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Category: ペット

使うな、危険!

住まいにひそむ毒性物質

装丁
使うな、危険! 使うな、危険!
食品と暮らしの安全基金
講談社
ISBN4-06-212843-8
2005/09/05
¥1400
解説
本書は、「食品と暮らしの安全基金」が二一年間にわたって調査研究し、
報道してきたデータや資料をもとに、日用品や家電製品にひそむ危険性を書いたものです。

危険性を確かめるには検査が必要なときもあります。
そのときは外部に委託したり、測定器を買って自分たちで検査したりしました。
測定器を用いて何度も検査して行っているうちに、いろいろなアイデアが湧いてきて、
それで興味深い結果が得られたケースが何度もあります。

こうして調査や検査をしていても、時間がたっている場合は、
その商品に使われている危険物質が今でも使われているか、
ひそんでいる危険性が今も変わっていないかを確認したうえで、原稿を書きました。

そして、少し工夫すれば危険を避けることができる方法も紹介していますので、
本書を手元において利用していただければ、生活が安全になると同時に、
シンプルで手間がかからず、さらに安上がりにもなると思います。

目次
  1. 家電製品
    1. 掃除機
       「排気が出ない!」排気循環方式が一番汚い排気を出した
    2. サイクロン掃除機
       電話の声をかき消す騒音が鳴り響く
    3. 水フィルター掃除機
       人体に危険な細かいチリを水はキャッチしない
    4. 洗濯乾燥機
       靴下が三センチも縮んだ
    5. エアコン
       カビが大放出され食品工場で取引停止に
    6. マイナスイオン製品
       リフレッシュ効果を演出するも、科学的根拠はない
    7. 空気清浄機
       カビ入り空気をつねに放出する
    8. テレビ
       画面の前ではオタマジャクシの成長が五日も遅れた
    9. ハロゲンヒーター
       特定の場所に熱が集中し、低温ヤケドを起こす可能性が
    10. IH調理器
       安全ガイドラインを超える電磁波で流産の危険も
    11. 携帯電話
       アメリカでは電磁波のせいで脳腫瘍になったと訴訟が相次ぐ
    12. 電磁波防護グッズ
       実験すると磁場が減った製品は一つもなかった
    13. 家族を救うチェックリスト① 携帯電話を安全に使う方法
  2. 台所
    1. フッ素樹脂加工鍋・フライパン
       カナリアやインコを殺す猛毒ガスが発生
    2. 台所用合成洗剤
       皮膚に塗ると受精卵の成長が遅れた
    3. 抗菌スポンジ・まな板
       スポンジで水槽を洗うと金魚が死んだ
    4. 蛇口直結タイプ小型浄水器
       使い始めの二週間くらいは化学物質が溶け出す
    5. 据え置き型浄水器
       有害物質で飽和すると汚染された水が出る
    6. アルカリイオン整水器
       ガンやアトピーが治るという科学的根拠はゼロ
    7. 抗菌・防虫シート
       虫は防虫シートの上を元気にはい回る
    8. 殺虫プレート
       そもそも台所や食糧倉庫での使用は禁止だった
    9. ラップ
       乳ガン細胞を増殖させる物質が溶け出す
    10. 割りばし
       安い割りばしから防カビ剤や漂白剤が湯に溶け出す
    11. 抗菌弁当グッズ
       ごはんもおかずも腐ってゆく抗菌加工の弁当箱
    12. ペットボトル
       引き取り手がないまま山積みにされたリサイクル品
    13. 家族を救うチェックリスト② プラスチックの安全分類
  3. 風呂
    1. シャワー
       塩素とトリハロメタンが湯から大量に揮発
    2. 二十四時間風呂
       死亡事故を何度も発生させた
    3. 入浴剤
       有毒な化学成分がぜんそくやかぶれの原因に
    4. シャンプー
       強すぎる洗浄力でアトピー性皮膚炎を引き起こす
    5. フケ・かゆみ防止シャンプー
       一〇万倍に薄めた液でふ化した魚はすべて背骨が曲がった
    6. ボディシャンプー
       うるおい成分が皮膚の老化を早める
    7. モイスチャーミルク製品
       牛乳とは無関係の化学物質だった
    8. カビ取り剤
       アルコールや酢と混ぜても猛毒の塩素ガスが発生
    9. 家族を救うチェックリスト③ 界面活性剤の排出量、家庭は業務用の9倍!
  4. 洗面所・トイレ
    1. 洗濯用洗剤
       主成分LASは家庭から出る有害物質の中で最強の毒性ランク
    2. ドライクリーニング
       汚れを落とすパークロロエチレンは流産を引き起こす
    3. 歯みがき剤
       アレルギー発生率は化粧品の二~五倍
    4. マウスウォッシュ
       シャンプーで口を洗っているようなもの
    5. フッ素うがい
       虫歯予防のため、吐き気・よだれ・寝たきり・口腔ガンの副作用
    6. トイレボール
       発ガン性が確認され、ドイツでは使用が禁止されている
    7. 家族を救うチェックリスト④ 有害化学物質排出量ワースト1は愛知県
  5. 美容
    1. 口紅
       食品への添加が禁止されている色素が使われる
    2. UVカット製品
       妊娠時は要注意! 産まれた子供の思春期が遅れる
    3. ケミカルピーリング
       薬品でやけどさせ、すべすべになったと勘違いさせる
    4. まつ毛パーマ
       まぶたが腫れる、黒目の膜がはがれるなど苦情続出
    5. ヘアカラー
       一〇〇〇億分の一に薄めても乳ガン細胞が一・五倍に増殖
    6. ヘアスタイリング剤
       生殖器に障害を与えるフタル酸エステルがヘアスプレーに
    7. 育毛剤
       使用者によると一、二年で効果がなくなるという
    8. 家族を救うチェックリスト⑤ 化粧が健康をおびやかす
  6. 健康
    1. 経口避妊薬(ピル)
       乳ガンにかかる確率が高くなる
    2. ホルモン補充療法
       心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓症、乳ガンのリスクが高まる
    3. 塩ビ医療器具
       厚生労働省も赤ちゃんへの危険性を認める通知を出した
    4. 虫除けスプレー
       湾岸戦争で使用した兵士の子供に免疫不全や先天欠損症が
    5. 抗菌マスク
       マスクの形に顔が赤く腫れる
    6. ウエットティッシュ
       薬物発疹を起こす殺菌剤で手を拭いている
    7. 家族を救うチェックリスト⑥ 健康の基本は、まず手洗いから
  7. 子供用品・ペット用品
    1. プラスチック製ほ乳びん
       乳幼児の脳神経を乱す化学物質が溶出
    2. 赤ちゃん用化粧品
       毒性物質の含有量は大人用と大差なし
    3. おしゃぶり・歯がため
       歯並びに異常、顔まで変形
    4. オーブンねんど・小麦ねんど
       ゴキブリだんごと同じホウ酸を含む
    5. ペットフード
       殺処分されたペットの肉から作られる輸入ペットフード
    6. ペット用ノミ取り剤
       血液の中に殺虫剤を入れるので死亡事故も
    7. 家族を救うチェックリスト⑦ 若者の精子が半減?
  8. 居間
    1. 壁紙
       神経を冒す有害物質がどんどん揮発する
    2. カーペット
       アメリカの環境保護庁舎で一五〇〇人が頭痛、めまいを訴えた

    3.  田畑に撒かれた三〇倍もの農薬を含む防虫畳
    4. 消臭・除菌スプレー
       スプレーを吸い込むと老化が促進される
    5. 住居用洗剤
       洗濯洗剤を床にぶちまけているのと同じ
    6. 蛍光灯
       古い蛍光灯から有害物質PCBが揮発する
    7. くん煙殺虫剤
       老人九人が入院する事故が起きた薬剤散布
    8. 家族を救うチェックリスト⑧ 健康な住まいにエコ・リフォーム
  9. 寝室・押し入れ
    1. 防ダニ寝具
       メーカーが回答を拒否する正体不明の薬剤で加工
    2. 電気毛布・電気カーペット
       電磁波の影響で流産や異常出産の確率が高まる
    3. 電子蚊取り
       神経を蝕む無臭の毒物を知らぬ間に吸い込む
    4. 乾燥剤・除湿剤
       防虫・防カビ剤入りは揮発した発ガン物質を吸い込む
    5. 衣類の防虫剤
       パラジクロロベンゼンが花粉症を悪化させている
    6. 塩ビ肌着
       着ると体内のカルシウムが溶けてしまう
    7. 形状記憶シャツ
       加工剤のホルムアルデヒドで皮膚がただれる
    8. 家族を救うチェックリスト⑨ 防虫剤は危ない
  10. 住宅
    1. シロアリ駆除
       家を捨てざるを得ない嘔吐・下痢・頭痛・のどの痛み
    2. 家庭用農薬
       家庭用でも、発ガン・嘔吐・アレルギーを引き起こす
    3. 塩ビ水道管
       食品容器には使えないジブチルスズ化合物が材料に
    4. 内断熱マンション
       ひどい結露が起き、ダニ・カビが大発生する
    5. 太陽光発電
       元を取る前に巨大な廃棄物になる
    6. スタンガン・防犯スプレー
       厚手の服を着ている暴漢には効き目なし
    7. 防犯カメラ・センサー
       ネットで映像を見られるワイヤレスカメラは盗み見される危険
    8. 家族を救うチェックリスト⑩ 水道管を安全に
  11. 暮らしにひそむ電磁波
  12. 薬なしで治せるアトピー性皮膚炎・ぜんそく
  13. オススメの安全な商品
文献
  • 赤池学&江本央&金谷年展『日本のマンションにひそむ史上最大のミステーク』[P.190]

内容

掃除機をかけると逆に喘息が悪化する[P.16]

ほとんどの日本製掃除機は、
床のゴミを取る性能はあまり良くないうえに、細かいチリを大量に吐き出す。
だから、ぜんそくが増加する大きな原因になっている。
このことは、われわれの発行している月刊誌「食品と暮らしの安全」
(二〇〇四年四月号)で指摘するまでまったく知られていなかった。

気の毒なことだが、ぜんそくが起きないように、夜寝る前に布団に掃除機をかけ、
逆に症状を悪化させている家庭が今でもたくさんある。

どうしてこんなことになったのか。
それは、吸い込む空気の量の多さを家電メーカーが競っているからである。

吸い込む空気の量を多くするには、
ヘッド部と床が密着しないようにして、すきまを大きくすればいい。
しかし、すきまが大きいと、見た目は力強くても、
カーペットや畳の中のチリを吸い出す力は弱くなってしまう。

そのうえ、排気にも問題が出てくる。
フィルターの目を粗くしないと、大量の空気が通過できないので、細かいチリは吐き出されるのだ。

こんな掃除機を使って布団を掃除するとどうなるか。
床と違って布団は掃除機のヘッドと密着した状態になる。
そのため、布団の中にあって空中に漂うことのなかった
ダニの死骸や脱皮殻やフンを掃除機が吸い出し、室内にばら撒いてしまうことになる。

これが実情なのに、排気の汚い掃除機が、
あたかも健康にいいかのようなキャッチコピーで販売されている。

エアコンのカビ汚染[P.26-27]

エアコンの電源スイッチを入れたら、変な臭いがしたことはないだろうか。

これはエアコンの中についたホコリに菌が繁殖したためである。

<中略>

たいていのエアコンは、内部の汚れを防ぐ機能が低く、一年も経てばカビ臭が漂うになるのだ。

<中略>

住宅よりもっとひどいのは、レストランなどの飲食店に設置してある業務用エアコンだ。
年に一度分解掃除することになっているが、面倒くさがって何年も掃除していないケースがある。

店舗などの環境改善指導を行なっている
流通近代化センターの大須賀博おおすがひろし代表によると、
「こうした業務用エアコンの中は、どこのレストランでも凄まじく汚い。
その汚れの中にはカビや菌がうようよしており、
掃除中に誤って目に入ったりすると、腫れ上がってしまいます。
清掃業者の人が吸い込んで、入院したケースもあります」というのである。
まさにばい菌の巣、強烈な毒の中心ともいえる場所なのだ。

<中略>

食品工場も、同様にひどい状態だという。
大須賀代表が経験したケースでは、大手コンビニにデザートを納品している食品工場で、
取引停止になるほどのレベルの菌が発生したことがある。
調べてみると、設備や床などはきれいに清掃していたが、
エアコンは一年以上も掃除していなかった。
このためエアコンに塩素ガスを吸わせて殺菌したところ、
菌がまったく発生しなくなったという。

空気清浄機は空気汚染機[P.30-31]

われわれは、四年間使用した大手メーカーの空気清浄機を分解し、
中がどうなっているのかを調べてみた。
この製品はフィルターや脱臭剤の交換時期が五年間になっており、
まだ交換時期はきていない。

ところが中を開けてみると、すさまじい状態になっていた。
(三三ページの写真参照)

①製品は大手メーカーのもので、四年間使用している。
外観はまだピカピカで、古ぼけてはいない。

②フロントパネルの中に、プレフィルターがある。
このプレフィルターを外してみると……。

③その内側にある脱臭フィルターの中には、白カビがついていた。
さらに内側にある大きなHEPAフィルターにも、灰色のカビがびっしり生えている。
気持ち悪いことこのうえない。
この空気清浄機を置いていたのはごく普通のマンションのよく掃除された陽あたりのいい和室である。
決して特殊な環境ではない。

④HEPAフィルターの脇を見ると、大きなすきまがあり、ホコリがこびりついている。
HEPAフィルターの脇を、空気は素通りしてしまっているのだ。

⑤HEPAフィルターを引き出してみると、内側にもカビがついていた。
これでは高性能なHEPAフィルターを使っている意味がまったくない。

⑥HEPAフィルターを通った空気は、ファンを通じて外にはき出される。
この部分にも、カビがあった。

⑦ファンの外側パネルについたカビ。
これらのカビがファンによって、室内に吹き出されている。
空気清浄機は空気をきれいにするどころか、空気を汚染していたのである。

空気清浄機のレジオネラ汚染[P.32]

流通近代化センターの大須賀博おおすがひろし代表は、
空気清浄機のレジオネラ菌感染をめぐって、こんな体験を語っている。

「私は仕事先で、水を使った空気清浄機のレジオネラ菌に感染し、
危うく死にそうな目にあったことがあります。
肺がやられたのですが、医者はレジオネラ菌と気づかないので、
私が言って検査してもらい、レジオネラ菌を見つけたんです。
抗生物質を何種類も替えてやっと治しました」

そして大須賀氏は「水を使う空気清浄機は、水のタンクは洗えても、
排気口までの間についた菌を洗い落とせないので、危ない菌がいる空気を出す。
ひどい製品です」と話すのである。

IH調理器の電磁波測定値[P.38-39]

われわれは二〇〇二年三月に、大手メーカー六社の製品を東京都内の量販店で購入。
各メーカーの調理器を最大出力にして直径一二センチの鍋をセットし、
鍋周辺の電磁場の強さを測定器を使って調べてみた。
結果は、表の通りである。

■IH調理器周辺の電磁波
メーカー名
磁場強度(ミリガウス)
正面 153 122 143 136 153 75
周辺最大値 411 277 368 300 400 158
プレートの上 900 870 1070 877 650 705
16ミリガウス以下にするのに必要な距離(cm) 30 30 30 30 30 27
1ミリガウス以下にするのに必要な距離(cm) 120 110 110 110 110 110
ICNIRPガイドライン超過率(倍)
正面 2.82 1.67 2.66 2.54 2.52 0.49
周辺最大値 4.69 3.72 4.94 4.18 4.5 1.52
ガイドライン以下にするのに必要な距離(cm) 20 20 20 20 20 20

電磁波防護グッズ詐欺[P.44-45]

電磁波から防護できるという四製品を買ってきて、調べてみた。

実験は、一定の周波数と強さで磁場を発生させ、
磁場測定器との間にテスト商品を置くという方法で測った。
結果は表の通りで、電磁波を減らす能力はどの製品もまったく持っていなかった(表参照)。

同様にそれらの製品をテレビの周辺に置いたり、
テレビに貼り付けたりして使ってみたが、同様に電磁波の大きさは変わらなかった。
電磁レンジでの実験も同じ結果だった。

次に、パソコンショップで販売されているパソコン用の電磁波防護グッズを調べてみた。
電磁波からシールドできるというポリエステルにニッケルメッキしたエプロンと、
特殊硬質樹脂でパソコンのブラウン管モニターを覆うフィルター、
金属の繊維をポリプロピレンで挟み、
好きな形に切って使える電磁波シールドシートの三製品である。

磁場については、先の四製品と同様、どの製品もまったく変化はなかった。
磁場を減らす効果は持っていなかったのである。

だが電場に関しては、パソコンのブラウン管モニターの正面に電場測定器を置き、
その間に商品を出し入れして変化を見たところ、三製品ともに測定限界以下になった。
電場は完全にシャットアウトされていた。

またマイクロ波も同じように調べたところ、
エプロンとシートでは明らかに数値が減り、効果が認められた。
だがフィルターは数値が変わらず、効果はないことがわかった。

■電磁波防護グッズの効果測定結果
防護グッズ 使用 周波数
20Hz 50Hz 200Hz 2000Hz



× 200 200 200 200
200 200 200 200
鉄製ペン皿
(対照)
× 200 200 200 200
127 125 125 90

[単位:ミリガウス]

電磁波にまつわる迷信[P.45]

身近なモノで電磁波を防げるというウワサもある。

「絹のスカーフで携帯電話を包むと、電磁波が出ない」

「木炭を部屋のすみに置くと、テレビなどからの電磁波が吸収される」

「麻ひもを三つ編みにしてテレビやパソコンモニターに貼りつけると、電磁波除けになる」

これらのウワサは本当なのだろうか。

結論からいえば、絹のスカーフはまったく効果がない。
たんなる迷信である。
絹は絶縁物質で、かつては電線の被覆ひふくにも使われていたから、
そういう連想が生まれたのかもしれない。

同様に、麻ひもを貼りつけておくだけで電磁波を吸収するというのも、何の根拠もない。
神社のしめ縄からの連想かもしれない。

テフロン加工フライパン有害説[P.48]

毒ガスが発生するのは、フッ素樹脂加工鍋を長時間空焚きした場合に限られる――
ところが、である。

二〇〇三年に、アメリカのNGO「環境ワーキンググループ(EWG)」
が衝撃的なレポートを発表した。
なんと二分程度空焚きしただけでも、
フッ素樹脂加工鍋は三八〇~三九〇度の高温に達するというのである。

デュポン社は、
「テフロンが三五〇度以上に熱せられれば、人に害が出る可能性がある」
という研究報告を発表している。
つまりわずか二分の加熱で、有毒ガスを発生させる可能性があるということなのである。

<中略>

空焚きだけではない。
たとえばウインナー一本やモチ一個だけを焼いたりするような使い方をすると、
フライパンの温度が上がりすぎて、空焚きと同じような状態になる。
われわれの実験でも、ミニウインナー二本を二分強炒めただけで、
表面温度は三〇〇度に達した。

台所用洗剤の経皮毒人体実験[P.50]

もう三〇年ほど前になるが、台所用の合成洗剤をそのまま皮膚につけて、
どうなるかを人体実験した人がいる。
いまは漫画『美味おいしんぼ』で有名になった
味噌星六みそほしろく」店主・星野正夫氏の若き日の実験である。

レモンの香りがする台所用合成洗剤の原液をガーゼにつけて腕に貼り、
毎日貼り替えていたら、一週間後にはふらふらし始めた。
ビール一本なら飲んでも何ともないはずなのに、翌日まで酔いが残り、
三週間後には階段を上がるとすぐに息が切れて、上がれないほど体力が落ちて、
まるで夢遊病のようになったので実験を中止した。

抗菌・防虫シート詐欺[P.61]

防虫シートには本当に虫を防ぐ効果があるのだろうか。
われわれは実際に実験してみた。

購入してきた防虫シートに、コメで育てたコクゾウムシをのせてみる。
すると嫌がって逃げる様子もなく、シートの上を元気にはい回っているではないか。

まわりの人に聞いてみると、
「せっかく食器棚に防虫シートを敷いたのに、
ゴキブリがシートの上を歩き回っているのを見たり、
シートの上にフンを見つけたこともある」という証言も飛び出した。
どうもあまり効果は期待できないようなのである。

メーカーに聞いてみると、
「近づくのを嫌がる忌避きひ効果があるだけで、殺虫効果はありません」
「効果を強くすると、人に危害を与えるマイナス面が出てしまうので……」という回答。

たしかにその通りで、
メーカー側は防虫シートが待っている有害性をきちんと認識しているようだ。

しかし、虫が逃げずに、元気にはい回るような程度の防虫効果では、
意味がないのではないだろうか。

塩化ビニリデン製ラップと乳癌[P.64]

もし「ポリ塩化ビニリデン」と書いてあったら、すぐに使うのをやめた方がいい。
塩化ビニリデン製のラップからは、乳ガン細胞を増殖させる物質が溶出するからである。

この事実は、われわれが二〇〇二年に北里研究所臨床環境医学センターの
坂部貢さかべこう部長に依頼した実験で、明らかになった。
試験したラップは二種類で、いずれも塩化ビニリデン製である。

ラップを六〇度の細胞培養液に浸して成分を溶出させ、
その培養液を使ってヒトの乳ガン細胞を培養すると、
どちらも、乳ガン細胞を通常の二倍も増殖させる結果となった。

金魚の死ぬ割箸[P.66-67]

東京都立衛生研究所が一九九四年に、割りばしに含まれている薬剤の分析を行っている。
その結果、OPPという防カビ剤が含まれていたことが発覚した。
OPPというのは柑橘類にカビが生えないようにする食品添加物で、
残留濃度は一〇ppm以下と定められている。

都衛研は検査で、料理店で使われているものや市販のものなど、
計三五種類の割りばしと楊枝ようじ、竹串など計八点のOPP含有量を調べた。
その結果、割りばし六点と寿司用の一点からOPPが検出された。
とくに高濃度だったのは竹の割りばしで、
一膳あたり〇・八八ミリグラムのOPPが含まれているものもあった。
これを基準値に換算すると、八八ppmという数字になる。
「残留濃度を一〇ppm以下にすべき」という基準値と比べ、
なんと九倍近くも高かったのである。

さらにこの高濃度の竹製割りばしを湯に三〇分ほど浸してみると、
六〇度のお湯で〇・二二五ミリグラム、
九五度の熱湯では〇・三五七ミリグラムのOPPが溶け出すことも確認された。

<中略>

テレビのニュースでは以前、中国産の竹の割りばしを水槽に入れてみたら、
わずか一週間で金魚が死んでしまった――
というショッキングな話が紹介されたこともある。

中国産竹割箸は日本産竹割箸を駆逐する[P.67]

引退した竹割りばし業者の方から、手紙をいただいたことがある。
この方の手紙には、こう書かれていた。

「中国産が輸入されるまでは、
竹の割りばしは熊本産の独壇場どくだんじょうでした。
硫黄を焚いて漂白し、竹割りばしと蝋石ろうせきを一緒に回転箱の中で長い時間転がし、蝋石でコーティングしました。
これによって空気に当たるのを防ぎ、カビないようにしたのです。
そうした処理をしても竹はカビやすいので、生産は少量ずつ行っていました」

硫黄や蝋石にも毒性はないわけではないが、OPPや二酸化硫黄とは比較にならないほど弱い。
こうした安全な加工をした割りばしが増えていけば、私たちの生活も安全になっていく。

しかし――。手紙はこう続いていた。

「防カビ剤を使わず、モラルのある作り方をしていたため、
中国産と比べると私たちの割りばしは相当なコスト高になってしまいました。
価格競争に勝てず、結局一社を残してすべて廃業してしまったのです。
正当な製法の競争で負けるのなら潔く、しかたないといえるのですが……」

日向サンパーク温泉レジオネラ集団感染事件[P.76-77]

日本でレジオネラ菌による大被害が出たのは温泉だった。
二〇〇二年、宮崎県日向ひゅうが市の「日向サンパーク温泉」でレジオネラ菌が発生し、
温泉客二九五人が感染し、うち七人が死亡するという大惨事が起こった。
これは二十四時間風呂でこそなかったが、原理は同じ大規模な循環湯で、
浄化装置の清掃を怠ったためにレジオネラ菌が繁殖してしまったのだ。

二十四時間風呂のマイコバクテリウム・アビウス汚染[P.77]

二〇〇〇年には、広島県環境保護協会などの調査で、
二十四時間風呂が結核によく似た病気を起こす細菌の温床になっていることが確認された。
その菌は、「マイコバクテリウム・アビウス」といい、
からだの抵抗力が弱っているときに感染すると、慢性気管支炎や痛みを伴う皮膚のしこり、
潰瘍かいようなどの症状を持つ「MAC症」という病気を起こす。

九〇年代からMAC症の患者が目立ち始めたため、同協会が調べたところ、
家庭で使われている二十四時間風呂の多くからマイコバクテリウム・アビウムが発見され、
原因が突き止められたのである。

温泉詐欺[P.79]

長野県安曇あづみ村(現松本市)の名湯として知られる白骨しらほね温泉で、
別の温泉の入浴剤を投入していたことが二〇〇四年に発覚した。

それが引き金となって、各地の温泉ので水道水を使っているなどの行為が次々と発覚し、
温泉ブームに冷や水を浴びせる結果となった。

そのときクローズアップされたのが、「循環湯」である。

今は温泉といえどもシャンプーとリンス、それにボディシャンプーが置かれている。
温泉で化学洗剤を要求する客も悪いのだが、
洗い流した排水を浄化して再利用している温泉が九割もあるというのだ。
髪の毛、アカ、石けんカスなどを取り除き、塩素を水道水の三倍以上入れているから安全だ、
といわれても、そんな湯に金を出してまで入りたくはない。

入浴用洗浄剤中止でアトピー改善(高山かおる)[P.81]

一九九七年に東京医科歯科大学医学部皮膚科学教室の高山かおる氏らが行った調査では、
アトピー性皮膚炎患者一〇五人のうち、五三人が入浴中に使っていたシャンプーやリンス、
ボディシャンプーなどが原因だった。
しかもそのうちの四五人は、シャンプーとリンスの使用を中止し、
固形石けんで髪を洗うようにしたところ、症状が良くなったという。

ジンクピリチオンと奇形[P.82]

一九九八年一二月、京都で開かれた環境ホルモン学会で、
国立環境研究所の五箇公一ごかこういち研究員が、驚くべき実験報告を行った。

淡水に生息するゼブラフィッシュの卵を、
ジンクピリチオン配合のシャンプーを一〇万倍に薄めた溶液の中に入れたところ、
ふ化したすべての稚魚の背骨がらせん状に曲がっていることが確認されたのである。

さらにジンクピリチオンシャンプーを一〇〇万倍に薄めた溶液でも、半分の稚魚の背骨が曲がった。
ゼブラフィッシュをメダカに替えてみても、結果は同じだった。

しかしひょっとしたら原因はジンクピリチオンではなく、
シャンプーに含まれる別の化学成分かもしれない。
そこで五箇研究員は、水一リットルに
ジンクピリチオンの原体〇・〇三ミリグラムを薄めた溶液でも実験を行ってみたところ、
やはりすべての稚魚に奇形が生じた。

奇形の原因は、間違いなくジンクピリチオンだったのである。

ジンクピリチオンは有機亜鉛化合物で、
シャンプー以外には船の塗料などとしても使われている。
電気掃除機の中にセットする紙製のゴミ袋に、殺菌剤として使用されていることもある。

トイレボールは半径80mの大気を汚染する[P.102-103]

トイレボールをトイレにぶら下げておくと、
またたく間に家全体がパラジクロロベンゼンで汚染されていく。
横浜国立大学の花井義道助手らが行った実験の結果(表参照)を見れば、
その汚染の様子は一目瞭然いちもくりょうぜんだ。
この実験では、一個のトイレボールをトイレに置いたら、
揮発した有害な化学物質がどんどん拡散し、
さらには家の外側の周囲八〇メートルの範囲にまで広がっていったという。
表を見ると、トイレボールの重さが減っていくのに従って、
周囲の汚染がどんどん減っていく様子がわかる。

パラジクロロベンゼンの空気中濃度
経過日時 トイレボールの重量 トイレ 隣の部屋 離れた部屋 玄関
初日 150グラム 2000 780 130 17
週間後 82グラム 490 310 93 9
週間後 36グラム 290 97 63 8
週間後 14グラム 140 64 21 3
1ヵ月後 0グラム 5 3 10 2

[単位:ppb]

ヘアカラー死亡事件[P.114]

一九九四年の日本アレルギー学会で長崎大学の研究者から報告されたケースは、
次のようなものだった。

死亡したのは長崎県内に住む五四歳の女性。
二九歳のころからアトピー性のアレルギーをわずらっており、
過去にも染毛剤で軽い発作を起こした経験があった。
そして一九九三年八月、髪染め中にふたたびぜんそくが起こり、直後に意識を失った。
近くの病院に運ばれたが、到着したときにはすでに心配停止状態で、
一四日後に病院で死亡した。
入院中に皮膚を詳しく検査した結果、発作の原因は染毛剤であると推測されたという。

ヘアカラーと乳癌[P.115]

われわれは二〇〇一年、
北里研究所臨床環境医学センターの坂部貢さかべこう部長(現センター長)に依頼し、
大手メーカーのヘアカラー三製品を調べてもらった。
乳ガン細胞にヘアカラーを薄めた液を添加し、培養するという実験である。
その結果、三製品ともに乳ガン細胞が増殖した。
なかには濃度をわずか一〇〇〇億分の一に薄めても、
何も加えない場合に比べて一・五倍も乳ガン細胞を増殖させた製品さえあった。

ヘアスプレーにはフタル酸エステルがキャリーオーバー[P.116-117]

きっかけはアメリカの環境団体「環境ワーキンググループ(EWG)」が
市販されている有名ブランドの香水を調べ、
高濃度のフタル酸エステル類を検出したことだった。
そこでわれわれも日本国内での実態を調べようと、
大手化粧品メーカーが販売しているヘアスプレーニ製品を調べてみた。
すると、片方の製品からフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、
もう一つからもフタル酸ジブチル(DBP)が検出されたのである。

<中略>

そこで、国産ヘアスプレーからフタル酸エステルを検出したわれわれは、
メーカーに問い合せてみた。しかし両メーカーとも、
回答は「フタル酸エステルは使っていない」という素っ気ないものだった。

もしメーカーがウソをついているのでなければ、たぶん意図的には添加していないのだろう。
ではどうして、ppm(一〇〇万分の一)単位とはいえ、
フタル酸エステルが検出されてしまったのだろうか。

ここから先は推測になってしまうが、
たぶん原因はヘアスプレーに含まれている香料ではないかと思われる。
日本化粧品工業連合会も、
香料にはフタル酸エステルが含まれる可能性があると認めているからだ。
となると、香料を使っているヘアスプレーは
どれでもフタル酸エステルを含んでいる可能性がある。

病院の塩ビ使用状況[P.126-127]

われわれは二〇〇一年に、
塩ビの使用状況について輸液セット、手袋、血液バッグの三種類の医療器具に絞り、
ベッド数が一〇〇〇以上ある大病院を対象にした調査を行った。

輸液セットでは、九〇%の病院が相変わらず塩ビ製だった。
ポリブタジエン製はわずかニ%以下のシェアしかなかったのである。
「非塩ビ製の輸液セットは高価で、使い勝手も良くない」という回答が少なくなかった。

医療用手袋は輸液セットよりも脱塩ビ化が進んでおり、
天然ゴムの手袋を使っている病院が塩ビを使っているところよりも多かった。
その一方で今後の予定について「素材を変更するつもりはない」と答えた病院も二九%あった。
「天然ゴムアレルギーの代替として、塩ビの手袋はどうしても必要」という意見もあった。

しかし、食品加工の現場では塩ビ手袋の使用は禁じられている。
代替品も存在するのだから、他の素材への変更は不可能ではないはずだ。

また血液バッグでは、ほぼ一〇〇%の病院が塩ビ製のものを使用していた。
理由はただ一つ――代替品が存在していなかったのである。
非塩ビ素材で作った血液バッグを使うと赤血球が壊れやすくなり、
血液の保存性が良くないというのだ。

湾岸戦争症候群虫除けスプレー説[P.128-129]

湾岸戦争症候群の原因追究に向け、アメリカ国内ではさまざまな研究が行われた。
そしてそのもっとも大きな成果の一つとして、
農業省医学獣医学昆虫学研究所のジム・モス博士の研究があった。
その内容はこうだ。

――イラク軍が保有していると見られていた神経ガス「ソマン」を防御するため、
米軍はすべての兵士に対策用の薬剤である臭化ピリドスティグミンを与えていた。
そしてモス博士が実験でこの臭化ピリドスティグミンと一緒にディードを使ってみると、
ディートの毒性はなんと一〇倍にも跳ね上がってしまったのである。
戦場では砂漠の毒虫から肌を守るため、
兵士たちはひんぱんに虫除けスプレーを自らのからだに噴霧していた。
兵士の安全を守るための対策用薬剤と虫除けスプレー――
この組み合わせが、逆に兵士をひどく傷つけていた可能性が浮かび上がってきたのである。

なんとも恐ろしい話ではないか。
しかもさらに驚愕きょうがくすることに、
湾岸戦争からの帰還兵たちに免疫不全めんえきふぜん
先天欠損症せんてんけっそんしょうの子供たちが生れているというのである。
虫除けスプレーの強い突然変異性が原因になっている可能性は高い。

そして実はディードの強い突然変異性は、日本国内での研究によってすでに突き止められていた。

湾岸戦争からさらに五年さかのぼる、一九八六年のことである。
われわれは東京都立立川短期大学(当時)の吉田幸弘よしだゆきひろ教授(現名誉教授)にお願いし、
ディートを使った虫除けスプレーの突然変異性を調べてもらった。
実験ではショウジョウバエが使われ、
その後二年間にわたって遺伝子を変化させてしまう性質――
つまり突然変異性についてのテストが繰り返された。

その結果、オスのショウジョウバエの羽化率が低下していたことが確認された。
体細胞が死ぬ突然変異が生じていたのである。
吉田教授は、虫除けスプレーの突然変異性は「非常に強い」と報告したので、
われわれは一九八八年から虫除けスプレーの危険性を指摘し続けている。

アメリカ・フロリダ大学の研究では、
皮膚に塗ったディートの五六%は皮膚に吸収され、一七%は血液中に吸収されるという。
六一歳の白人女性が日焼け止めクリームと一緒にディート入りの虫除けスプレーを使ったところ、
急性の血圧低下でショック状態になり、入院したケースもあったという。

ノミ取り剤死亡事件[P.146]

一九九七年、イギリスで猫が次々と死んでいく事件が起きた。
原因はノミ取り剤。
当時、BBCのニュースでは突然死した猫の飼い主へのインタビューも放映された。

「そのノミ取り剤をうちの猫の背中に垂らしたら、突然猫が庭を駆け回り始めたのです。
壁に何度もぶつかりながら、最後は台所で気絶して、口から泡を吹き出していました。
動物病院にあわてて運んだんですが、もう死んでいました」

飼い主のアビス・フリーマンさんは、憤懣ふんまんやるかたない表情で語った。

ノミ取り首輪による大気汚染[P.147]

ペットのノミ取り首輪の殺虫剤は飼い主のからだに付着したり、
室内の空気に揮発したりして、人間にも汚染を引き起こす。

東京都が一九九一年、
神経毒性と環境ホルモン作用のある殺虫剤ペルメトリンについて行った調査でも、
その事実が裏づけられている。

ペルメトリンのノミ取り首輪をした猫と一緒に飼い主が一〇分間遊ぶと、
飼い主のTシャツに一平方メートルあたり
九六マイクログラム(一〇〇万分の一)ものペルメトリンが付着していた。
このペルメトリンは室内に揮発し、
一立方メートルあたり〇・一マイクログラムの室内汚染を引き起こしていた。

静内町立特別養護老人ホームの殺虫剤集団中毒事件[P.162]

サラブレッドの故郷として知られる北海道日高地方の静内しずない町。
美しい桜が長くまっすぐな未知に沿って咲き誇ることでも有名なこの町の、
町立特別養護老人ホームで事故は起きた。
二〇〇〇年五月三〇日のことである。

この日、建物の中の害虫を駆除する作業が行われた。
外部の業者がピレスロイド系のフェノトリンと
有機リン系のフェニトロチオンという殺虫剤を床に撒いたほか、
くん煙殺虫剤のジクロルボス(DDVP)を建物の中で使用した。

それから一時間半にわたって換気した後、
別の棟で待機していたお年寄り一〇二人が、自室に戻った。
この殺虫作業は、三〇日から六月一日まで、三日間にわたって行われた。

ところが三一日ごろから熱やのどの痛みを訴える人が現れ、
七〇歳代から一〇〇歳代の九人が入院したほか、
入所者三二人と職員四人が病院で手当を受ける騒ぎになったのである。

患者はその後全員が回復し、最悪の事態は免れた。
そしsて、どの殺虫剤が原因かは突き止められなかった。

しかし、この事故をきっかけに、
くん煙タイプの殺虫剤が実はきわめて危険であるという認識が、
政府や自治体関係者の間に広がったのである。

衣類防虫剤性シックハウス症候群[P.174]

仙台市にある「てらさわ小児科」の寺澤政彦医師が語った話である。

S君は七歳。
せきと熱がひどくなり、病院にも行けないほどの状態になった。
このため寺澤医師が往診で自宅に向かったという。
ところが玄関のドアを開けたところ、パラジクロロベンゼンの猛烈な刺激臭が――。

寺澤医師が中に入ると、
S君はタンスがたくさん置いてある奥の部屋に寝かされ、赤い顔でひっきりなしにせきをしていた。
医師自身も眼がチカチカし、のどが痛くなってきた。
家族に「においませんか?」と聞くと、両親は「何も感じない」と返事した。

この家では、防虫剤をタンスのすべてに入れたばかりだったという。
おまけにストーブがガンガンたかれていて、室温はかなり上昇していた。
防虫剤の揮発が促進され、室内の濃度が危険なほどに高まっていたのである。

寺澤医師は窓を開けて部屋の空気を入れ換え、室内の防虫剤をすべて撤去してもらった。
その結果、症状は間もなく軽快したという。

塩ビ肌着性カルシウム欠乏症[P.176-177]

メーカーは塩ビ素材について「肌との摩擦、他繊維との摩擦により
健康維持に必要なマイナスイオンの静電気を発生します」と主張しているが、
塩ビ繊維の問題点を指摘してきた和洋女子大学の川村一男名誉教授によると、
この主張は「とんでもない大ウソ」だという。

このメーカーは「塩ビの肌着はマイナスの静電気を帯びる。
マイナスの静電気はプラスに荷電かでんした粒子を引きつけるから、
プラスの荷電性を持つカルシウムイオンが血液中に増加して、血液はつねにアルカリ性になる。
この結果、病気になりにくくなり、神経痛やリューマチを予防する。
血液をアルカリにするから、美容にも良い」と主張している。

しかし川村教授は「カルシウムの食物を取っているわけでもないのに、
肌着を着るだけで血液中にカルシウムイオンが増えるはずがない」と考えた。
これを確認するため、学生を使って、
天然繊維だけを着たときと合成繊維だけを着たときの血液成分を比較する実験を行った。

すると確かに、合成繊維を着た当初は血液中のアルカリ性は上昇したという。
メーカーのいう通りになったのである。

「ところがそのあと、とんでもないことが起きました。
血液中のカルシウムが著しく少なくなって、尿中に排出するカルシウムが増加したのです。
これはカルシウムの代謝が促進されたことを示しています」

ようするに、体内のカルシウムが溶けているだけだったのである。

血液中のカルシウムが減ると、気分がイライラして集中できなくなり、怒りっぽくなる。
持久力の必要な筋運動ができなくなり、皮膚も弱くなり、
湿疹しっしんができやすくなる。
「健康にいい」などというどころではない。

川村教授がこの実験を行ったのは、一九六〇年代の話である。
その後、塩ビ素材のメーカーからは有形無形の圧力がかかったという。
当時の勤務先の大学の学長に、
「大学をやめさせろ」という圧力まであったそうだから、驚かされる。

パーキンソン病農薬説[P.184]

パーキンソン病は、
脳の中の神経伝達物質の一つであるドーパミンが著しく減少してしまうことによって起きる。
その原因は、いまも完全には解明されていない。

ところがここ数年のさまざまな研究の結果、原因とみられる物質のいくつかが突き止められた。
それはロテノンやピリダベン、フェンピロキシメートと呼ばれる物質――
いずれも害虫駆除に使われる農薬なのだ。

研究を行ったのは、アメリカ・ジョージア州エモリー大学の研究者たち。
これらの農薬をネズミに数週間与えてみたところ、
ドーパミンを作る部分が障害を受け、運動機能の低下や震えなど、
パーキンソン病そのものの症状が出ることが判明したのである。

てらさわ小児科のアトピー五大原因[P.206-210]

寺澤医師によれば、アトピー性皮膚炎の原因は、大まかにいえば次の五つがワースト5である。

タバコ[P.207]

タバコが、アトピー性皮膚炎に悪影響をもたらしているのは明らかだ。
たとえば妊娠中・授乳中のお母さんの生活習慣の中で、
赤ちゃんのアレルギーの重症度との関係が明らかに認められているのは、
タバコを吸う習慣だけだという報告もある。

妊娠した女性には「卵や牛乳をやめよう」「部屋のカビやダニをなくそう」
といったことがよくいわれるが、そうした対策よりも重要なのは、まず第一にタバコをやめることだ。
食生活の改善や部屋の清掃は、その後の対策である。

しかし現実には、いくら口を酸っぱくして警告しても、
家族全員がタバコをやめてくれたというケースはものすごく少ない。
寺澤医師の過去の経験でも、わずか二例しかないという。
もちろんその二例は、著しい改善が見られたのだが……。

「本人だけでなく、家族の全員がタバコをやめてくれたケースはわずかなので、
やめれば何パーセントの人が改善するかという数字は出せません」
(寺澤医師)という状況なのである。

とはいえ、禁煙によって続々と良い結果が出ることは予測できる。

防虫剤[P.207-208]

毎年、ひな祭りの時期が近づくと、せきや発疹ほっしんがひどくなって、
てらさわ小児科を受診する女の子が増える。
しかし彼女たちは、ひな祭りの日が終わると、とたんに症状が改善し、せきも発疹も治まる。

「これはおひな様が原因かも?」

そう考えた寺澤医師が、家族に「ひな人形をしまってみてもらえませんか?」と指示すると、
見事にニ、三日のうちにせきや発疹がすっかり消えてしまったという報告があった。

これは明らかに、ひな人形を保管する際に使っていた防虫剤の影響だ。

酸化した白米[P.208-209]

自家精米した米を長期間保存していると、
ぬかに含まれる油の酸化が進んでアトピー性皮膚炎を起こしやすくなる。
実家で精米した古い白米を食べ続けていたために、赤ちゃんに発疹ができたり、
家族にアトピーが起きてしまったというケースは少なくない。

問題があるのは、コイン精米器や家庭用精米器を使う場合だ。
こうした精米器は、多くの人が信じているほどにはぬかがとれていない。
また、ぬかの中の油はとても酸化しやすいため、
機械の中にぬかが残ったままになっていると、次に精米した古いぬかがついてしまう。

酸化した油にはさまざまな毒性があり、動脈硬化どうみゃくこうかが進んだり、
ガンになる可能性が増えたりする。

もちろん精米してすぐ食べるぶんにはまったく問題はない。
玄米を購入し、食べるぶんをその都度、家庭用精米器で精米するのは、とても安全だ。

また玄米のまま食べるのも、無農薬で質のいいものなら、たいへん素晴しい。

一般的にスーパーなどで売られている白米は、
古いぬかが機械に残らない仕組みの「一回通し」の精米器で
充分にぬかがとれているものがほとんどで、これなら問題はない。

「循環式」と呼ばれる精米器は、機械をよく清掃し、米の保管を短くする必要がある。

酸化した古い白米を食べるのをやめ、酸化していない白米にするだけで、
乳幼児のアトピー性皮膚炎の七〇%以上は大幅に改善する。

合成洗剤[P.209]

赤ちゃんが六ヵ月になり、大人と同じ合成洗剤で肌着を洗うようになったところ、
いきなり発疹が出てしまったという例がしばしばある。

合成洗剤をやめてみよう。
たったそれだけのことで、アトピー性皮膚炎のざっと六〇%ぐらいの人は改善する。

合成洗剤のブランドが違うと症状の重さは異なるが、
しかしまったく使わないに越したことはない。
とりあえずは下着類だけでも合成洗剤を使うのをやめ、水洗いだけにしてみてほしい。
水で洗って日に干せば、これだけで充分にきれいになるが、
心許こころもとないという人は重曹じゅうそうを洗剤代わりに使ってみよう。
とてもきれいに仕上がる。

衣類を水洗いに替えるというたったこれだけのことで、
アトピー性皮膚炎の半数以上の患者の症状は緩和される。
合成洗剤で洗うと、すすいでも落ちきれなかった微量の洗剤が衣類の繊維の中に残っていて、
これがかぶれを起こしてしまっているのだ。

スナック菓子・アイスクリーム[P.209-210]

スーパーやコンビニで売られているスナック菓子のパッケージを見ると、
「植物油一〇〇%使用」などといううたい文句が目につく。
動物性の油ではなく、植物性の油を使っているから健康的で安全ですよ――
ということをいいたいのだろう。

だがこれは大きな間違い。
食べ物の脂質には大きく分けて、
動物性の飽和脂肪酸ほうわしぼうさんと植物性の不飽和脂肪酸がある。
そして酸化しにくい飽和脂肪酸に比べて、植物性の不飽和脂肪酸はとても酸化しやすいのだ。
そしてこの酸化した脂質、つまり過酸化脂質はアレルギーを引き起こす原因となる。

もちろん不飽和脂肪酸でも、ていねいに製造してきちんと管理されていれば、問題はない。
ところがスナック菓子の油は、酸化が進んでいるケースが少なくないのである。

スナック菓子だけではない。
油で揚げたタイプのインスタントラーメンは酸化が進みやすい。
ラーメンはできれば「ノンフライ麺」を選んだ方がいいだろう。

またアイスクリームも同じことだ。
「植物性油脂」と書かれているものは注意しよう。
とくに一〇〇円前後の値段で売られているラクトアイスを
家庭の冷凍庫で長い期間保存していると、どんどん酸化が進んでしまうから、
安くてもまとめ買いはしない方がいい。

アイスクリームを食べるのなら、「乳脂肪一〇〇%」のものを選ぶ方が安心だ。

マーガリンも、植物性油を使っているので、事情は同じ。
できるだけバターを使った方がいい。

とりあえずは、
スナック菓子や、植物性油脂を含んだアイスクリームを食べるのをやめてみよう。
これだけのことで、アトピー性皮膚炎の人の三〇%は改善が見られる。

とくに、脇の下、陰部に湿疹しっしんがある人には効果があるので、
ぜひためしていただきたい。