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書籍と雑誌の要約と解説

合成洗剤はもういらない

粉せっけんのすすめ

装丁
合成洗剤はもういらない 合成洗剤はもういらない
日本消費者連盟
三一書房(三一新書901)
GTIN0236-800901-2726
1980/04/15
¥650
目次
  1. 合成洗剤と健康
    1. 体にどう悪いのか?
      1. 合成洗剤
      2. ビルダー助剤
      3. 有害性
      4. 急性毒性
      5. 侵入経路
      6. 肝障害
      7. コレステロール
      8. 奇形①
      9. 西村報告
      10. 奇形②
      11. 相乗毒性
      12. 手あれ
      13. 残留
      14. 湿しん
      15. 川崎病
      16. 肺への影響
      17. 高アル系
      18. 脂肪酸系
      19. 酸素洗剤
      20. オムツかぶれ
      21. CO・OPクリーン
    2. 環境汚染
      1. 家庭排水
      2. 富栄養化
      3. 水田汚染
      4. 水の花
      5. ウキクサの実験
      6. 飲料水
      7. 下水処理
      8. 三島市リポート
      9. 水生動物
      10. 赤潮
      11. びわ湖条例
      12. 水せっけん
    3. 現状はどうか?
      1. 消費量
      2. 標準使用量
      3. 濃縮洗剤
      4. 無公害洗剤
      5. 界面活性剤
      6. 液体洗剤
  2. せっけんの話
    1. せっけんで洗う
    2. せんたくとは?
    3. 汚れ落ち
    4. 安全性
    5. 添加剤
    6. 水せっけん
  3. せっけんで洗う暮し
    1. せんたく
      1. どこで
      2. 洗い方
      3. 全自動
      4. ドラム式
      5. 混ぜると
      6. 経済性
      7. 濃度
      8. 水温
      9. 匂い
      10. 水の硬さ
      11. ガンコな汚れ
      12. 手洗い
      13. 煮洗い
      14. ウールと絹
      15. すすぎ
      16. 再洗い
      17. 予洗
      18. せっけんやけ
      19. 風合い
      20. 漂白剤
      21. 柔軟剤
      22. 水洗い
      23. 加工処理
      24. ノリつけ
      25. クリーニング
      26. クリーニング事故
    2. 台所洗い
      1. 台所
      2. かしこい洗い方
      3. タワシ
      4. 野菜洗い
      5. 給食の洗い方
    3. シャンプー
      1. シャンプー
      2. 変死事件
      3. リンス
      4. 洗髪法
    4. 浴用・すまい
      1. 風呂用洗剤
      2. 住まい
      3. 化学ゾウキン
      4. ガラス磨き
      5. 歯ミガキ
  4. どうしたらいいのか?
    1. 海外の規制
    2. 海外の運動
    3. 科学技術庁報告
    4. 自治体の動き
    5. 厚生省
    6. 表示改悪
    7. 広告
    8. 教科書
    9. 贈答品
    10. せんたく量
    11. 原料
    12. 自然に
    13. 広げる
  5. 日本消費者連盟の生いたちから現在まで
文献
  1. 『日本医事新報』№2731[P.32_76]
  2. 洗剤のための連絡会『合成洗剤を考える』[P.62]
  3. 『クリーン・エイジ』№43,1978年[P.75]
  4. 『消費者リポート』372号[P.101]
  5. 『消費者リポート』375号[P.103]
  6. 『潮流』1979年11月号[P.104]
  7. 『社会新報』1977年9月27日[P.113]
  8. 『合成洗剤研究会誌』№3[P.124]
  9. 花王『清流』№22,1976年4月号[P.127]
  10. 辻『洗浄と洗剤』[P.134]
  11. 日本石鹸洗剤工業会『合成洗剤と粉石けん』[P.148]
  12. 『朝日新聞』1976年4月29日[P.150]
  13. 『暮しの手帖』22号[P.153]
  14. 『暮しの手帖』43号[P.159-160]
  15. 『食品衛生学雑誌』4(6)362(1963)[P.177]
  16. 国民生活センター『合成洗剤』[P.177]
  17. 『消費者リポート』9号[P.182]
  18. 『暮しの手帖』35号[P.197]
  19. 『』「藤谷超:洗剤と魚」[P.202]
  20. 『内閣質問主意書』1979年6月1日[P.209-217]
  21. 『朝日新聞』「編集者への手紙」1978年7月28日[P.218]
  22. 刀*館尚子『新しい家庭科指導』103頁[P.232]

内容

乳児寄生菌性紅斑洗剤説[P.51-56]

●二〇年で二〇〇倍に増えたオムツかぶれ

「最近、うちの子どもはオムツかぶれがひどくって」という話をよく耳にします。
特殊な型のオムツかぶれがこの五~六年の間に異常に増えているのです。
正式学名は乳児寄生菌性紅斑といいます。
ラテン語の学名の頭文字をとって Emi と呼ばれることもあります。
カンジダ菌が皮フに異常に繁殖増殖して起こる、一種のかぶれです。

二〇年前の赤ちゃんには皆無といってもよかったこの“特殊なかぶれ”の
爆発的増加に注目した山形県立新庄病院の皮フ科医、牧野好夫氏らは、
産婦人科医、小児科医、保健婦さんたちとともに、一八名にものぼる疫学調査班を結成。
同病院の患者さんを対象に四年がかりの克明なアンケート調査を実施しました。

アンケートに応じた赤ちゃんは、のべ四〇三六名。
このオムツかぶれは、二〇年前には外来患者数の〇・〇三四%、
年に一人か二人という非常にまれな病気でした。
それが、昭和四五年、四六年以降、年を追ってほぼ倍に激増、昭和四九には、
ついに二二一人と、新患者数(約三〇〇〇人)の約七・五%にも達しました。
二〇年前の発病数にくらべて、なんと二〇〇倍という信じられない増え方です。
(グラフ次頁)

一〇人のうち二~三人はカンジダ菌のかぶれ

症状にも特徴があります。
ふつうのオムツかぶれの場合、お尻や股のヒダの奥の方がひどくかぶれます。
汗をかきやすいし、便がくっつきやすいからです。このオムツかぶれは逆です。
シワやヒダの奥の方は何ともなく、オムツが強くあたるおなかや腿の内側、恥丘などから侵されてきます。

また、オムツのまったくあたらない腹や背中から耳にまで広がっていくことさえあるのです。
播種型などと呼ばれ、これまでの皮フ科の教科書にさえ書かれていない異様な症状です。
カンジダ菌が体中の皮フに広がっていくからでしょう(写真)。

汗をかきやすい夏期には、このかぶれに泣き叫ぶ赤ちゃんの数はうなぎのぼりに増え、
赤ちゃん一〇人のうち二~三人がカンジダ菌のかぶれにかかるのですから、のんきに構えていられません。

カンジダ菌は、健康な人の大腸や便の中にもあり、
ニ~三割の人の体内にもカンジダ菌は住みついているということです。
お母さんの体内にカンジダ菌がいれば、当然その赤ちゃんの体内にもいます。
夏場に一〇人中三人くらい、赤ちゃんがカンジダ菌のオムツかぶれにかかるということは、
カンジダ菌を持つ赤ちゃんはほぼ一〇〇%
この痛ましいオムツカブレの洗礼を受けていることになるのです。

病院につれてこられるときの最初の症状は、これまでの「あせも」と非常によく似ています。
ですから、あせもの治療薬のステロイド軟こうを塗る。
すると症状はみるみるうちに悪化していきます。
ステロイド軟こうはカンジダ菌を殺さず、生かす働きしかしないからです。
そのため、皮フ科医は「にせあせも」と呼んで注意しています。

カンジダ菌を増殖しやすくしたものは?

さて、この「にせあせも」、近年の異常な爆発的増加ぶりが、
全国の皮フ科医の注目を集め、いろいろな原因説が取沙汰されたのですが、
どれも決め手を欠いていました。

この謎に答えを与えてくれたのが、先の山形県立新庄病院の疫学調査班です。

その発症のしくみは、「オムツが下着の触れる部分に何か軽度の皮フ炎が先行、
または皮フ炎にいたらないまでも、ある物質が皮フの最表層の角質の清浄な機能を失わせ、
カンジダ菌に対する防禦力を失って、感染を容易にするのではないか」、これが最初の推論でした。

では、乳児の皮フにそれほど重大な影響を与える化学物質とは何か? 
調査班は昭和四七~四九年にかけて、
外来の患者など四〇〇〇人余りの赤ちゃんについて詳しいアンケートをとっています。
項目は、栄養方法、ミルクの種類、浴用せっけん、オムツの洗剤、柔軟仕上げ剤、
漂白剤、ベビイ・パウダー、紙オムツ、オムツカバー、オムツの交換回数など、
カンジダ菌のオムツかぶれの発生頻度との因果関係を調べてみたのです。

その結果、これら種々の条件別でもカンジダ菌のかぶれの発生にはほとんど差がなかったのです。
ただひとつ共通していたのは、
九六%の赤ちゃんが合成洗剤で洗ったオムツをあてられていたということです。
合成洗剤が有力容疑者というわけです。

粉せっけんに替えてみたらみるみる減少

調査班は、同病院で生まれた赤ちゃんの母親に、
退院後のオムツ洗いなどの洗たくに合成洗剤を使用することを禁じ、
粉せっけんの洗たくを指導しました。
昭和五〇年二月のことです。
その結果、母親の三分の二が粉せっけんにかえました。
すぐに結果は現われ、
せっけんにかえた赤ちゃんのグループのかぶれ発症率は九・六%に減少。
合成洗剤使用のグループの二五%に比べ、半分に減ったのです。
その後の追跡調査でも、せっけんが普及した新庄病院退院者では、
発症率が四%に減っているのに、
外来の赤ちゃんはやはりあいかわらず一〇%以上が、
このオムツかぶれに悩んでいたのです。

その後、新庄病院の洗たく場で、新生児の衣類、
オムツ洗いに合成洗剤を使用していたことが明らかになりました。
さっそく粉せっけんに切りかえたところ、
みるみるうちにカンジダ菌によるオムツかぶれの赤ちゃんの数が激減。
一〇分の一から、二〇年前の発症にもどってしまったのです。

「以上の結果から、近年異常に激増した乳児寄生菌性紅斑の原因は、
合成洗剤がその主役を演じていると結論する」

これが報告書の最後の結論です。

その後のデータで、昭和四二年に始まり、昭和四五年に完了したABSのソフト化と前後して、
カンジダのオムツかぶれが急増していることを確認。
LASの生産カーブが、カンジダのオムツかぶれの発病と奇しくも一致していることから、
牧野医師はLASが発症の原因ではないかと語っています。

マメにおしめをかえないお母さんが悪い、とほのめかす厚生省

赤ちゃんの健康に責任のある厚生省はどう考えているのでしょうか。
その回答を披露いたしましょう。何もいいません。お読みください。

「御指摘の(新庄病院疫学調査班の)論文は、
乳児寄生菌性紅斑(カンジダオムツかぶれ)は、合成洗剤の使用に起因するものとされているが、
一般には同疾患は乳児の肛門又は陰股部の不衛生に起因するものと考えられており、
合成洗剤が同疾患の発症要因であるとは考えられない。
以上のことから(オムツかぶれの実態について)調査研究を行う考えはない。」

洗剤インチキCM[P.93_99]

「ありゃ、オーバーなんですよ。
ボクのように、洗剤業界を擁護する立場の者から見たって、やりすぎだと思いますよ。」
こうテレビの洗剤CMを批判するのは、他ならぬ、日本石鹸洗剤工業会(加盟二七社)の近藤邦成理事。

「だいたい滑ったりして擦り込まれてしまった泥というものは、そう簡単に落ちるものじゃないんです。
ワイシャツの襟だって、首で汚れを擦りつけているんだから、同じことでしてね。
CMみたいに落ちるわけがない。」だから、主婦のほうは、
落ちないのは使用量が少ないのかと思って、多く使う。
「やっぱりああいう汚れは落ちんのです。

ボクは業界の会議で、いつも、それを指摘しているのだが、誰も耳を傾けてくれん。
売らんがためなんですよ」(週刊新潮79年9月13日号)
この近藤氏、洗剤CMがテレビから流れると
「ワシャ不愉快だ」とソッポをむくというから皮肉な話である。

*   *   *

こうなると実際にCMを撮影している現場の人の証言が必要です。
某社の合成洗剤CMに出演、主婦の扮装で
「こんなに真白ヨ!!」とやっていた女性タレントA子さん(27才)に訊いてみました。
泥んこに汚した衣類と次のカットの洗たくものは別ものでは……?
「あったりまえじゃない。撮影のカットごとに別のをつかっているのよ。
CMづくりの常識でしょ! あたしが持ち上げた洗たく物、あれは新品ヨ!」
予想はしていたものの、こうあからさまに肯定されると絶句してしまいます。
ちなみに、キッチンハイターなど茶シブがとれてマアきれいとやっているのも、
茶シブのついた茶ワンときれいな茶ワンを準備してカット毎に映しわけているという。
次第に腹ワタが煮えくりかえってくるようなCMづくりの裏話です。

石鹸洗浄力テスト(静岡大学工学部)[P.110-111]

テストを行なったのは静岡大学工学部。
実験方法は特殊処理した牛脂を三〇度Cの水温で一〇分間せんたくしたとき、
どれだけせんたく液の中へアブラ分を溶かし出すかを、
各メーカーの粉せっけんと合成洗剤で比べてみたものです。

<中略>

冷水(二〇度C)でも合成洗剤の一五倍牛脂を溶かし出しています。
水温が四〇度Cのときの牛脂溶解量はなんと六〇倍。
水温が上がるほどほとんど横バイの合成洗剤をぐんぐんひきはなしています。

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