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書籍と雑誌の要約と解説

握力王

すべてを握りつぶせ!

装丁
握力王 アイアンマン3月号増刊 握力王
IRONMAN MAGAZINE “Mastery of Hand Strength”
ジョン・ブルックフィールド(握力166kg以上)
John Brookfield
株式会社フィットネススポーツ
Ironmind Enterprises
ISBN
雑誌11498-3
2004/03/XX
¥1500
解説

ストロングマンと呼ばれる人たちの握力は、いったいどうやって養われてきたのだろうか。
いろいろなやり方、いろいろな道具を使って握力を強化しようとこれまで試してきたわけだが、
確かに握力は以前に比べて多少は強くなったかもしれない。
しかし、その程度で満足できる私たちではない。
私たちが目指すのはストロングマン級の握力だ。
潰したり、握ったり、保持したりする“手の力”を極限まで伸ばしたいのである。

この本は、そんな人たちのためのバイブルである。
握力はもちろん、つまむ力、前腕を強化するための総合的な教本なのだ。
そのための方法や器具をここで紹介し、皆さんに究極の握力を追及してもらいたいと思っている。

目次
  1. 握力王たち
    1. 歴代のグリップマスターたち
    2. 現代の握力王
  2. 握力強化は“握る”だけではない
    1. 握力は“握る”だけでは向上しない
    2. 競技に適した握力強化
    3. まずは“親指”の強化から
    4. 親指の過伸展によるケガ
  3. 握りつぶす力
    1. 錆び付いたペンチを使った『ワイヤーカッティング』
    2. ペンチとバケツを使った『ペンチリフティング』
    3. 90cmハンマーを使った『ダブルハンマー・スクィーズ』
    4. プレートローディング式の『グリップマシン』
    5. 小袋を使った『バッグキャッチング』
    6. グリッパーを使ったトレーニング
    7. 理想的な頻度、回数、セット数は?
  4. ピンチ力を強化する
    1. 鉄床、薪、プレートを使った『ワイドグリップ・ピンチグリップ』
    2. 重量プレートを使った『レギュラーグリップ・ピンチグリップ』
    3. 斧のヘッドを使った『アックス・ヘッド・リフティング』
    4. 自宅でもできる『ロープクライミング(綱登り)』
    5. ハンマーを使った『フィンガーウォーキング』
  5. ブロックを負荷にした運動
    1. 鉄アレイの鉄球の部分を使った『ブロックトレーニング』
    2. 『ブロックトス(ブロック投げ)』
    3. 『ファーマーズウォーク』
    4. 『クリーン&プレス』
    5. 『スナッチリフト』
    6. 『フィンガーリフト』
    7. 『フォロー・ザ・リーダー』
    8. 握力強化にブロックトレーニングは欠かせない!
  6. 太いダンベルでトレーニングする
    1. 5cm以上のシャフトが理想
    2. ダンベルを保持する練習から始めよう
    3. 『ケトルベル』でトレーニングする
  7. 指や前腕のための強化種目
    1. ウォーミングアップとして活用できる『リストカール』
    2. 手首を極限まで強化する『カーリング・プレート』
    3. 指、手の瞬発力を鍛える『サンド・グラブ』
    4. 強靭な手首を作る『レバー・リフト』
    5. 太い前腕を作る『リストローラー』
    6. 指先の力を養う『ジョン・オッタスキー流ベースボール・リフト』
    7. 簡単だが効果は大きい『指先で行うプッシュアップ』
    8. “指を開く力”も必須『フィンガー・エクステンション』
    9. “指を開く力”も必須『フィンガー・エクステンション』その2
    10. “指を開く力”も必須『フィンガー・エクステンション』その3
  8. 日常の肉体労働と、仕事中に用いられる器具の活用
  9. ゴールとそのためのトレーニングプログラム
    1. 小さいゴールをクリアし、大きなゴールを目指す
    2. 自分の身体からの声を聞く
    3. 【表A】種目毎に強化される要素
    4. 【表B】競技毎に必要な力とそのための種目
    5. 【表C】トレーニング歴別ワークアウト例
  10. 究極の握力技、“鋼鉄曲げ”
    1. キミには曲げられるか?
    2. “大釘曲げ”のための握力強化法
    3. 鉄棒で様々な形を作る『スクロールワーク』
    4. 究極の“蹄鉄曲げ”
  11. 持久力を試してみよう
    1. キミにできるか?(その1)“ジャガイモ潰し”
    2. キミにできるか?(その2)“持久力バケツ持ち”
    3. キミにできるか?(その3)“トランプちぎり”
    4. キミにできるか?(その4)“カーリング・プレート”
    5. キミにできるか?(その5)“背面大釘曲げ”
    6. まとめ
  12. これってホント?
    1. コイン曲げ、コインちぎり
    2. テニスボールを破裂させる
    3. 缶潰し
    4. 線路に使われている釘曲げ
    5. あなたは信じる?

内容

  • 握力王伝説[P.9-11]
  • 1本指でのリフトに挑戦したりすると、指の腱を断裂したり、実際にそれで指を普通に使うことすらできなくなってしまったという人たちが大勢いるのだ。[P.10]
  • “ノエルのダンベル”はフランスのストロングマンの名前に由来しているダンベルなのだが、非常に重く、非常にシャフトが太いことで有名なダンベルである。[P.10]
  • 指の対決競技フィンガーツイスト[P.11]
  • 前腕の太さと握力は関係ない[P.12]
  • 世界一の握力王リチャードソリン[P.13]
  • 世界級のデッドリフターたちは超高重量のフリーウェイトを握って保持する力を持っているが、そんなデッドリフターたちであっても、指先のつまむ力は平均的なレベルなのだ。[P.21]
  • ピンチグリップマシンの使い方[P.24]
  • 少なくとも現在、私はグリッパーを使ったトレーニングを定期的に行なってはいないのだ。[P.33]
  • 平均以上の握力を持っていて、さらに向上させたいというのであれば、アイアンマインド社の『キャプテンズ・オブ・クラッシュグリッパー』や、イバンコ社の『スーパーグリッパー』をお勧めしたい。[P.34]
  • グリッパーの使い方[P.34-35]
  • 1800年代には親指と人差し指だけで栽培用の針をつまみ、その先に12kgのおもりをぶら下げて地面からそれを浮かせることができるストロングマンがいたそうだ。[P.41]
  • 素手で抜歯する怪力歯医者[P.41]
  • 私はブロックトレーニングを行なっている間、未だかつて得たことがないほどの高い効果を得ることができたのだ。[P.47]
  • 握力強化を目指すのであれば、ブロックトレーニングは絶対に欠かせないのである。[P.55]
  • 私も握る動作ばかりを繰り返していたのだが、開く動作にも重点をおくようになったところ、停滞していた握力が再び伸び始めたのである。[P.67-68]
  • 握力強化のための理想的なトレーニング量[P.76]
  • これまでにナンバー3を閉じることに成功したは2002年度の時点で84名、2003年時点では110人程度である。[P.91]
  • 生のジャガイモを潰そうと思ったら、ナンバー3のグリッパーを閉じられるほどの握力が必要だ。[P.91]
  • 背面での大釘曲げの力技は、非常に難しい技である。実際のところ、私以外でこの技を成功させたという人を私は知らない。[P.94]

握力王伝説[P.9-11]

ヘルマン・ガーナーは片手で317.5kgのデッドリフトを成功させたストロングマンだ。
彼はまた、2組のトランプを瞬時にして半分にちぎってしまうという指の力をも披露したことで
一気に名声を高めた。

指の力と言えば、フランスのストロングマン、バッタも有名だ。
彼は両手の親指と人差し指だけを使って1組のトランプ54枚を半分にちぎってしまうことができた。

≪中略≫

イギリスのトーマス・インチも恐ろしいほどの握力を持っていた。
彼が行なったのは直径が6.3cmもあるシャフトのダンベルを握って保持することだった。
ダンベルの重量は78kg。

≪中略≫

過去に行なわれたストロングマンたちによる信じられない技の一部を紹介したいと思う。

まず、ウォーレン・リンカーントラビスだ。
彼は右手の中指だけで272kgのおもりを保持することができた。
ジャック・ウォルシュは左手の中指で260㎏に相当するオートバイを保持することに成功した。
ニューヨークのジョー・ロリノもやはり中指だけで288㎏のおもりを保持し、
この技はニューヨークにあるコーニーアイランドで披露され、大きな話題を呼んだ。
ちなみに、このときのジョーの体重はわずか79㎏であった。
指1本で、体重の3倍以上のおもりを保持したのだから、話題にならないはずはない。

すべての技は中指でしか行なわれなかったのかって?
そんなことはない。
1本指のリフティングを話題にするなら、
フランク・フィリップ・ブラムバッハを忘れるわけにはいかないだろう。
彼が行なったのは小指1本によるリフトだ。
しかも保持したのは200㎏のおもりである。

いずれの技も、鎖や革の紐などで鉄の輪とウェイトをつなげ、鉄の輪に指を引っかけて、
ストロングマンたちははしごを登り、ウェイトが地面につかない程度の高さまで登ったら、
そこでウェイトを浮かせた状態で1本指で保持するというやり方で技を披露した。

“ルクセンブルクのヘラクレス”と称えられたジョン・マルクスは誰もが認める握力王だった。
太いシャフトのダンベルを持ち上げる技を競わせたら、彼にかなう者は誰一人いなかった。

≪中略≫

ジョンは馬の蹄鉄も楽勝で折り曲げることができた。
実際にジョン・マルクスといえば、太いシャフトのダンベル上げが得意なストロングマンというよりも、
笑いながら蹄鉄を折り曲げるストロングマンとしてのほうが知名度が高かった。
その技は、例えば3つの蹄鉄をわずか3分程度で完全に折り曲げ、
最終的には半分に切ってしまうというものだった。

指の対決競技フィンガーツイスト[P.11]

自分の中指と、対戦者の中指をそれぞれ第2関節から曲げて互いに絡ませる。
ちょうど、自分と対戦者の中指がフックのように互いに引っかかった状態が作られる。
この状態から、指を捻り、相手を降参させるのだ。
手加減できるから、自分の右手と左手の中指同士を絡ませて捻ってみるといい。相当痛いはずだ。
この競技では、指の捻る力が競われ、
ヴィック・ボフという名のストロングマンが常に優勝を収めていた。
彼は既に80歳代になっているだろうが、
『ザ・オールドタイム・バーベル&ストロングマン協会』の会長を務めた人物である。
ヴィックがまだ70歳だった頃は、せがまれれば、相手がどれだけ若かろうと、
フィンガーツイストの挑戦を受けて立つほどの力を維持していたそうだ。

前腕の太さと握力は関係ない[P.12]

ここで、ひとつだけ言っておきたいことがある。
それは、“巨大な前腕=握力が強い”というわけではないということだ。
言い換えれば、強い握力を作るために、
前腕が太い人のほうが有利であるということはないのである。
もちろん、握力を強化するために、前腕のトレーニングを行なうことはひとつの方法ではある。
しかし、それはあくまでもひとつの方法にしか過ぎず、指の力、手のひらの握る力、親指の力、
手首の力など、すべてを強化するためのトレーニングを行なうことが
最強の握力パワーを作り上げる手段なのだ。

実際、ボディビルダーたちの前腕は非常に太かったりするのだが、
彼ら全員がとてつもない握力を持っているかと言えばそうでもない。
前腕は極めて太いのに、握力は平均的なレベルだったりすることが多い。

したがって、前腕の太さと握力は必ずしも比例するわけではない
ということを覚えておいていただきたい。

「自分は前腕が細いから……」と悲観することもないし、諦めることもないのだ。
農家に従事している人たちの中には、前腕は非常に細いのに、
物凄い握力を持っている人たちが大勢いる。
オーストラリアで農場を営むブルース・ホワイト氏など、
片手で50kgの表面がつるつるのプレートをつかんで保持してしまうことができる。
彼はまた、人差し指と親指だけで、30kgのプレートをつまみ上げることもできる。
しかし、彼の前腕は決して太いわけではない。
おまけに、ブルースの体重はわずか67kgである。
それでも、彼の握力は途方もなく強かったのだ。

世界一の握力王リチャードソリン[P.13]

私が思うに、リチャード・ソリンこそ世界一の握力王である。
ナンバー3を閉じた最初の人物であり、同時に指の力も信じられないほど強い。

何年か前に開催された“オールドタイム・バーベル&ストロングマン”のパーティーの席で、
リチャードは、キャプテンズ・オブ・クラッシュグリッパーのナンバー3を
2本の指で閉じる技を披露したのだ。
まさに信じられない話だろうが、
実際に大勢の人たちがリチャードの技を目撃しているのだから事実だ。

ピンチグリップマシンの使い方[P.24]

アイアンマインド社の『ピンチグリップマシン』。
このマシンを使うことで、指の“つまむ力”、いわゆるピンチ力を強化することができる。
通常はテーブルや台の上に乗せて使うのだが、
そもそもこの運動を発明したジョン・ブルックフィールドは背もたれのあるイスに座り、
やや後傾した姿勢を保ち、腕を伸ばしてこの運動を行なっている。
彼によると、この姿勢が
最も純粋に指の力だけを使って運動を行なうことができる姿勢であるということだ。

グリッパーの使い方[P.34-35]

1回のワークアウトで行なうレップス数やセット数についてだが、
それについては他の部位のワークアウトと同じ考え方でいいだろう。
つまり、上腕二頭筋や胸筋のワークアウトのように、
5レップス程度のローレップスで、5セット程度を行なうのが理想である。
また、本番セットを始める前には必ず手のひらをウォーミングアップしておくこと。
例えば強度の弱いグリッパーをひとつ用意しておけば、
ウォームアップを行なうことができるはずだ。

素手で抜歯する怪力歯医者[P.41]

スイスにもピンチ力が異常に強い歯科医がいた。
どれくらい強いかって?
彼は、指のつまむ力だけで患者の歯を抜くことができたというのだ。
この歯科医は抜歯しなければならない患者の口の中に親指と人差し指を入れ、
2本の指で対象の歯をつまみ、それを抜き取ったというのだ。
ちなみに、日本にも指先の力で抜歯をするという歯科医が何人もいたそうだ。
彼らはちょうど歯の大きさの小さな木片を台に打ち付けて、
親指と人差し指で小さな木片をつまみ、
それを引き抜くという練習を積んだという噂である。

握力強化のための理想的なトレーニング量[P.76]

基本的には、握る力を向上させる種目は1種目につき5セット程度を行なうことを勧めたい。
例えばグリップマシンや高強度のグリッパーを使うのであれば、
まずは低い強度でウォームアップセットを行なって、血液の流れを活発にしておく。
ウォームアップセットは2セット程度で十分だろう。
それから本番セットを開始するわけだが、
本番セットではできるだけ強度を高くして3セットを行ない、
ウォームアップセットと本番セットの総セット数を5セット程度にする。

ピンチ力を強化するための種目では、
5秒以上は保持できないという重量を使って行なうことが勧められる。
10秒も保持できるような重量では軽すぎる。
選択した重量で10秒以上保持できてしまうのであれば、
次回のワークアウトでは必ず重量を増やして行なうこと。
もちろん、ピンチ力の持久力を伸ばすのであれば
できるだけ長く保持するやり方が適しているだろうが、
ピンチ力そのものを向上させることが目的であるならば、
5秒間保持できるギリギリの重量を使うこと。

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