈率はほぼ同じだから、
一haあたり八㎏散布すると仮定すると、約五六〇〇haの畑で使用されていることになる。
北海道のジャガイモ作付面積は約七万haだから、まだ使用している割合は一割に満たない。
けれども、貯蔵業者や流通・蚊工業者は芽が出にくいほうが扱いやすいので、
消費者が知らない状態が続けば、発芽防止剤を含有させたジャガイモは増加していくにちがいない。

北海道の使用基準の注意事項には、
「加工食品用に限る」「一二〇倍では効果の劣ることがある」
「使用時期が早いと生育を抑制し収量を減じることがある」などと書かれているから、
行政や農協の指導を受けながら、いまのところは加工食品用に使用されているはずである。
ジャガイモには休眠期間があり、収穫して二週間から三ヵ月ぐらいは、
ほっておいても発芽しない。
収穫直後に市場に出すものは発芽防止の必要がないので、マレイン酸ヒドラジドは使われない。
収穫後しばらく貯蔵してから出荷する加工用ジャガイモに使用されているわけだ。

しかし、北海道の農家から、
「芽止めしていない」とわざわざ断って東京にジャガイモを送ってきたりすることがある。
したがって、出荷時期によっては加工用以外のジャガイモにも芽止め、
すなわちマレイン酸ヒドラジドを使用しているケースがあると考えられる。

私は北海道しか取材していないが、マレイン酸ヒドラジドの出荷量をみると、
北海道は全国の総計の一割にも満たない。
雑草の防除にも用いられているから、すべてが芽止めに用いられているわけではないが、
ジャガイモ、タマネギ、ニンニクには、全国的に広く使われている可能性がある。
日本子孫基金のメンバーが東北地方の農協にジャガイモの「芽止め」を買いに行ってくれたが、
事務所に届いたものはマレイン酸ヒドラジドだった。
販売されているのだから、本州でも使用されているのは間違いない。

カボチャ・ゴボウ・アスパラガスのポストハーベスト[P.242-243]

九〇年になって
国立衛生試験所大阪支所食品部の伊藤誉志男部長らがはじめて的のあった検査を行い、
九三年に『衛生試験所報告 第一一〇号』(一九九二年)で結果を公表した。

<中略>

①カボチャ

アメリカ産カボチャからクロルピリホスメチルが最高〇・一五ppm、
メキシコ産から〇・〇一ppm検出された。

<中略>

②ゴボウ

台湾産ゴボウからクロルピリホスメチルが〇・二八ppm検出された。

<中略>

③アスパラガス

フィリピン産アスパラガスから、クロルピリホスメチルが〇・三〇ppm検出された。

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